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ビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置

国内特許コード P140010618
掲載日 2014年6月6日
出願番号 特願2009-047165
公開番号 特開2010-203805
登録番号 特許第5489032号
出願日 平成21年2月27日(2009.2.27)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
登録日 平成26年3月7日(2014.3.7)
発明者
  • 安田 啓介
出願人
  • 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター
発明の名称 ビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置
発明の概要 【課題】 大気雰囲気下における試料分析において試料の含有元素に左右されず精確な定量分析を行うことができ、かつ、対象試料が複数ある場合でも迅速な分析作業が可能で、しかも、構造も簡単で製造面でも有利なビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置を提供すること。
【解決手段】 イオンビームBを出射可能なビーム出射装置1と前記イオンビームBを大気雰囲気側に取出し可能なビーム取出窓3とを、イオンビームBが薄膜31の枠近傍位置を通過するように配設すると共に、前記X線強度測定器7の検知部71を、前記薄膜31のビーム通過点近傍の枠部32外側に配置することによって、イオンビームBの照射により試料Sから放出されるX線を前記枠部32で遮断しつつ薄膜31からのX線だけを検出して、そのX線強度からビーム量を測定可能とした。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要



一般的に、大気雰囲気下で実施されるマイクロビームによるイオンビーム分析法としては、粒子励起X線放出(PIXE)法や核反応分析(NRA)法が知られているが、これらのイオンビーム分析において元素濃度の定量的な測定を精度良く行うためには、入射ビームのビーム量を正確に知る必要がある。





そこで、従来においては、試料台に電流計を接続してビーム電流を測定する方法が広く用いられているが、大気雰囲気下で試料の分析を行う場合には、ビーム電流が大気中原子とビームとの相互作用によって発生する二次電子の影響を受けるため、精度の良い測定が困難である(例えば、特許文献1参照)。





一方、イオンビーム分析においてビーム量を測定する方法としては、イオンビームが導入される真空雰囲気側と試料が配置された大気雰囲気側とを隔てているビーム取出窓を利用して、このビーム取出窓の薄膜をイオンビームが通過した際に発生する特性X線を検出し、そのX線強度からビーム量を求める方法も知られている。





しかしながら、図5に示すように単にX線強度測定器をビーム取出窓の手前に配置するだけでは、ビーム取出窓からのX線と一緒に試料からのX線も同時に入射することになるため、試料にビーム取出窓の薄膜と同じ元素、或いはビーム取出窓の薄膜と特性X線のエネルギーが近い元素が含まれている場合に、薄膜からのX線の強度のみを上手く測定することが困難で精確なビーム量を把握できないという問題が生じる。





具体的な例として、ビーム取出窓に窒化シリコン薄膜を用いて、フロルアパタイトの試料分析を行ったときのX線のエネルギースペクトルを図6に示すと、図中のグラフでは、特性X線のチャンネル(エネルギーの指標)がSi(薄膜組成元素)に比較的近いP(試料組成元素)のカウント数(X線強度の指標)のピークの裾が、Siのチャンネルに被ってしまっているため、純粋なSiのカウント数を求めることが難しい状態となっている。





また、上記Siのカウント数を求めるためには、フィッティングによるデータ処理を伴ったスペクトル解析を行う必要があるが、そのデータ処理の精度がビーム量の見積もりに大きな影響を与えるため、信頼性の点で不安が残る。





他方また、X線強度の測定を行ってビーム量を求める方法としては、ビーム取出窓の薄膜と特性X線のエネルギーが大きく異なるビーム量測定用の試料を使用することも考えられるが、高精度の分析を行うには少なくとも一分に一回ビーム量を測定する必要があり、それを実現するためにはビームの走査範囲内に前記試料を配置して交互にビーム照射を行う必要があるものの、その方法では装置のビーム走査系やデータ収集系が複雑化してしまうため製造面で都合が悪い。





しかも、上記ビーム走査範囲は通常一辺がmm単位の極めて狭い領域であるため、この走査範囲に収まる大きさに試料を砕いて、その微小試料を二つ並べて試料ホルダに取り付ける作業は非常に面倒で時間もかかり、特に複数の試料を分析する際には分析作業が非効率化する大きな要因となる。





また、上記のビーム量測定方法では、分析中におけるビーム量の変化を一部しか測定していないため、もし分析中にビーム量が変化していた場合には精度の高い分析結果を得られないという欠点もある。

産業上の利用分野



本発明は、イオンビーム分析装置の改良、詳しくは、大気雰囲気下における試料分析において高精度な定量分析を行うことができ、かつ、分析作業を効率化することも可能で、しかも、構造も非常に簡単で製造面でも有利なビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
イオンビーム(B)を出射可能なビーム出射装置(1)と;前記出射されたイオンビーム(B)を真空雰囲気下で試料(S)直近まで導入するビーム導入部(2)と;ビーム透過性およびX線透過性を有する薄膜(31)とそれを取り囲むX線遮断性を有する枠部(32)とから成り、前記ビーム導入部(2)の終端部に配設されて前記薄膜(31)を通してイオンビーム(B)を大気雰囲気下に取り出せるビーム取出窓(3)と;大気雰囲気側に設けられて、前記ビーム取出窓(3)から取り出したイオンビーム(B)の照射位置に試料(S)を固定するための試料固定部(4)と;前記ビーム導入部(2)の終端部に設けられたX線測定室(22)内に検知部(51)が配置され、イオンビーム(B)が照射されたときに試料(S)から放出されるX線を検出するX線検出器(5)と;同じく前記ビーム導入部(2)のX線測定室(22)内に検知部(71)が配置され、イオンビーム(B)がビーム取出窓(3)を通過するときに薄膜(31)から放出されるX線を検出してその強度を測定できるX線強度測定器(7)とを含んで構成され、
前記ビーム出射装置(1)とビーム取出窓(3)とを、イオンビーム(B)が薄膜(31)の枠近傍位置を通過するように配設すると共に、前記X線強度測定器(7)の検知部(71)を、前記薄膜(31)のビーム通過点近傍の枠部(32)外側に配置することによって、イオンビーム(B)の照射により試料(S)から放出されるX線を前記枠部(32)で遮断しつつ薄膜(31)からのX線だけを検出して、そのX線強度からビーム量を測定可能としたことを特徴とするビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置。

