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イオン液体を含む光変換要素およびその製造方法ならびに光変換要素を含む装置 新技術説明会

国内特許コード P150011206
掲載日 2015年1月28日
出願番号 特願2012-538701
登録番号 特許第5750770号
出願日 平成23年10月12日(2011.10.12)
登録日 平成27年5月29日(2015.5.29)
国際出願番号 JP2011073443
国際公開番号 WO2012050137
国際出願日 平成23年10月12日(2011.10.12)
国際公開日 平成24年4月19日(2012.4.19)
優先権データ
  • 特願2011-021136 (2011.2.2) JP
  • 特願2010-230938 (2010.10.13) JP
発明者
  • 村上 陽一
  • 佐藤 勲
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
発明の名称 イオン液体を含む光変換要素およびその製造方法ならびに光変換要素を含む装置 新技術説明会
発明の概要 従来の光変換要素における、媒体の可燃性、揮発性、または媒体の高粘度によるアップコンバージョン光強度の低下などの課題を解決した光変換要素を提供すること。
三重項-三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子および有機発光分子を、イオン液体中に溶解および/または分散させて成る、目視上均質かつ透明な光変換要素を用いることにより、上記課題を解決した光変換要素を提供することを達成した。
従来技術、競合技術の概要



地球温暖化対策、クリーンエネルギーなどの代替エネルギーへの強いニーズがある中、太陽光を高効率に二次エネルギー(電力・水素など)に変換する技術開発が急務となっており、高い光変換効率を有する太陽電池や水素発生光触媒などへの期待が高まっている。太陽電池や水素発生光触媒などでは、太陽光に含まれる広範な波長範囲の内、系に固有の、ある閾値波長より短い波長成分のみを変換に利用していることから、広範な太陽光の波長範囲を有効に利用する技術の一つとして、光アップコンバージョン(すなわち、長い波長の光を吸収して、より短い波長の光を発光することにより光の波長を変換すること)が検討されている。





光アップコンバージョンの手段として、希土類元素の多光子吸収を用いた光アップコンバージョンの研究は、50年以上の歴史を有している。しかし、希土類元素の多光子吸収では一般的に非常に高い入射光強度が必要であり、太陽光などの弱い光を変換の対象とすることは困難であった。





近年、光吸収・発光により光アップコンバージョンを行える有機分子について発表された。

特許文献1は、光子エネルギーをアップコンバートする組成物において、少なくともフタロシアニン、金属ポルフィリン、金属フタロシアニン等の感光体として機能する第1の波長域においてエネルギーを吸収する第1の成分と、ポリフルオレン、オリゴフルオレンおよびこれらのコポリマー、ポリパラフェニレン等の発光体として機能する第2の波長域でエネルギーを放出する第2の成分を含む、組成物を記載する。





非特許文献1は、有機分子における三重項-三重項消滅過程(以下、「TTA過程」という)を利用したトルエン溶媒中での太陽光程度の比較的弱い光を用いた光アップコンバーターを記載する。





光アップコンバーター中に含まれる有機分子の媒体として、高分子量の有機ポリマーを用いた先行事例が存在している。

特許文献2は、光アップコンバージョンのための、少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の重原子を含有する少なくとも1種の増感剤とを含む系の使用であって、前記増感剤の三重項エネルギーレベルが、前記ポリマーの三重項エネルギーレベルよりも高いことを特徴とする系の使用を記載する。





非特許文献2は、酢酸セルロース(分子量 約100,000)のポリマーを有機分子の分散媒体とした光アップコンバーターを記載する。しかし、非特許文献2は、光変換要素の変換量子効率に関する定量的なデータを一切記載していない。





非特許文献3は、ガラス転移温度(Tg)が236K(マイナス37℃)である室温において柔らかいゴム状のポリマーを媒体に用いた光アップコンバーターを記載する。非特許文献3は、TTA過程による光アップコンバージョンが、媒体内部において三重項励起エネルギーを担う有機分子が拡散運動・相互衝突を行って有機分子間でエネルギーのやりとり行う必要があることに起因して、温度が比較的高くポリマーに充分流動性がある温度範囲(>300K)ではアップコンバージョン発光強度は上昇するものの、温度が低く媒体の流動性が乏しい温度範囲(≦300K)ではアップコンバージョン発光強度は非常に弱くなることを記載する。非特許文献3は、光アップコンバーターの変換量子効率に関する定量的なデータは一切記載していない。





非特許文献4は、スチレンのオリゴマー(スチレン3量体および4量体の混合物)を有機光増感分子および有機発光分子の媒体として用いた光アップコンバーターを記載する。非特許文献4は、出力約14W/cm2のレーザーを励起光として試料面上を約10kHzで走査させ、最大3.2%の変換量子効率であったことを記載する。なお、非特許文献4は、光励起強度を表すためにmean excitation intensityという独自指標を用いて、5mW/cm2程度としているが、この独自指標の定義を明確に記載していない。





非特許文献5は、TTA過程を用いた光アップコンバージョンに用いることができる有機光増感分子として、金属ポルフィリン類、金属フタロシアニン類を、有機発光分子として、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、ペリレン、ルブレンなどを記載する。





