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回転体測定方法および装置

国内特許コード P140010924
掲載日 2014年8月26日
出願番号 特願2005-377912
公開番号 特開2007-178296
登録番号 特許第4848513号
出願日 平成17年12月28日(2005.12.28)
公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
登録日 平成23年10月28日(2011.10.28)
発明者
  • 福田 眞
出願人
  • 国立大学法人弘前大学
発明の名称 回転体測定方法および装置
発明の概要 【課題】高次の次数kを考えた場合でも、正しく計算できない次数kが出てくるということがなく、回転体の形状r(θ)、ひいては回転振れ量x(θ)、y(θ)を正しく求めることができる回転体測定装置20および方法を提供する。
【解決手段】4本以上の検出器を用いて、(22)式および(23)式の分母にくる倍率係数α1k、β1k等が均一になる検出器の角度配置を複数組選択する。(22)式および(23)式の分母が0となる部分は複数組の間で補完しあうように倍率H1k、H2k(結果的に倍率係数α1k、β1k等)を選択する。この補完しあう倍率係数α1k、β1k等(結果的にAak、Bak)を用いて形状r(θ)と回転振れ量x(θ)、y(θ)を求める。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要



近年、ハードディスクまたは光ディスク等の情報機器の高度化および小型化に伴い、軸受けに要求される回転精度はますます高くなっており、それと共に、回転軸の振れ測定の高精度化に対する要求もますます高くなっている。特に回転体においては、変位検出器(以下、「検出器」と省略する。)単体の精度だけではなく、回転時のフーリエ成分の高次な次数を検出する要求も出てきている。例えばハードディスクにおいては、20次程度までの周波数成分が問題となってきている。





従来、回転軸または回転体(以下、特に区別する必要がある場合を除き、「回転体」と統一する。)の振れ測定(以下、「回転振れ測定」と言う。)を非接触で測定する方法として較正した3つの検出器を同時に使用し、回転体の形状と回転振れを求める3点法が研究されている(非特許文献1参照)。3点法は、3つの検出器の配置(角度)と検出データの重みとを巧妙に選び、検出データの重み付け加算値を求めることにより、回転振れ(回転体の偏心量)に依存せずに回転体の形状を検出することができるという特徴を利用した方法である。回転振れ成分は、求められた回転体の形状に基づいて求める。3点法は、回転体の形状または回転振れの挙動が単純でフーリエ級数の次数が低い場合には、非常に高い精度で回転体の形状または回転振れを求めることができると言われている。





次に、3点法の原理について説明する。図5は、3点法の原理を説明するための回転体および検出器の配置を示す。図5において、符号10は回転体、1、2および3は検出器(プローブ)、Oはxy座標の原点、Ocは回転体の中心位置、θは回転体10の回転角、φは検出器1の配置角度、φは検出器2の配置角度、φは検出器3の配置角度である。図5に示されるように、回転体の中心位置Ocは偏心して、偏心量は(x(θ)、y(θ))であるものとする。





回転体10の形状をr(θ)で表し、フーリエ級数展開して各次数毎の成分で表示すると、以下の(1)式のようになる。





r(θ)=r0+Σ(Akcos(kθ)+Bksin(kθ)) (1)





(1)式で、r0は回転体の平均半径、kはフーリエ級数の次数、Ak、Bkは形状を表す形状フーリエ係数であり、加算(Σ)はk=1からN(目標とするフーリエ級数成分の最高次数)までとるものとする。平均半径r0は、形状r(θ)を求める場合には一定値と考えられるため、0と考えてよい。各検出器i(i=1~3)での検出変位をdi(θ)で表すと、以下の(2)式となる。





di(θ)=r(θ+φi)+x(θ)cosφi+y(θ)sinφi (2)





形状r(θ)を求めるために、w(i=1~3)を重みとして、重み付け加算dr(θ)を以下の(3)式のようにとる。





dr(θ)=wr(θ+φ)+wr(θ+φ)+wr(θ+φ

+x(θ)(wcosφ+wcosφ+wcosφ

+y(θ)(wsinφ+wsinφ+wsinφ) (3)





