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光散乱体の光学的測定方法、光学的測定装置及び光学的記録媒体 UPDATE

国内特許コード P150011428
整理番号 S2013-0710-N0
掲載日 2015年2月26日
出願番号 特願2013-049705
公開番号 特開2014-174124
登録番号 特許第6183826号
出願日 平成25年3月12日(2013.3.12)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
登録日 平成29年8月4日(2017.8.4)
発明者
  • 伊藤 雅英
  • 谷田貝 豊彦
  • 星野 鉄哉
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 光散乱体の光学的測定方法、光学的測定装置及び光学的記録媒体 UPDATE
発明の概要 【課題】光散乱の厳密な計算の方法を用いて、光散乱体の大きさ・形状や光散乱体間の距離を精度よく評価することであり、また、この評価を用いて、粒子の形状・大きさ複素屈折率、粒子間の距離を高速に測定できる光学的測定方法及び光学的測定装置を提供する。また、この計測手段を用いて、回折限界を超える密度の光メモリを提供する。
【解決手段】入射光40の光軸から0.05ラジアン以上はずれた散乱光30の強度分布と、周期的な構造に関する光学的計算手法を周期の1/3よりも長径が短い孤立した光散乱体10に適用して算出した散乱光30の強度分布を比較することによって、光散乱体10を計測する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



従来、光学的に粒子の大きさや粒子間距離を計測、読取する技術として、レーザー顕微鏡、ホログラフィック顕微鏡がある。その他、光学顕微鏡、顕微赤外分光法、顕微ラマン分光法等の手段がある。





レーザー顕微鏡は、レーザーとレンズを用いて、レンズの結像から光散乱体の形状や大きさを読み取る装置である(非特許文献1および非特許文献2参照)。





ホログラフィック顕微鏡は、光散乱体由来の光と平面波を干渉させ、その干渉縞を取り、干渉縞の変動周期とその強度を解析することで光散乱体の形状や大きさを読み取る装置である(非特許文献3参照)。





光学顕微鏡は、白色光とレンズを用いて、レンズの結像から光散乱体の形状や大きさを読み取る装置である(非特許文献4参照)。





顕微赤外分光法は、赤外光と集光システムを用いて、散乱体の吸収スペクトルから光散乱体の消光係数(あるいは吸収係数)を読み取る方法である(非特許文献5参照)。一般に、この方法で粒状の試料から、フィルム状の試料と同様の定量的なスペクトルを得るのは難しい。





顕微ラマン分光法は、可視光とレンズを用いて、散乱体のラマン散乱スペクトルから光散乱体の散乱成分を読み取る方法である(非特許文献6参照)。





上記5つの計測装置、方法においては、輪郭の評価を単にコントラストの違いだけで行っているため、実際の厳密な輪郭とは異なる。コントラストは輪郭ではなく、光の散乱強度の変化が最も大きい場所に現れる。この場所は必ずしも物理的な輪郭とは一致しない。したがって、厳密な粒径の評価や距離の計測のためには、後記する本発明で示されるように光散乱の計算を合わせて行う必要がある。





光散乱の計算手法としては、Mie散乱理論、フラウンホーファー近似やFDTD(時間領域差分)法、境界要素法が知られている。





まず、一つの光散乱体の散乱について述べる。Mie散乱理論は球形粒子について、解析的に散乱を計算できるが、一般に球形粒子と矩形や三角形の粒子は散乱パターンが異なる(非特許文献7参照)。また、一般の形状の散乱パターンに関する、解析的な解は知られていない。





二つの光散乱体として最も単純な形状は2スリットである。2スリット回折では、1つの光源からの光を2つのスリットを通して干渉させる。スリットとスリットの距離により、干渉縞が変化することが知られている(非特許文献8参照)。





一つあるいは二つのスリットについては、光散乱の近似式の存在が知られている。スリットの場合には、光軸方向に高さ(深さ)のある屈折率を発生する手段ではないので、散乱体の材質や厚さ考える必要はなく、散乱光の角度分布について、フラウンホーファー回折の近似を用いて簡便に求めることができる。この角度分布は、角度の正弦に対して、周期的に変動することが近似式で与えられている(例えば、非特許文献25参照)。





