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磁歪振動発電用合金

国内特許コード P140010910
掲載日 2014年8月22日
出願番号 特願2012-057892
公開番号 特開2013-177664
出願日 平成24年2月28日(2012.2.28)
公開日 平成25年9月9日(2013.9.9)
発明者
  • 古屋 泰文
  • 横山 雅紀
  • 牧野 真也
  • 三上 晃右
  • 岡崎 禎子
出願人
  • 国立大学法人弘前大学
発明の名称 磁歪振動発電用合金
発明の概要 【課題】振動エネルギーから電気エネルギーを回収するために利用可能な高機能磁歪合金を提供する
【解決手段】鉄(Fe)とコバルト(Co)合金(Fe50-xCox、56原子%≦X≦80原子%)結晶質合金とし、最適な熱処理加工条件を適用する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

近年、環境問題に対する関心の高まり、二酸化炭素排出削減の要求や、エネルギー需要の増大から、新たな発電方法の開発が注目されている。そこで、本研究室は磁歪材料を用いた振動発電に着目した。その原理は磁歪材料に歪みが生じると磁場が変化するという逆磁歪効果を利用するものである。



逆磁歪効果を利用した発電法の主な特徴としては、以下の点が挙げられる。

▲1▼ 逆磁歪(縦)効果を用いた高効率な発電で、発電構造がシンプルで小型化素子として設計と作製が容易

▲2▼ 材料が金属で強度が高く、堅牢で、長時間にわたる繰り返し振動変形でも破損しにくく、耐久性がある

▲3▼ 非接触ワイヤレスで電流が取り出せるので、駆動源内部の振動部に適用する場合に設置自由度がとれる。

▲4▼ 共振振動での高出力発電特性が得られる

▲5▼ 低出力インピーダンスで、圧電体よりも低電圧、大電流が取り出せて、母構造側との電気的マッチングが取りやすい

▲6▼ キューリー温度が磁歪材料は高い温度側にあり、使用温度範囲が広く取れる(-100℃~500℃)



本発明により、従来は捨てられていた産業機器からの小さな、分散分布する

振動エネルギー源からの電気エネルギー回収(ハーベスト)が可能となり、回転機器や移動体車両に不可避な高周波振動現象や騒音発生源、さらには、従来はあまり回収出来ていない、自然エネルギー(風力、波動、地震)構造物で不規則的に発生する、小さな分散型の振動を利用したエネルギー発電が可能となる。



実際に、逆磁歪効果を利用した発電として、超磁歪材料(Tb-Dy-Fe合金)[1]に一軸方向の圧縮力や衝撃力を付加し発電を行うものがあるが、この材料は、希土類元素を含み延性が低く、また製品が高コストであるため使用環境が制限される。



また、最近になって、上野[2]は、加工性を有する単結晶FeGaおよび方向性多結晶合金(Galfenol)を用いて、2個の磁歪素子を並列配置させた素子を作製して、その際の高周波曲げ震動共振点を利用して、磁歪振動素子の発電効果を実証した。



これらのFeGa合金では、最大300ppmの磁歪を利用しているが、その場合は、単結晶や方向性を有する粗大結晶組織に限られるので、材質は柔らかく縦弾性係数(ヤング率)は50~60GPaとなり、機械的強度は低下することは避けられない。しかしながら、現状のFeGa合金でも、まだ発電エネルギー密度が低く、かつ、単結晶作製には多大なコストがかかる。それゆえに、自動車や移動体など変動荷重を受ける場合などの応用分野を想定すると、発電効率を2~3倍上げること、かつ、磁歪サンプルの量産性、振動素子の加工成形コスト面で汎用の産業機器の様々な使用条件分野に合致した適用レベルには至っていない。

参考文献:

[1]A.E.クラーク、江田 弘:超磁歪材料、日刊工業新聞社(1995)

[2]T.Ueno and S.Yamada:Study on Micro-energy Harvesting Device Using Iron-Gallium Alloy;Journal of the Magnetics Society of Japan Vol.35,No.2,2011,88-91



また、米国では、商業用磁歪材料を独占販売しているExtrema Products,Inc.社が、2010年に米国エネルギー省予算からから多額のプロジェクト資金を得て、鉄ガリウム系磁歪材料(Galfenol)を利用したエネルギーハーベスト技術の開発に着手してきている。



産業上の利用分野

本発明は、振動物体の機械的振動エネルギーから電気エネルギーを回収する際に使用する新材料に関する。その原理は磁歪材料に外部から応力が負荷されると歪みが生じ、磁性体内の磁場が変化するという逆磁歪効果[1]を利用するもので、磁性体周囲に設置したコイルによる振動発電の回収が可能となる原理である。



振動発電の原理としては、電磁誘導、圧電効果(電歪効果の逆)、静電誘導等が知られているが、この逆磁歪効果は、Villari効果や圧磁効果とも呼ばれているが、圧電体や電磁石の移動にともなう電磁誘導利用に較べて、効果的案磁歪材料が開発出来ていないことも関係して、磁歪振動発電の研究実績は内外でまだ少ない。



超小型の振動発電素子を、機械構造物等の振動体に多数分散、配置した振動発電機群は、全体として、いままで見過ごされて捨てられてきた、微小な回転機器や移動体車両に不可避な高周波振動現象や騒音発生源、さらには、自然エネルギー(風力、波動、地震)構造物で不規則的に発生し、従来はあまり回収出来ていない分散型の不連続的微小エネルギー発電を可能とさせる。



この理由の一つは、超磁歪素子が数十マイクロ秒台の高速応答性を備えていること、及び、回転機構を伴わない振動発電機に機械的な慣性負荷がかかることなく、瞬時発電開始及び瞬時発電停止が可能であることがあげられるからである。



以上、本発明により、従来は捨てられていた産業機器からの微小、分散型の 振動エネルギー源からの電気エネルギー回収(ハーベスト)が、単純構造素子を対象機器本体に装着することで可能となり、分散型エネルギー源の有効利用に道を拓くことができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
鉄(Fe)とコバルト(Co)合金からなり、Coの原子組成比が56%から80%(56原子%≦Co≦80原子%)を含む磁歪現象を示す結晶質合金で、磁歪量が60ppm(=60x10-6)以上を示す塊状バルク、薄板および薄帯合金
【請求項2】
第3元素としてV、Cr、Zr,Cを単体または複数合計で最大3%以内に含み、これらとCoまたはFe析出相を形成し、それを結晶組織内に分散させて機械的強度を増した磁歪現象を示す請求項1の合金
【請求項3】
FeCo合金を溶解鋳造後に、高温炉中で400℃で24時間以内で保持、その後炉中で徐冷の熱処理を施して、内部欠陥(残留応力、偏析物等)減少と組織均質化を施した請求項1および請求項2記載の合金
【請求項4】
FeCo合金を溶解鋳造後に、再度、高温下でのFeCo2元系状態図中における(fcc+bcc)/bcc相形成線の直上50℃以内の温度で5時間以内の保持後に急冷して、体心立方晶(bcc)構造と面心立方晶(fcc)の混合相として、磁歪量を60ppm以上に上げた請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
【請求項5】
各々の平板試料から得られる上記FeCoの磁化履歴曲線から定義される磁化パラメータのうち、飽和磁化Bs≧180(emu/g)、保磁力Hc≦16エルステッド(Oe)を満たす請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
【請求項6】
各々の平板試料から得られる上記FeCoの縦弾性係数(ヤング率)が、180GPa以上を満たす請求項1、請求項2および請求項3に記載の合金
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2012057892thum.jpg
出願権利状態 公開
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