(3)式で、重みwと配置角度φとを以下の(4)式のようにとると、偏心量x(θ)およびy(θ)に依存せずに重み付け加算dr(θ)を得ることができる。





cosφ+wcosφ+wcosφ=0

sinφ+wsinφ+wsinφ=0 (4)





(4)式で、w=0、φ=0としても一般性は失われないので、この方法で検討している報告も存在する。(4)式が成り立つと、重み付け加算dr(θ)は偏心量x(θ)、y(θ)に依存しなくなる。(3)式および(1)式より、





dr(θ)=wr(θ+φ)+wr(θ+φ)+wr(θ+φ

=wΣ{Akcos(k(θ+φ))+Bksin(k(θ+φ))}

+wΣ{Akcos(k(θ+φ))+Bksin(k(θ+φ))}

+wΣ{Akcos(k(θ+φ))+Bksin(k(θ+φ))}

(5)





(5)式を変形して、αk、βkを以下の(6)式のようにおけば、(5)式は(7)式のように表すことができる。αk、βkは、各次数毎の倍率を表すので、倍率係数と呼ぶことにする。





cos(kφ)+wcos(kφ)+wcos(kφ):=αk

sin(kφ)+wsin(kφ)+wsin(kφ):=βk (6)

dr(θ)=Σ{(Akαk-Bkβk)cos(kθ)

+(Bkαk+Akβk)sin(kθ)}

=Σ{Fkcos(kθ)+Gksin(kθ)} (7)





従って、3つの検出器i(i=1~3)の重み付け加算値dr(θ)のフーリエ係数Fk、Gkを求め、倍率係数αk、βkからAk、Bkを以下の(8)式で求めることができる。





Ak=(αkFk+βkGk)/(αk+βk

Bk=(-βkFk+αkGk)/(αk+βk) (8)





(8)式のAk、Bkを用い、回転体の形状r(θ)を(1)式で求めることができる。ここで、注意するべきことは、(8)式においては、倍率係数αkとβkとを分母に有していることである。形状r(θ)が求まると、偏心量x(θ)、y(θ)は以下の(9)式で求まる。





x(θ)={-(d(θ)-r(θ+φ))sinφ

+(d(θ)-r(θ+φ))sinφ}/sin(φ-φ

y(θ)={(d(θ)-r(θ+φ))cosφ

-(d(θ)-r(θ+φ))cosφ}/sin(φ-φ

(9)





回転体10の偏心量x(θ)、y(θ)は、回転時には1次の回転振れとして現れる。この回転振れには回転体10自体の回転振れと回転体10の取付け誤差とを含むが、両者を分離することはできない。さらに、回転体10の偏心量x(θ)、y(θ)の周波数成分をCk、Dk、Nk、Mkで表せば、以下の(10)式回転振れの周波数成分を求めることが可能である。





x(θ)=Σ{Ckcos(kθ)+Dksin(kθ)}

y(θ)=Σ{Nkcos(kθ)+Mksin(kθ)} (10)





以上が3点法の原理である。次に、3点法の処理の流れをフローチャートを用いて説明する。図6は、3点法の処理の流れをフローチャートで示す。図6に示されるように、回転体10の回転振れの一次成分(偏心量)が0となるように重みw(i=1~3)を求める(ステップS30)。ステップS30で求まった重みw(i=1~3)に従って、各検出器i(i=1~3)の角度φ(i=1~3)毎のフーリエ成分を加算した倍率係数αk、βkを求める(ステップS32)。ステップS30で求まった重みw(i=1~3)に従って、検出器i(i=1~3)出力の重み付け加算dr(θ)を求める(ステップS34)。ステップS34で求まった重み付け加算dr(θ)のフーリエ係数Fk、Gkを求める(ステップS36)。ステップS36で求まったフーリエ係数Fk、GkとステップS32で求まった倍率係数αk、βkとから、形状のフーリエ成分である形状フーリエ係数Ak、Bkを求める(ステップS38)。ステップS38で求まった形状フーリエ係数Ak、Bkから回転体10の形状r(θ)を求める(ステップS40)。ステップS40で求まった回転体10の形状r(θ)と各検出器i(i=1~3)の出力とから、回転体10の回転振れ量x(θ)、y(θ)を算出する(ステップS42)。





【非特許文献1】

山栄樹、守時一、「3点法による真円度形状測定と軸の回転精度測定に関する一考察」、精密工学会誌、Vol.65、No.9、1999.

