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植物健康診断方法および植物健康診断装置

国内特許コード P150011213
掲載日 2015年1月28日
出願番号 特願2012-542808
登録番号 特許第5881082号
出願日 平成23年11月7日(2011.11.7)
登録日 平成28年2月12日(2016.2.12)
国際出願番号 JP2011006197
国際公開番号 WO2012063455
国際出願日 平成23年11月7日(2011.11.7)
国際公開日 平成24年5月18日(2012.5.18)
優先権データ
  • 特願2010-250098 (2010.11.8) JP
発明者
  • 高山 弘太郎
  • 仁科 弘重
  • 伊與木 壮史
出願人
  • 国立大学法人愛媛大学
発明の名称 植物健康診断方法および植物健康診断装置
発明の概要 大規模な植物栽培現場において、害虫等が発生した初期の植物個体の初期障害を検出することができる植物健康診断方法および植物健康診断装置を提供する。
植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mを求め、極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mにおけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、SとMの値を比較して、植物の状態を評価する。クロロフィル蛍光強度(S、M)の値を比較して外観では目視で確認できない植物の状態を検出できるので、植物個体の状態を早期に診断することができる。
従来技術、競合技術の概要



従来から、植物の栽培現場においては、生産者等は栽培している植物の健康状態を確認するため目視で植物の葉等を観察し、害虫等による被害が発生した場合には、障害を受けている部分(例えば、葉など)を除去していた。





一方、近年では、植物を大規模に栽培する栽培方法が主流となっており、その栽培面積も増加している。このように、栽培面積が大きくなると、生産者等は従来と同様の手法(目視観察による障害部位の除去等)を用いて、栽培する植物群落全体の健康状態を管理することは困難である。





そこで、植物の健康状態を目視観察を行わずに植物の生理機能から植物の状態を診断する技術が提案されている。

例えば、植物の健康状態と密接に関連している光合成機能を評価することにより植物の健康状態を管理する技術がある。かかる技術は、クロロフィルで吸収した光エネルギーで光合成の光化学反応を駆動させ、このときクロロフィルが発光するクロロフィル蛍光を計測することにより、植物における光合成機能を定量的に評価する技術であり、クロロフィル蛍光を画像で計測することからクロロフィル蛍光画像計測法と呼ばれている。このクロロフィル蛍光画像計測法では、光合成に重要となるクロロフィルが発するクロロフィル蛍光を計測しているので、光合成反応の直接的な診断が可能である。このことから、植物の生理機能障害、言い換えれば、外観では目視できない障害の診断が可能である。





このクロロフィル蛍光画像計測法を用いた植物の健康状態を診断する技術が、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。





特許文献1では、レーザー光を植物に照射して植物の葉から放出されるレーザー励起蛍光を測定することによって、植物の生育状態を診断する技術が開示されている。

特許文献1には、レーザー光を照射した葉から放出される所定の波長のクロロフィル蛍光を測定し、かかる測定値を、予め設定しておいた健康な状態の植物の基準値および枯死等した生育限界を示す基準値と比較することにより、対象植物の健康状態を診断できる旨が記載されている。

また、特許文献2には、レーザー光を照射した葉から放出される所定の波長のクロロフィル蛍光を測定し、予め作成した健康な状態の植物のクロロフィル濃度とクロロフィル蛍光との関係を示す検量線に基づいて、かかる測定値から対象植物に含有されるクロロフィル量を推定し、植物の健康状態を診断する旨が記載されている。





ところで、近年の大規模栽培方法では、単一の植物を大規模に栽培するため、一の植物個体に害虫等が発生すると、急速に隣接する他の植物個体にも拡大してしまう。すると、少しの対応の遅れで栽培している植物群落全体に害虫等の発生が拡大してしまうおそれがある。栽培している植物に害虫等が発生してしまうと、その植物から得られる果実等は、健康な植物個体から得られるものに比べて、その収穫量が減少し、品質も低下するので生産者等にとって多大な損害が発生する。





