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動物細胞培養キット、動物細胞の培養方法、動物細胞の選択培養方法及び細胞分化方法

国内特許コード P150011246
掲載日 2015年1月30日
出願番号 特願2013-508904
登録番号 特許第6011879号
出願日 平成24年4月4日(2012.4.4)
登録日 平成28年9月30日(2016.9.30)
国際出願番号 JP2012059219
国際公開番号 WO2012137830
国際出願日 平成24年4月4日(2012.4.4)
国際公開日 平成24年10月11日(2012.10.11)
優先権データ
  • 特願2011-084119 (2011.4.5) JP
発明者
  • 加藤 幸夫
  • 平田 伊佐雄
  • 金輪 真佐美
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 動物細胞培養キット、動物細胞の培養方法、動物細胞の選択培養方法及び細胞分化方法
発明の概要 動物細胞の培養に好適に用い得る動物細胞培養キット、動物細胞の培養方法、動物細胞の選択培養方法及び細胞分化方法を提供する。本発明に係る動物細胞培養キットは、親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から1種以上の官能基を所定の割合で表面に有する培養器と、無血清培地と、を備える。動物細胞培養キットは、特定の動物細胞の接着・増殖に適した官能基を表面に有する培養器を備えるため、無血清培地でも動物細胞の増殖の促進が可能である。
従来技術、競合技術の概要



動物細胞の培養では、プラズマ照射などで様々なイオン基が導入された組織培養用ポリスチレン培養皿が広く用いられている。しかし、イオン基導入によるイオン化の程度は一定ではなく、表面組成が化学的に規定されていない。このような通常の組織培養用ポリスチレン培養皿でも、不死化した株細胞はよく増殖する場合が多い。





一方で、組織から分離された初代動物細胞は、不均質な細胞集団であるため、あるいは培養系に馴化していないため、増殖速度が低いことが多い。このため、組織培養用ポリスチレン培養皿を用いた場合では、動物細胞を用いた基礎研究、再生医療、バイオ医薬品などの開発が困難である。また、組織培養用ポリスチレン培養皿では、成長因子やサイトカインが添加されても、目的細胞を選択的に増殖させ難い。あるいは不均質な細胞集団から目的細胞以外の混入細胞を除去できない。そのため再生医療あるいはバイオ医薬などの研究開発が困難である。





上記の通常の組織培養ポリスチレン培養皿の欠点を補うため、コート剤として、フィブロネクチンやコラーゲンなどの接着因子、接着因子の部分ペプチド、ポリリジン、基底膜などの細胞外基質が使用されている。これらのコート剤は、高価であり、また、培養の効果は限られた細胞に限定的であった。





また、一般的に、動物細胞の培養には、高濃度の血清が添加された血清含有培養液が用いられる。しかし、血清は天然成分であるため、血清含有培養液では、成分不確定、ロット間のバラツキ、病原体混入リスク、免疫反応リスクなどの欠点がある。このため、血清含有培養液を用いた場合、細胞増殖(分化)にバラツキが生じやすい。これらの欠点を克服するため、無血清培養液が開発されつつある。しかし、無血清培養液には血清中の接着因子が含有されていないため、通常の組織培養用ポリスチレン培養皿で培養しようとすると、細胞が接着/増殖しにくいという問題がある。





更には、近年、NH基やCOOH基を添加したプラスチック培養皿も販売されているが、細胞増殖への影響は十分には明らかになっていない。また、一部の研究では、培養皿表面に自己組織化単分子膜(SAM)を備える培養皿について検討されている。SAMを構成する官能基3種類の組み合わせ(CH/OH,CH/COOH,CH/NH)及び配合比を変えて、2-10%牛胎児血清存在下で、癌細胞や株化(不死化)細胞の接着に及ぼす影響が検討されている(非特許文献1)。





また、2種類の官能基の組み合わせが癌細胞や株化(不死化)細胞の短期間の増殖に及ぼす影響が検討されている(非特許文献2)。





また、RGDペプチドのSAMへの血管内皮細胞の接着について報じられている(非特許文献3)。

産業上の利用分野



本発明は、動物細胞培養キット、動物細胞の培養方法、動物細胞の選択培養方法及び細胞分化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト骨髄間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~0:0の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項2】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜が不均質な細胞集団において初代のラット間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、アミノ基:水酸基を40:60、カルボキシル基:メチル基を80:20、アミノ基:メチル基を0:0~80:20、アミノ基:カルボキシル基を40:60~20:80、或いは、水酸基:メチル基を80:20の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項3】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト滑膜由来間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~0:0の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項4】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト歯髄由来間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~60:40の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項5】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト線維芽細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~0:0、或いは、水酸基:メチル基を80:20~20:80の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項6】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がラット骨芽細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20もしくは20:80、或いは、水酸基:メチル基を80:20~20:80の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項7】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト初代間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~0:0の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項8】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地と、を備え、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
前記自己組織化単分子膜がヒト間葉系幹細胞の接着及び増殖の促進のためのものであり、水酸基:カルボキシル基を80:20~0:0の割合で有している、
ことを特徴とする動物細胞培養キット。

【請求項9】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清培地とを用い、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
アミノ基:水酸基を40:60、カルボキシル基:メチル基を80:20、アミノ基:メチル基を40:60~80:20、アミノ基:カルボキシル基を40:60~20:80、或いは、水酸基:メチル基を80:20の割合で表面に有し、
不均質な細胞集団から選択的に初代のラット間葉系幹細胞の接着及び増殖を促進させる、
ことを特徴とする動物細胞の選択培養方法。

【請求項10】
血清含有培地と、直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端にアミノ基、水酸基又はカルボキシル基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器とを用い、
前記自己組織化単分子膜は、異なる官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
酸基:カルボキシル基を80:20~0:40の割合で表面に有し、
ヒト間葉系幹細胞又はヒト線維芽細胞の接着及び増殖を促進させる、
ことを特徴とする動物細胞の培養方法。

【請求項11】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清の分化誘導培地とを用い、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
水酸基:カルボキシル基を80:20~20:80の割合で有する前記培養器と、無血清の軟骨分化誘導培地とを用い、ヒト骨髄間葉系幹細胞を培養して前記ヒト骨髄間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化させる、
ことを特徴とする細胞分化方法。

【請求項12】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と、無血清の分化誘導培地とを用い、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
水酸基:カルボキシル基を80:20~20:80の割合で有する前記培養器と、無血清の骨形成分化誘導培地とを用い、ヒト骨髄間葉系幹細胞を培養して前記ヒト骨髄間葉系幹細胞を骨細胞に分化させる、
ことを特徴とする細胞分化方法。

【請求項13】
直鎖状アルキル鎖の一方の末端に表面活性基を有するとともに他方の末端に親水性官能基及び疎水性官能基からなる群から選択される官能基を有するアルカンから形成された自己組織化単分子膜を有する培養器と脂肪分化誘導培地とを用い、
前記自己組織化単分子膜は、異なる前記官能基を有する2種の前記アルカンから形成され、前記アルカンの表面活性基が前記培養器或いは前記培養器に配置される基板に結合し、前記直鎖状アルキル鎖のファンデルワールス力によって前記アルカン同士が凝集することにより表面に2種の前記官能基が所定の割合で露出しており、
水酸基:カルボキシル基を60:40の割合で有しており、
ヒト骨髄間葉系幹細胞を培養し、前記ヒト骨髄間葉系幹細胞を脂肪細胞に分化させる、
ことを特徴とする細胞分化方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録


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