非特許文献6は、イオン液体に関する一般的なレビューを記載し、性質として、非特許文献6から引用した図1に示すように、イオン液体は一般的に不燃性であること(Usually nonflammable)、標準状態下では蒸気圧が無視できる程度であること(Negligible vapor pressure under normal conditions)、および極性・非極性の概念がイオン液体にもそのまま当てはまるかどうかは疑問であること(Polarity concept questionable)、などを記載する。





非特許文献7は、実験結果に基づき、ある非水混和性イオン液体(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)と何種類の一般的な有機溶媒との混合可能割合を記載する。非特許文献7は、有機溶媒がイオン液体と層分離せず均質に混合する割合(混合可能割合)が、有機溶媒分子の極性(双極子モーメント:D)と有機溶媒分子のサイズの両方またはいずれか一方に依存すること、特に、有機溶媒分子の極性が高まる程、非水混和性イオン液体中での有機溶媒の混合可能割合が増加することを記載する。





非特許文献8は、1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムをカチオンとする様々なイオン液体について極性測定の実験を行い、その結果に基づき、それらが短鎖アルコール程度の極性を持つことを記載する。





非特許文献9は、多環芳香族π電子共役系分子であるポルフィリン類のイオン液体中における特性の測定を試みたが、当該分子がイオン液体に殆ど溶解しなかったために、得られた信号が微弱だったことを記載する。この事実について、同文献の著者らは、文中において、「以前の研究から、イオン液体は、アセトニトリルや、メタノール・2プロパノールなどのアルコール類と同程度の極性を有することが知られていることから、我々は典型的な芳香族化合物はイオン液体には溶解しないものと想定する(The polarity of room-temperature ionic liquids are similar to acetonitrile and alcohols such as methanol and 2-propanol according to the previous studies,and we assume that typical aromatic compounds are not soluble in room-temperature ionic liquids.)」と記述する。

産業上の利用分野



本発明は、イオン液体を含む光変換要素およびその製造方法ならびに光変換要素を含む装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
三重項-三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子および有機発光分子を、イオン液体中に溶解および/または分散させて成る、目視上均質かつ透明な光変換要素。

【請求項2】
該イオン液体が、有機光増感分子および有機発光分子とカチオン-π相互作用を有しかつ非水混和性である、請求項1に記載の光変換要素。

【請求項3】
該イオン液体中のアニオンが、[N(SO2CF32]-、[C(SO2CF33]-、[PF6-、[(C253PF3]-、[BR1234-(R1,R2,R3,R4は、独立して、CH3(CH2n(ここで、n=1,2,3,4,5,6,7,8,9である)またはアリールである)から成る群から選択された1種または2種以上である、請求項1または2に記載の光変換要素。

【請求項4】
該イオン液体中のカチオンが、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンから成る群から選択された1種または2種以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の光変換要素。

【請求項5】
該溶液および/または該分散体が、長期間安定である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光変換要素。

【請求項6】
300Kにおける粘度が、1Pa・s以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光変換要素。

【請求項7】
融点(Tm)、凝固温度(Tf)が、共に0℃以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光変換要素。

【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光変換要素を用いた太陽電池。

【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光変換要素を用いた光触媒。

【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光変換要素を用いた光触媒型水素・酸素発生装置。

【請求項11】
a)三重項-三重項消滅過程を示す組み合わせである有機光増感分子および有機発光分子を、揮発性有機溶媒中に溶解させた有機溶液を生成させる工程と、
b)イオン液体と、該揮発性有機溶液とを攪拌により混和させて目視上均質かつ透明な溶液および/または分散体を生成させる工程と、
c)該溶液および/または該分散体から減圧下で該揮発性有機溶媒を痕跡量以下まで除去する工程と、
を含んで成る、目視上均質かつ透明な光変換要素の製造方法。

【請求項12】
該イオン液体が、有機光増感分子および有機発光分子とカチオン-π相互作用を有しかつ非水混和性である、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
該イオン液体中のアニオンが、[N(SO2CF32]-、[C(SO2CF33]-、[PF6-、[(C253PF3]-、[BR1234-(R1,R2,R3,R4は、独立して、CH3(CH2n(ここで、n=1,2,3,4,5,6,7,8,9である)またはアリールである)から成る群から選択された1種または2種以上である、請求項11または12に記載の方法。

【請求項14】
該イオン液体中のカチオンが、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンから成る群から選択された1種または2種以上である請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。

【請求項15】
該光変換要素の300Kにおける粘度が、1Pa・s以下である、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。

【請求項16】
該光変換要素の融点(Tm)、凝固温度(Tf)が、共に0℃以下である、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。

【請求項17】
該攪拌が、超音波、バブリング、攪拌機、液送ポンプ、粉砕機、ビーズミル、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、マイクロ波のいずれか一種またはそれらの組み合わせにより行われる、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
産業区分
  • その他無機化学
  • 半導体
  • 固体素子
  • 処理操作
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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