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薬物送達システム 外国出願あり

国内特許コード P140011038
整理番号 H19-097D
掲載日 2014年10月30日
出願番号 特願2009-547150
登録番号 特許第5471447号
出願日 平成20年12月19日(2008.12.19)
登録日 平成26年2月14日(2014.2.14)
国際出願番号 JP2008073884
国際公開番号 WO2009082014
国際出願日 平成20年12月19日(2008.12.19)
国際公開日 平成21年7月2日(2009.7.2)
優先権データ
  • 特願2007-331948 (2007.12.25) JP
発明者
  • 青木 浩樹
  • 吉村 耕一
  • 堤 宏守
  • 照山 智恵
  • 松崎 益徳
  • 黒田 俊一
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 薬物送達システム 外国出願あり
発明の概要 従来様々な理由により有効な局所濃度を達成することが困難であった薬物や、作用局所以外の組織における副作用のために使用が困難であった薬物を使用可能にし、病変がある体内局所に、有効な濃度の薬物を継続して送達するシステムであり、薬物の変更、再充填が可能な薬物送達システムを提供することをその主な課題とする。表面に標的分子を有する生体適合性材料で被膜した生体内留置医療装置と、前記標的分子と特異的に結合可能な標的認識分子を有し、かつ薬物が封入された標的認識ナノキャリアー(バイオナノカプセル、リポソーム、リポ化製剤、ナノパーティクルなど)からなる薬物送達システムを提供する。
従来技術、競合技術の概要



様々な疾患、特に局所的な病変に対する薬物治療が有効であるためには、作用局所で充分な濃度を達成する必要がある。一方、当該病変部以外の組織における薬物濃度が上昇すると、多くの場合に当該薬物は何ら有効な作用を示さないばかりか、望ましくない副作用を示すことがある。そのため、薬物の効果を発揮したい体内局所に、特異的に当該薬物を送達し、当該部位の薬物濃度を選択的に上昇させる薬物送達システムが開発されてきた。

薬物送達の手段として、薬物をリポ化する、あるいはマイクロカプセルに封入することにより、体内局所に集積させ、当該局所で徐放させることにより局所作用を発揮させる方法は知られており、例えば、抗腫瘍剤のリュープロレリン注射剤(非特許文献1)、血行改善剤のアルプロスタジル注射剤(非特許文献2)等が実用化されている。しかしながら、リポ化またはマイクロカプセル化した製剤を、薬物作用を発揮させようとする体内局所に集積させる方法の一例は、当該局所の血管の脆弱性のため血管内投与された当該製剤が血管外組織に漏出する性質(enhanced permeability and retention:EPR)を利用するものであり、薬物集積の効率は当該局所の組織特性に依存しており、体内の任意の場所に薬物を自在に送達することは困難である。この問題を解決するために、マイクロカプセルの表面に、体内局所の組織を特異的に認識する分子、例えば糖鎖認識分子や、目的細胞の表面抗原を認識する抗体などを提示させ、当該マイクロカプセル化薬剤の局所集積特異性を高めようとする試みがなされている(特許文献1、2)。しかし、薬物を作用させたい体内局所に特異的な糖鎖や細胞表面抗原等が発見されていない場合には、薬物を当該局所のみに送達することが困難である。

一方、生体内に留置する医療装置を利用する薬物送達システムは、例えば薬物塗布ステントとして良く知られ(特許文献3)、実用化もされている。免疫抑制剤や抗増殖性薬を塗布し徐放させる冠動脈ステントは、ステント植え込み後の再狭窄を効果的に予防できるため、一時期盛んに使用された。しかし、植え込んだ後にステント内血栓形成による冠動脈閉塞を高頻度に起こし、急性心筋梗塞や突然死を起こすことが明らかとなったが、植え込んだステントを取り出すことは事実上不可能なため、重大な医療問題となっている。

また、医療の現場では、様々な理由から薬物の種類、薬効の開始時点、有効期間を変更する必要に迫られることが多い。例えば体内留置医療装置が必要になる原因となった病変に対して治療効果のある薬物であれば、病変の活動性が高い時期には充分量の薬物を送達する必要があり、病変が沈静化した時期に薬物減量または中止すれば副作用の減弱、消失または予防が期待され、病変活動性が再び高まれば再度充分量の薬物を局所に送達する必要がある。この要請に応えるために、種々の医療装置が治療薬を体内局所に送達するために開発されてきた。しかし、好ましい標的部位に持続的な期間薬物を供与するには多くの課題が残っている。

