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HSF1とRPA1との相互作用阻害ペプチド

国内特許コード P140010581
整理番号 H24-010
掲載日 2014年5月29日
出願番号 特願2012-152395
公開番号 特開2014-014288
登録番号 特許第6019530号
出願日 平成24年7月6日(2012.7.6)
公開日 平成26年1月30日(2014.1.30)
登録日 平成28年10月14日(2016.10.14)
発明者
  • 中井 彰
  • 藤本 充章
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 HSF1とRPA1との相互作用阻害ペプチド
発明の概要 【課題】HSF1が、がん治療のターゲットとして大きな注目を集めているが、現在なおHSF1の活性を抑える物質は見出されていない。本発明の課題は、HSF1とRPA1との相互作用阻害活性を有する物質や、かかる物質を含んでなるHSF1とRPA1との相互作用阻害剤や、かかる物質を含んでなる抗腫瘍剤や、かかる物質を非ヒト動物に投与することを特徴とする腫瘍の予防・治療法や、抗腫瘍剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【解決手段】HSF1のwing領域がRPA1のssDNA結合ドメインと相互作用することを見出した。さらに、HSF1におけるwing領域のアミノ酸置換や、RPA1のssDNA結合ドメインのアミノ酸置換により、HSF1とRPA1との複合体の形成、つまりHSF1とRPA1との相互作用を阻害すると、腫瘍細胞の一つであるメラノーマ細胞の増殖が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】図6
従来技術、競合技術の概要



細胞は、細胞内のタンパク質の質と量を一定に保つ機構、つまりタンパク質ホメオスタシスの維持機構を有しており、維持機構は、主に、タンパク質が正しくフォールディングするのを介助する過程と、ミスフォールディングを行ったタンパク質を分解する過程からなる。この細胞内タンパク質のミスフォールディングに対する緩衝作用の容量は、タンパク質ホメオスタシス容量とよばれ、老化、神経疾患等のタンパク質ミスフォールディング病、さらにがんの発症と密接に関連していることが分ってきた。タンパク質ホメオスタシス容量の重要な調節機構の1つが熱ショック応答である。この応答は、タンパク質毒性を持つストレスに対して、タンパク質フォールディングや分解を担う熱ショックタンパク質であるHSP(heat shock protein)、及び、非HSPタンパク質の誘導を特徴とし、熱ショック因子であるHSF(heat shock factor)により転写のレベルで調節される。

HSFは哺乳動物細胞において3種類(HSF1、HSF2、HSF4)が明らかにされているが、このうち、HSF1が、はじめてがん治療のターゲットとして示唆されたのは前立腺がんにおけるその発現上昇の発見にさかのぼる(非特許文献1)。この発見は特定のがんにおけるHSF1発現量とがんとの相関関係を示したものであり、特別な例と考えられていた。しかし、2007年のDaiらの発見により、HSF1はがん治療のターゲットとして大きな注目を集めることとなった(非特許文献2)。彼らは、様々ながん細胞株の増殖がHSF1ノックダウンにより顕著に抑制されることを示し、がん細胞の増殖がHSF1に依存することを示した。ここで重要なことは、正常な細胞増殖はHSF1のノックダウンの影響は受けず、これはがん細胞に特異的な作用であったことである。発明者らも、新しくメラノーマ細胞株の増殖がHSF1に依存することを明らかにした(非特許文献3)。つまり、HSF1をターゲットとしてがん細胞の増殖を抑制する化合物を見いだすことができれば、がんの治療に大きく貢献できると考えられた。その後、大規模な臨床解析が行われ、乳がんや肝細胞がんの患者組織でもHSF1の活性化ががん細胞の悪性度と関連することが明らかとなってきた(非特許文献4、5)。





しかしながら、今日までHSF1の活性を特異的に抑制する物質は見つかっていない。一般に、このような物質のスクリーニング方法として、熱ストレスを暴露した後の熱ショック遺伝子プロモーターを持つレポーターによるレポーターアッセイ法で調べるが、転写機構全般に作用する、あるいは他の経路に作用して細胞毒性がある場合などがあり、従来のスクリーニング系でHSF1を特異的にターゲットとする物質の同定が困難となっているのが現状である。近年、発明者らは、HSF1とRPA1(replication protein A 1)の複合体はヌクレオソーム構造をとるDNAにアクセスすることを明らかにしたが(非特許文献6)、この複合体とがん細胞の増殖との関係は全く明らかにされていなかった。

産業上の利用分野



本発明は、HSF1(heat shock factor 1)とRPA1(replication protein A 1)と

の相互作用阻害活性を有するペプチドおよびこのペプチドをコードするDNAや、かかるDNAを含んだ組換えベクターや、かかるペプチドを含んでなるHSF1とRPA1との相互作用阻害剤や、かかるペプチドを含んでなる抗腫瘍剤や、かかるペプチドに特異的に結合する抗体や、かかるペプチドを非ヒト動物に投与することを特徴とする腫瘍の予防・治療法や、抗腫瘍剤のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(A)~(F)のいずれかのペプチド又はその塩を含んでなる抗腫瘍剤
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、配列番号1の4番目のグリシン残基を除く、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつHSF1(heat shock factor 1)とRPA1(replication protein A 1)との相互作用阻害活性を有するペプチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつHSF1とRPA1との相互作用阻害活性を有するペプチド;
(D)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(E)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつHSF1とRPA1との相互作用阻害活性を有するペプチド;
(F)配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつHSF1とRPA1との相互作用阻害活性を有するペプチド;

【請求項2】
ペプチドが、HSF1のwing領域とRPA1のssDNA結合ドメインとの相互作用阻害活性を有することを特徴とする請求項1記載の抗腫瘍剤

【請求項3】
請求項1又は2記載の抗腫瘍剤を非ヒト動物に投与することを特徴とする腫瘍の予防・治療法。

【請求項4】
次の工程(A)、(B)を順次備えたことを特徴とする、抗腫瘍剤のスクリーニング方法。
(A)HSF1とRPA1とを、被検物質の存在下に接触させ、HSF1とRPA1との相互作用阻害活性を検出する工程;
(B)対照と比較して前記相互作用阻害活性が高い被検物質を選択する工程;

【請求項5】
HSF1とRPA1との接触が、HSF1のwing領域とRPA1のssDNA結合ドメインとの接触であることを特徴とする、請求項記載のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012152395thum.jpg
出願権利状態 登録
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