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太陽電池

国内特許コード P140010868
整理番号 3644
掲載日 2014年8月11日
出願番号 特願2012-019112
公開番号 特開2013-157567
登録番号 特許第5842268号
出願日 平成24年1月31日(2012.1.31)
公開日 平成25年8月15日(2013.8.15)
登録日 平成27年11月27日(2015.11.27)
発明者
  • 野田 進
  • 田中 良典
  • オスクイ アルダバン
  • ファブッチ ペドロ
  • 重田 博昭
  • 宮西 晋太郎
  • 小川 裕之
  • 川森 秀次
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • シャープ株式会社
発明の名称 太陽電池
発明の概要 【課題】光の波長や入射角等に依存した特性の変化が小さく、光電変換効率が高い太陽電池を提供する。
【解決手段】光電変換層11内に、光電変換層11とは屈折率が異なる異屈折率領域12が、光電変換層11に平行な2次元格子16の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、各異屈折率領域12が、2次元格子16の各格子点からその2次元格子面に平行に、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されている。この光電変換層11では、波長毎の吸収効率のピークトップからある程度離れた波長における光の吸収効率が上昇し、それにより、Δpmaxがある程度の値以下の時に、特定の波長帯全体での積分吸収効率が上昇するため、光電変換効率も上昇する。また、Δpmaxの値に関わらず、光の入射角による積分吸収効率及び光電変換効率の変化が小さくなる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



太陽電池は、入射した光(電磁波)のエネルギーを電流に変換するための、半導体から成る光電変換層を有している。入射光は、光電変換層に吸収され、そのエネルギーによって光電変換層の半導体内の電子が価電子帯から伝導帯に励起されることにより、電流に変換される。ここで、入射光が光電変換層に吸収されることなく通過すると、光電変換の効率が低下する。そのため、太陽電池では、光電変換層における入射光の吸収効率を高めることが重要となる。この吸収効率を高める手法の1つとして、光電変換層の厚みを大きくすることが挙げられるが、半導体材料の使用量が増加するため、コストが上昇してしまうという問題がある。





特許文献1には、入射光の吸収効率を高めるために2次元フォトニック結晶を用いた太陽電池が記載されている。ここでフォトニック結晶とは、誘電体から成る部材内に周期的な屈折率分布が形成されたものをいう。図14に、2次元フォトニック結晶を用いた太陽電池の一例を示す。この太陽電池90では、p型半導体から成るp層911、真性半導体から成るi層912及びn型半導体から成るn層913の3層により構成される光電変換層91に、それら3層とは屈折率が異なる柱状の部材から成る異屈折率領域92が周期的に配置されることにより、光電変換層91に2次元フォトニック結晶が形成されている。光電変換層91以外の構成は一般的な太陽電池と同様であり、光電変換層91を挟むように第1電極931及び第2電極932が設けられていると共に、第1電極931の外側(光電変換層91の反対側)には反射層94が、第2電極932の外側にはガラス基板95が、それぞれ設けられている。光はガラス基板95の側から太陽電池90内に入射する。





この2次元フォトニック結晶内においては、光電変換層91に入射した光のうち、異屈折率領域92の配置の周期長に対応した(複数の)特定の波長を有する光が定在波を形成するため、それらの光は光電変換層91内に留まり易くなる。そのため、それらの波長において、2次元フォトニック結晶が無い場合よりも入射光の吸収効率が向上する。但し、太陽光は連続的な波長分布を有するため、太陽電池では、特定の波長における吸収効率ではなく、光電変換の対象となる波長帯全体での太陽光の吸収効率を高めることが必要となる。このような特定の波長帯全体での太陽光の吸収効率を、以下では「積分吸収効率」と呼ぶ。積分吸収効率は、以下の式(1)で求められる。

