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投射経路選択的な遺伝子発現制御

国内特許コード P140011095
整理番号 S2014-0909-N0
掲載日 2014年11月5日
出願番号 特願2014-093463
公開番号 特開2015-208308
出願日 平成26年4月30日(2014.4.30)
公開日 平成27年11月24日(2015.11.24)
発明者
  • 山中 章弘
  • 犬束 歩
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 投射経路選択的な遺伝子発現制御
発明の概要 【課題】投射経路選択的に遺伝子を発現させることが可能なシステム及びその用途を提供することを課題とする。
【解決手段】部位特異的DNA組換え酵素と破傷風毒素C末断片の連結体をコードする遺伝子を発現する第1アデノ随伴ウイルスベクターと、前記部位特異的DNA組換え酵素の存在下でのみ目的遺伝子を発現する第2アデノ随伴ウイルスベクターと、を備える、遺伝子発現システムが提供される。第1アデノ随伴ウイルスベクターを、第1領域に存在する神経細胞に感染させ、第2アデノ随伴ウイルスベクターを、第1領域に投射する領域に存在する神経細胞に感染させる。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


神経細胞は様々な特徴を基に分類がされてきた。まずは解剖学的に分類された。例えば、中脳黒質緻密部(SNc)や新線条体(CPu)という分類である。その後、更に詳細に、神経伝達物質による分類が可能になった。例えば、ドーパミン神経やセロトニン神経という分類である。現在の主流は、この神経伝達物質による分類法である。しかし、同じ神経伝達物質を有する神経細胞であっても、投射経路によっては、異なる生理的機能を持っている場合がある。例えば、SNcに存在するドーパミン神経と腹側被蓋野(VTA)に存在するドーパミン神経とでは投射経路が異なり、生理的機能も異なっている。神経細胞の活動を投射経路選択的に制御できれば、神経回路の同定とその回路機能の解明が進む。



ところで、従来、Creリコンビナーゼ存在下でのみ遺伝子発現誘導を可能にする遺伝子発現制御システムは存在した(例えば非特許文献1、2を参照)。しかし、特定の神経経路特異的に遺伝子発現を誘導する方法は限られていた。特定の神経経路特異的とは、ある神経細胞に入力する神経経路だけに遺伝子発現をさせることを意味する。特定の神経経路特異的な遺伝子発現には狂犬病ウイルスが用いられてきた。しかし、狂犬病ウイルスには毒性があり、感染神経細胞を殺してしまう。また、狂犬病ウイルスを用いるには、特別な施設(P2A)が必要なため、その使用には制限があり、あまり広く使われていなかった。



尚、特許文献1には破傷風毒素のC末断片を利用した逆行性軸索輸送によるタンパク質の輸送と活性シナプスを可視化する方法が示されており、特許文献2には狂犬病ウイルスタンパク質の逆行性軸索輸送を利用した神経細胞への遺伝子導入手段が示されている。

産業上の利用分野


本発明は遺伝子発現制御に関する。詳しくは、経シナプス的逆行性輸送を用いた投射経路選択的な遺伝子発現制御を実現するシステム及びその用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
部位特異的DNA組換え酵素と破傷風毒素C末断片の連結体をコードする遺伝子を発現する第1アデノ随伴ウイルスベクターと、
前記部位特異的DNA組換え酵素の存在下でのみ目的遺伝子を発現する第2アデノ随伴ウイルスベクターと、
を備える、遺伝子発現システム。

【請求項2】
部位特異的DNA組換え酵素がCreリコンビナーゼである、請求項1に記載の遺伝子発現システム。

【請求項3】
前記Creリコンビナーゼが配列番号5に示す配列を含む、請求項2に記載の遺伝子発現システム。

【請求項4】
前記破傷風毒素C末断片が配列番号7に示す配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項5】
前記連結体が核移行シグナルペプチドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項6】
前記第1アデノ随伴ウイルスベクターが、前記連結体をコードする遺伝子に加え、レポーター遺伝子を発現可能な状態で保持している、請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項7】
前記第1アデノ随伴ウイルスベクターが、自己開裂ペプチドをコードする配列を介して前記レポーター遺伝子と前記連結体をコードする遺伝子が連結された配列構造を備える、請求項6に記載の遺伝子発現システム。

【請求項8】
前記レポーター遺伝子が蛍光蛋白質遺伝子である、請求項6又は7に記載の遺伝子発現システム。

【請求項9】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターがLSL(LoxP-STOP-LoxP)配列又はFSF(FRT-STOP-FRT)配列を含み、該配列の下流に前記目的遺伝子が配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項10】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターが、前記目的遺伝子を組み込んだFLEX(Flip-Excision)スイッチを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項11】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターが、前記目的遺伝子に加え、レポーター遺伝子を発現可能な状態で保持している、請求項1~10のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項12】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターが、自己開裂ペプチドをコードする配列を介して前記レポーター遺伝子と前記目的遺伝子が連結された配列構造を備える、請求項11に記載の遺伝子発現システム。

【請求項13】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターがLSL(LoxP-STOP-LoxP)配列又はFSF(FRT-STOP-FRT)配列を含み、該配列の下流に前記配列構造が配置されている、請求項12に記載の遺伝子発現システム。

【請求項14】
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターが、前記配列構造を組み込んだFLEX(Flip-Excision)スイッチを備える、請求項12に記載の遺伝子発現システム。

【請求項15】
前記ポーター遺伝子が蛍光蛋白質遺伝子である、請求項11~14のいずれか一項に記載の遺伝子発現システム。

【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の遺伝子発現システムを用いた遺伝子発現法であって、
前記第1アデノ随伴ウイルスベクターを、第1領域に存在する神経細胞に感染させるステップと、
前記第2アデノ随伴ウイルスベクターを、前記第1領域に投射する領域に存在する神経細胞に感染させるステップと、
を含む遺伝子発現法。

【請求項17】
Creリコンビナーゼと破傷風毒素C末断片との連結体をコードする遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを、第1領域に存在する神経細胞に感染させるステップと、
FLPリコンビナーゼと破傷風毒素C末断片との連結体をコードする遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを、第2領域に存在する神経細胞に感染させるステップと、
Creリコンビナーゼの存在下でのみ第1目的遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターと、FLPリコンビナーゼの存在下でのみ第2目的遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを、前記第1領域及び前記第2領域に投射する領域に存在する神経細胞に感染させるステップと、
を含む遺伝子発現法。

【請求項18】
部位特異的DNA組換え酵素の存在下でのみ目的遺伝子を発現する遺伝子改変動物の特定領域に存在する神経細胞に、前記部位特異的DNA組換え酵素と破傷風毒素C末断片との連結体をコードする遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを感染させるステップ、を含む遺伝子発現法。

【請求項19】
請求項1に記載のシステムを構築するためのキットであって、
部位特異的DNA組換え酵素と破傷風毒素C末断片との連結体をコードする遺伝子を保持する、第1アデノ随伴ウイルスベクタープラスミドと、
前記部位特異的DNA組換え酵素の存在下でのみ発現可能な状態で目的遺伝子を保持する、第2アデノ随伴ウイルスベクタープラスミドと、
を含むキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014093463thum.jpg
出願権利状態 公開
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