フラウンホーファー回折の近似式を用いて、1スリットの幅や2スリット間の距離を得ることができる(非特許文献8参照)。このような際に、フーリエ変換による特殊なアルゴリズムを用いている例がある(特許文献2参照)が、このフーリエ変換については、すでに知られている(例えば、非特許文献8参照)。





スリットでなく、凹凸のある形状のときには、FDTD(時間領域差分)法や境界要素法を使って光散乱強度を計算できることは知られている(例えば、非特許文献9、非特許文献10参照)。しかし、これらの方法は、計算時間がかかったり、異なる形状に適用するためにプログラムを書きなおす必要があったりして、様々な形状を比較検討するのには不適である。また、遠距離場での光散乱強度の精度については信頼性が低い。





他方、凹凸が周期的に変化するときには、RCWA(厳密結合波解析)を用いることができる。RCWAは精度が良いことがすでに知られており、(例えば、非特許文献11、非特許文献12)、また発明者らの検討からFDTD法や境界要素法より、簡便に計算でき、計算速度が速いことが分かっている。しかし、孤立した凹凸については、RCWAは一般には適用できない。





次に、粒子の形状や大きさ、粒子間あるいは凸部間の距離についての従来の技術開発の状況について述べる。これまで、任意の形状の孤立した一つの微粒子、より一般的には1つの屈折率分布を発生する部材の散乱光の角度分布や波長分布の変動周期から、部材の大きさを求める方法についての技術はない。





さらに、任意の形状の孤立した一つの微粒子の吸光係数を、正確に求める方法についての技術はない。ここで、微粒子とは、測定波長より大きいサイズの200nmから20μm程度の短径の粒子である。測定波長がX線の場合には、5~100nmのサイズとなる。なお、微粒子が波長より十分小さいと見なせるときには、微分干渉法を用いて、吸収係数を求める方法が知られている(非特許文献13)。





また、これまで、孤立した任意の形状の2つの凹凸、より一般的には2つ屈折率を発生する部材の散乱光の角度分布や波長分布について該分布の変動周期から、2屈折率を発生する部材間の距離を求めた技術はない。従来法では、屈折率を発生する部材を、光軸方向に高さのないスリットとして近似して変動周期から距離を求めることができる(非特許文献8参照)。他方、別のいくつかの方法でこの距離が求められている。





屈折率を発生する部材間の距離の光学的測定技術の第一の例として、回折格子の間隔をX線回折により求める方法がある(非特許文献14参照)。この方法は、等間隔に多数並んだ屈折率を持つ部材の間隔を求めるのに有効である。





屈折率を発生する部材間の距離の光学的測定技術の第二の例として、3次元的に複数の方向の入射光について、それぞれの散乱光の角度分布を集めることで、凹凸像を得る方法がある(非特許文献18)。この像から、2つの屈折率を発生する部材の重心間の距離を精密に求めることができる。一方で、一方向の入射光についてのデータで、屈折率を発生する部材間の距離を短時間に測定するには不向きである。





屈折率を発生する部材間の距離の光学的測定技術の第三の例として、共焦点顕微鏡がある。共焦点顕微鏡は、対物レンズからの光が試料面に垂直方向に進むとき、水平方向の分解能はレンズの集光径で決まる。この水平方向の分解能は回折限界のため、0.3波長程度が限界である(非特許文献15)。しかし、垂直方向の分解能は非常に高い。同じ原理で、レンズを用いて凹凸を観測すれば、記録媒体の段差が小さくても読み取りができる。





光学的記録媒体の例として、相変化型光ディスクがある。この媒体は、結晶とアモルファスで光の散乱特性が異なることを利用して、1と0を記録する(特許文献2参照)。この最大記録密度は、レンズの集光径できまり、1ビットあたり、0.8波長角程度が規格とされている(非特許文献14)。ディスク1枚で1層当たり25Mbyteのものが市販されている。





相変化型記録は、相転移温度以上の高温を与えた後、急冷すると結晶構造が非結晶化(アモルファス)し、一方で、徐冷すると再び結晶化する材料を記録層として用い、両状態の反射率の差を用いて情報の記録を行い、また再生を行う手段である(特許文献1、非特許文献16参照)。





光学的記録媒体の別の例としてホログラムがある。この媒体は、位相情報を屈折率分布として記録するものであり、記録は物体光と参照光を用いてなされ、物体光の再生は参照光でなされる(非特許文献17)。物体光を碁盤目状に区切った空間光変調器(SLM)とし、各升目を透過する場合と透過しない場合を1と0に対応させることでデジタルデータを記録できる。