とくに、サビダニの一種であるトマトサビダニは、施設栽培では一年中発生する一般的な害虫であり、茎や葉が枯れ、果実は鮫肌状となるという被害が発生する。しかも、このトマトサビダニは、繁殖能力が異常に高く、数日のうちに隣接する他の植物個体へ急速に広まるので、被害を抑えるためには、早期発見が重要となる。

しかし、この害虫が発生した初期の段階では、その葉等に枯死等の障害は現れないため、被害を外観上確認できない。被害が外観上確認できるようになるのは、ある程度被害が拡大した段階、つまり、一の植物個体に留まらず隣接する他の植物個体にまでトマトサビダニの発生が拡大した段階である。

一方、トマトサビダニは、農薬に対する感受性が高いため、発生初期の植物個体を検出できれば、この植物個体に対して少量の農薬を散布することにより容易に防除できる。つまり、トマトサビダニによる障害を抑える上では、発生を早期に検出し防除することが、非常に重要となる。同様に、繁殖能力が高く数日のうちに隣接する他の植物個体へ急速に広まる他の害虫であって、農薬に対して感受性の高いものに対しても同様のことがいえる。





かかる防除をする上で、害虫等が発生している植物個体の検出に前述した特許文献1や特許文献2の技術を採用することもできるが、これらの技術では、枯死等した植物個体を検出することはできるものの、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出することはできない。





現状では、害虫等が発生した初期の段階の植物個体の初期段階の障害を検出できる診断方法は開発されておらず、大規模な栽培面積を有する植物栽培方法にも対応できる植物の早期健康診断方法の開発が望まれている。

産業上の利用分野



本発明は、植物健康診断方法および植物健康診断装置に関する。さらに詳しくは、トマトサビダニなどの害虫等による植物の生理機能に対する初期障害を検出し、早期防除を行うことで安定した収穫量および品質を維持する植物健康診断方法および植物健康診断装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、
前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、
該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、
該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、
該M/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価する
ことを特徴とする植物健康診断方法。

【請求項2】
前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、
前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、
該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、
該P/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のP/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の状態を評価する
ことを特徴とする請求項1記載の植物健康診断方法。

【請求項3】
前記光合成機能障害の初期状態は、
目視検知不能な状態である
ことを特徴とする請求項1および2記載の植物健康診断方法。

【請求項4】
植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する装置であって、
前記クロロフィル蛍光の強度を測定する蛍光測定手段と、
該蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度に基づいて、植物の状態を評価し得る解析手段と、を備えており、
該解析手段は、
前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、
該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、
該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、
該M/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価し得るものである
ことを特徴とする植物健康診断装置。

【請求項5】
前記解析手段は、
前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、
該極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、
該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、
該P/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のP/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の状態を評価し得るものである
ことを特徴とする請求項4記載の植物健康診断装置。

【請求項6】
前記蛍光測定手段が、
前記クロロフィル蛍光の強度を画像として測定するものであって、
前記解析手段が、
前記測定されたクロロフィル蛍光の強度の画像に基づいて、前記M/Sの値および/または前記P/Sの値によって構成されるM/S画像および/またはP/S画像を作成し、
該画像化されたM/S画像および/またはP/S画像を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/S画像および/またはP/S画像を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の状態を評価し得る
ことを特徴とする請求項4または5記載の植物健康診断装置。

【請求項7】
前記光合成機能障害の初期状態は、
目視検知不能な状態である
ことを特徴とする請求項4、5および6記載の植物健康診断装置。

【請求項8】
植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、
前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、
該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、
該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、
該M/Sの値を用いて、植物の葉部と茎部を判別し、
該判別された茎部の茎径に基いて植物の生育状態を診断する
ことを特徴とする植物健康診断方法。

【請求項9】
前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、
前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、
該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、
該P/Sの値を用いて、植物の葉部と茎部を判別し、
該判別された茎部の茎径に基いて植物の生育状態を診断する
ことを特徴とする請求項8記載の植物健康診断方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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