TOP > 国内特許検索 > 細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法

細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法

国内特許コード P140010811
整理番号 312
掲載日 2014年8月8日
出願番号 特願2003-409209
公開番号 特開2005-172933
登録番号 特許第3920260号
出願日 平成15年12月8日(2003.12.8)
公開日 平成17年6月30日(2005.6.30)
登録日 平成19年2月23日(2007.2.23)
発明者
  • 野田 進
  • 浅野 卓
  • 初田 蘭子
  • 宮井 英次
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • TDK株式会社
発明の名称 細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法
発明の概要 【課題】 2次元フォトニック結晶の方は上下共に空気に接し、2次元フォトニック結晶に接続された細線導波路の下部にはクラッド部材に接する細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】 Siから成るスラブ層211、SiO2から成るクラッド層212を備える基板21(SOI基板)を用い、まず、ドライエッチングによりスラブ層211にエッチング剤導入用空孔22を形成する((b))。次に、エッチング剤導入用空孔22からフッ化水素水溶液を導入してクラッド層212のみを一定の範囲だけエッチングし、エアブリッジ空洞23を形成する((c))。次に、ドライエッチングにより、スラブ層211に周期的配列を有する空孔25と結晶内導波路27を形成すると共に、溝26を形成することにより結晶内導波路27の延長上に細線導波路25を形成する((e))。その際、細線導波路25と結晶内導波路27の接続部をエアブリッジ空洞23の外縁上の位置24に合わせる。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要



近年、周期屈折率分布をもった光学機能材料であるフォトニック結晶が注目されている。フォトニック結晶は、その周期屈折率分布により光や電磁波のエネルギーに対してバンド構造が形成され、光や電磁波の伝播が不可能となるエネルギー領域(フォトニックバンドギャップ)が形成されるという特徴を有する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において用いる「光」には、光以外の電磁波も含むものとする。





フォトニック結晶中に適切な欠陥を導入することにより、エネルギー準位(欠陥準位)がフォトニックバンドギャップ中に形成される。これにより、フォトニックバンドギャップ中のエネルギーに対応する波長(周波数)範囲のうち、欠陥準位のエネルギーに対応する波長の光のみがその欠陥の位置において存在可能になる。この欠陥を線状に設けることにより導波路が形成され、点状に設けることにより光共振器が形成される。この点状欠陥において共振する光の波長(共振波長)はその形状や屈折率に依存する。





この共振器及び導波路を用いて様々な光デバイスを作製することが検討されている。例えば、この共振器を導波路の近傍に配置することにより、導波路内を伝播する様々な波長の光のうち共振器の共振波長に一致する波長の光を導波路から共振器を介して外部へ取り出す分波器として機能すると共に、共振器の共振波長を有する光を外部から共振器を介して導波路に導入する合波器としても機能する分合波器となる。このような分合波器は、例えば光通信の分野において、一本のファイバに複数の波長の光を伝播させてそれぞれの波長の光に別個の信号を乗せる波長分割多重方式通信に用いることができる。





フォトニック結晶には1次元結晶、2次元結晶及び3次元結晶があるが、このうち2次元フォトニック結晶は製造が比較的容易であるという利点を有する。その一例として、特許文献1には、高屈折率の板材(スラブ)に、その材料よりも屈折率の低い物質を周期的に配列した2次元フォトニック結晶であって、その周期的配列を線状に欠陥させた導波路と、周期的配列を乱す点状欠陥を導波路に隣接して設けた2次元フォトニック結晶及び光分合波器が記載されている。なお、上記のように2次元フォトニック結晶内に形成される導波路を、本出願では「結晶内導波路」と呼ぶ。





【特許文献1】

開2001-272555号公報([0019]~[0032]、図1)





2次元フォトニック結晶において、高屈折率であるスラブ内に周期的に配置される低屈折率領域を空気(すなわち、空孔)とするのが、屈折率の差を大きくすることができるという点、及び製造上の容易さの点より、最も一般的である。





特許文献1に記載の2次元フォトニック結晶においては、スラブは上下共に空気に接する。前述のとおり、スラブと空気の間の屈折率の差が大きいことから、こうすることにより、結晶内導波路内を伝播する光はその大半が全反射によりスラブ内に閉じこめられ、高い伝播効率を得ることができる。





このような2次元フォトニック結晶において、外部から導波路へ光を導入し、又は導波路から外部へ光を導出するために、本願発明者らは、この2次元フォトニック結晶に細線導波路を接続した細線導波路付2次元フォトニック結晶について検討している。その一例を図1に示す。2次元フォトニック結晶10はスラブ11に空孔12を周期的に配置することにより形成され、空孔12を1列分欠損させることにより結晶内導波路13が形成される。細線導波路14は結晶内導波路の延長上に接続される。この細線導波路をスラブと同じ材料で形成することにより、2次元フォトニック結晶と細線導波路を一体のものとすることができる。





本願発明者らは、結晶内導波路及び細線導波路を導波する光の周波数と波数の関係(導波モード)を計算した。その結果、図1のように細線導波路の全ての面が空気に接する場合には、細線導波路には2種類の導波モードが存在することが明らかになった。すなわち、1本の導波路内で両モードが同時に導波することとなり、1つの周波数に対して2つの波数の光が存在し得るマルチモードとなる。両モードの光は伝播速度が異なるため、このようなマルチモードの存在は光通信の際に障害となる可能性がある。





