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分離型スノートを有する粒子線治療装置

国内特許コード P140010611
掲載日 2014年6月6日
出願番号 特願2001-112196
公開番号 特開2002-306617
登録番号 特許第4402851号
出願日 平成13年4月11日(2001.4.11)
公開日 平成14年10月22日(2002.10.22)
登録日 平成21年11月6日(2009.11.6)
発明者
  • 福本 貞義
  • 山本 和高
  • 福田 茂一
  • 久米 恭
  • 鍵谷 豪
  • 近藤 道也
出願人
  • 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター
発明の名称 分離型スノートを有する粒子線治療装置
発明の概要 【課題】粒子線治療において、精度の高いX線CT装置による位置合わせを可能とし、粒子線治療装置の稼動効率を大幅に改善し、併せて作業性と安全性を向上する。
【解決手段】荷電粒子線によるがんの治療装置において、照射野形成装置を構成する患者コリメータ6・ボーラス5部分(スノート4)を、該照射野形成装置の他の構成要素及びビーム輸送系から分離して独立に移動可能にする手段と、前記患者コリメータ6・ボーラス5部分(スノート4)の開口部と同一形状の、または開口部に光源と患者間の距離(SSD)の補正を加えた形状のテンプレート7と、X線撮影装置により、照射位置以外において、がんに対して前記テンプレート7の位置合わせを行う手段と、患者と前記テンプレートの相対位置を一定に保ちながら、患者を照射位置に移動させる手段と、前記テンプレート7と前記患者コリメータ6・ボーラス5部分を合致させる手段と、を具備する事を特徴とする粒子線治療装置。
従来技術、競合技術の概要



【従来の技術】

陽子や炭素イオン等の荷電粒子線によるがんの放射線治療は、一般に用いられているガンマ線、X線又は電子線による放射線治療を大幅に改善するものである。それはガンマ線、X線又は電子線が人体を含む媒体内を進行する際に指数関数的に減衰するので、体表面近くの正常組織が受ける線量の許容限度のため、深部のがんには治療に必要な線量が付与できないのに対して、陽子や炭素イオン等の荷電粒子線は媒体内でエネルギーによって決まる飛程を持ち、入射からほぼ一様に線量を付与しながら、飛程終端の直前でブラッグピークと呼ばれる線量付与の極大が生じるので、これをがんに一致させることにより、治療効果を向上させることが可能となる。





このことは、しかしながら、ブラッグピークを正確にがんに一致させなければ、がん治療が行われないだけではなく正常組織が損傷され、かえって有害となることを意味する。従って正確な照射のため、従来の放射線治療では使われていない照射野形成装置が必要となる。





治療に必要な荷電粒子線は、粒子加速器により供給される。一般に加速器から供給される粒子線は細いビーム状で、その断面はがんより遥かに小さい。そこでがんを全面的に照射するために、粒子ビームは照射野形成装置により3次元的に広げられる。ビームを粒子の進行方向に垂直な2次元方向に広げる方法としては、ビームを磁場で偏向させるスキャニング法と、ビームを原子番号の大きい金属薄板に入射させ、クーロン多重散乱で広げる散乱体法がある。前者は技術的な問題とこれに関連する安全性から、すでに20年以上前から試みられているにも拘わらず、実用化にはなお多くの技術開発が必要とされる状況で、これまでの殆ど全ての治療は基本的には後者の散乱体法を用いて実施されている。





散乱体によって広げられたビームは軸対称で、その強度は中心軸から離れるに従って減衰し、その強度分布はガウス分布曲線で近似出来る。これをがんの断面形状に合わせて切り取るために、先ずビームを長方形や円形の単純な形状のブロックコリメータと呼ばれる金属のスリットを透過させることにより、周辺に大きく広がった強度の低い成分を止める。次に患者の近くで、X線CTにより計測されたがんの断面形状に基づいて加工された開口部を持つ患者コリメータ(以下コリメータ)により、ビームの断面形状をがんの断面形状に一致させて、がんに照射する。コリメータはがんの形状と合致した開口部以外に入射したビームを阻止するために、そのエネルギーに対応した厚さが必要で、例えば200MeV陽子ビームではコリメータ素材に黄銅を用いた場合、その厚さは7cmとなる。





一般に単一エネルギーの荷電粒子ビームのブラッグピークの幅は、がんの深部方向の大きさよりは狭い。そこでがんの深部方向の大きさに対応するようにブラッグピークの幅を広げるために、リッジフィルタやレンジモジュレータにより、入射エネルギーに広がりをもたせる。そしてがんの形状に従って、それぞれの方向に異なるエネルギー分布を持つビームを入射しなければならない。このためにがんの形状に基づいてボーラスと呼ばれるエネルギー吸収体を、陽子を散乱させる機能の少ないプラスティック等で作り、コリメータと併せて使用する。このコリメータ・ボーラス部分はスノートと呼ばれる。





光学との類似で言えば、ビームの光源に相当する部分は、点ではなくある広がりをもつ面である。従って、コリメータにより切り取られたビームの周辺には半影(penumbra)とよばれる部分が生じる。スノートを患者の近くに置くのは、コリメーターの半影を低減させて、がんを正確に照射するとともに、半影による正常組織の被曝を減少させるためてある。





散乱体は加速器からのビームを照射装置に輸送するビームトランスポートの終端に設置され、線量計等の治療に必要な装置は散乱体の近くに配置される。従来のスノートはビームトランスポート、散乱体、線量計等と同様にビーム紬上に固定されていて、患者の方向には若干可動である以外の移動の自由度は無い。このため患者位置決めの作業、すなわちレーザーポインタと皮膚に手書きしたマークやベッドの標識によりベットを移動させて概略の位置を決め、単純X線装置をビーム軸上に移動させて、X線撮影によりコリメータとがんが合致するようにベッドを微動させ、その後単純X線装置を撤去してコリメータ・ボーラスを装着する作業が、粒子線照射よりも遥かに長時間を要する。典型的な例ではビームの実照射時間は2分程度であるに拘わらず、1回の照射を30分以内に実施することは容易ではなく、粒子線照射装置の利用効率を著しく低下させている。





加えて、照射角度によっては、簡単にはコリメータを装着出来ない。それは照射位置に空間的余裕が無いため、コリメータの重量が十数kgになるに拘わらず、手作業で装着しなければならないからである。そしてがんによっては単純X線では位置・形状の同定が出来ず、X線CTにより初めて位置・形状が認識可能となる。しかしながら横型の一般的なX線CT装置を粒子線治療の照射位置に配置する事は機器の大きさから不可能である。

特許請求の範囲 【請求項1】
荷電粒子線によるがんの治療装置において、
照射野形成装置を構成する患者コリメータ・ボーラス部分(スノート)を、該照射野形成装置の他の構成要素及びビーム輸送系から分離して独立に移動可能にする手段と、
前記患者コリメータ・ボーラス部分(スノート)の開口部と同一形状の、または開口部に光源と患者間の距離(SSD)の補正を加えた形状のテンプレートと、
X線撮影装置により、照射位置以外において、前記テンプレートの位置合わせを行う手段と、
患者と前記テンプレートの相対位置を一定に保ちながら、患者を照射位置に移動させる手段と、
前記テンプレートと前記患者コリメータ・ボーラス部分を合致させる手段と、を具備する事を特徴とする粒子線治療装置。
【請求項2】
前記荷電粒子線が陽子ビーム、ヘリウムイオンビーム、または炭素イオンビームであることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
【請求項3】
前記X線撮影装置がX線CT装置、単純X線装置、またはX線シミュレータであることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子線治療装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2001112196thum.jpg
出願権利状態 登録


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