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SiC基板、炭素供給フィード基板及び炭素ナノ材料付きSiC基板

国内特許コード P140010523
整理番号 KG0074-JP02
掲載日 2014年5月8日
出願番号 特願2013-097609
公開番号 特開2013-155111
登録番号 特許第5688780号
出願日 平成25年5月7日(2013.5.7)
公開日 平成25年8月15日(2013.8.15)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
発明者
  • 金子 忠昭
出願人
  • 学校法人関西学院
発明の名称 SiC基板、炭素供給フィード基板及び炭素ナノ材料付きSiC基板
発明の概要 【課題】分子レベルで平坦化された単結晶SiC基板を提供する。
【解決手段】製造方法は、溝形成工程と、マスク工程と、液相エピタキシャル成長工程と、を含む。溝形成工程では、SiC多結晶基板の表面を半導体デバイス1チップサイズの複数の領域に分割するように当該SiC多結晶基板に溝加工を施す。マスク工程では、溝形成工程によって形成された複数の領域のそれぞれについてマスク部材によってマスクを施し、マスクの領域の中央部にあたる部分に微小な開口部を形成する。液相エピタキシャル成長工程では、シード基板となる溝加工を施したSiC多結晶基板の開口部に準安定溶媒エピタキシー法でヘテロ結晶多形の4H-SiC単結晶を垂直方向及び水平方向にエピタキシャル成長させる。
【選択図】図24
従来技術、競合技術の概要



高周波デバイスの半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等が従来から知られるところである。高周波デバイスの利用分野は近年急速に拡大しており、それに伴って、高温環境等の苛酷な領域で使用される機会も増加している。従って、高温環境に耐えられる高周波デバイスの実現は、幅広い用途環境における動作の信頼性と大量の情報処理・制御性の向上にとって重要な課題の1つである。





そこで、耐熱性に優れる半導体の材料の1つとして、炭化ケイ素(SiC)が注目されている。SiCは、機械的強度に優れるとともに、放射線にも強い。また、SiCは、不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御も容易にできるとともに、広い禁制帯幅(6H型の単結晶SiCで約3.0eV、4H型の単結晶SiCで3.3eV)を有するという特徴を備えている。このような理由から、SiCは、上述した既存の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現できる次世代のパワーデバイスの材料として期待されている。





また、耐熱性に優れるSiCと超高周波デバイスの実現が期待される物質であるグラフェンを組み合わせることが、各々の材料物性の優位性及び作製手法の簡便さから重要であると考えられる。グラフェンは、C原子が1個分の厚みで蜂の巣状に連なった二次元六方晶格子であり、グラファイトやカーボンナノチューブ、フラーレンをはじめとするすべての黒鉛構造の基本構造となるものである。この六方晶格子は、極めて欠陥の少ない高品質な結晶構造であり、物理的・化学的安定性と常温で他の物質を凌駕する高い電子移動度をもつ。





SiC表面へのグラフェン形成は、SiC単結晶を真空中で高温アニール(熱分解)することにより得られる。この手法は、高温真空加熱によりSiC基板からのSi原子の熱脱離を促し、基板表面に生じた余剰C原子によってグラフェンを簡便に形成するものである。前記熱分解法によって、数百μm程度のグラフェンシートを形成する方法を開示するものに例えば特許文献1がある。





また、グラフェンのデバイス化を考慮した場合、大面積の単一グラフェンシートをSiC基板表面に形成することが望まれる。このような大面積の単一グラフェンシートは、テラス幅の広い平坦表面が得られる傾斜角度(以下、オフ角)が4度以下のSiC基板に形成することが原理的に有利であると考えられる(非特許文献1参照)。更に、オフ角が4度以下のSiC基板表面の大部分が均一な平坦性を有していることが好ましい。しかしながら、SiC基板表面の平坦化技術は、SiC基板上のエピタキシャル膜形成技術に付随した技術であり、その要因により、(0001)面からの4度~8度傾斜した基板(以下、オフ基板)表面の平坦化を対象に、その技術は進歩してきた面がある。