一方、図2のように、細線導波路14の1つの側面に細線導波路の屈折率よりも低く空気の屈折率よりも高い屈折率を有する材料からなるクラッド部材15を設けた場合には、図3に示すように、細線導波路の導波モードは、1つの周波数に対して1つの波数の光のみが存在し得るシングルモードとなり、上記問題は生じない。





以上のように、細線導波路付2次元フォトニック結晶では、2次元フォトニック結晶の方はスラブの上下共に空気に接し(従って、クラッド部材には接しない)、一方、細線導波路の方はクラッド部材に接することが望ましい。





スラブの上下共に空気に接する2次元フォトニック結晶(但し、細線導波路は設けられていない)を製造する方法が特許文献1に記載されている。その方法においては、InP又はSiから成る層(以下、「スラブ層」とする)の下にInGaAsP又はSiO2から成る層(以下、「クラッド層」)を有する基板を用いている。まず、スラブ層を貫通する空孔を周期的に形成することにより、2次元フォトニック結晶を形成する。その際、空孔の大きさや配置を適宜設定することにより点状欠陥や結晶内導波路を形成する。次に、形成した空孔からエッチング剤を導入することにより、空孔の下にあるクラッド層をエッチングする。この時、一定の時間以上エッチングを行うことにより、空孔の間にあるクラッド層もエッチングし、空孔を設けた領域、即ち2次元フォトニック結晶の下部全体に1つの空洞を形成するようにする。このように製造された2次元フォトニック結晶では、空洞の上に2次元フォトニック結晶のスラブによる橋を架けたような架橋状の構造が形成されるため、本出願ではこのような構造を「エアブリッジ構造」と呼び、この空洞を「エアブリッジ空洞」と呼ぶ。





2次元フォトニック結晶と細線導波路を一体で形成する場合、細線導波路付2次元フォトニック結晶を製造するときには、スラブ層に2次元フォトニック結晶と細線導波路のパターンを一緒に形成し、エッチング等により一挙に作成するのが自然である。しかし、こうして形成した細線導波路付2次元フォトニック結晶の、2次元フォトニック結晶部分の下にエッチングによりエアブリッジ空洞を設けようとすると、エッチング剤が細線導波路の周囲からクラッド層に浸入し、2次元フォトニック結晶の下部のみならず細線導波路の直下もエッチングされてしまう。そのため、細線導波路がクラッド層に接しなくなり、マルチモード伝播となる。また、強度不足から細線導波路が折損する恐れがある。これを防ぐために細線導波路の周囲をマスクしたとしても、細線導波路とマスクとの隙間からエッチング剤が浸入することを完全に防ぐことは難しく、やはり細線導波路の直下の一部がエッチングされてしまう。





また、細線導波路が結晶内導波路の延長線上からずれると、結晶内導波路と細線導波路の間の導波効率が低下する。そのため、細線付2次元フォトニック結晶を製造する際には、結晶内導波路と細線導波路とができるだけ所定の位置関係からずれないようにすることが必要である。

産業上の利用分野



本発明は、波長分割多重通信等の分野において分合波器等に用いられる2次元フォトニック結晶、特に結晶外部に光を導出又は導入するための細線導波路を接続した細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
スラブ層とクラッド層が積層して成る板材から、導波路を有する2次元フォトニック結晶と該導波路に接続された細線導波路とから成る細線導波路付2次元フォトニック結晶を製造する方法であって、
a)スラブ層にエッチング剤導入用空孔を形成する空孔形成工程、
b)エッチング剤導入用空孔を通してエッチング剤を導入することにより、エッチング剤導入用空孔の周囲のクラッド層をエッチングして該クラッド層に空洞を形成するエアブリッジ空洞形成工程、
c)前記空洞に面するスラブ層に空孔を周期的に設け、該空孔を設けた領域の外縁からその内側に向けて結晶内導波路を形成することにより2次元フォトニック結晶を形成すると共に、該空孔を設けた領域の外縁からその外側に向けて前記結晶内導波路の延長上に所定の幅だけスラブ層を残し、その周囲のスラブ層を除去することにより細線導波路を形成する細線導波路付2次元フォトニック結晶形成工程、
の順に行うことを特徴とする細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項2】
前記結晶内導波路が、前記空孔を形成しない領域を線状に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項3】
前記エッチング剤導入用空孔を細線導波路付2次元フォトニック結晶となる領域の外側のスラブ層に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項4】
前記エッチング剤導入用空孔が、前記結晶内導波路の両側に、該結晶内導波路から所定の距離だけ離れて略平行に配列されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項5】
前記細線導波路付2次元フォトニック結晶形成工程において、スラブ層を細線導波路の両側を溝状に空孔配置の1周期分以上の幅だけ除去することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項6】
前記細線導波路付2次元フォトニック結晶形成工程において、更に前記2次元フォトニック結晶の外縁部のスラブ層を前記細線導波路から空孔配置の5周期分以上除去することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項7】
前記板材のスラブ層がSiから成り、クラッド層がSiO2から成ることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項8】
前記板材がSOI基板であることを特徴とする請求項7に記載の細線導波路付2次元フォトニック結晶の製造方法。

【請求項9】
前記エッチング剤がフッ化水素水溶液であることを特徴とする請求項7又は8に記載のエアブリッジ構造を有する2次元フォトニック結晶の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2003409209thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close