ホログラム記録では、データを空間変調器で変調された物体光と参照光の2つの光を記録媒体上で干渉させ、その干渉縞を記録媒体に物理変化として記録し、再生時には参照光のみ照射して回折光を読み取る手段である(非特許文献18参照)。





1層当たりの記録密度は相変化型光ディスクより高いが、材料が特殊なことと読み取りエラーが多いことが課題である。そのため、品質管理が難しい。記録密度については、記録層に厚みがあり、重ねて記録できるので、高密度にできる。ディスク1枚で200Mbyteのものが発表されている。

産業上の利用分野



本発明は、光散乱体の光学的測定方法、光学的測定装置及び光学的記録媒体に関し、特に、微粒子のような屈折率分布を発生する部材(後記するが、これを本明細書及び発明では「光散乱体」という)の大きさや、2つの光散乱体間の距離を精密に測定する技術であって、例えば、微粒子の形状と大きさの計測、微粒子の吸収スペクトルの測定、高密度記録媒体のデータ読み出しや、集積回路の微細金属配線の間隔のオンライン検査、フローサイトメトリー等に適用可能な技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
入射光の光軸から0.05ラジアン(rad)以上はずれた散乱光の強度分布と、周期的な構造に関する光学的計算手法を周期の1/3よりも長径が短い孤立した光散乱体に適用して算出した散乱光の強度分布について、前記2つの強度分布は、それぞれ一つの光散乱体のみに光を当てたものであり、前記2つの強度分布は、それぞれ光軸近傍に強度分布の中で最も強い一つのピークを持ち、前記2つの強度分布の光軸近傍の最も強い一つのピークの影響を除いて又は減らして、比較することによって、一つの光散乱体を計測することを特徴とする光学的測定方法。

【請求項2】
入射光の光軸から0.05ラジアン(rad)以上はずれた散乱光の角度又は波長に対する強度分布を用い、周期的な構造に関する光学的計算手法を用いて計算した散乱光の強度分布と、強度が変動する周期を比較することによって、一つの光散乱体の大きさや形状を計測することを特徴とする請求項1に記載の光学的測定方法。

【請求項3】
入射光の光軸から0.05ラジアン(rad)以上はずれた散乱光の強度分布を用い、周期的な構造に関する光学的計算手法を用いて計算した散乱光の強度分布と、散乱強度を比較し、計算に用いる複素屈折率の消光係数を変えることで、光散乱体の複素屈折率を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的測定方法。

【請求項4】
散乱光の波長に対する強度分布を用い、周期的な構造に関する光学的計算手法を用いて計算した散乱光の消光係数から、光吸収や光路長を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分光スペクトルの光学的測定方法。

【請求項5】
光散乱体の形状を計測すること及び該光散乱体の散乱光を計測することを、該光散乱体を動かさずにでき、該形状に基づいて散乱強度を周期的な構造に関する光学的計算手法を用いて計算することにより、光散乱体を計測することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光学的測定方法。

【請求項6】
白色光源、レンズ1、スリット、レンズ2、1つの光散乱体、レンズ3、円形の遮光フィルタ、光ファイバの入光部、分光器の順に並ぶことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学的測定方法に用いる光学的測定装置。

【請求項7】
白色光源、レンズ1、ピンホールまたはスリット、レンズ2、光軸上にあって回転可能な1つの光散乱体と基板、レンズ3、回転可能で先端が光散乱体に向いた光ファイバの入光部、分光器の順に並ぶことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学的測定方法に用いる光学的測定装置。

【請求項8】
レーザー光源、レンズ1、穴あきマスク1、レンズ2、1つの光散乱体とそれを固定する基板、レンズ3、穴あきマスク2、CCDイメージセンサの順に並び、穴あきマスク2とCCDイメージセンサは筒の中にあり、散乱光の角度分布をCCDイメージセンサで計測することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光学的測定方法に用いる光学的測定装置。

【請求項9】
光源からの光の屈折発生体近傍での強度分布を、入射光の方向に垂直な平面で切りだしたときに、半値幅の縦横比が2倍以上に長くなるような構成としたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の光学的測定装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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