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環軸椎制動装置

国内特許コード P140010915
掲載日 2014年8月22日
出願番号 特願2008-289318
公開番号 特開2010-115285
登録番号 特許第5493218号
出願日 平成20年11月12日(2008.11.12)
公開日 平成22年5月27日(2010.5.27)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
発明者
  • 横山 徹
  • 加藤 幸三
出願人
  • 国立大学法人弘前大学
発明の名称 環軸椎制動装置
発明の概要 【課題】C1とC2との間のA-Pinstabilityを制動すると共に、術後の頚椎回旋可動域低下によるQOLの低下を避けることができ環軸関節に要求される動きである側屈、伸展、屈曲、回旋及びカップリングモーションに対応することが可能な環軸椎制動装置及び当該装置の装着方法を提供する。
【解決手段】C1プレート10の形状とC2プレート20の形状とを揃わせ両プレートを対面させた状態とし、C1プレート10の中空部16側からC2プレート20の各中空部24R及び24L側へポスト2R及び2Lを各々ナット4R及び4Lを介して捩じ込む。ポスト2L及び2Rは摺動面14(インサート部)に接して可動な状態でありC1プレート10との間に自由度がある。組み立てられた環軸椎制動装置1をC1及びC2に挿入された、ロッド36a及び36cがはめ込まれていない左右のVertex(登録商標)screw system二対に装着する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



ヒトの脊椎は大きく分けて頚椎、胸椎および腰椎から形成されており、この内の頚椎は第1頚椎から第7頚椎までの7個の骨からなる首の骨である。図8は頚椎モデル(モデルボーン)の正面図であり、頚椎の側屈の動きを示す。図8において、図上左側が右肩側であり右側が左肩側である。図8で符号51は第1頚椎(環椎、以下「C1」と呼ぶ。)、52は第2頚椎(環椎、以下「C2」と呼ぶ。)、57は第7頚椎である。第2頚椎52と第7頚椎57との間には第3頚椎から第6頚椎が示されているが符号付けは省略する。図8に示されるように、矢印Rlfは首を右へ傾ける右側屈の動きを示し、矢印Llfは首を左へ傾ける左側屈の動きを示す。





図9は頚椎モデルの右側面図であり、頚椎の伸展および屈曲の動きを示す。図9において、図上左側が後側(背側)であり右側が前側(顔面側)である。図9で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図9に示されるように、矢印Extは上を向く方向へ首を傾ける伸展の動きを示し、矢印Bendは下を向く方向へ首を傾ける屈曲の動きを示す。





図10は頚椎モデルの背面側から見た上面図であり、頚椎の回旋の動きを示す。図10において、図10上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、上側が前側(顔面側)であり下側が後側(背側)である。図10で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図10に示されるように、矢印Lrotは首を左へ回転させる左回旋の動きを示し、矢印Rrotは首を右へ回転させる右回旋の動きを示す。C1(51)とC2(52)とがなす環軸椎または環軸関節は、図10に示されるように頚椎回旋角度の約半分を分担しており、頚椎の中でも最も可動域の大きい関節である。図8から図10に示される頚椎の側屈、伸展、屈曲および回旋等の組み合わせによる動きをカップリングモーション(coupling motion)と言う。実際のヒトの頚椎において、例えば首を回旋する際にC1が軽度伸展と側屈しながら回旋しているという研究報告が多く提唱されている(非特許文献1参照)。





図11はC1とC2との結合を示すために両頚椎モデルのみを取り出した図である。図11で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図11(A)は両頚椎モデルの正面図であり、図上左側が右肩側であり右側が左肩側である。図11(B)は両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図11(C)は両頚椎モデルの背面図であり、図上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、上側が前側(顔面側)であり下側が後側(背側)である。





正常なC1およびC2では関節および靭帯の機能があるため、C1およびC2が前後方向(顔面側-背側)にずれることはない。しかし、C1、C2の外傷(骨折、脱臼等)および炎症(リウマチ等)などが起こった場合、C1とC2との間にある関節自体が安定せず(機能せず)、疼痛や腫脹が起こり、正常な可動性(側屈、伸展、屈曲、回旋)を失ってしまうという関節機能の破綻が起きることがある。図12はC1およびC2の関節機能の破綻の一種を説明するための両頚椎モデルの左側面図である。図12は図11(B)と同様の両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図12で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図12に示される関節機能の破綻は、本来、動いてはいけない方向への動きである、C2に対してC1が前方または後方へ移動する状態の破綻である。図12における矢印はC1とC2との間の前後方向のずれ(すべり)という現象である前後方向の不安定性(Antero-Posterior instability : A-Pinstability)を示す。図13は、A-Pinstabilityを説明するための模式図であり、符号60は脊髄を示す。図13で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図13において、環軸椎C1(51)およびC2(52)が正常な場合は首を屈曲、伸展、側屈、回旋しても脊髄60を圧迫することはない。しかし、図13の矢印に示されるようなA-Pinstability(前方および後方への動き)が生じると、脊髄障害を発生させることとなる。より詳しくは、図13に示されるように、C1(51)が前側へずれると、脊髄60が存在している脊柱管P1部分の狭窄が起こり、脊髄60はC1(51)に圧迫されるため、いわゆる脊髄損傷をもたらし、呼吸筋麻痺や四肢麻痺となる。従って、A-Pinstabilityがあることは致命傷となる。