【請求項2】
イオンビーム(B)を出射可能なビーム出射装置(1)と;前記出射されたイオンビーム(B)を真空雰囲気下で試料(S)直近まで導入するビーム導入部(2)と;ビーム透過性及びX線透過性を有する薄膜(31)とそれを取り囲むX線遮断性を有する枠部(32)とから成り、前記ビーム導入部(2)の終端部に配設されて前記薄膜(31)を通してイオンビーム(B)を大気雰囲気下に取り出せるビーム取出窓(3)と;大気雰囲気側に設けられて、前記ビーム取出窓(3)から取り出したイオンビーム(B)の照射位置に試料(S)を固定するための試料固定部(4)と;同じく大気雰囲気側に検知部(61)が配置され、イオンビーム(B)が照射されたときに試料(S)から放出されるγ線を検出するγ線検出器(6)と;前記ビーム導入部(2)の終端部に設けられたX線測定室(22)内に検知部(71)が配置され、イオンビーム(B)がビーム取出窓(3)を通過するときに薄膜(31)から放出されるX線を検出してその強度を測定できるX線強度測定器(7)とを含んで構成され、
前記ビーム出射装置(1)とビーム取出窓(3)とを、イオンビーム(B)が薄膜(31)の枠近傍位置を通過するように配設すると共に、前記X線強度測定器(7)の検知部(71)を、前記薄膜(31)のビーム通過点近傍の枠部(32)外側に配置することによって、イオンビーム(B)の照射により試料(S)から放出されるX線を前記枠部(32)で遮断しつつ薄膜(31)からのX線だけを検出して、そのX線強度からビーム量を測定可能としたことを特徴とするビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置。

【請求項3】
イオンビーム(B)を出射可能なビーム出射装置(1)と;前記出射されたイオンビーム(B)を真空雰囲気下で試料(S)直近まで導入するビーム導入部(2)と;ビーム透過性およびX線透過性を有する薄膜(31)とそれを取り囲むX線遮断性を有する枠部(32)とから成り、前記ビーム導入部(2)の終端部に配設されて前記薄膜(31)を通してイオンビーム(B)を大気雰囲気下に取り出せるビーム取出窓(3)と;大気雰囲気側に設けられて、前記ビーム取出窓(3)から取り出したイオンビーム(B)の照射位置に試料(S)を固定するための試料固定部(4)と;前記ビーム導入部(2)の終端部に設けられたX線測定室(22)内に検知部(51)が配置され、イオンビーム(B)が照射されたときに試料(S)から放出されるX線を検出するX線検出器(5)と;大気雰囲気側に検知部(61)が配置され、イオンビーム(B)が照射されたときに試料(S)から放出されるγ線を検出するγ線検出器(6)と;前記ビーム導入部(2)のX線測定室(22)内に検知部(71)が配置され、イオンビーム(B)がビーム取出窓(3)を通過するときに薄膜(31)から放出されるX線を検出してその強度を測定できるX線強度測定器(7)とを含んで構成され、
前記ビーム出射装置(1)とビーム取出窓(3)とを、イオンビーム(B)が薄膜(31)の枠近傍位置を通過するように配設すると共に、前記X線強度測定器(7)の検知部(71)を、前記薄膜(31)のビーム通過点近傍の枠部(32)外側に配置することによって、イオンビーム(B)の照射により試料(S)から放出されるX線を前記枠部(32)で遮断しつつ薄膜(31)からのX線だけを検出して、そのX線強度からビーム量を測定可能としたことを特徴とするビーム量測定機能に優れたイオンビーム分析装置。

【請求項4】
X線強度測定器(7)において出力モニタ(72)をオンライン接続することにより分析中のビーム量の変動を即時的に把握できるようにしたことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載のビーム量調整機能に優れたイオンビーム分析装置。

【請求項5】
試料固定部(4)が、スライド機構(41a)を備えた基台(41)と、この基台(41)に取着されて前記スライド機構(41a)により上下左右に移動可能なブラケット(42)と、このブラケット(42)に装着される複数の試料(S)(S)…を取付け可能な試料ホルダ(43)とから構成され、前記ブラケット(42)をスライド機構(41a)により所定位置に移動させることにより、前記試料ホルダ(43)に取り付けた複数の試料(S)(S)…の中、選択される一の試料(S)をイオンビーム(B)の照射位置に配置可能としたことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のビーム量調整機能に優れたイオンビーム分析装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009047165thum.jpg
出願権利状態 登録


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