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常温成形性を改善した商用マグネシウム合金板材およびその作製方法 実績あり

国内特許コード P140010892
整理番号 2557
掲載日 2014年8月19日
出願番号 特願2009-114038
公開番号 特開2010-133005
登録番号 特許第5515167号
出願日 平成21年5月8日(2009.5.8)
公開日 平成22年6月17日(2010.6.17)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
優先権データ
  • 特願2008-277499 (2008.10.28) JP
発明者
  • 千野 靖正
  • 馬渕 守
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 常温成形性を改善した商用マグネシウム合金板材およびその作製方法 実績あり
発明の概要 【課題】アルミニウム合金並みの常温成形性を有するマグネシウム合金板材及びその作製方法等を提供する。
【解決手段】商用マグネシウム合金(Mg-Al-Zn系合金)を、所定の試料温度(490℃~566℃)まで短時間(8分未満:好ましくは5分未満)で昇温し、圧延率5%以上、好ましくは5~50%の範囲で熱間圧延を行い、熱間圧延後に焼鈍を行うことによりマグネシウム合金板材を作製する。
【効果】アルミニウム合金に匹敵する常温成形性を有し、異方性の少ないマグネシウム合金板材を作製することができ、デジタルカメラ・ノートパソコン・PDA等の家電製品プレス成形体に安価なマグネシウム合金を適用することが可能である。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



マグネシウムは、実用構造金属材料の中で最も低密度(=1.7g/cm)であり、金属材料特有の易リサイクル性を有し、資源も豊富に存在することから、次世代の構造用軽量材料として注目されている。現在、日本におけるマグネシウム製品の多くは、ダイキャスト等の鋳造法により作製されている。これらの手法により、薄肉成形が可能となったことが、マグネシウム合金の工業化を助長した最大の要因である。





特に、家電製品では、パソコン・携帯電話・デジタルカメラ等の家電製品筐体に、マグネシウム合金鋳造材が利用されている。しかし、現状の鋳造法による生産法には、鋳造欠陥を補うための後処理が必要であること、歩留りが低いこと、部材の強度・剛性に問題があること、等の問題が存在する。





一般的に、プレス成形は、歩留まりが高く、成形と同時に高強度・高靭性化を図ることができることから、需要拡大の有効な手段と言える。マグネシウム合金製板材から、プレス成形により成形体を作製できる場合、薄肉、かつ高強度な成形体を、安価なプロセスで作製することができ、家電製品筐体等、多くの需要が予測できる。





金属の塑性変形の基本となる転位の運動性は、すべり面間隔/原子間距離の比に影響されることが知られている。したがって、最密六方晶であるマグネシウム合金の場合、a軸長さとc軸長さの比(c/a比)が大きく(c/a=1.6236)、底面すべりと非底面すべりでは、転位の運動性に大きな違いが生じる。





そのため、マグネシウム合金の非底面すべりの臨界分解せん断応力(CRSS)は、常温において、他のすべり系と比較して、非常に大きく、常温成形性は、必然的に低い。更に、マグネシウム合金板材には、(0002)面が板面に対して平行に配向する集合組織が形成されるため、塑性変形時の板厚方向の歪みが期待できず、そのことが、常温成形性を妨げる一因となっている。





現在、幅広い分野で利用されているアルミニウム合金の常温成形性(エリクセン値)は、上記のマグネシウム合金よりも高く、5000系合金では8.3(5083-O材)、6000系合金では9.2(6061-T4材)、1000系合金では11.0(1100-O材)である(非特許文献1)。一方、マグネシウム合金の常温成形性(エリクセン値)は、せいぜい2.0~5.0である(非特許文献2)。





したがって、マグネシウム合金に関しても、今後、マグネシウム合金板材の著しい需要を見込むためには、アルミニウム合金板材に相当する常温成形性(常温でのエリクセン値が少なくとも7.0以上)を付与することが必要であり、当技術分野においては、優れた易成形性を有する新しいマグネシウム合金板材の製造技術及びその製品を開発することが強く要請されている。





成形性に乏しいマグネシウム合金を、常温でプレス成形する手法としては、集合組織を制御したマグネシウム合金板材を利用することが挙げられる。近年、本発明者らは、規定量の軽希土類元素、Zn、Mn、Zrを添加したマグネシウム合金、もしくは規定量のCa、Zn、Al、Mn、Zrを添加したマグネシウム合金を、特定の条件で熱間・温間圧延し、特定の条件で焼鈍すると、板材の(0002)面集合組織に、TD方向に約35度傾いた極が現れ、成形性が著しく改善すること(エリクセン値8.0以上)を発見した(特許文献1)。





本合金を利用すると、アルミニウム合金並の常温成形性を有するマグネシウム合金板材を作製することができ、デジタルカメラ・ノートパソコン・PDA等の家電製品プレス成形体にマグネシウム合金を積極的に適用することが可能である。





一方、本合金を作製するためには、軽希土類元素等の高価な元素を利用する必要があり、商用マグネシウム合金(Mg-Al-Zn系合金)と比較すると、製品コストは高くなる。また、本合金により得られる圧延材の(0002)面集合組織は、TD方向に約35度傾いた極を有するため、TD方向には変形し易いが、RD方向には相対的に変形しにくい。それゆえに、本合金では、機械的特性の異方性を解消することが、実用化に向けた課題となっている。





