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開曲線フーリエ記述子を用いたX線画像処理方法及びシステム 外国出願あり

国内特許コード P140011044
整理番号 H20-026
掲載日 2014年10月30日
出願番号 特願2010-507242
登録番号 特許第5493133号
出願日 平成21年4月7日(2009.4.7)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
国際出願番号 JP2009057100
国際公開番号 WO2009125755
国際出願日 平成21年4月7日(2009.4.7)
国際公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
優先権データ
  • 特願2008-100173 (2008.4.8) JP
発明者
  • 森 浩二
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 開曲線フーリエ記述子を用いたX線画像処理方法及びシステム 外国出願あり
発明の概要 人工関節骨または生体組織の骨などの物体の2次元投影画像で、かつその物体の輪郭の一部が欠落またはノイズなどにより判別不能である2次元投影画像から、3次元的な姿勢・位置を短い計算時間で推定できる。
X線投影画像上の測定対象物を、複数の候補対象物の情報が保存されている親データベースと比較することにより、測定対象物の姿勢・位置を推定するX線画像処理方法であって、候補対象物の3次元形状は既知であり、親データベースには複数の候補対象物を様々な角度から2次元に投影した要素輪郭群が保存されており、測定対象物の輪郭の開曲線フーリエ記述子の係数と、要素輪郭群の各要素輪郭の開曲線フーリエ記述子の係数とを比較することにより、測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物を推定し、測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物から測定対象物の姿勢・位置を算出する。
従来技術、競合技術の概要



膝関節は大腿骨、脛骨、膝蓋骨から構成されており、変形性膝関節症等になるとこれらを超高分子量ポリエチレンやチタン合金などの人工材料に置換する。置換される部品は、大腿骨コンポーネント、脛骨コンポーネント、膝蓋骨コンポーネントなどと呼ばれる。膝蓋骨コンポーネントに関しては、術者の選択によって置換されないこともある。

膝関節には歩行時などに体重の数倍以上の荷重が作用するために、人工膝関節を構成する各コンポーネントのアライメントが不適切であると、荷重の局所への集中などにより人工膝関節の寿命を縮めたり、歩行がスムーズに行えなかったりするなどの不具合が発生する。

そのため人工関節置換後に、人工関節置換が適切なアライメントで実施されたことを確認および評価することができれば、治療効果の定量的評価が可能になる。一般に生体内に埋め込まれる医療器具は生体組織への攻撃性を低減させるために滑らかな形状をしており、端点などがない滑らかな形状で構成されていることが多い。これは生体内の骨などの硬組織にも当てはまる。





この評価作業にはX線撮影を利用することが現実的であるが、X線画像を撮影して目視で評価するのではなく、画像解析などを活用すると精度が向上することが知られている。

しかしながら上述のように生体内に埋め込まれる人工関節や周囲の骨は滑らかな曲面で構成されており、特徴点を見つけ出して、その配置の変化から姿勢・位置を推定することは容易ではない。





非特許文献1では、フーリエ記述子を利用したパターンマッチングを利用して比較的精度が良く1枚のX線画像から3次元的な姿勢・位置を推定できる簡便かつ高精度な方法が開示されている。フーリエ記述子を利用するパターンマッチングは、様々な分野で利用されているが、その基本は対象物を2次元平面上に投影してできる輪郭を節点で分割し、その節点の座標に基づいて作成した数列をあらかじめ様々な条件下であらかじめ撮影しておいた輪郭のそれと比較することにより、その条件と一致する対象物の輪郭を数学的手続きにより見つけ出し、対象物の条件を推測するという方法である。このことから生体内に埋め込まれる医療器具や周囲の硬組織のような滑らかな曲面で構成された物体の3次元的な姿勢・位置を推定する方法として適している。フーリエ記述子、特に閉曲線を利用するフーリエ記述子は正規化する過程において、得られた輪郭の大きさや重心位置や方向に関係なく比較できるようにできるので便利である。





従来技術として、以下のものがある。

特許文献1は、X線画像(2次元)における人工関節の輪郭が、X線源と人工関節の距離によって変わることを利用して、あらかじめ様々な距離において撮影をしていたX線画像の輪郭から、撮影した患者の人工関節のX線源と人工関節の距離を推定する方法を開示している。この方法ではX線源と人工関節の距離を推定できるが、その人工関節の姿勢を推定することは出来ない。また撮影対象物(人工関節)の輪郭全体を利用するために、撮影対象物の輪郭が一部欠損または不鮮明である場合には、距離を推定することは出来ない。





