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自己溶菌能を有するシアノバクテリアを用いたバイオ燃料等有用物質の製造方法 新技術説明会

国内特許コード P150011356
整理番号 S2012-0682-N0
掲載日 2015年2月18日
出願番号 特願2012-217850
公開番号 特開2013-198473
登録番号 特許第5688665号
出願日 平成24年9月28日(2012.9.28)
公開日 平成25年10月3日(2013.10.3)
登録日 平成27年2月6日(2015.2.6)
優先権データ
  • 特願2011-229097 (2011.10.18) JP
発明者
  • 朝山 宗彦
出願人
  • 国立大学法人茨城大学
発明の名称 自己溶菌能を有するシアノバクテリアを用いたバイオ燃料等有用物質の製造方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】シアノバクテリアを用いた物質の製造方法の提供。
【解決手段】psbA2遺伝子上流領域又は転写活性を有するその変異型領域を含む、シアノバクテリア発現ベクター、並びに該ベクターを導入して得られるシアノバクテリア形質転換体を培養し、外来遺伝子を発現させ、自己溶菌を誘導することを特徴とする、シアノバクテリアを用いた物質製造方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



シアノバクテリア(Cyanobacteria)は、グラム陰性の真正細菌であり、酸素発生型の光合成を行う原核光合成微生物である。またシアノバクテリアの祖先は植物葉緑体の起源としても知られている。その光合成能は優れており、植物のそれの数10から100倍に及ぶとされている。一方、シアノバクテリアの祖先は光合成を通じて太古の地球大気に酸素をもたらした最初の生物であり、大発生した微細藻類や植物の遺骸は、長い年月をかけて地熱や地圧により石油や天然ガスといった化石燃料になり今日の私たちの生活を支えている。加えてシアノバクテリアは地球上のほぼ全域に生息しており、数千種類が同定され、2011年現在40種類以上の株のゲノム解読が完了していることから、バイオカタログとしての位置を築いている。





シアノバクテリアは、一般に形質転換能を有するため、外来DNAを遺伝子操作により細胞内に導入し、物質を生産させることが可能である。外来DNAを細胞内に導入する発現ベクターの多くは、これまで大腸菌(Escherichia coli)を主な宿主として開発されてきた歴史的な経緯がある。藻類の発現ベクターとしては、発現制御配列として大腸菌型プロモーター(Ptrc、Prbc、Plac、Ptet、PR、及びPrnpB)とlacオペレーターを組込んだシステムが考案されたが、大腸菌内で作動する制御能が藻類の細胞では必ずしも全部発揮されないことが報告されている(非特許文献1)。またシャトルベクターpARUB19では、大腸菌型プロモーターPrbcを搭載し、その下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結させて単細胞性シアノバクテリア、シネココッカス・エスピー(Synechococcus sp.)PCC6301の細胞においてルシフェラーゼの生産に成功しているが、その生産は全細胞タンパク質の1.2%に留まっている(非特許文献2)。





溶菌細胞を用いた有用物質の生産に関する試みは、これまで非光合成微生物である大腸菌(グラム陰性菌)及び枯草菌(Bacillus subtilis、グラム陽性菌)などで行われている。例を挙げると、生分解性プラスチックの一種であるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)生合成系の遺伝子を導入した組換え大腸菌に、さらにファージの溶菌遺伝子を導入する手法が報告されている(非特許文献3~5、特許文献1)。このようなグラム陰性菌における自己破砕を基盤にして、自らPHA蓄積能を有するグラム陽性菌の枯草菌の一種を用い自己破砕細胞を作り出すことによって効率良くPHAを生産する系が考案された(特許文献2)。このシステムでは、ベクターpXはキシロース誘導性の枯草菌染色体挿入型のプラスミドであるが、これを母体としてバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)ファージのホリン(holin)-エンドリシン(endolysin)カセットを組み込み、宿主枯草菌の培地の炭素源グルコースが消費され尽くすと、キシロース誘導性プロモーターからの転写発現が誘導される仕組みになっている。つまりPHAを細胞内に蓄積させた後、グルコース消費という培地中の炭素源の濃度をモニターすることによって、それに続く自己破砕がタイミング良く誘導される制御系である。このように、大腸菌及び枯草菌で知られる自己破砕とは、遺伝子操作によって細胞外からファージ溶菌遺伝子を宿主細胞に導入することによって与えられる付加機能である。また、自己破砕にはさらにTriton-XやSDSなど補助的な溶剤などを必要とする場合があり、自己破砕後の溶液中における物質の回収には溶菌上澄液と細胞残渣を遠心により分離しなければならない場合がある。それ故、このような自己破砕系では、自己破砕能を宿主細胞に予め付加しなければならない操作が含まれ、使用可能な宿主細胞種が限定されたり、生産できる目的物質が宿主細胞に依存するなど、細胞内で目的物質を生産し回収するまでに、手間を要し、種々の制限がかかる。





これまでに本発明者は、内在性の自己溶菌能を有するシアノバクテリア、リムノスリックス/シュードアナベナ・エスピー(Limnothrix/Pseudanabaena sp.)ABRG5-3株の単離に成功している(非特許文献6)。これはそれ自身がすでに自己溶菌能を持ったユニークな株であった。

産業上の利用分野



本発明は、自己溶菌能を有するシアノバクテリアを用いた物質の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アノバクテリア形質転換体を培養し、外来遺伝子を発現させ、自己溶菌を誘導することを特徴とする、シアノバクテリアを用いた物質製造方法であって、
前記シアノバクテリア形質転換体が、シアノバクテリア発現ベクターを、受託番号FERM P-22172を有するリムノスリックス/シュードアナベナ・エスピー(Limnothrix/Pseudanabaena sp.)ABRG5-3株又は自己溶菌能を有するその変異体であるリムノスリックス/シュードアナベナ属シアノバクテリアに導入して得られるものであり、
前記シアノバクテリア発現ベクターは、配列番号1に示される塩基配列からなるpsbA2遺伝子上流領域の、ATボックス配列を含む塩基配列を欠失し、かつ転写活性を有する変異型領域と、外来遺伝子とを含み、
自己溶菌の誘導は、前記シアノバクテリア形質転換体を培地を連続的にかき混ぜながら培養した後、静置培養することによって行い、静置培養は、(i)暗所で行うか、又は(ii)赤色光の照射下で行う、
方法

【請求項2】
前記外来遺伝子が、配列番号16で示されるアミノ酸配列をコードするsll0208遺伝子及び配列番号23で示されるアミノ酸配列をコードするsll0209遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記静置培養を20~50℃の温度条件下で行う、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記外来遺伝子から生成されたタンパク質又は該タンパク質の活性により生成された物質を回収することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記外来遺伝子が、炭化水素合成酵素遺伝子である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記炭化水素合成酵素遺伝子が、アルカン合成酵素遺伝子である、請求項に記載の方法。

【請求項7】
前記形質転換体により生産されたアルカンを回収することをさらに含む、アルカン製造方法である、請求項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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