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自己抗体の検出方法

国内特許コード P140011041
整理番号 H22-054
掲載日 2014年10月30日
出願番号 特願2010-188841
公開番号 特開2012-047543
登録番号 特許第5493130号
出願日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成24年3月8日(2012.3.8)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
発明者
  • 赤田 純子
  • 中村 和行
  • 蔵満 保宏
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 自己抗体の検出方法
発明の概要 【課題】HCV感染者の血清からHCC患者特異的自己抗体等の血清中の自己抗体を、高感度・特異的に検出する方法を提供すること。
【解決手段】抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端に融合したGFP、C末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;
抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;
Cy5標識抗ヒトIg抗体と、Cy3標識抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;蛍光強度の比(Cy5/Cy3)を算出する工程; を備えた自己抗体の検出方法。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



わが国においてC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は150万~200万人いると推測され、その多くは輸血などの医療行為に対策がとられる以前の感染によるものであり、現在新たな感染者の増加率は低くなっている。しかし一度感染が成立すると感染は持続的で、HCV感染者は慢性的な肝炎(C型肝炎)を引き起こし、20~30年を経て肝硬変の後に、もしくはC型肝炎から直接に肝細胞癌を発症する。従ってHCV感染者においては、出来る限り早期にこれらの疾患発症を検出し、早期に治療を開始して、肝疾患を克服することが、現在の重要な医学的課題である。原発性肝細胞癌発症の診断マーカーとして血清中のAFP(α-fetoprotein)、PIVKA-II(protein induced by vitamin-K absence-II)等が報告されているが、初期段階での検出感度が低いため、前癌状態における診断に用いることは困難であった。そのため、新しい肝癌検出用マーカーの開発が急務である。本発明者のグループは、肝細胞癌患者には特異的な3つの自己抗体が存在することを報告してきた(非特許文献1参照)。その自己抗体抗原タンパク質は、HSP70(heat shock 70kDa protein 1)、SOD2 (manganese superoxide dismutase)、PRDX6(peroxiredoxin)である。こうした自己抗体は診断マーカーとして活用できる可能性がある。





近年、多種類のタンパク質を小さな基板上に固定化するタンパク質チップ技術の進展が著しい。タンパク質チップは、先行しているDNAチップ技術を発展させながらも、DNAより多様な立体構造をもち直接生命機能を担うタンパク質独自の特徴の少なくとも一部を基板上で再現する必要があり、こうした問題を解決しながら現在発展途上にある。





バイオマーカーとなる自己抗体としては、肝臓癌患者の体液または組織抽出液中に存在しかつ肝臓癌で発生量が増加する抗ヒトGADII自己抗体をヒトGADIIタンパク質と反応させることにより検出する方法等(特許文献1参照)や血中のホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法(特許文献2参照)が報告されている。また、バイオチップ上に固定化された肝臓疾患用バイオマーカーを用いて、試料中の自己抗体を同定する肝臓疾患用の検出キット等(特許文献3参照)が報告されている。





また、本発明者らは、基板上にアミノ基を介してマレイミド基を導入した固体支持体を用い、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドをマレイミド基と結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法(特許文献4参照)等や、ポリペプチドが固定化された担体を凍結乾燥することを含む担体の保存方法(特許文献5参照)について報告し、また、スタスミンと、スタスミンに結合した検出用の蛍光タンパク質と、C末端側に結合したシステインタグと、N末端側に結合したヒスチジンタグを含むポリペプチドで構成される、スタスミンを有効成分とする、タンパク質検出用チップ(特許文献6参照)等について報告している。これらのチップでは、タンパク質は基板から1方向に並んで裸出しているため、基板を浸した溶液中の物質との反応性に富むことが予測される。





そしてまた、本発明者らは、ヒスチジンタグと、システイン残基が5つ連なった5xCys(システイン)タグを付加したGFPタンパク質を大腸菌内で発現させ、ニッケルカラムで精製後、マレイミド基を導入したダイヤモンドライクカーボン(DLC)基板に対する、上記タンパク質の結合、及び結合効率について調べた。タンパク質発現、精製、及びマレイミド基への結合までのトータルな効率を考えると、ターゲットタンパク質のN末端側にヒスチジンタグを、C末端側にシステインタグを付加させるとよいことを報告している(非特許文献2参照)。

産業上の利用分野



本発明は、自己抗体の検出方法、より詳しくは、自己抗原タンパク質を調製し基板に結合させて調製した抗原チップを用いて自己抗体の発現量を測定する自己抗体の検出方法に関する。本発明の自己抗体の検出方法は、例えば、血清中に存在する自己抗体の発現量の増減を指標として、癌を発症するリスクを判定する際に有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を備えた自己抗体の検出方法。
(a)抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端又はC末端に融合した蛍光タンパク質、及び蛍光タンパク質を融合した反対の末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;
(b)工程(a)で調製した複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;
(c)工程(b)で調製した抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;
(d)加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;
(e)蛍光物質[I]で標識された抗ヒトIg抗体と、蛍光物質[I]と異なる蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;
(f)蛍光物質[I]/蛍光物質[II]の蛍光強度の比を算出する工程;

【請求項2】
蛍光タンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いることを特徴とする請求項1記載の自己抗体の検出方法。

【請求項3】
複合タンパク質が、抗原タンパク質のN末端に融合した蛍光タンパク質及びC末端に融合したシステインタグを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の自己抗体の検出方法。

【請求項4】
複合タンパク質が、GFPのN末端にヒスチジンタグがさらに融合されていることを特徴とする請求項2又は3記載の自己抗体の検出方法。

【請求項5】
工程(c)と工程(d)の間に、BSAブロッキング処理を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の自己抗体の検出方法。

【請求項6】
タンパク質の変性剤としてSDS、還元剤として2-メルカプトエタノールを用いることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の自己抗体の検出方法。

【請求項7】
蛍光物質としてCy3とCy5を用いることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の自己抗体の検出方法。

【請求項8】
基板として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)がコーティングされているDLCチップを用いることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の自己抗体の検出方法。

【請求項9】
抗原タンパク質が、HSP70、SOD2、又はPRDX6であることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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