TOP > 国内特許検索 > 凝集性酵母、及びその作製法

凝集性酵母、及びその作製法 外国出願あり

国内特許コード P140011042
整理番号 H20-015
掲載日 2014年10月30日
出願番号 特願2010-503780
登録番号 特許第5435657号
出願日 平成21年3月18日(2009.3.18)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
国際出願番号 JP2009001214
国際公開番号 WO2009116286
国際出願日 平成21年3月18日(2009.3.18)
国際公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
優先権データ
  • 特願2008-069329 (2008.3.18) JP
  • 特願2008-187206 (2008.7.18) JP
発明者
  • 赤田 倫治
  • ノンクラ サノム
  • 星田 尚司
  • アブデル-バナット バビカ モハメド アーメド
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 凝集性酵母、及びその作製法 外国出願あり
発明の概要 【課題】
外来の凝集性遺伝子をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入することにより、バイオエタノールの工業生産に適した、耐熱性及び凝集性を有する新規のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体、ならびに、該形質転換体の効率的な作製法を提供すること。
【解決手段】
本発明者らは、クルイベロマイセス・マルシアヌスに凝集性を付与するための外来遺伝子として、サッカロマイセス・セレビシエの凝集性遺伝子FLOに着目し、既知の発現プロモーター配列とサッカロマイセス・セレビシエ由来のFLO遺伝子配列とを含む線状DNA断片を作製した。この線状DNA断片をクルイベロマイセス・マルシアヌス菌に導入した結果、クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体が効率よく得られることを確認するとともに、予想外にも、上記形質転換体の凝集性が顕著に高まることを確認し、本発明を完成するに至った。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



微生物は、工業製品を生産するために重要な位置を占めている。その中で、より効率よく安価に生産を行うことが課題とされてきた。その解決方法は、より高い生産性を示す菌株を選択すること、微生物培養のための培地組成や培養温度等の培養条件の検討等であった。近年の分子遺伝学の発達のもとでは、菌株の選択肢のひとつとして、従来の菌株から優秀な遺伝子を特定して利用し、菌株を形質転換する手法があげられる。従来、有用な食品類を生産してきた酵母においても、より有効な生産のために形質転換が多く行われている。





有効な生産のための形質転換のひとつとして、菌体の凝集性を高める形質転換があげられる。発酵法によるアルコール生産は、発酵酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の中で特にアルコール生産性の高い株を用いて、回分発酵法あるいは、連続発酵法という手法で実施されている。従来の回分発酵法は、アルコール発酵酵母に糖蜜等を原料として加え、一定の条件下で培養することによりアルコールを生成させる。生成されたアルコールは、培養液を加熱して蒸留回収するが、培養液中に残った酵母は、加熱により死滅する。従って、アルコール生産を続ける際には、酵母液を補充しなければならない。このような工程は、効率が悪く、さらにコスト高になる。凝集性酵母を使用した場合は、静置して上清のアルコールを回収し、沈殿している凝集性酵母に新たな発酵液を加えて、再度アルコール生産を行うことができるため、回分発酵法によるアルコール生産においては、凝集性の酵母が望まれていた。





凝集性を付与する形質転換の手法として、アルコール発酵酵母の染色体上の任意のマーカー遺伝子領域に、外来DNAである凝集性遺伝子発現カセットを導入して作製した、実用的な凝集性アルコール発酵酵母とその育種方法(特許文献1)、酵母の凝集性遺伝子の凝集性に関与する蛋白領域をコードするDNAを取得し、該DNAをビール酵母に導入して凝集性が強化された酵母を製造する方法(特許文献2)、燃料用エタノール生産のために凝集性酵母の構築(非特許文献1)等がある。これらの既に報告されている形質転換酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ由来の凝集性遺伝子を、サッカロマイセス・セレビシエに属する酒類製造用酵母に導入して作製されたものである。一方、サッカロマイセス・セレビシエと異なる属に属する酵母に、サッカロマイセス・セレビシエ由来の凝集性遺伝子を導入した形質転換酵母については未だ報告されておらず、サッカロマイセス・セレビシエ由来の凝集性遺伝子が、サッカロマイセス・セレビシエ以外の酵母においても凝集性の調節に関与するかどうかについては全く知られていなかった。





サッカロマイセス・セレビシエでは、全ゲノムの解析がおわり、凝集性遺伝子が特定されている。凝集性に関与するFLO遺伝子群には、第1番染色体上に存在するFLO1遺伝子(非特許文献2)、第8番染色体上に存在するFLO5遺伝子(非特許文献3)、第5番染色体上に存在するFLO8遺伝子(非特許文献4)、第1番染色体上に存在するFLO9遺伝子(非特許文献5)、第11番染色体上に存在するFLO10遺伝子(非特許文献6)等がある。これらの遺伝子は、FLO1と類似の塩基配列を有するレクチン様タンパク質であるとされている。





