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細胞培養用基板

国内特許コード P140010502
整理番号 S2013-1463-N0
掲載日 2014年4月22日
出願番号 特願2013-211063
公開番号 特開2015-073460
出願日 平成25年10月8日(2013.10.8)
公開日 平成27年4月20日(2015.4.20)
発明者
  • 田辺 利住
  • 立花 亮
出願人
  • 公立大学法人大阪市立大学
発明の名称 細胞培養用基板
発明の概要 【課題】細胞に損傷を与えることなく、簡便かつ安価に細胞パターニングを可能とする細胞培養用基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基材と、基材の上に形成されたブロッキング剤を含む非特異吸着防止層を含み、非特異吸着防止層上に蛍光物質を担持する細胞培養用基板であって、細胞接着領域と細胞非接着領域を有しており、細胞接着領域が、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射した蛍光物質を担持する領域である、細胞培養用基板による。本発明は、蛍光物質に極大吸収波長を含む光を照射することにより、当該蛍光物質を細胞培養用基板に細胞接着性を付与し得る物質に変換し得ることに着目し、達成されたものである。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



生体内の細胞は、他種の細胞や、周囲の微小環境に存在する増殖因子などのタンパク質、細胞外マトリックスとの相互作用により、増殖・分化・機能発現などの生命活動の維持・調節がなされている。生体を模倣したバイオマテリアルを開発するためには、他の細胞等との相互作用を把握し、制御する必要がある。特定の細胞と他の細胞等との相互作用を調べる方法の1つとして細胞パターニング技術が挙げられる。細胞パターニング技術により細胞足場上に所望の細胞配列を作製することにより、細胞外で生体組織を模倣し、多種類の生体分子の機能や細胞間の相互作用の分析を行うことが試みられている。細胞パターニング技術は、細胞間の相互作用の基礎研究のみならず、創薬スクリーニングや再生医療などの細胞アッセイ分野への応用も期待されている。





現在利用されている代表的な細胞パターニング技術には、インクジェットプリンティング法(Biomaterials, 25, 3707-3715 (2004))、フォトリソグラフィ法 (J. Am. Chem. Soc., 114, 4432-4433 (1992))、マイクロコンタクトプリンティング法 (Stem Cells, 26, 2921-2927 (2007))などがある。インクジェットプリンティング法は、単一細胞だけを含むドロップをインクジェットノズルを用いて作製・飛翔させ、所望の場所に細胞を配列させる技術である。フォトリソグラフィ法、マイクロプリンティング法は高価な装置と複雑な工程を必要とすることから、実施が制限されてしまうという問題点があり、インクジェット法はさらに、細胞にダメージを与えてしまうという問題点がある。また、いずれの方法も複数種の細胞のパターニングには適していない。





架橋アルブミンフィルムを用いて細胞パターニングを行う方法について報告がされている(非特許文献1~3、特許文献1)。アルブミンをコーティングした表面にはタンパク質や細胞が接着しないという特徴があり、水溶性のアルブミンを架橋剤により架橋すると、非水溶性かつ細胞非接着性のフィルムを作製することができる。アルブミンフィルムに紫外線照射等のタンパク質変性処理を施すことにより、アルブミンが変性し、変性した領域が細胞接着性に変換されることが報告されている。しかしながら、紫外線照射等のタンパク質変性処理は、操作が危険であり煩雑であるという問題点があり、さらにタンパク質変性処理は細胞に損傷を与えてしまうため、複数種の細胞を追加して培養するといった場合には適さない。





その他の細胞パターニング方法として、基材と細胞接着阻害層とを有する基板において、細胞接着阻害層に含まれる細胞接着阻害材料を光触媒の作用を利用して変性させて、細胞接着部位を作製する方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、細胞培養用基板において細胞接着性を付与するために蛍光物質を利用することについての報告はない。

産業上の利用分野



本発明は、細胞培養用基板、特に細胞パターニングに用いられる細胞培養用基板、当該細胞培養用基板を作製する方法、および、当該細胞培養用基板を用いた細胞パターニング方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基材と、基材の上に形成された、ブロッキング剤を含有する非特異吸着防止層とを含み、非特異吸着防止層上に蛍光物質を担持する細胞培養用基板であって、細胞接着領域と細胞非接着領域を有しており、細胞接着領域が、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射した蛍光物質を担持する領域である、細胞培養用基板。

