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芳香環含有化合物並びに癌の予防剤および/または治療剤

国内特許コード P140011151
整理番号 S2014-1022-N0
掲載日 2014年12月22日
出願番号 特願2014-110822
公開番号 特開2015-224231
出願日 平成26年5月29日(2014.5.29)
公開日 平成27年12月14日(2015.12.14)
発明者
  • 松下 一之
  • 星野 忠次
  • 野村 文夫
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 芳香環含有化合物並びに癌の予防剤および/または治療剤
発明の概要 【課題】多くの癌に対して、癌細胞特異的に治療効果を発揮できる癌の予防・治療手段を提供する。
【解決手段】本発明の一形態によれば、下記化学式1:



で表される芳香環含有化合物が提供される。なお、化学式1中、m、A、A、およびAの定義は、明細書中に記載された通りである。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要


癌は本邦の死亡原因の第一位であり、年間30万人以上が命を落としている。ゲノム・プロテオミクス研究の進展により、癌細胞のみに発現するタンパク質の存在が明らかとなった。例えば慢性骨髄性白血病(一部の急性白血病)のBcr/Ablや、一部の肺癌(非小細胞肺がんの4~5%)に発現するEML4/ALKが見い出された。これらの融合遺伝子は染色体転座により腫瘍細胞にのみ発現するが、その融合タンパク質を阻害する化合物が癌の「特効薬」としてすでに臨床応用され、画期的な治療効果を発揮している。癌治療薬の理想は、癌細胞のみの増殖を阻害する一方で、健常細胞にはほとんど影響を及ぼさないことである。そのような理由から、癌細胞のみに発現するBcr/Ablを阻害するイマチニブ(商品名グリベック)や、癌細胞のみに発現するEML4/ALKを阻害するクリゾチニブ(商品名ザーコリ)は理想的な治療薬である。しかしながら、このような癌特異的な発現プロファイルを示す融合タンパク質は極少数であって一握りの癌にしか見出されておらず、標的タンパク質を有しないその他の多くの癌に対しては適応がない状況である。



一方、現在使用されている他の抗癌剤は副作用も多く、癌細胞に特異性が高いとは言えない。すなわち、より多くの癌に効果を示す抗癌剤を開発するためには、多くの癌に特異的に発現している融合タンパク質(または、癌細胞に特異的にみられるタンパク質相互作用)をさらに探し出す必要がある。



ここで、癌原遺伝子産物であるc-Mycタンパク質は、細胞の生命活動に極めて重要であり、細胞の増殖、分化、細胞死(アポトーシス)を制御する転写因子として知られている。このc-myc遺伝子(c-Mycタンパク質)の発現それ自体も、細胞周期や分化に伴い、多くの転写因子によって厳密に制御されている。一方、細胞内外からの刺激に素早く対応し恒常性を維持するために、c-myc遺伝子にはタンパク質合成を介しない、転写により発生する二本鎖DNAの物理的・力学的変化を感知する未知のメカニズムが存在し、それによって転写レベルが一定に維持されていると考えられる。これまでに、c-myc遺伝子の上流のどの部位がc-myc遺伝子の転写に影響を与えるか調べられ、c-myc遺伝子の転写開始部位の1.5kb上流のわずか百数十塩基の部位がc-myc遺伝子の転写に極めて重要であることが示され、FUSE(Far UpStream Element)と名付けられた。すなわち、転写の活性化によって発生する二本鎖DNAの物理的ひずみがプロモーターの上流にnegative supercoilingを生じさせ、これにより二本鎖DNAが一本鎖DNAにほどける部位があり、同部位がc-myc遺伝子の転写制御に極めて重要であることが報告されている。このFUSEに結合するタンパク質をオリゴヌクレオチドアフィニティクロマトグラフィによって同定したところ、70kDaの分子量を有するFBP(FUSE結合タンパク質;FUSE Binding Protein)であった。このFBPは強力な転写活性を有しており、このFBPに結合するタンパク質として、FIR(FBP Interacting Repressor)がYeast Two-Hybrid Systemにより同定された。このFIRは、TFIIH/p89/XPBのヘリカーゼ活性を抑制することによりc-myc遺伝子の転写を抑制すると考えられている。THIIHの変異はFIRによるc-myc遺伝子の転写調節に害を及ぼし、結果として腫瘍の成長をもたらすことも報告されている。