上述した関節機能の破綻が生じた場合、従来、隣接したC1およびC2を固定する手術である関節固定術(非特許文献2参照)が行われてきた。図14は関節固定術に用いられるVertex(登録商標)screw system(メドトロニックソファモアダネック株式会社製。「メドトロニック」は登録商標。)を示す。図14では図面の都合上、引き出し線が図面中の写真内では白色に表示され、写真外では黒色で表示されている(以下、他の図面でも同様の場合がある。)。図14(A)に示されるVertex(登録商標)screw system一対は、スクリュー34aおよびスクリュー34aを可動的に保持する保持部30aと、スクリュー34bおよびスクリュー34bを可動的に保持する保持部30bと、保持部30aと30bとを貫通する心棒状のロッド36aとから構成されている。図14(B)はVertex(登録商標)screw system一対の部品を示す。図14(B)で図14(A)と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図14(B)において、符号32aはスクリュー34aと保持部30aとを固定するネジ、32bはスクリュー34bと保持部30bとを固定するネジである。ネジ32a等は図14(A)に示される保持部30a等の右側(スクリュー34a側の反対側)から締めて固定する。図14(B)ではロッド36aおよび36cが示されているが、これは撮影の都合によるものであってVertex(登録商標)screw system一対にはロッド36aまたは36cのいずれか1本があればよい。図14(C)はネジ32aまたは32bの拡大図であり、後述するようにネジ3a等は六角レンチで締めるようになっている。





次に、Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て方等を説明する。図15(A)ないし(F)はVertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す。図15(A)ないし(F)で図14と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図15(A)ないし(F)で示される組み立て手順は本来の手術における組み立て手順とは異なるところがあるが、これは後述する本願発明の環軸椎制動装置の理解を容易にするためである。図15(A)に示されるように、スクリュー34aの保持部30a側はボール状になっているため、スクリュー34aと保持部30aとは図の矢印で示されるように自由に可動するようになっている。まず、通常の手技通り、保持部30aと可動的に固定されたスクリュー34a等4本をC1およびC2に2本ずつ挿入する。図15(B)以降の図では、便宜上スクリュー34a等は指で支えられているが、実際にはスクリュー34a等は例えばC1に挿入されている。図15(B)に示されるように、C1等に挿入されたスクリュー34aと可動的に固定された保持部30aには、スクリュー34a側とは反対側に溝38aがある。続いて、図15(C)に示されるように、保持部30aの溝38aにロッド36aをはめ込む。その後、図15(D)に示されるように、ロッド36aがはめ込まれた保持部30aにネジ32aをはめ込む。図15(E)に示されるように、六角レンチ40を用いてロッド36aがはめ込まれた保持部30aにネジ32aを捩じ込む。ネジ32aを保持部30aに締めこむと、スクリュー34aと保持部30aとの間は全く動かなくなり、スクリュー34aと保持部30aとが固定される。最後に図15(F)に示されるように、C2に挿入されたスクリュー34bと可動的に固定された保持部30bに、図15(C)から15(E)と同様にしてロッド36aをはめ込み、ネジ32bを捩じ込み、スクリュー34bと保持部30bとを固定する。この結果、図15(F)のP2およびP3で示される部分は全く動かなくなる。





図16は、Vertex(登録商標)screw system二対をC1およびC2の両頚椎モデルに取り付けた状態を示す。図16で図8および図15(F)と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図16(A)は両頚椎モデルの後方図であり、図上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、下側が後側(背側)である。図16(B)は両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図16で、符号30c、30dは保持部、36cは保持部30cおよび30dの溝(不図示)にはめ込まれたロッド、45はVertex(登録商標)screw system二対を両頚椎モデルに取り付けるために用いられるセメントである。図16(A)に示されるように、一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30a、ロッド36aおよび保持部30b)がC1とC2との間の右側に取り付けられ、他の一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30c、ロッド36cおよび保持部30c)がC1とC2との間の左側に取り付けられている。上述のように、二対のVertex(登録商標)screw systemは各々ネジ32aおよび32b、ネジ32cおよび32dにより固定されているため、全く動かなくなる。





【非特許文献1】

shii T, Mukai Y, Hosono N, et al. Kinematics of the Upper Cervical Spine in Rotation.In Vivo Three-Dimensional Analysis. Spine, Volume 29, Number 7, pp. E139-144,2004, Lippincott Williams & Wilkins, Inc.

【非特許文献2】

arms J, Melcher R. Posterior C1-C2 Fusion With Polyaxial Screw and Rod Fixation.Spine, Volume 26, Number 22, pp. 2467-2471, 2001, Lippincott Williams &Wilkins, Inc.

産業上の利用分野



本発明は、環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1頚椎背面側に適合する形状を有する上部プレートであって、中空部及び左右端部を有するものと、
第2頚椎背面側に適合する形状を有する下部プレートであって、2つの中空部及び左右端部を有するものと、
2組のポスト及びナットとを備えた環軸椎制動装置であって、
前記上部プレートの形状と前記下部プレートの形状とが揃い両プレートを対面させた状態で、該上部プレートの中空部側から該下部プレートの各中空部側へ2つの前記ポストが各々前記ナットを介して捩じ込まれており、
前記上部プレートの左右端部は第1頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定され、前記下部プレートの左右端部は第2頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定されたことを特徴とする環軸椎制動装置。

【請求項2】
請求項1記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び前記下部プレートはチタン合金製であることを特徴とする環軸椎制動装置。

【請求項3】
請求項1又は2記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレートと中空部は超高分子ポリエチレン製の摺動面で覆われたことを特徴とする環軸椎制動装置。

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び下部プレートは各々第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することを特徴とする環軸椎制動装置。

【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の環軸椎制動装置において、前記ポストは第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することを特徴とする環軸椎制動装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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