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抗癌剤の活性増強剤 コモンズ

国内特許コード P150011234
掲載日 2015年1月29日
出願番号 特願2013-504713
登録番号 特許第5924593号
出願日 平成24年3月9日(2012.3.9)
登録日 平成28年4月28日(2016.4.28)
国際出願番号 JP2012056186
国際公開番号 WO2012124641
国際出願日 平成24年3月9日(2012.3.9)
国際公開日 平成24年9月20日(2012.9.20)
優先権データ
  • 特願2011-054475 (2011.3.11) JP
発明者
  • 深井 文雄
  • 兒玉 浩明
  • 松永 卓也
出願人
  • 学校法人東京理科大学
  • 国立大学法人佐賀大学
  • 国立大学法人 香川大学
発明の名称 抗癌剤の活性増強剤 コモンズ
発明の概要 配列番号1で示されるポリペプチドFNIII14のうち、第1番目から第13番目のアミノ酸残基の1つ以上がD体アミノ酸残基であるD体アミノ酸残基含有FNIII14ポリペプチドを有効成分とする抗癌剤の活性増強剤と、当該抗癌剤の活性増強剤及び抗癌剤を含む抗癌組成物。
従来技術、競合技術の概要



化学療法は、腫瘍医学が発展した現在に於いてもなお癌治療の重要な位置を占めている。特に、白血病の治療においては化学療法が中心をなしており、固形癌に比べて高い治療効果が得られている。なかでも急性骨髄性白血病(AML)細胞は、高い薬剤感受性を示す細胞であることが知られている。このため、急性骨髄白血病の治療として寛解導入療法を適用した場合、約80%の症例が完全寛解となる。しかしながら、再発することが多く長期生存率は30%~40%でしかないのが現状である。化学療法後の完全寛解期に患者骨髄に残存する白血病細胞の微少残存が再発の原因であると考えられている。

末梢血/体液中で非接着状態にある白血病細胞は、抗癌剤によって比較的効率よく殺滅される。これに対して、骨髄中の白血病細胞は、細胞外マトリックス(例えばフィブロネクチン(FN)や骨髄間質細胞)に、接着分子(例えばインテグリン)を介して接着し、これにより抗癌剤耐性を獲得して、化学療法施行後も微少残存することが知られている。この現象は、接着依存性薬物耐性(CAM-DR)と呼ばれ、白血病の抗癌剤治療において克服すべき最も重要な課題の一つである。





細胞の接着や脱着に関与するフィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質分子の一つで、ほとんど全ての組織に分布し、組織を構築する骨組みとしての役割のみならず、細胞膜上の接着分子に結合して、細胞機能調節のためのシグナル分子としても機能している。

フィブロネクチン分子を構成するポリペプチドは、I型、II型、III型の繰り返し配列から構成されている。なかでも、フィブロネクチン(FN)III型様リピート、(FNIII)には、種々の機能が知られている。





例えば、FNIIIは、細胞接着阻害活性(例えば、特開平10-147600号公報及び特開2000-26490号、参照)を有することが知られている。特開平10-147600号には、癌の転移抑制作用について可能性を言及しているが、実施例の記載はない。また、FNIIIの細胞死誘導活性に基づく抗癌活性を増強する作用については、国際公開第01/08698号に開示されている。しかし、国際公開第01/08698号の実施例はin vitroの試験結果のみであり、in vivoでの有効性までは検討されておらず、血液中での安定性など全く不明である。





さらに、国際公開第01/08698号では、in vitroの試験が開示されているのみであるため、生体内での効果については開示がなく、このため、FNIIIの細胞死誘導活性に基づく抗癌活性の増強強化について実用的な判断ができない。

具体的には国際公開第01/08698号では図1~図8まで、いくつかのガン細胞に対して、ビンクリスチン又はアクチノマイシンDと、配列番号2で表されるポリペプチドとの混合効果を調べているが、図1、2、3、4及び8では添加効果が最大でも30%程度であったり、図2のように濃度で効果が反転したりと、実用的に有望なデータは示されていない。図5及び図7には薬剤の添加効果が示されているが、薬剤の効果自体に濃度依存はないので、有効性について判断できない。唯一図6で示されるように、胃ガン由来のGT3TKB細胞を用いた場合に、ビンクリスチンに対して、配列番号2で示されるポリペプチドの添加効果が認められる傾向があった。