【数1】




ここで、λは光の波長、λ1及びλ2は対象波長帯の下限値及び上限値、dI/dλは単位波長当たりの太陽光の強度(図15)、A(λ)は波長毎の吸収効率、である。





以下、具体的な太陽電池の一例において、波長毎の吸収効率、及び積分吸収効率を計算した結果について述べる。この計算で用いた太陽電池は、上記の太陽電池90であって、光電変換層91の材料にケイ素(Si)を、第1電極931及び第2電極932の材料に導電性の酸化物であるインジウム・亜鉛酸化物(IZO)を、異屈折率領域92の材料にIZO(第1電極931及び第2電極932と同じ材料)を、それぞれ用いたものである。また、異屈折率領域92は、半径150nm、高さ200nmの円柱状のものを格子定数500nmの正方格子の格子点に配置している。以下、この例の太陽電池を「PC(フォトニック結晶:Photonic Crystal)有りの例」と呼ぶ。また、この計算は、500~1100nmの波長帯を対象として行った。この波長帯は、Siを用いた光電変換層において光電変換の対象となる波長帯のうち、吸収効率が他の波長帯よりも低く、それゆえに吸収効率を高めることが求められる波長帯である。さらに、PC有りの例との比較のために、光電変換層91に異屈折率領域92を設けない点を除いてPC有りの例と同じ構成を有する太陽電池(「PC無しの例」)についても同様の計算を行った。





図16に、波長毎の吸収効率を表したグラフを示す。このグラフによれば、PC有りの例では特定の複数の波長において狭いピークが見られる。このようなピークは、それらの波長に関して2次元フォトニック結晶内に定在波が形成され、それにより、それらの波長の光が光電変換層91内に留まり易くなって、それらの波長における吸収効率が向上することを示している。また、積分吸収効率は、PC無しの例では27.2%であるのに対して、PC有りの例では53.2%という、PC無しの例よりも2倍近く高い値が得られた。

産業上の利用分野



本発明は、太陽電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
各異屈折率領域が、前記2次元格子の各格子点から前記2次元格子の格子面に平行に、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されており、
前記ずれ量Δpが0から最大ずれ量Δpmaxの間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布しており、その方向については一様に分布しており、
前記光電変換層内には、前記ずれ量Δpが0ではない異屈折率領域が含まれている
ことを特徴とする太陽電池。

【請求項2】
前記最大ずれ量Δpmaxが2次元格子の周期長の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。

【請求項3】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において、
a) 予め定められた1個又は複数個の格子点において、各格子点から該2次元格子の格子面に平行に、第1最大ずれ量Δp1max(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置された第1異屈折率領域と、
b) 前記第1異屈折率領域が配置された格子点以外の格子点において、各格子点から該2次元格子の格子面に平行に、第2最大ずれ量Δp2max以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置された第2異屈折率領域と
が存在しており、
前記第1異屈折率領域のΔp1maxと、前記第2異屈折率領域のΔp2maxとは異なり、
光電変換層内には、前記ずれ量Δpが0ではない第1異屈折率領域が含まれることを特徴とする太陽電池。

【請求項4】
前記第2最大ずれ量Δp2maxが0であることを特徴とする請求項に記載の太陽電池。

【請求項5】
全ての前記第2異屈折率領域のずれ量Δpが0から前記第2最大ずれ量Δp2maxの間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布しており、その方向について一様に分布していることを特徴とする請求項に記載の太陽電池。

【請求項6】
全ての前記第1異屈折率領域のずれ量Δpが0から前記第1最大ずれ量Δp1maxの間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布しており、その方向について一様に分布していることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項7】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において格子点がn個の部分集合に分割され、各部分集合において前記異屈折率領域が各格子点から前記2次元格子の格子面に平行に、最大ずれ量Δpkmax(kは1~nのいずれかの整数。少なくとも1つの部分集合においてΔpkmax≠0。)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されており、
前記光電変換層内には、前記ずれ量Δpが0ではない異屈折率領域が含まれることを特徴とする太陽電池。

【請求項8】
前記部分集合のうちの1つにおいて、最大ずれ量Δpnmaxが0であることを特徴とする請求項に記載の太陽電池。

【請求項9】
前記各部分集合のうちの1つ又は複数において、該部分集合に属する全ての異屈折率領域のずれ量Δpが0から前記最大ずれ量Δpkmaxの間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布していることを特徴とする請求項又はに記載の太陽電池。

【請求項10】
さらに、各異屈折率領域のうちの少なくとも一部において、前記異屈折率領域の平面形状が最小値と該最小値よりも大きい最大値の間でランダムな大きさを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項11】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
各異屈折率領域の平面形状が、最小値と該最小値よりも大きい最大値の間でランダムな大きさを有しており、
個々の異屈折率領域における平面形状の大きさの、全ての異屈折率領域における分布が、前記最小値から前記最大値の間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布している
ことを特徴とする太陽電池。

【請求項12】
各異屈折率領域が同一の平面形状を有することを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。