産業上の利用分野


本発明は、回転体の形状を含む特性を測定する回転体測定方法および装置(以下、「回転体測定方法等」という。)に関し、特にハードディスクまたは光ディスク等の情報機器における回転軸の形状および回転振れ量を非接触で測定する回転体測定方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
回転体の形状を含む特性を測定する回転体測定方法であって、該回転体の回転円周上に測定中心に向けて配置された少なくとも4本の検出器群と、該検出器群に接続された処理部とを用いるものであり、
前記検出器群の内の3本を一組とする第1組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第1組の倍率が所定の条件に従う角度に設定され、該所定の条件は、複数の配置角度に関する第1組の倍率におけるフーリエ級数の次数中での最大値が最小となる倍率の場合の配置角度であり、
前記検出器群の内の、第1組と少なくとも1本が異なる3本を一組とする第2組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第2組の倍率が第1組の倍率を補完する補完条件に従う角度に設定されており、該補完条件は、各組の倍率が所定の値以上の近似的に均一な値となる倍率の場合の配置角度であり、
前記処理部は、前記検出器群の出力と、3点法により第1組の倍率と第2組の倍率とを求め、大きい方の倍率の組をその次数の係数として採用する所定の多点法とに基づき回転体の形状算出することを特徴とする回転体測定方法。

【請求項2】
請求項1記載の回転体測定方法において、前記検出器群の内に3本を一組とする第m組(m2)を設定し、第m組は第1組乃至第m-1組と少なくとも1本が異なるものであり、第m組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第m組の倍率が第1組乃至第m-1組の各倍率を補完する前記補完条件に従う角度に設定されたことを特徴とする回転体測定方法。

【請求項3】
請求項1又は2記載の回転体測定方法において、回転体の形状は回転角によるフーリエ級数で表され、変位検出器の出力である検出変位は回転体の偏心量と該変位検出器の配置角度における回転体の形状とに基づき表され、
前記処理部が、
各組毎に、各検出器の検出変位の重み付け加算を求める際における重みを、偏心量が0となるように求める重み算出処理ステップと、
各組毎に、前記重み算出処理ステップにより求めた重みを用いて各変位検出器の配置角度毎のフーリエ成分を加算した倍率係数を求める倍率係数算出処理ステップと、
各組毎に前記倍率係数算出処理ステップにより求めた倍率係数に基づく倍率を求め、フーリエ級数の各次数毎に各組の倍率の大小を比較し、各次数毎に大きい方の組を選択する選択処理ステップと、
各組毎に、前記重み算出処理ステップにより求めた重みを用いて各検出器の検出変位の重み付け加算を求める重み付け加算処理ステップと、
各組毎に、前記重み付け加算処理ステップにより求めた重み付け加算のフーリエ係数を求めるフーリエ係数算出処理ステップと、
各組毎に、前記倍率係数算出処理ステップにより求めた倍率係数と前記フーリエ係数算出処理ステップにより求めた重み付け加算のフーリエ係数とを用いて、回転体の形状のフーリエ係数を求める形状フーリエ係数算出処理ステップと、
前記形状フーリエ係数算出処理ステップにより求めた各組毎の回転体の形状のフーリエ係数について、前記選択処理ステップにより各次数毎に選択した組の方の回転体の形状のフーリエ係数を各次数毎の正の回転体の形状のフーリエ係数として求める正形状フーリエ係数算出処理ステップと、
前記正形状フーリエ係数算出処理ステップにより求めた正の回転体の形状のフーリエ係数に基づき、回転体の形状を求める形状算出処理ステップとを実行することを特徴とする回転体測定方法。

【請求項4】
請求項3記載の回転体測定方法において、前記処理部は、前記形状算出処理ステップにより求めた形状と前記重み付け加算処理ステップにより求めた各組毎の重み付け加算とに基づき、回転体の回転振れ量を求める回転振れ量算出ステップをさらに備えたことを特徴とする回転体測定方法