【請求項2】
以下のa)~c)のいずれかである、細胞培養用基板:
a)基材と、基材の上に形成された、ブロッキング剤を含有する非特異吸着防止層とを含み、非特異吸着防止層上の一部または全部の領域に蛍光物質を担持する細胞培養用基板であって、極大吸収波長を含む波長の光を、蛍光物質を担持する領域の一部の領域に照射することにより、照射した領域を細胞接着領域とするための、細胞培養用基板;
b)基材と、基材の上に形成された、ブロッキング剤を含有する非特異吸着防止層とを含み、非特異吸着防止層上の一部の領域に蛍光物質を担持する細胞培養用基板であって、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を細胞培養用基板に照射することにより、蛍光物質を担持する領域を細胞接着領域とするための、細胞培養用基板;
c)基材と、基材の上に形成された、ブロッキング剤を含有する非特異吸着防止層とを含む、細胞培養用基板であって、極大吸収波長を含む波長の光を照射した蛍光物質を担持させることにより、細胞接着領域を作製するための、細胞培養用基板。

【請求項3】
蛍光物質が、フルオレセインまたはフルオレセイン誘導体である、請求項1または2に記載の細胞培養用基板。

【請求項4】
蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光が、430~510nmの波長の光である、請求項3に記載の細胞培養用基板。

【請求項5】
ブロッキング剤がアルブミンを含むものである、請求項1~4のいずれか1に記載の細胞培養用基板。

【請求項6】
細胞パターニングに用いられる、請求項1~5のいずれか1に記載の細胞培養用基板。

【請求項7】
以下の工程を含む、請求項1および3~6のいずれか1に記載の細胞培養用基板を作製する方法:
1)基材を準備する工程;
2)基材の上に、ブロッキング剤を用いて非特異吸着防止層を形成する工程;
3)非特異吸着防止層上に細胞接着領域を作製する、以下のa)、b)および/またはc)である工程;
a)非特異吸着防止層上の一部または全部の領域に蛍光物質を担持させ、蛍光物質を担持する領域の一部の領域に、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、照射した領域を細胞接着領域に変換する工程;
b)非特異吸着防止層上の一部の領域に蛍光物質を担持させ、蛍光物質を担持する領域の全部の領域に、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、蛍光物質を担持する領域を細胞接着領域に変換する工程;
c)蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、蛍光物質を細胞培養用基板に細胞接着性を付与し得る物質に変換し、細胞接着性を付与し得る物質を非特異吸着防止層の上の一部の領域に担持させ、細胞接着領域とする工程。

【請求項8】
非特異吸着防止層に紫外線を照射する工程を含む、請求項7に記載の細胞培養用基板を作製する方法。

【請求項9】
請求項1および3~6のいずれか1に記載の細胞培養用基板に細胞を播種し、細胞接着領域に細胞を接着させて培養することを含む、細胞パターニング方法。

【請求項10】
以下の工程を含む、細胞パターニング方法:
1)基材と、基材の上に非特異吸着防止層を有する細胞培養用基板において、非特異吸着防止層の上に細胞接着領域を作製する、以下のa)、b)および/またはc)である工程;
a)非特異吸着防止層上の一部または全部の領域に蛍光物質を担持させ、蛍光物質を担持する領域の一部の領域に、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、照射した領域を細胞接着領域とする工程;
b)非特異吸着防止層上の一部の領域に蛍光物質を担持させ、蛍光物質を担持する領域の全部の領域に、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、蛍光物質を担持する領域を細胞接着領域とする工程;
c)蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、蛍光物質を細胞培養用基板に細胞接着性を付与し得る物質に変換し、細胞接着性を付与し得る物質を非特異吸着防止層の上の一部または全部の領域に担持させ、細胞接着領域とする工程;
2)得られた細胞培養用基板に細胞を播種し、細胞接着領域に細胞を接着させる工程;
3)細胞を培養する工程。

【請求項11】
工程1)が、a)および/またはb)であり、工程1)および工程2)を2回以上繰り返すことにより、2種類以上の異なる種の細胞を、2つ以上の異なる細胞接着領域に接着させて、複数種の細胞の混合培養を行う、請求項10に記載の細胞パターニング方法。

【請求項12】
蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射した蛍光物質を含む、細胞培養用基板上に細胞接着領域を作製するための薬剤。

【請求項13】
ブロッキング剤と、蛍光物質の極大吸収波長を含む波長の光を照射することにより、細胞培養用基板に細胞接着性を付与し得る物質に変換される蛍光物質を含む薬剤とを含む、細胞パターニング用キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013211063thum.jpg
出願権利状態 公開


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