【請求項13】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において、
a) 予め定められた1個又は複数個の格子点に配置された第1の異屈折率領域であって、平面形状が第1の最小値と該第1の最小値よりも大きい第1の最大値の間でランダムな大きさを有する第1異屈折率領域と、
b) 前記第1異屈折率領域が配置された格子点以外の格子点に配置された第2の異屈折率領域であって、平面形状が第2の最小値と第2の最大値の間でランダムな大きさを有する第2異屈折率領域と
が存在しており、
前記第2の最小値および前記第2の最大値は、前記第1の最小値および前記第1の最大値とは異なることを特徴とする太陽電池。

【請求項14】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において、
a) 予め定められた1個又は複数個の格子点に配置された第1の異屈折率領域であって、平面形状が第1の最小値と該第1の最小値よりも大きい第1の最大値の間でランダムな大きさを有する第1異屈折率領域と、
b) 前記第1異屈折率領域が配置された格子点以外の格子点に配置された第2の異屈折率領域であって、平面形状が第2の最小値と第2の最大値の間でランダムな大きさを有する第2異屈折率領域と
が存在しており、
全ての前記第2異屈折率領域の平面形状の大きさが前記第2の最小値から前記第2の最大値の間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布していることを特徴とする太陽電池。

【請求項15】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において、
a) 予め定められた1個又は複数個の格子点に配置された第1の異屈折率領域であって、平面形状が第1の最小値と該第1の最小値よりも大きい第1の最大値の間でランダムな大きさを有する第1異屈折率領域と、
b) 前記第1異屈折率領域が配置された格子点以外の格子点に配置された第2の異屈折率領域であって、平面形状が第2の最小値と第2の最大値の間でランダムな大きさを有する第2異屈折率領域と
が存在しており、
全ての前記第1異屈折率領域の平面形状の大きさが前記第1の最小値から前記第1の最大値の間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布していることを特徴とする太陽電池。

【請求項16】
各第1異屈折率領域及び各第2異屈折率領域が同一の平面形状を有することを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項17】
全ての前記第2異屈折率領域の平面形状の大きさが同じであることを特徴とする請求項13~16のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項18】
1対の電極の間に光電変換層が設けられた太陽電池であって、
前記光電変換層内に、該光電変換層とは屈折率が異なる異屈折率領域が、該光電変換層に平行な2次元格子の各格子点に配置されて成る2次元フォトニック結晶構造が形成されており、
前記2次元格子の連接する複数個の格子点から成る超格子を単位格子とする超格子構造を備え、
各超格子において格子点がn個の部分集合に分割され、各部分集合において前記異屈折率領域の平面形状の大きさが最小値と最大値(少なくとも1つの部分集合において最小値と最大値が異なる値を有する)の間でランダムな大きさを有することを特徴とする太陽電池。

【請求項19】
各異屈折率領域が同一の平面形状を有することを特徴とする請求項18に記載の太陽電池。

【請求項20】
前記部分集合のうちの1つにおいて、前記異屈折率領域の平面形状が同じ大きさを有することを特徴とする請求項18又は19に記載の太陽電池。

【請求項21】
前記部分集合のうちの1つ又は複数において、該部分集合に属する全ての異屈折率領域の大きさが前記最小値から前記最大値の間で一様に、またはガウス分布型で、または一次関数で分布していることを特徴とする請求項1820のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項22】
さらに、各異屈折率領域のうちの少なくとも一部において、前記異屈折率領域が、前記2次元格子の各格子点から前記2次元格子の格子面に平行に、最大ずれ量Δpmax(≠0)以下のずれ量Δpだけランダムにずれて配置されており、
前記光電変換層内には、前記ずれ量Δpが0ではない異屈折率領域が含まれることを特徴とする請求項1121のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項23】
前記光電変換層が、p型半導体又はn型半導体から成り前記1対の電極のいずれか一方の電極に接する第1層と、該第1層とは逆極性の半導体から成る第2層を含む積層構造を有し、
前記異屈折率領域が前記光電変換層の厚さ方向に、前記第1層の前記一方の電極との界面から前記第2層よりも手前まで形成されており、
前記異屈折率領域の材料が前記一方の電極の材料から成る
ことを特徴とする請求項1~22のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項24】
前記光電変換層がSiの単結晶若しくは多結晶の薄膜、又はCu(In,Ga)Se2多結晶の薄膜であることを特徴とする請求項1~23のいずれか1項に記載の太陽電池。

【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の太陽電池を用いた太陽電池モジュールと、該太陽電池が固定された固定架台を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2012019112thum.jpg
出願権利状態 登録
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