TOP > 国内特許検索 > 核内移行性を有する脂質膜構造体

核内移行性を有する脂質膜構造体

国内特許コード P140010898
整理番号 2952
掲載日 2014年8月19日
出願番号 特願2012-511688
登録番号 特許第5794541号
出願日 平成23年4月20日(2011.4.20)
登録日 平成27年8月21日(2015.8.21)
国際出願番号 JP2011059738
国際公開番号 WO2011132713
国際出願日 平成23年4月20日(2011.4.20)
国際公開日 平成23年10月27日(2011.10.27)
優先権データ
  • 特願2010-097888 (2010.4.21) JP
発明者
  • 原島 秀吉
  • 秋田 英万
  • シャリフ モハメド シャヒーン
  • 中村 孝司
  • 石井 聡一郎
  • 二木 史朗
出願人
  • 国立大学法人千葉大学
発明の名称 核内移行性を有する脂質膜構造体
発明の概要 樹状細胞などの免疫細胞の核内に核酸を効率的に送達することができる脂質膜構造体であって、脂質膜が下記の(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチド及び/又は(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸が欠失及び/又は置換及び/又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、細胞の核内への脂質膜構造体の移行を促進する活性を有するポリペプチドで修飾された細胞核内に物質を送達するための脂質膜構造体。
従来技術、競合技術の概要



薬剤を患部に特異的に輸送する手段として脂質膜構造体であるリポソームに薬剤を封入する方法が提案されている。特に、悪性腫瘍の治療分野において抗腫瘍剤を封入したリポソームの有効性が数多く報告されている。また、遺伝子発現に利用可能な脂質膜構造体として多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND: Multifunctional envelope-type nano device;以下、本明細書において「MEND」と略す場合がある。例えばDrug Delivery System, 22-2, pp.115-122, 2007などを参照のこと)が提案されている。この構造体は、遺伝子などを特定の細胞内に選択的に送達するためのドラッグデリバリーシステムとして用いることができ、例えば、腫瘍の遺伝子治療などに有用であることが知られている。





脂質膜構造体を用いて薬物、核酸、ペプチド、ポリペプチド、糖などの目的物質を標的臓器や腫瘍組織など特異的な部位に送達するための手段として、脂質膜構造体の表面を機能性分子で修飾する方法が多数提案されている。抗腫瘍剤などの薬剤を内包した脂質膜構造体は標的細胞に到達するとエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれエンドソーム内に包含された状態となるが、その後、リソソームの酵素による加水分解作用などを受けて内包されていた薬剤を細胞質内に放出する。エンドソーム内に取り込まれたリポソームからの薬剤放出性を高めるために、リポソームの表面をペプチド(GALA: Biochemistry, 26, pp.2964-2972, 1987)で修飾したリポソーム(Biochemistry, 43, pp.5618-5623, 2004)やMEND(特開2006-28030号公報)が提案されている。





また、核酸などの目的物質を内包した脂質膜構造体を標的細胞の核内に移行させるための手段としては、例えば、リポソームの外側表面をオクタアルギニンで修飾したリポソーム(国際公開WO2005/32593; Journal of Controlled Release, 98, pp.317-323, 2004)、核移行性ペプチドで修飾された脂質膜を有する2枚膜リポソーム(国際公開WO2006/101201)、ガラクトースやマンノースなどの単糖で表面を修飾したリポソーム(国際公開WO2007/102481)が提案されている。単糖で修飾された多重脂質膜構造体(T-MEND)は脂質膜及び核膜と融合性を示し、in vitroでの試験結果において遺伝子発現効率を改善できたとされている。





一方、免疫細胞、特に抗原提示作用を有する樹状細胞の核内に抗原性タンパク質をコードする核酸を導入することできれば、樹状細胞内で核酸から転写翻訳されたタンパク質を樹状細胞表面に抗原提示させることができ、生体は当該タンパク質に対する免疫を獲得することができる。このような観点から、樹状細胞などの免疫細胞の核内に核酸を効率的に送達する技術が求められている。





しかしながら、上記のMENDなどの脂質膜構造体を用いて樹状細胞の核内に核酸を導入する場合の核酸導入効率は、その他の細胞、例えば腫瘍細胞や肝実質細胞の場合と比較して十分ではない。導入された核酸が最終的に核内で発現するまでには、細胞内への取り込み、エンドソーム脱出、核内移行、及び核内転写などのさまざまな細胞内動態プロセスを経る必要があるが、樹状細胞などの非分裂細胞においては2枚膜からなる核膜が常にインタクトに存在しており、この核膜が脂質膜構造体の核内移行能を妨げているものと推察される。従って、脂質膜構造体を用いて樹状細胞の核に核酸を送達するためには、上記の各プロセス、特に2枚膜からなる核膜によるバリヤーを如何に突破するかが、きわめて重要な課題となる。





なお、KALAペプチドと称される27アミノ酸残基のポリペプチドが知られており、自身のカチオン電荷を利用してプラスミドDNAとコンプレックスを形成することができることが報告されているが(Biochemistry, 36, pp.3008-3017, 1997)、上記刊行物にはこのペプチドが脂質膜構造体の核内移行を促進するか否かについての示唆はない。

産業上の利用分野



本発明は核内移行性を有する脂質膜構造体に関する。より具体的には、本発明は、免疫細胞の核内、特に樹状細胞の核内に容易に移行することができるリポソームなどの脂質膜構造体に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
細胞の核内に物質を送達するための脂質膜構造体であって、脂質膜が配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドで修飾された脂質膜構造体。

【請求項2】
脂質膜構造体がリポソームである請求項1に記載の脂質膜構造体。

【請求項3】
細胞が免疫細胞である請求項1又は2に記載の脂質膜構造体。

【請求項4】
請求項1に記載のポリペプチドが疎水性基で修飾されており、前記疎水性基が脂質膜に挿入された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の脂質膜構造体。

【請求項5】
連続した複数個のアルギニン残基を含むポリペプチドを表面に有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の脂質膜構造体。

【請求項6】
ポリアルキレングリコールを表面に有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の脂質膜構造体。

【請求項7】
免疫細胞表面に提示すべき抗原ポリペプチドをコードする核酸を該細胞の核内に導入するために用いる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の脂質膜構造体。

【請求項8】
送達すべき物質が内部に封入された請求項1ないし7のいずれか1項に記載の脂質膜構造体。

【請求項9】
内部に核酸及びカチオン性ポリマーが封入された請求項8に記載の脂質膜構造体。

【請求項10】
送達すべき物質が免疫細胞表面に提示すべき抗原ポリペプチドをコードする核酸である請求項8又は9に記載の脂質膜構造体。

【請求項11】
上記抗原ポリペプチドに対する免疫療法に用いるための請求項10に記載の脂質膜構造体。

【請求項12】
該核酸がDNAであり、該DNAがCpGを含まないDNAである請求項10又は11に記載の脂質膜構造体。

【請求項13】
請求項8ないし12のいずれか1項に記載の脂質膜構造体を有効成分として含む医薬組成物。

【請求項14】
悪性腫瘍の予防及び/又は治療のために用いる請求項13に記載の医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2012511688thum.jpg
出願権利状態 登録
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close