現在報告されているSiC表面平坦化技術としては、主に、化学機械研磨技術であるメカノケミカルポリシング(CMP)法と、気相平坦化技術である高温水素エッチング法が挙げられる。CMP法とは、研磨剤自体が有する表面化学作用と回転運動による機械的研磨作用を表面研磨に用いることで、高速かつ平滑な研磨面を得る技術である。一方、高温水素エッチング法は、1500℃程度の高温環境下でのH2ガスやHCl/H2混合ガスを用い、SiC基板表面に存在する研磨によるダメージを主にエッチングによって除去する方法である。この種の高温水素エッチング法を用いたSiC基板の平坦化処理を開示するものに、非特許文献2及び非特許文献3がある。





また、SiC基板の更なる表面の平坦化を達成するためには、平坦化処理を行う前のSiC基板自体の結晶品質の向上も合わせて必要になる。これは、均一な大面積のグラフェンを得るために行われる表面平坦化処理が、エッチングを基本原理としているためである。即ち、平坦化処理によってエピタキシャル成長層を含むバルク結晶内部が表面に露出され、転位欠陥に由来するエッチピットが現れる等、表面形状の不均一性を招くため、平坦化処理を行う前のSiC結晶自体の品質向上が必要となる。





SiC単結晶の製造方法において、一般にバルク結晶の製造は昇華再結晶法が用いられる。昇華再結晶法は、例えば特許文献2に開示されている。この特許文献2の方法では、まず、単結晶SiC基板と、Si原子及びC原子により構成された板材と、を微少隙間を隔てて互いに平行に対峙させた状態とする。そして、大気圧以下の不活性ガス雰囲気、かつ、SiC飽和蒸気雰囲気下で、上記単結晶SiC基板側が上記板材よりも低温に保たれるように熱処理する。これにより、上記微小隙間内でSi原子及びC原子を昇華再結晶させて上記単結晶SiC基板上に単結晶を析出させるとともに、この析出単結晶を種結晶として上記板材を単結晶に変態させて、上記単結晶SiC基板の結晶軸と同方位に配向された単結晶を一体に成長させる。





しかしながら、特許文献2のような昇華再結晶法では、種結晶としての単結晶SiC基板が有する結晶欠陥(例えば、マイクロパイプ欠陥、螺旋転位、基底面転位、及びc軸方位欠陥等)が、析出する単結晶のエピタキシャル構造に伝播し易く、これが、製造されるSiC単結晶を前述のパワーデバイス等として用いる際の大きな障害となっている。





マイクロパイプ欠陥の減少という課題は特許文献3も指摘するところであり、これを解決する方法として以下のようなSiCエピタキシャル層の形成方法を提案している。即ち、特許文献3のSiCエピタキシャル層の形成方法は、種結晶添加昇華技術を用いてSiCのバルク結晶を成長させる工程と、バルク結晶表面に液相エピタキシャル成長させる工程とを含む。前記液相エピタキシャル成長させる工程では、溶融成長を行うことで、前記種結晶からバルク結晶基板に伝播したマイクロパイプ欠陥を塞ぐことができ、マイクロパイプ欠陥の少ないSiCのエピタキシャル層を形成させることが可能となる。





また、シリコン融液中への他元素の添加を行わず、速い結晶成長速度が得られる単結晶SiCの液相エピタキシャル成長方法として、炭素供給フィード基板とシード基板を挟む溶媒の厚みを極めて小さくし、炭素の拡散を速めることにより、これを実現可能とする準安定溶媒エピタキシー(MSE)法がある。この種のMSE法を用いたものを開示するものとして例えば特許文献4がある。





