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果実の鮮度保持剤

国内特許コード P150011387
整理番号 S2013-0368-N0
掲載日 2015年2月20日
出願番号 特願2013-008344
公開番号 特開2014-138562
出願日 平成25年1月21日(2013.1.21)
公開日 平成26年7月31日(2014.7.31)
発明者
  • 立木 美保
  • 中嶋 直子
  • 嶋田 幸久
  • 山崎 千秋
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 果実の鮮度保持剤
発明の概要 【課題】公知の鮮度保持剤と比較して優れた特性を備える果実の鮮度保持剤を提供する。
【解決手段】本発明は、式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む果実の鮮度保持剤に関する。



【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



モモ(Prunus persica)は、日本で栽培されている代表的な果樹作物の一つである。現在、日本で栽培されているモモ品種のほとんどは、溶質とよばれるタイプに属する。溶質のモモは、収穫後に果肉硬度が急速に低下する。この結果、モモ特有のとろりとした軟らかな肉質となる。しかしながら、溶質のモモは、前記の特性に起因して日持ち性が極めて低い。





モモは、クライマクテリック型とよばれるタイプの果実であり、植物ホルモンであるエチレンによって果実成熟が制御されている。モモは、果実の成熟期に達すると、果実においてエチレンが生成される。このエチレンの作用によって、果実の成熟が促進される。しかしながら、収穫後のモモにおいても、エチレンが大量に生成されるため、収穫後のモモは、軟化が急激に進行する。それ故、収穫後のモモの鮮度を保持し、且つ貯蔵性を向上するために、エチレンの作用を抑制する技術開発が望まれている。





エチレンの作用阻害剤として知られる1-メチルシクロプロペン(1-MCP)は、エチレン受容体に結合してエチレンの作用を阻害する。前記の作用機序に基づき、1-MCPは、リンゴ等の果実に対して、極めて高い鮮度保持効果を示すことが知られている。1-MCPは、日本において、2010年にリンゴ、ニホンナシ及びカキを対象として、鮮度保持剤として農薬登録された。しかしながら、1-MCPは、モモに対する鮮度保持効果は低い。このため、1-MCPは、モモに対する鮮度保持剤としての実用的な利用は期待できない(非特許文献1)。





モモ品種の中には、前記のような溶質のモモだけでなく、硬肉のモモも存在する。硬肉のモモは、成熟に伴って溶質のモモと同様の果皮色の変化及び糖度の上昇等が認められるものの、エチレン生成の上昇及び果肉の軟化は観察されない。このように、硬肉のモモが軟化しないのは、エチレン生合成経路の鍵酵素である1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素遺伝子ファミリーの一つである、PpACS1遺伝子の発現が、果実の成熟期に特異的に抑制されていることに起因する(非特許文献2)。溶質のモモ及び硬肉のモモを用いてDNAマイクロアレイ解析を行うと、PpACS1遺伝子の発現様式は、オーキシンによって発現が誘導される各種遺伝子のホモログ(Aux/IAA、ILR及びSAUR等)の発現様式とよく一致する。すなわち、これらの遺伝子の発現は、溶質のモモでは果実の成熟期に増加するが、硬肉のモモでは抑制されている。また、溶質のモモでは、果実の成熟期に果肉中で内性オーキシン量が増加するのに対し、硬肉のモモでは、果実の成熟期においても、果肉中にオーキシンは検出されない(非特許文献3)。





オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている植物ホルモンである。天然オーキシンとしては、インドール-3-酢酸(IAA)が最も普遍的に分布していることが知られている。オーキシンは、大別すると、芳香族アミノ酸であるL-トリプトファンを経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路によって生合成されることが知られている。例えば、公知の除草剤であるグリホサートは、芳香族アミノ酸の生合成に関与する酵素である5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸シンターゼ(EPSPS)を阻害する。このため、グリホサートは、EPSPSの下流に位置する芳香族アミノ酸及び/又は他の二次代謝産物のような、標的とする化合物以外の代謝産物の生合成にも悪影響を与える可能性がある。このため、オーキシンの生合成経路のうち、特定の経路を特異的に阻害する化合物の開発が行われた。例えば、特許文献1は、L-α-(2-アミノエトキシビニル)グリシン(AVG)、L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(L-AOPP)、アミノオキシ酢酸(AOA)及び2-アミノオキシイソ酪酸(AOIBA)のようなオーキシン生合成阻害剤を記載する。特許文献2は、L-AOPPのフェニル基、カルボキシル基及びアミノオキシ基を修飾した新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。

産業上の利用分野



本発明は、果実の鮮度保持剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
nは、0又は1であり、
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
Aは、単結合、-O-CH2-、-O-、ビニレン又はカルボニルであり、
Bは、単結合又はメチレンであり、
R1、R2及びR4は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは非置換のアルキルであり、
R3は、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアシルアミノ又は-X-NR6R7であるか、或いは
R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成するか、或いは
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシ又はビニレンを形成するか、或いは
R3及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって置換若しくは非置換のアルキリデンを形成し、
Xは、-O-、-NH-又は-CH2-であり、
R6及びR7は、それぞれ独立して、水素又は置換若しくは非置換のアシルであるか、或いはそれらが結合する窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換のアルキリデンアミノ又は置換若しくは非置換の環状イミドを形成し、
R5は、ヒドロキシル、カルボン酸、ホスホン酸、カルボン酸ヒドラジド、置換若しくは非置換のアルキル若しくはN-ヒドロキシ環状イミドとのカルボン酸エステル、又は置換若しくは非置換のアルキルとのホスホン酸エステルであるか、或いは
R3及びR5は、それらが結合する炭素原子と一緒になってオキサゾール-5(4H)-オン環を形成する。]
で表される化合物又はその塩を有効成分として含む果実の鮮度保持剤。

【請求項2】
前記果実がモモである、請求項1に記載の果実の鮮度保持剤。

【請求項3】
請求項1に記載の果実の鮮度保持剤で果実を処理することを含む、該果実の鮮度を保持する方法。

【請求項4】
前記果実がモモである、請求項3に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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