マグネシウム合金の集合組織を改質する別の手法として、近年、マグネシウム合金板材に繰り返し曲げ加工を施す手法が提案された。本手法は、商用マグネシウム合金(Mg-Al-Zn系合金)に適用することができ、商用マグネシウム合金の常温成形性をアルミニウム合金並(エリクセン値:6.5以上)に高めることを可能とする(特許文献2)。





本手法は、商用マグネシウム合金の常温成形性を改善する方法として注目されるものの、繰り返し曲げ加工を実施した圧延材の(0002)面集合組織には、RD圧延に約45度傾いた極が現れるため、RD方向には変形し易いが、TD方向には変形しにくい。それゆえに、本手法では、特許文献1の発明と同様、機械的特性の異方性を解消することが、実用化に向けた課題となっている。

産業上の利用分野



本発明は、易成形性マグネシウム合金の製造方法、易成形性マグネシウム合金プレス成形体及び易成形性マグネシウム合金部材等に関するものであり、更に詳しくは、Al、Zn、Mnを適当量添加したマグネシウム合金圧延材を所定の試料表面温度(490~566℃)に短時間(5分未満もしくは8分未満)で加熱した上で、熱間圧延し、その後に焼鈍を行うものであり、常温(30℃)で、アルミニウム合金(5000系もしくは6000系に相当)に匹敵する成形性を付与することを可能とする、マグネシウム合金板材、その製造方法、そのプレス成形体及びその部材に関するものである。本発明は、宇宙・航空材料・電子機器材料、自動車部材等の幅広い分野で利用することが可能なマグネシウム合金製部材及び筐体に関する新技術を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材であり、平均結晶粒径が11μm以上30μm未満であり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、RD-TD面の板厚中央部における、(0002)面集合組織の相対強度が5.5未満であり、(0002)面の極が、ND軸に対して30°未満に分布しており(但し、RD:圧延方向、TD:板幅方向、ND:板厚方向)、エリクセン値(JIS B7729及びJIS Z2274に準ずるエリクセン試験による)が少なくとも7.0であり、常温成形性を示す易成形性マグネシウム合金板材を製造する方法であって、
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなるMg合金圧延板の試料表面温度を、8分未満で490~566℃まで加熱し、その後に、少なくとも総圧延率5%で熱間圧延し、更に熱間圧延後に300~450℃にて10分以上の条件で焼鈍を行うことを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項2】
質量%で、Al:2~7%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる圧延Mg合金板を用いる、請求項1に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項3】
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材であり、平均結晶粒径が11μm以上20μm未満であり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、RD-TD面の板厚中央部における、(0002)面集合組織の相対強度が5.5未満であり、(0002)面の極が、ND軸に対して30°未満に分布しており(但し、RD:圧延方向、TD:板幅方向、ND:板厚方向)、エリクセン値(JIS B7729及びJIS Z2274に準ずるエリクセン試験による)が少なくとも7.0であり、常温成形性を示す易成形性マグネシウム合金板材を製造する方法であって、
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなるMg合金圧延板の試料表面温度を、5分未満で490~566℃まで加熱し、その後に、総圧延率5~50%の範囲で熱間圧延し、更に熱間圧延後に300~450℃にて10分以上の条件で焼鈍を行うことを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項4】
質量%で、Al:2~7%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる圧延Mg合金板を用いる、請求項に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項5】
焼鈍前に、Mg合金圧延板の試料表面温度を、300℃未満に設定し、総圧延率30%未満の範囲で、温間圧延又は冷間圧延を行う、請求項1からのいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。

【請求項6】
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材であり、平均結晶粒径が11μm以上30μm未満であり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、RD-TD面の板厚中央部における、(0002)面集合組織の相対強度が5.5未満であり、(0002)面の極が、ND軸に対して30°未満に分布しており(但し、RD:圧延方向、TD:板幅方向、ND:板厚方向)、エリクセン値(JIS B7729及びJIS Z2274に準ずるエリクセン試験による)が少なくとも7.0であり、常温成形性を示すことを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。

【請求項7】
質量%で、Al:2~7%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材である、請求項に記載の易成形性マグネシウム合金板材。

【請求項8】
質量%で、Al:1~10%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材であり、平均結晶粒径が11μm以上20μm未満であり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、RD-TD面の板厚中央部における、(0002)面集合組織の相対強度が5.5未満であり、(0002)面の極が、ND軸に対して30°未満に分布しており(但し、RD:圧延方向、TD:板幅方向、ND:板厚方向)、エリクセン値(JIS B7729及びJIS Z2274に準ずるエリクセン試験による)が少なくとも7.0であり、常温成形性を示すことを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。

【請求項9】
質量%で、Al:2~7%、Zn:0.2~2.0%、Mn:0~1.0%を含有し、残部が、Mg及び不可避不純物からなる組成を有するマグネシウム合金板材である、請求項に記載の易成形性マグネシウム合金板材。

【請求項10】
請求項からのいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製プレス成形体。

【請求項11】
請求項10に記載のマグネシウム合金製プレス成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製部材。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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