これは、単結晶SiCからなるシード基板に対向して、このシード基板より自由エネルギーの高い炭素供給フィード基板を配置し、前記シード基板と前記炭素供給フィード基板との間にケイ素の極薄融液層を溶媒として介在させて真空高温環境で加熱処理することにより、前記シード基板の表面に単結晶SiCを液相エピタキシャル成長させる方法である。また、このMSE法では、温度勾配がなく濃度勾配だけで成長の動力学が制御されるので、エピタキシャル成長を自動的に安定化させることができ、高品質なエピタキシャル成長層を得ることができる。加えて、様々な化学ポテンシャルの差に基づく自由エネルギーを結晶成長の駆動力として用いることができるので、SiCを大面積エピタキシャル成長させることが容易である。





更には、SiC単結晶内の結晶欠陥を減少させる根本的な解決方法として、結晶欠陥の数が少ないSiC単結晶種基板の作製を行う必要がある。





4H-SiC種結晶の製造方法として、種多結晶基板表面に4H-SiC単結晶の小片を形成する製造方法が知られている。その製造方法は、SiC多結晶基板表面の炭化処理工程と液相エピタキシャル成長工程とを含む。前記炭化処理工程では、SiC多結晶基板を真空環境下で高温加熱することで、前記SiC多結晶基板表面に炭化層を形成する。その後、前記炭化層付きSiC多結晶基板に対向してSiC多結晶基板を近接設置して両者の基板の隙間に金属シリコン融液を介在させて液相エピタキシャル成長させることにより、前記炭化層付きSiC多結晶基板の表面にSiC種結晶を自己成長させる。

産業上の利用分野



本発明は、溝加工を施した多結晶SiC基板上に単結晶SiCをエピタキシャル成長させる技術に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
iC多結晶基板の表面を半導体デバイス1チップサイズの複数の領域に分割するように当該SiC多結晶基板に溝加工を施す溝形成工程と、
前記溝形成工程によって形成された複数の領域のそれぞれについてマスク部材によってマスクを施し、前記マスクの前記領域の中央部にあたる部分に微小な開口部を形成するマスク工程と、
シード基板となる溝加工を施した前記SiC多結晶基板の前記開口部に準安定溶媒エピタキシー法でヘテロ結晶多形の4H-SiC単結晶を垂直方向及び水平方向にエピタキシャル成長させる液相エピタキシャル成長工程と、
を含む製造方法によって製造されることで、
半導体デバイス1チップサイズの複数の領域に分割するように、表面に溝加工が施された前記SiC多結晶基板と、
少なくとも前記溝加工によって分割された領域に形成された前記マスクと、
前記マスクに前記領域ごとに形成されることで半導体デバイス1チップサイズごとに分割されており、上部に無欠陥領域が存在する4H-SiC単結晶エピタキシャル層と、
を含むことを特徴とするSiC基板。

【請求項2】
請求項1に記載のSiC基板であって、
前記マスク部材は、熱分解グラファイト又は窒化アルミニウムであることを特徴とするSiC基板。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のSiC基板であって、
前記液相エピタキシャル成長工程において、炭素原子を供給するための炭素供給フィード基板の不純物濃度を制御することを特徴とするSiC基板。

【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記ヘテロ結晶多形の単結晶SiCの液相エピタキシャル成長工程において、
準安定溶媒エピタキシー法の加熱初期段階には加熱温度を一定温度に保持し、微小SiC単結晶のエピタキシャル成長環境の過飽和度の変動を制限することで、微小SiC単結晶の核形成頻度を抑制し、ヘテロ結晶多形の単一の4H-SiC単結晶のみがエピタキシャル成長するように制御し、
単一の4H-SiC単結晶がエピタキシャル成長した後では、冷却過程と昇温過程からなる温度変動過程を複数回繰り返すことで、単一の微小4H-SiC単結晶の水平方向への成長を促すことを特徴とするSiC基板。

