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ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤 UPDATE

国内特許コード P150011433
整理番号 S2013-0689-N0
掲載日 2015年2月26日
出願番号 特願2013-042031
公開番号 特開2014-169246
登録番号 特許第6120272号
出願日 平成25年3月4日(2013.3.4)
公開日 平成26年9月18日(2014.9.18)
登録日 平成29年4月7日(2017.4.7)
発明者
  • 嶋田 幸久
  • 山崎 千秋
  • 添野 和雄
  • 石井 貴広
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤 UPDATE
発明の概要 【課題】公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して優れた特性を備える新規オーキシン生合成阻害剤を提供する。
【解決手段】式(I)又は式(II)で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。



(式中、R1~R3は、置換していても良いアリール基を、L1~L3は単結合、アルキレン基等を、RB1及びRB2は、水素又はアルキル基等を表す。)
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている植物ホルモンである。天然オーキシンとしては、インドール-3-酢酸(IAA)が最も普遍的に分布していることが知られている。また、インドール-3-酪酸(IBA)及び4-クロロインドール-3-酢酸(4-Cl-IAA)等の他の天然オーキシンも知られている。





主要な天然オーキシンであるIAAは、化学的に非常に不安定である。また、植物体内においては、IAAを分解するIAAの代謝経路が存在する。このため、農業及び植物化学の分野では、農薬又は植物化学調節剤として合成オーキシンが広く用いられている。合成オーキシンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、1-ナフタレン酢酸(NAA)及び2-メチル-4-クロロフェノキシ酪酸(MCPB)等が知られている。例えば、2,4-Dは、除草剤及び植物の組織培養試薬として使用されている。MCPBは、水田広葉雑草に対する選択的除草剤として使用されている。





オーキシンすなわちIAAは、複数の経路によって生合成されることが知られている。現在までに、大別すると、L-トリプトファン(L-Trp)を経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路が存在することが確認されている。L-Trpを経由する経路は、さらに4つ以上の経路に分岐し、それぞれの経路が異なる生合成酵素によって制御されている。シロイヌナズナでは、インドール-3-ピルビン酸(IPyA)を生合成中間体としてIAAが生合成される経路が、IAA生合成の主要な経路である(図1)。前記経路において、L-TrpからIPyAが形成される反応はトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA)により、IPyAからIAAが形成される反応はフラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAにより、それぞれ制御される。TAAをコードするTAA1遺伝子及びYUCCAをコードするYUCCA1遺伝子の過剰発現体の解析から、このIAA生合成経路においては、YUCCAが主要な律速酵素であると考えられている(非特許文献1)。





前記のように、オーキシンの生合成においては、共通且つ主要な生合成前駆体として、芳香族アミノ酸であるL-Trpが利用されている。例えば、公知の除草剤であるグリホサートは、芳香族アミノ酸の生合成前駆体である5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸(EPSP)の生合成酵素(5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸シンターゼ(EPSPS))を阻害する。このため、グリホサートは、EPSPの下流に位置する芳香族アミノ酸及び/又は他の二次代謝産物の生合成に広く影響を与えることにより、除草活性を発現する。しかしながら、前記のように幅広い代謝産物の生合成に影響を与える酵素の阻害剤の場合、標的とする化合物以外の代謝産物の生合成にも悪影響を与える可能性がある。





近年、オーキシンの生合成経路のうち、特定の経路を特異的に阻害する化合物が開発された。例えば、特許文献1は、L-α-(2-アミノエトキシビニル)グリシン(AVG)、L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(L-AOPP)、アミノオキシ酢酸(AOA)及び2-アミノオキシイソ酪酸(AOIBA)のようなオーキシン生合成阻害剤を記載する。前記化合物のうち、AVG及びL-AOPPは、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する(非特許文献2)。特許文献2は、L-AOPPのフェニル基、カルボキシル基及びアミノオキシ基を修飾した新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。当該文献に記載の化合物もまた、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する。

産業上の利用分野



本発明は、ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤に関する。本発明はまた、前記阻害剤の使用方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)又は式(II):
【化1】



[式中、
R1、R2及びR3は、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、但し、R1、R2及びR3は同一の基であり、
L1、L2及びL3は、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであり、但し、L1、L2及びL3は同一の基であり、
RB1及びRB2は、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1及びRB2は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。

【請求項2】
R1、R2及びR3が、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C6~C15アリール、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、
L1、L2及びL3が、単結合であるか、或いはエチレンであり、
RB1及びRB2が、水素であるか、或いはRB1及びRB2が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する、
請求項1に記載のオーキシン生合成阻害剤。

【請求項3】
R1、R2及びR3が、非置換、又は1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであり、
RB1及びRB2が、水素であるか、或いはRB1及びRB2が、それらが結合するボロン酸基と一緒になってメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルを形成する、
請求項2に記載のオーキシン生合成阻害剤。

【請求項4】
式(I)又は式(II)で表される化合物が、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤。

【請求項5】
式(I’)又は式(II’):
【化2】



[式中、
R1’、R2’及びR3’は、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、但し、R1’、R2’及びR3’は同一の基であり、
L1’、L2’及びL3’は、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであり、但し、L1’、L2’及びL3’は同一の基であり、
RB1’及びRB2’は、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1’及びRB2’は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、フラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。

【請求項6】
R1’、R2’及びR3’が、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C6~C15アリール、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、
L1’、L2’及びL3’が、単結合であるか、或いはエチレンであり、
RB1’及びRB2’が、水素であるか、或いはRB1’及びRB2’が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する、
請求項5に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。

【請求項7】
R1’、R2’及びR3’が、非置換、又は1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであり、
RB1’及びRB2’が、水素であるか、或いはRB1’及びRB2’が、それらが結合するボロン酸基と一緒になってメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルを形成する、
請求項6に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。

【請求項8】
式(I’)又は式(II’)で表される化合物が、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される、請求項5~7のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。

【請求項9】
望ましくない植物を防除するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤。

【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。

【請求項11】
請求項5~8のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤とYUCCAとをin vitroで接触させることを含む、in vitroにおけるYUCCA活性を阻害する方法。

【請求項12】
請求項5~8のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるYUCCA活性を阻害する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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