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消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地、及びそれを用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法 UPDATE

国内特許コード P140010583
整理番号 H23-063,S2012-0505-N0
掲載日 2014年5月29日
出願番号 特願2012-181102
公開番号 特開2013-208104
登録番号 特許第6090735号
出願日 平成24年8月17日(2012.8.17)
公開日 平成25年10月10日(2013.10.10)
登録日 平成29年2月17日(2017.2.17)
優先権データ
  • 特願2012-047433 (2012.3.2) JP
発明者
  • 吉村 清
  • 恒富 亮一
  • 渡邊 裕策
  • 岡 正朗
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地、及びそれを用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法 UPDATE
発明の概要 【課題】消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、消化器系がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法を提供すること。
【解決手段】神経生存因子-1に加えて、トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、上皮成長因子(EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic FGF)、及び白血病抑制因子(LIF)を添加してなる無血清培地に、消化器系がん細胞試料から単離した細胞を浮遊培養し、消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させ、該細胞塊を単離し、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養し、漸次無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続することにより、消化器系がん幹細胞を三月以上にわたり増殖させる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



哺乳類などの多細胞生物において、組織を構成する細胞は、大きく分化細胞と幹細胞とに分けられる。分化細胞は、組織特有の機能を発揮する成熟した細胞である。他方、幹細胞は、活発な増殖能、分化能及び自己複製能を有する細胞である。分化細胞は、細胞老化や細胞損傷により細胞死するため、組織特有の機能を維持するための供給源が必要となるが、かかる供給源としての役割を担う細胞が幹細胞である。幹細胞による組織構築のシステム(幹細胞システム)において、分化細胞の多くは、それぞれの組織中に存在する体性幹細胞を起源とすることが多く、例えば血液系の細胞は造血幹細胞から、肝細胞は肝幹細胞から、また、神経系の細胞は神経幹細胞から分化することが知られている。





幹細胞システムは、がん組織においても同様に存在している可能性が示唆されている。がん組織における一部のがん細胞には、胚性幹細胞や体性幹細胞などの幹細胞に特徴的な性質である、自身と同じ細胞を作り出す自己複製能と多種類の細胞に分化できる多分化能とを有するがん細胞(がん幹細胞[cancer stem cells;CSCs])が存在し、かかるがん幹細胞が、自己複製能により自身と同じ細胞を維持しながら、多分化能によりがん組織における多数の分化したがん細胞を生み出していると考えられている。





がん幹細胞の存在は、すでに1970年代に示唆されていたが、それを実験的に証明することが技術的に困難であった。しかし、フローサイトメトリーの発展によって特定の細胞集団のみを分離することが可能になったことや、正常組織の体性幹細胞の解析が進んだことや、がん細胞の移植により腫瘍形成を評価できる免疫不全マウスなどの実験モデル動物が開発されたことなどによって、血液のがんである白血病で、がん幹細胞の存在が確認された(非特許文献1)。その後、白血病におけるがん幹細胞仮説を基に、CD133等の幹細胞マーカーを発現しているがん幹細胞が乳がん、脳腫瘍、大腸癌等のがん組織において存在することが知られている。





がん幹細胞は、がん発生のメカニズムを解明する上で重要なツールであるとともに、がん細胞が他の臓器に転移するためには、がん細胞が原発巣から遊離するだけではなく、到達した部位で新しくがんを形成する能力が必要となることから、転移のメカニズムや治療方法を確立する上でも重要なツールであると考えられている(非特許文献2)。





また、一般的な抗がん剤による治療において、固形腫瘍の縮小が治療の指針とされていることから、かかる治療に用いられる抗がん剤の標的は、がん幹細胞ではなく、腫瘍の大部分を占める分化したがん細胞である可能性が考えられる。実際に、がん幹細胞の中には、薬剤耐性を獲得しているものがあることが報告されている(非特許文献3)。したがって、治療によって大部分のがん細胞を除いても、ごく少数のがん幹細胞が生き残っていれば再発が起こりうることになり、これが、がんにおいてしばしば再発が起きる理由の一つとして考えられている。したがって、がん幹細胞を標的として除去することができれば、がんの転移や再発の防止にも有用な治療法の開発につながることが期待されている。





このためには、がん幹細胞を単離して培養する技術の確立が必要不可欠であるが、がん幹細胞を単離する方法としては、フローサイトメトリーによるソーティング法や、非接着条件下で浮遊培養することにより浮遊細胞塊を形成させる方法(特許文献1)等が知られているものの、がん幹細胞を培養する方法、特に長期間安定して増殖培養する方法については、ほとんど確立されていないのが現状であった。

産業上の利用分野



本発明は、消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地や、かかる無血清培地を用いた消化器系がん幹細胞の増殖方法や、消化器系がん幹細胞の集団に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地に、神経生存因子-1(NSF-1)、トランスフェリン、インスリン、プトレシン、プロゲステロン、上皮成長因子(EGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(Basic FGF)、及び白血病抑制因子(LIF)を添加してなることを特徴とする消化器系がん幹細胞を培養するための無血清培地。

【請求項2】
亜セレン酸又はその塩、ヘパリン、及びN-アセチルシステインをさらに添加してなることを特徴とする、請求項1記載の無血清培地。

【請求項3】
血清を含有しない動物細胞培養用基礎培地が、グルコース添加DMEM/F12であることを特徴とする、請求項1又は2記載の無血清培地。

【請求項4】
以下の工程(a)及び(b)を備えたことを特徴とする消化器系がん幹細胞の増殖方法。
(a)消化器系がん細胞を、請求項1~のいずれか記載の無血清培地中で浮遊培養し、消化器系がん幹細胞の細胞塊(Sphere)を形成させる工程;
(b)前記細胞塊を単離し、単離した細胞塊を、細胞接着分子をコーティングした培養器を用いて前記無血清培地中で接着培養することにより、消化器系がん幹細胞を増殖させる工程;

【請求項5】
細胞接着分子が、ラミニンであることを特徴とする請求項記載の増殖方法。

【請求項6】
工程(b)の後に、無血清培地の一部を、新しい無血清培地で置換して培養を継続する工程()を備えたことを特徴とする請求項又は記載の増殖方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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