特許文献2では、骨の3次元形状データと2次元のX線画像のマッチングおこなう画像処理装置を開示している。骨の3次元形状データにおいて骨軸と呼ぶ特徴点を手動で設定し、それを二次元画像に投影した場合の位置と、2次元のX線画像における特徴点のズレを最小にする投影位置を決定することにより、骨の位置等を推定する方法である。3次元形状データを2次元平面に投影する仮想投影像計算部を有するために、位置を推定する際に、毎回、計算が必要であり計算速度の向上に限界がある。また手動で骨軸の設定を行うために突起などを有さない滑らかな曲面で構成される物体に対しては骨軸の設定が困難となり位置推定が出来ない。





特許文献3では3次元モデルの輪郭データベースを用意し、2次元のスケッチ画像に基づいて類似の3次元モデルを検索する方法が開示されている。この検索に2次元のスケッチ画像と3次元モデルの輪郭データベースをフーリエ記述子で表現する方法が用いられている。スケッチ画像には閉曲線で描かれることを前提としており、手書き線による微小な隙間が存在する場合は、クロージング処理をもちいてその隙間を埋めて閉曲線にするという前処理を検索前に行う。したがって対象物の輪郭が一部欠損または不鮮明である場合には、推定不可能である。また検索が目的であり、3次元的な姿勢・位置を推定することは出来ない。





特許文献4では、ニューラルネットワークを用いて2次元画像における輪郭の一部が欠損していても、そのパターンを識別する方法が開示されている。しかし輪郭のデータベースを保有しておらず、入力された画像のパターンをあらかじめ登録されたカテゴリー群のいずれかに分類するために、姿勢・位置を判別するのに必要な輪郭データベースとの照合を行うことができない。そのため、姿勢・位置の推定を行うことができない。





非特許文献1では閉曲線フーリエ記述子を利用して、X線画像から人工関節の姿勢・位置を推定する方法を開示している。同様の手法を用いている例としては非特許文献2がある。これらの技術では、撮影対象物をあらかじめ姿勢を様々に変えた場合の輪郭を数列化し、それを閉曲線型フーリエ記述子という形でデータベースに蓄積しておく。任意の姿勢で対象物を撮影した際に得られた輪郭に関して、閉曲線型フーリエ記述子という形で整理し、それをデータベースに保存されているデータと比較し、最も誤差の少ないデータベース上の輪郭を選択する。これによって任意の姿勢で撮影された対象物の角度を知る(選択されたデータベース上の輪郭と同じ姿勢であると判断する)方法である。

あらかじめデータベース上に保存されている数列データとの比較のみを行えばよいため、短い計算時間で、3次元的な姿勢・位置を推定できるという利点を有している。

しかしながら、これらの技術は閉曲線型フーリエ記述子を用いているために撮影対象物の輪郭が一部欠損または不鮮明である場合には、距離を推定することは出来ない。

産業上の利用分野



本発明は、X線投影画像に投影された測定対象物の輪郭を、既知の候補対象物の輪郭と比較することにより、前記測定対象物の姿勢・位置を求める技術に関する。特に、前記測定対象物としては、術後の人工関節骨や生体組織の骨が好適である。

