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結晶粒微細化剤およびその製造方法 コモンズ

国内特許コード P140010522
掲載日 2014年5月7日
出願番号 特願2014-094548
公開番号 特開2015-212402
出願日 平成26年5月1日(2014.5.1)
公開日 平成27年11月26日(2015.11.26)
発明者
  • 渡辺 義見
  • 佐藤 尚
  • 平子 孝明
出願人
  • 国立大学法人 名古屋工業大学
発明の名称 結晶粒微細化剤およびその製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】短時間で微細化能を示す結晶粒微細化剤を提供する。
【解決手段】溶湯中で分断可能な多結晶金属間化合物粒子を含有する微細化剤であり、好適には、その多結晶金属間化合物粒子がガスアトマイズ法にて作製した球状のAlTiであるアルミニウムあるいはアルミニウム合金用結晶粒微細化剤。
【選択図】 図10
従来技術、競合技術の概要


アルミニウムの代表的な加工法の一つに鋳造がある。鋳造は、溶湯を用いる加工であるため、外形が複雑であっても、中空部のある形状であっても成形可能である。しかし、結晶粒が粗大化し不均一な組織となるため、強度低下を生じやすいという欠点を持つ(非特許文献1参照)。そのため、凝固組織の均質化および材料強度の改善が必要である。その方法として、結晶粒微細化による機械的性質の向上が最適である。一般に、溶湯の冷却速度を速くして、凝固が開始する時の過冷却を大きく発生させることにより、核生成のための活性化に要するエネルギーが小さくなる。これにより核生成が容易になり、生成する結晶粒の数が増加するため組織が微細化される(非特許文献2参照)。しかし、凝固組織を微細にするために鋳造時に急冷した場合、鋳型が冷えすぎることや凝固バランスが崩れて溶湯補給が不十分になる。その結果、湯境や引け巣が発生するなど鋳造欠陥を増加させる要因となる可能性がある。



鋳造アルミニウムおよび鋳造アルミニウム合金の結晶粒を微細化する一つの方法としてAlTi、TiBあるいはTiCなどの微細な粒子を含むAl-Ti-X系合金微細化剤の添加がある(非特許文献3参照)。ここで、Xはホウ素あるいは炭素であり、多くはチタンの質量分率が5パーセント程度の合金である。この微細化剤中のAlTi金属間化合物の異質核作用により微細化剤を添加した鋳造においては凝固核が増加し、これにより得られる鋳造材の結晶粒は微細化され、機械的強度が向上する。そのため、微細化剤の機能向上の指針としては、異質核の数密度(単位体積あたりの異質核の数)を増加させる、あるいは異質核物質と鋳造材との整合性を高めることで達成可能である。前者の方法として、微細化剤に繰り返し押し出し加工などの巨大ひずみ加工を施すことによって達成した例がある(特許文献1参照)。後者の例として、結晶学的に対称性のよいL1構造の金属間化合物粒子を異質核とした微細化剤が報告されている(特許文献2および特許文献3参照)。



面心立方格子構造を有するアルミニウム母相とD022構造を有するAlTi金属間化合物の結晶構造とそれらの格子定数を図1に示す。ここで、D022構造は面心立方格子の単位胞を2つ重ねた単位胞を有し、AlTiの場合、c軸方向に12パーセントも伸張した面心正方格子構造になっており、結晶学的異方性が強い。異相界面の界面構造を評価する指標として不整合度が一般的に広く採用されている。異質核物質の低指数面の格子定数をa、鋳造材の低指数面の格子定数をaとすると、不整合度δは、




となる(非特許文献4参照)。ここで、不整合度δが小さいほど原子配列の整合性がよい。この値が10パーセント以下であると異質核物質は核として有効に働くと言われている。



凝固する金属と異質核との結晶構造が違う場合における不整合度を記述する方法として、平面不整合度が提案されており、式(2)で算出できる(非特許文献5参照)。




ここで、(hkl)は異質核粒子の低次指数面、[uvw]は(hkl)面の低次指数方向、(hkl)は核生成する金属の低次指数面、[uvw]は(hkl)面の低次指数方向、d[uvw]は[uvw]方向に沿った原子間距離、d[uvw]は[uvw]方向に沿った原子間距離、θは[uvw]と[uvw]との間の角度を表している。



アルミニウム母相とAlTiの低指数面間の格子対応を図2に示す。AlTiは結晶の対称性の低さゆえ、面によって平面不整合度が異なる。これらの結晶学的方位関係における平面不整合度を表1に示す。これらの面の中では、最大では(001)Al3Tiにおける4.89パーセント、最小では{112}Al3Tiにおける2.17パーセントである。



アルミニウム母相とAlTi金属間化合物の低指数面間における平面不整合度の値を表1に示す。



【表1】




Al-Ti合金微細化剤中のAlTi金属間化合物粒子の形態は板状である。ここで、最も占有面積の大きい板面は(001)Al3Ti面である。表1に示すように、不整合度の小さい面も存在するが、ほとんどを占める板面が、最も不整合度が大きい面となっている。例えば、Al-Ti合金微細剤インゴットにおける板状AlTi金属間化合物粒子のアスペクト比は図3 に示すように0.08程度であり、このアスペクト比の板状粒子の場合、平均不整合度は4.78パーセントとなる(特許文献4および非特許文献6参照)。仮に、図3 に示すような球状に近い粒子を実現できれば、平均不整合度は2.99パーセントまで下がり、高い微細化能を有することが期待される。また、このとき、異質核が非常に細かければ、短時間にて高性能な微細化能を示す。しかし、前述のようにAl-Ti合金中のAlTi金属間化合物粒子の平衡形状は板状である。また、いずれかの方法により微細な球状AlTi金属間化合物粒子を製造できたとしても、その表面は酸化物に覆われており、直接アルミニウム母相に分散しても表面酸化物の影響で高い微細化能を示さない。

産業上の利用分野


本発明は、鋳造アルミニウムおよび鋳造アルミニウム合金の結晶粒微細化に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ガスアトマイズ法を用いた多結晶金属間化合物粒子の製造方法。

【請求項2】
前記多結晶金属間化合物がAlTiである請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
請求項1または2に記載の多結晶金属間化合物粒子を含むアルミニウムあるいはアルミニウム合金用結晶粒微細化剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014094548thum.jpg
出願権利状態 公開
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