動脈瘤は、動脈壁を構成している細胞外基質の分解亢進あるいは合成異常により動脈壁が局所的に脆弱化することによって発症し、次第に拡大し、やがて破裂して死に至る病気であり、破裂以前にはほとんど無症状である。したがって、「動脈瘤に対する有効な治療」とは、この破裂を防止し、生命予後を改善することに他ならない。現在、有効性が証明されている動脈瘤の治療法は、手術により動脈瘤を人工血管に置換する方法と、血管内にステント・グラフト(人工血管)を挿入し、動脈瘤を血流から遮断する方法がある。ステント・グラフトは、動脈瘤化した動脈部位を越えて、瘤の前後に存在する正常血管に達するように設計される。動脈瘤部位に挿入されたステント・グラフトは自己展開し、瘤前後の正常血管に密着し、瘤を血行負荷から遮断することにより治療効果を発揮する。ステント・グラフトは、動脈瘤への血行負荷遮断が完全である限り、有効な治療法である。しかし最大の問題点は、動脈瘤への血行負荷遮断が不充分となる可能性があることである。ステント・グラフトによる治療後に、動脈壁の脆弱性および/または動脈瘤の拡大が進行すると、ステント・グラフトの動脈壁への密着が不充分となり、動脈瘤壁への血行負荷遮断が不完全になることが少なからず経験される(エンドリーク)。一旦、動脈瘤壁への血行負荷遮断が不完全になると、もはやステント・グラフトは動脈瘤の拡張進行、破裂を予防することはできない。従って、薬物治療により動脈瘤の病勢を効果的に抑制し、ステント・グラフトの動脈壁への密着を完全に保つことが重要である。同時に、薬物治療により動脈瘤を退縮させることができれば、ステント・グラフトの動脈壁への密着および動脈瘤壁への血行負荷遮断は、より完全に保たれ、ステント・グラフトの治療成績は飛躍的に向上することになる。

JNK(c-Jun N-terminal kinase)阻害薬は、動脈瘤の退縮を引き起こすことが証明されている唯一の薬物であり、薬物治療による動脈瘤退縮の可能性は現実のものとなった(非特許文献3)。しかし、これらの薬物を全身投与すると、望ましくない副作用が出現する可能性がある。ドキシサイクリンについて知られている副作用は、例えば、食欲不振、吐気、嘔吐、下痢、発疹、腎臓毒性、および貧血を含む。ロキシスロマイシンやテトラサイクリン誘導体などの抗生物質使用は、抗生物質耐性病原体の蔓延を引き起こし得る(非特許文献4)。JNK阻害薬の全身投与による副作用として免疫抑制や肝機能障害などの副作用も懸念される。ヒドロキシメチルグルタリル コエンザイムエー(HMG-CoA)還元酵素阻害薬(スタチン)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬等についても、食欲不振、吐気、嘔吐、下痢、発疹、過度の血圧低下を含む副作用が知られている。

【特許文献1】

開2007-106752号公報

【特許文献2】

開平9-110722号公報

【特許文献3】

許第3954616号公報

【非特許文献1】

川泰亮 他、Chem Pharm Bull 36:2576-2581,1988

【非特許文献2】

野哲夫 他、基礎と臨床 20:5145-5154,1986

【非特許文献3】

村耕一 他、Nature Medicine 11:1330,2005

【非特許文献4】

松啓一編、医薬ジャーナル社、耐性菌感染症の理論と実践、(2002年)

産業上の利用分野



本発明は、再充填可能な薬物送達システム(RDDS:Rechargeable Drug Delivery System)に関し、詳しくは、標的分子を有する生体内留置医療装置、および標的認識分子を有する薬物放出制御可能なナノキャリアーからなる薬物送達システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
表面に標的分子を有する生体内留置医療装置と、前記標的分子と特異的に結合可能な標的認識分子を有し、かつ薬物を封入した標的認識バイオナノカプセルを含む薬物送達システムであって、前記生体内留置医療装置は生体適合性の生分解性材料によって被覆されており、かつその被覆に標的分子が埋め込まれており、前記標的分子がニュートラビジン(登録商標)であり、前記標的認識分子がビオチンである、薬物送達システム

【請求項2】
前記生体内留置医療装置がビオチン化により結合されたニュートラビジン(登録商標)を有する、請求項1に記載の薬物送達システム。

【請求項3】
標的認識バイオナノカプセルが有する標的認識分子が、生体内留置医療装置が有する標的分子に結合されるように設計され、それによって、標的認識バイオナノカプセルは、当該生体内留置医療装置に結合し、内包する薬物を徐放、もしくは標的認識バイオナノカプセルが周辺組織内部に導入され、薬物を放出することを特徴とする請求項1または2に記載の薬物送達システム。

【請求項4】
薬物送達システムが、動脈瘤治療のためのシステムであって、生体内留置医療装置がステント・グラフトであり、標的認識バイオナノカプセルが、JNK阻害活性を有する薬物を封入した標的認識バイオナノカプセルである請求項1~3のいずれか1項に記載の薬物送達システム。

【請求項5】
標的認識バイオナノカプセルが、ウイルス表面抗原由来の粒子またはその改変体と脂質二重膜を含むナノサイズのカプセルである請求項1~4のいずれか1項に記載の薬物送達システム。

【請求項6】
標的認識バイオナノカプセルが、B型肝炎ウイルス表面抗原由来の粒子またはその改変体と脂質二重膜を含むナノサイズのカプセルである請求項に記載の薬物送達システム。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の薬物送達システム用の、表面に標的分子を有し、生体適合性の生分解性材料によって被覆されており、かつその被覆に標的分子が埋め込まれており、前記標的分子がニュートラビジン(登録商標)である、生体内留置医療装置。

【請求項8】
ビオチン化により結合されたニュートラビジン(登録商標)を有する、請求項7に記載の生体内留置医療装置。

【請求項9】
ステント・グラフトである請求項7または8に記載の生体内留置医療装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009547150thum.jpg
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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