特許請求の範囲 【請求項1】
X線投影画像上の測定対象物を、複数の候補対象物の情報が保存されている親データベースと比較することにより、前記測定対象物の姿勢及び位置を推定するX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法であって、
前記測定対象物は、人工関節骨または生体組織の骨であり、
前記候補対象物の3次元形状は既知であり、
前記親データベースには、複数の前記候補対象物を様々な角度から2次元に投影した要素輪郭群が保存されており、
前記測定対象物の輪郭の特徴から導き出される複数の測定対象物特徴点と、前記要素輪郭群の各要素輪郭の特徴から導き出され前記測定対象物特徴点に対応する複数の輪郭要素特徴点と、を用いて、前記複数の測定対象物特徴点の測定対象物相対関係と、前記複数の輪郭要素特徴点の輪郭要素相対関係とを比較し、前記測定対象物相対関係と前記輪郭要素相対関係とが予め定めた誤差を超える要素輪郭は、前記要素輪郭群から除外する工程と、
前記要素輪郭群から除外されたものを除く測定対象物の輪郭は一部が欠損していて、前記測定対象物の輪郭の欠損部分を除いた輪郭の始点(点D)及び終点(点E)を算出する工程と、
前記測定対象物の輪郭の始点及び終点に対応する、前記要素輪郭群の各要素輪郭の始点及び終点を推定する始点・終点推定工程と、
前記測定対象物の輪郭と前記始点及び終点とから算出された開曲線フーリエ記述子の係数と、前記要素輪郭群の各要素輪郭の輪郭と前記始点及び終点とから算出された開曲線フーリエ記述子の係数と、を比較することにより、前記測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物を推定する候補対象物推定工程と、
前記測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物から、前記測定対象物の姿勢及び位置を算出する姿勢・位置算出工程と、を有する、
ことを特徴とするX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項2】
前記複数の測定対象物特徴点及び前記複数の輪郭要素特徴点の少なくとも1つは、前記測定対象物の輪郭及び前記要素輪郭群の各要素輪郭に対して、輪郭と該輪郭の最長軸を求め、前記最長軸から最も遠い点である、
ことを特徴とする請求項1記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項3】
前記複数の測定対象物特徴点及び前記複数の輪郭要素特徴点の少なくとも1つは、前記測定対象物の輪郭および前記要素輪郭群の各要素輪郭に対して骨格線処理を行い、その骨格線上にある、
ことを特徴とする請求項1または2記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項4】
前記複数の測定対象物特徴点は少なくとも前記輪郭の始点及び終点を含み、前記測定対象物相対関係は前記複数の測定対象物特徴点の1つと前記始点及び終点とを結ぶベクトルによって表現される、
ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項5】
候補対象物推定工程において、前記測定対象物の輪郭及び前記要素輪郭群の各要素輪郭の輪郭上の複数の点のいずれかを始点及び終点とした複数の開曲線を求め、前記複数の開曲線のフーリエ記述子の係数を比較することにより、前記測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物を推定する、
ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項6】
前記各工程の一部または全部は、ネットワークを経由してアクセス可能な遠隔地で行われる、
ことを特徴とする請求項1~5いずれか記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項7】
前記測定対象物の輪郭は2箇所以上の欠損部分を有しており、
前記欠損部分を補間することにより、始点(点D)及び終点(点E)を有する開曲線を生成し、該開曲線を新たに測定対象物の輪郭とする工程、をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~6いずれか記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項8】
前記測定対象物の輪郭の欠損部分の少なくとも1つは、前記測定対象物の輪郭のうち他の骨が近接している部分を取除いた部分、または、前記X線投影画像外の部分である、
ことを特徴とする請求項1~7いずれか記載のX線画像処理システムにおけるX線画像処理方法。

【請求項9】
X線投影画像上の測定対象物を、複数の候補対象物の情報が保存されている親データベースと比較することにより、前記測定対象物の姿勢及び位置を推定するX線画像処理システムであって、
前記測定対象物は、人工関節骨または生体組織の骨であり、
前記候補対象物の3次元形状は既知であり、
前記親データベースには、複数の前記候補対象物を様々な角度から2次元に投影した要素輪郭群が保存されており、
前記測定対象物の輪郭の特徴から導き出される複数の測定対象物特徴点と、前記要素輪郭群の各要素輪郭の特徴から導き出され前記測定対象物特徴点に対応する複数の輪郭要素特徴点と、を用いて、前記複数の測定対象物特徴点の測定対象物相対関係と、前記複数の輪郭要素特徴点の輪郭要素相対関係とを比較し、前記測定対象物相対関係と前記輪郭要素相対関係とが予め定めた誤差を超える要素輪郭は、前記要素輪郭群から除外する除外手段と、
前記要素輪郭群から除外されたものを除く測定対象物の輪郭の開曲線フーリエ記述子の係数と、前記要素輪郭群の各要素輪郭の開曲線フーリエ記述子の係数とを比較することにより、前記測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物を推定する候補対象物推定手段と、
前記測定対象物の輪郭に対応する要素輪郭及び対応する候補対象物から、前記測定対象物の姿勢及び位置を算出する姿勢・位置算出手段と、を有する
ことを特徴とするX線画像処理システム。

【請求項10】
データベース及び演算手段の一部または全部が、ネットワークを経由してアクセス可能な遠隔地に設けられている
ことを特徴とする請求項記載のX線画像処理システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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