このように、実際に医療現場で使用することを考慮すると、配列番号2で示されるポリペプチドでは、特定のがんの種類と特定の薬剤に対してのみ添加効果が認められるものであり、このポリペプチドがすべての薬剤の効果を増強するものではないと考えられる。さらに、配列番号2で示されるポリペプチドは、制癌剤のうち、作用機構の異なるピリミジン代謝拮抗剤である、シタラビン等との効果は示されていなかった。





特開2006-327980号には、動物実験で白血病治療薬とFNIII様ペプチドの併用でマウスの寛解を目指した実施例が記載されている。

しかしながら、実施例ではFNIII様ペプチドの濃度は1mgであり、それよりも低い濃度による効果は確認されていない。

また、Leukemia(2008),Vol.22,353-360では特開2006-327980号と同様の実験が報告されているが、修飾したFNIII様ペプチドであっても、生理活性が向上していないことが示されている。





このような化学修飾に関してはいくつか報告がある。特開2010-043087号では、ネイティブHBHAを大腸菌(E.Coli)の遺伝子組換えで生産させても、ミコバクテリアが生産したHBHAとは生理活性が異なることから、C末端のリジン基をメチル化することで本来の生理活性が再現できたと報告している。これは、メチル化することで本来の活性を取り戻したこと示したに過ぎず、本来持っていた生理活性以上の効果を示したものではない。特開平6-73093号では、「オピオイド系鎮痛剤が有していた依存性、耐性など欠点を解決する目的」で、D体のアミノ酸としてTrp、His、Pheなどを導入した例が報告されている。しかし、特開平6-73093号に記載してあるように、化合物としての安定性や活性の向上を達成したというものではなかった。また、D体のアミノ酸を用いることは、一般的にプロテアーゼに認識されないために、分解を受けないだろうと思われるが、得られるペプチドのコンフォメーションも変化するために、その生理活性が維持できなくなることが推定されている。Biochem Pharmacol. 1999 Dec 1;58(11):1775-80では、N端とC端を2残基ずつDアミノ酸に変え、血清酵素処理で安定性が増加したことを報告しているが、生理活性は高くならなかった。Neuropeptides. 1984 Dec;5(1-3):177-80では、オピオイドペプチド群で、例えばエンケファリン(Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu)の2番目のアミノ酸を置換してTyr-D-Ala-Gly-Phe-Leuに改変しても、活性が高くなることはなかったことが報告されている。

産業上の利用分野



本発明は、抗癌剤の活性増強剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1で示されるポリペプチドFNIII14のうち、第2番目のアミノ酸残基で
あるグルタミン酸残基がD体アミノ酸残基であるD体アミノ酸残基含有FNIII14ポ
リペプチドを有効成分とする、抗癌剤の活性増強剤。

【請求項2】
前記D体アミノ酸残基含有FNIII14ポリペプチドが、多量体D体アミノ酸残基含
有FNIII14ポリペプチドである請求項1記載の抗癌剤の活性増強剤。

【請求項3】
白血病に対する抗癌剤と組み合わせて用いられる請求項1記載の抗癌剤の活性増強剤。

【請求項4】
前記抗癌剤が、シタラビン(AraC)、エノシタビン(Enocitabine)及
びエラシタラビン(Elacytarabine)からなる群より選択された少なくとも
1つである請求項記載の抗癌剤の活性増強剤。

【請求項5】
請求項1~請求項のいずれか1項記載の抗癌剤の活性増強剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む癌治療用の医薬組成物。

【請求項6】
抗癌剤を更に含む請求項記載の医薬組成物。

【請求項7】
請求項1~請求項のいずれか1項記載の抗癌剤の活性増強剤を含む第一の収容部と、抗癌剤を含む第二の収容部とを備えた癌治療用の抗癌治療剤セット。

【請求項8】
以下のいずれかであるポリペプチド:
(1) 配列番号1で示されるポリペプチドのうち、第2番目のアミノ酸残基であるグル
タミン酸残基がD体アミノ酸残基であるポリペプチド、
(2) 前記(1)のポリペプチドを構成単位とする多量体であるポリペプチド。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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