現在、石油供給の問題点から、世界レベルで石油に代わって、生物由来資源(バイオマス)によるエネルギー源の探索が試みられている。バイオマスによる新エネルギーのひとつに、バイオマス燃料であるバイオエタノールがある。バイオエタノールは、糖質あるいはデンプン質を多く含む植物資源が利用されている。バイオマスを原料とした微生物によるアルコール生産の方法としては、サゴヤシ原木の粉砕物を糖化し、サッカロマイセス・セレビシエによるエタノールの発酵生産法(特許文献3)、サッカロマイセス・セレビシエに属する酵母を用いた生ごみなどの廃棄物からの燃料用アルコールの生産法(特許文献4)が開示されている。バイオエタノールの生産に使う酵母は、バイオマスの処理に対応できる耐熱性を有し、アルコール生産酵母と同様に高い凝集性を有する酵母が望まれている。





酵母クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)は耐熱性を有する酵母であり、Lertwattanasakulや山田らによって糖からエタノールへの変換に関与する酵素アルコールデヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase; Adh)の発現が確認されている(非特許文献7)。クルイベロマイセス・マルシアヌスはエタノールを産生することができるだけでなく、タンパク質生産性が高いことから、工業的な生産において非常に有用であると考えられるが、クルイベロマイセス・マルシアヌスの形質転換方法が一般的に確立されていない等、研究が進んでいないのが現状である。このため、バイオエタノールの工業生産に適したクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換株については、これまで全く報告されていない。





【特許文献1】

許第3040959号公報

【特許文献2】

許第3643404号公報

【特許文献3】

開2007-195406号公報

【特許文献4】

開2006-325577号公報

【非特許文献1】

iotechnol Lett, 30: 97-102, 2008

【非特許文献2】

east, 9: 423-427,1993

【非特許文献3】

cience, 265: 2077-2082, 1994

【非特許文献4】

ature 387: 78-81, 1997

【非特許文献5】

roc. Natl. Acad. Sci.U.S.A. 92: 3809-3813, 1995

【非特許文献6】

ature 369: 371-378, 1994

【非特許文献7】

iosci. Biotechnol. Biochem.71: 1170-82, 2007

産業上の利用分野



本発明は、バイオエタノール生産のための凝集性を高めたクルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)に属する凝集性酵母、及びその作製法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(A)~(C)を順次含むことを特徴とする凝集性及び耐熱性を有するクルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus)形質転換体の作製方法。
(A)サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の内在性FLO1遺伝子、及び、内在性FLO9遺伝子から選択される1以上のFLO遺伝子の上流にマーカー遺伝子配列及び発現プロモーター配列を導入してサッカロマイセス・セレビシエ形質転換体を作製する工程;
(B)工程(A)で作製されたサッカロマイセス・セレビシエ形質転換体由来の染色体DNAから、マーカー遺伝子配列、発現プロモーター配列、及び、FLO遺伝子配列を含むDNA断片を得る工程;
(C)工程(B)で得られたDNA断片を、FLO遺伝子発現カセットとしてクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入し、クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体を作製する工程;

【請求項2】
マーカー遺伝子が、栄養要求性マーカー遺伝子であることを特徴とする請求項1記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項3】
栄養要求性マーカー遺伝子がヒスチジン、ロイシン、ウラシル、メチオニン、リシン、アデニン、トリプトファン、アルギニンの少なくとも1つの栄養要求性遺伝子であることを特徴とする請求項2に記載のクルベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項4】
栄養要求性マーカー遺伝子がURA3遺伝子であることを特徴とする請求項3記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項5】
クルイベロマイセス・マルシアヌスが、ヒスチジン、ロイシン、ウラシル、メチオニン、リシン、アデニン、トリプトファン、アルギニンの少なくとも1つの栄養要求性遺伝子に変異を有するクルイベロマイセス・マルシアヌス変異体であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項6】
発現プロモーターがグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ3(TDH3)プロモーターであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項7】
線状のDNA断片を、FLO遺伝子発現カセットとしてクルイベロマイセス・マルシアヌスに導入することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項8】
クルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体が、RAK4299株(NITE BP-514)、又は、RAK4301株(NITE BP-516)であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体の作製方法。

【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の作製方法により作製された凝集性及び耐熱性を有するクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体。

【請求項10】
RAK4299株(NITE BP-514)、又は、RAK4301株(NITE BP-516)であることを特徴とする請求項9記載のクルイベロマイセス・マルシアヌス形質転換体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close