【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の回転体測定方法において、検出器が4本の場合、変位検出器の配置角度は、各々、0°、110°、120°及び-135°であることを特徴とする回転体測定方法。

【請求項6】
回転体の形状を含む特性を測定する回転体測定装置であって、該回転体の回転円周上に測定中心に向けて配置された少なくとも4本の検出器群と、該検出器群に接続された処理部とを備え、
前記検出器群の内の3本を一組とする第1組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第1組の倍率が所定の条件に従う角度に設定され、該所定の条件は、複数の配置角度に関する第1組の倍率におけるフーリエ級数の次数中での最大値が最小となる倍率の場合の配置角度であり、
前記検出器群の内の、第1組と少なくとも1本が異なる3本を一組とする第2組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第2組の倍率が第1組の倍率を補完する補完条件に従う角度に設定されており、該補完条件は、各組の倍率が所定の値以上の近似的に均一な値となる倍率の場合の配置角度であり、
前記処理部は、前記検出器群の出力と、3点法により第1組の倍率と第2組の倍率とを求め、大きい方の倍率の組をその次数の係数として採用する所定の多点法とに基づき回転体の形状を算出することを特徴とする回転体測定装置。

【請求項7】
請求項6記載の回転体測定装置において、前記検出器群の内に3本を一組とする第m組(m>2)を設定し、第m組は第1組乃至第m-1組と少なくとも1本が異なるものであり、第m組の検出器の配置角度は、前記回転体の形状のフーリエ級数成分算出時に用いる第m組の倍率が第1組乃至第m-1組の各倍率を補完する補完条件に従う角度に設定されたことを特徴とする回転体測定装置。

【請求項8】
請求項6又は7記載の回転体測定装置において、回転体の形状は回転角によるフーリエ級数で表され、変位検出器の出力である検出変位は回転体の偏心量と該変位検出器の配置角度における回転体の形状とに基づき表され、
前記処理部は、
各組毎に、各検出器の検出変位の重み付け加算を求める際における重みを、偏心量が0となるように求める重み算出処理手段と、
各組毎に、前記重み算出処理手段により求めた重みを用いて各変位検出器の配置角度毎のフーリエ成分を加算した倍率係数を求める倍率係数算出処理手段と、
各組毎に前記倍率係数算出処理手段により求めた倍率係数に基づく倍率を求め、フーリエ級数の各次数毎に各組の倍率の大小を比較し、各次数毎に大きい方の組を選択する選択処理手段と、
各組毎に、前記重み算出処理手段により求めた重みを用いて各検出器の検出変位の重み付け加算を求める重み付け加算処理手段と、
各組毎に、前記重み付け加算処理手段により求めた重み付け加算のフーリエ係数を求めるフーリエ係数算出処理手段と、
各組毎に、前記倍率係数算出処理手段により求めた倍率係数と前記フーリエ係数算出処理手段により求めた重み付け加算のフーリエ係数とを用いて、回転体の形状のフーリエ係数を求める形状フーリエ係数算出処理手段と、
前記形状フーリエ係数算出処理手段により求めた各組毎の回転体の形状のフーリエ係数について、前記選択処理手段により各次数毎に選択した組の方の回転体の形状のフーリエ係数を各次数毎の正の回転体の形状のフーリエ係数として求める正形状フーリエ係数算出処理手段と、
前記正形状フーリエ係数算出処理手段により求めた正の回転体の形状のフーリエ係数に基づき、回転体の形状を求める形状算出処理手段とを備えたことを特徴とする回転体測定装置。

【請求項9】
請求項8記載の回転体測定装置において、前記処理部は、前記形状算出処理手段により求めた形状と前記重み付け加算処理手段により求めた各組毎の重み付け加算とに基づき、回転体の回転振れ量を求める回転振れ量算出手段をさらに備えたことを特徴とする回転体測定装置。

【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載の回転体測定装置において、検出器が4本の場合、変位検出器の配置角度は、各々、0°、110°、120°及び-135°であることを特徴とする回転体測定装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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