ところで、スプライシング因子3b(SF3b)は、スプライソソーム中のU2核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)のsubcomplexであり、ほぼ等しい化学量(等モル比)のSAP130、SAP145、SAP155(別名SF3B1であり、以下単に「SF3B1」とも称する)、およびp14の4つのサブユニットから構成される(図13(「Kotake Y, Sagane K, Owa T, Mimori-Kiyosue Y, Shimizu H, Uesugi M, Ishihama Y, Iwata M, Mizui Y. Splicing factor SF3b as a target of the antitumor natural product pladienolide.Nat Chem Biol. 2007 Sep;3(9):570-5. Epub 2007 Jul 22.」より引用)を参照)。



p14サブユニットは、スプライソソーム内のpre-mRNAイントロンのBranch-point(分岐点)のアデノシンに結合しており、SF3B1を含むSF3bと安定的に相互作用している。これにより、SF3bはイントロン認識に必須のものとなっている。また、天然の化学物質の誘導体であるスプライソスタチンA(SSA)およびプラジェノライドがSF3bを阻害し、これにより抗癌作用を発揮することが報告されている。これらのことから、癌細胞において高発現しているSF3b(特にSF3B1)は腫瘍増殖に寄与しているものと考えられる。



本発明者らは、近年のオミックス技術を駆使して、ヒト臨床検体を用い、癌細胞で主に活性化している(強固な相互作用を示す)タンパク質相互作用を標的として癌治療薬剤の開発を行っている。ここで、本発明者らは以前に、c-myc遺伝子転写抑制因子FIRのスプライシングにSF3B1が必要であって、c-myc遺伝子の発現増大が認められる消化器(大腸)癌組織中では転写抑制部位を含むエキソン2を欠損したFIRスプライシングバリアント(FIRΔexon2)が癌特異的に発現増大していることを見出している(特許文献1、非特許文献1)。また、近年、ヒト臨床検体のゲノム・プロテオーム解析に基づく研究により、骨髄異形成症候群(MDS)や固形癌(乳癌、腎癌)においてSF3B1のゲノム変異が起こっていることが報告された(非特許文献2、非特許文献3)。さらに、本発明者らは、大腸癌ではFIR-SF3B1の相互作用により上記FIRスプライシングバリアント(FIRΔexon2)が誘導され、その結果c-Myc発現増大が惹き起こされることを報告し(非特許文献4)、この知見に基づいて、SF3B1阻害剤、FIR-SF3B1阻害剤またはFIRΔexon2-SF3B1阻害剤が癌の予防剤および/または治療剤として有用であることを提案している(特許文献2)。このように、癌ではFIR-SF3B1の強い相互作用により種々の遺伝子のスプライシングとc-myc転写抑制の両者が同時に阻害されていると考えられている(非特許文献5)。

産業上の利用分野


本発明は、新規な芳香環含有化合物、並びに癌の予防剤および/または治療剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学式1:
【化1】


化学式1中、
mは、0または1であり、
およびAは、それぞれ独立して、下記化学式2または下記化学式3:
【化2】


で表される基であり、
は、下記化学式4または下記化学式5:
【化3】


化学式4中、Rは、置換または非置換の芳香環基である、
で表される基である、
で表される芳香環含有化合物。

【請求項2】
が前記化学式2で表される基である、請求項1に記載の芳香環含有化合物。

【請求項3】
が前記化学式3で表される基である、請求項1に記載の芳香環含有化合物。

【請求項4】
mが1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の芳香環含有化合物。

【請求項5】
が前記化学式2で表される基である、請求項4に記載の芳香環含有化合物。

【請求項6】
が前記化学式4で表される基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の芳香環含有化合物。

【請求項7】
Rが置換または非置換のアリール基である、請求項6に記載の芳香環含有化合物。

【請求項8】
Rがp-置換フェニル基である、請求項7に記載の芳香環含有化合物。

【請求項9】
前記p-置換フェニル基のパラ位における置換基が、フッ素原子またはtert-ブチル基である、請求項8に記載の芳香環含有化合物。

【請求項10】
が前記化学式5で表される基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の芳香環含有化合物。

【請求項11】
下記化合物1~5のいずれかである、芳香環含有化合物:
【化4】



【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の芳香環含有化合物の1種または2種以上を有効成分として含有する、癌の予防剤および/または治療剤。

【請求項13】
前記癌が白血病である、請求項12に記載の予防剤および/または治療剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2014110822thum.jpg
出願権利状態 公開
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