【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記ヘテロ結晶多形の単結晶SiCの液相エピタキシャル成長工程では、1600℃以上2200℃以下の温度で加熱することで、前記SiC多結晶基板を構成する微小SiC単結晶粒の表面に準安定溶媒エピタキシー法で4H-SiC単結晶をエピタキシャル成長させることを特徴とするSiC基板。

【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記シード基板は、溝を形成した炭素基材に多結晶SiC膜をコーティングして構成されることを特徴とするSiC基板。

【請求項7】
請求項1から5までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記シード基板は、溝を形成した金属体に多結晶SiC膜をコーティングして構成されることを特徴とするSiC基板。

【請求項8】
請求項1から6までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記SiC基板に対向配置される炭素供給フィード基板の一側の面には凹部が形成されており、
前記炭素供給フィード基板の背面に配置される非炭素供給補助基板には、前記凹部に対応する凸部が形成されており、
前記液相エピタキシャル成長工程において、前記凸部と前記凹部が嵌合した状態で、シード基板としてのSiC基板と前記炭素供給フィード基板との間の隙間にシリコン融液を介在させてエピタキシャル成長を可能とし、炭素供給フィード基板が消失して枯渇した状態では、エピタキシャル成長が停止するので、エピタキシャル成長層の厚みが制御され、余剰シリコン融液の除去工程と単結晶SiCエピタキシャル層の表面平坦化工程が自動的に開始されることを特徴とするSiC基板。

【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
当該SiC基板の製造方法は、
SiC基板と炭素供給フィード基板とを対向配置し、その間にシリコン基板を介在させて積層体を構成する積層工程と、
前記積層体を、炭素ゲッター効果を有する嵌合容器に収容する収容工程と、
を含み、
前記液相エピタキシャル成長工程において、前記嵌合容器内のシリコンの蒸気圧量を大きく保つことで、前記積層体のシリコン融液層の保持時間を長くして液相エピタキシャル成長工程稼動時間を長くすることを特徴とするSiC基板。

【請求項10】
請求項9に記載のSiC基板であって、
前記液相エピタキシャル成長工程において、前記嵌合容器の密閉度を高めることで、又は、前記嵌合容器の内容積をSiC基板と炭素供給フィード基板の積層体の体積に極力近づけることで、前記嵌合容器内のシリコンの蒸気圧量を大きく保つことが可能になることを特徴とするSiC基板。

【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載のSiC基板であって、
前記液相エピタキシャル成長工程において、前記SiC基板を、炉内圧力が10-2Pa以下の減圧下であり、酸素分圧が10-5Pa以下の状態であって、前記SiC基板を収容する嵌合容器の内部雰囲気はシリコン蒸気圧下であり、その内部圧力は1Pa以下の状態で加熱処理することを特徴とするSiC基板。

【請求項12】
請求項1から11までの何れか一項に記載の前記液相エピタキシャル成長工程で、炭素を供給するために用いられる炭素供給フィード基板であって、
3C-SiC多結晶基板、3C-SiC単結晶基板、又は表面にグラフェンシートやカーボンナノチューブ等の炭素ナノ材料が形成されている基板の少なくとも何れかの材料によって構成されることを特徴とする炭素供給フィード基板。

【請求項13】
請求項1から11までの何れか一項に記載のSiC基板の各領域に成長させた4H-SiC単結晶エピタキシャル成長層表面を、高温真空環境で1500℃以上2200℃以下で加熱することで、
SiC単結晶エピタキシャル成長層表面のケイ素を昇華させ、残留した炭素によって当該SiC基板の表面に分子層レベルの薄膜グラフェンシート又はカーボンナノチューブを生成させる炭化処理工程を含む製造方法によって製造されることを特徴とする炭素ナノ材料付きSiC基板。

【請求項14】
請求項13に記載の炭素ナノ材料付きSiC基板であって、
前記炭化処理工程において、基板を、炉内圧力が10-3Pa以下の減圧下であって、酸素分圧が10-5Pa以下の状態で加熱処理することを特徴とする炭素ナノ材料付きSiC基板。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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