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飼育魚類の筋肉内脂質含量増加方法及びそのための飼料

国内特許コード P150011446
整理番号 S2013-0775-N0
掲載日 2015年2月26日
出願番号 特願2013-057976
公開番号 特開2014-180270
出願日 平成25年3月21日(2013.3.21)
公開日 平成26年9月29日(2014.9.29)
発明者
  • 大場 萌未
  • 吉永 葉月
  • 潮 秀樹
  • 金子 元
  • 高橋 伸一郎
  • 佐藤 秀一
出願人
  • 国立大学法人東京海洋大学
  • 国立大学法人 東京大学
発明の名称 飼育魚類の筋肉内脂質含量増加方法及びそのための飼料
発明の概要 【課題】養殖魚又は漁獲した天然魚を出荷するに際して、該魚類の筋肉内脂質含量を増加させ、食味及び食感の良好な「脂が乗った」状態の養殖魚又は漁獲した天然魚を提供すること及びそのための魚類飼育用飼料を提供すること。
【解決手段】魚種によって生育に必要とされる必須アミノ酸の要求量を含有させた魚類飼育用飼料において、リジン以外の必須アミノ酸は、魚の生育のために必要なアミノ酸の要求量を充足させ、該必須アミノ酸のうち、リジンの飼料中の含有量を、生育に必要なアミノ酸の要求量以下に調整することにより、魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類飼育用飼料を調製し、該魚類飼育用飼料を用い、養殖魚の出荷前の飼育期間において、出荷前の2~7日の期間を該魚類飼育用飼料を投与して飼育することにより、養殖魚の筋肉内の脂質含量を増加し、「脂が乗った」状態の養殖魚を提供する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年わが国においては魚類の養殖が盛んに行われ、その飼料の研究も数多くなされている。魚類の養殖用飼料の配合に際しては、各種飼料成分において、魚類における必須アミノ酸の供給が重要となる。必須アミノ酸は、魚体内で生合成により供給することができないため、魚の生育には、飼料として外部から供給することが必要となる。魚類の必須アミノ酸としては、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His)、アルギニン(Arg)が挙げられる。





魚類の養殖において、各種海産重要魚類の生育に必要な必須アミノ酸要求量については、飼育試験により調査され報告がなされている(Robert P. Wilson PROTEIN AND AMINO ACID REQUIRMENTS OF FISHES:Ann. Rev. Nutr. 6:225-244,1986)。また、魚類飼料中の必須アミノ酸のバランスが魚類の成長や、生化学的指標に対する影響についても報告されている(Mar. Biotechnol., Vol. 14, No.5 p643-654,2012; Fisheries Sci. JST Vol. 68, No.3, p509-516,2002)。該報告では、例えば、試料中のアルギニン(Arg)や リジン(Lys)の欠乏は、魚の生残率、日間成長率、飼料効率及びタンパク蓄積に悪影響を与えることが報告されている。また、飼料中の必須アミノ酸の量が魚の成長に及ぼす影響についても報告されている。例えば、飼料中のリジン量を、7段階にかえてマスに与え、12週間の成長を観察したところ、19g/kgでマスの成長増はプラトーに達したことが報告されている。





魚類の養殖において、飼料中に必須アミノ酸を添加、補強して、養殖魚の成長等を促進する方法も開示されている。例えば、特開平7-31380号公報には、フェザーミールと魚粉をタンパク質源とした魚類用配合飼料において、メチオニンや、リジン、及び、ヒスチジンのような必須アミノ酸を添加、補強して、魚の成長度の良好な配合飼料を調製する方法が開示されている。また、特開平6-70694号公報には、大豆タンパク質を主タンパク質源とした植物タンパク質配合ヒラメ用飼料において、不足する必須アミノ酸成分であるメチオニン及びリジンを添加して、飼料効率の良い、ヒラメ養殖用飼料を製造することについて開示されている。これらはいずれも、魚類の養殖用飼料の配合に際して、魚類の成長に必要な必須アミノ酸の量を補完或いは強化して、養殖魚類の成長の促進を図ったものである。





一方で、近年、魚類の養殖が盛んに行われる中で、各種飼料の研究がなされ、養殖魚類の成長を促進するための飼料の開発も行われている。魚類の養殖において、養殖魚の成長を早めるために、従来より、養魚飼料へ脂質の添加が行われており、また、そのような飼料として、高脂肪含量の魚類の飼料の開示も種々なされている(特開平8-38066号公報、特開2005-27613号公報、特表2003-501106号公報)。しかしながら、養殖魚類の飼育において、飼料として脂質高含量の飼料を与えると、脂質がそのまま魚類体内に取り込まれるため、天然魚に比較して、高品質の油脂を含有する養殖魚とならない問題がある。天然魚のような場合は、ある程度脂質含量が高い方が「脂が乗った」状態になって食味が良くなるという評価になるが、養殖において、脂質含量の高い飼料等により、脂肪分を付与すると、体脂肪が必要以上に高くなり、天然魚に比べ、その食味において著しく劣るようになる。天然魚と養殖魚を比較すると、一般に養殖魚はその生育環境の相違から、脂肪含有率が高く、肉質が軟らか過ぎる傾向があり、これが養殖魚の味が天然魚の味より劣る原因であると考えられている。





このような養殖魚の食味を改善するために、従来は、養殖魚の出荷7~10日前から餌止めし、脂肪含有率を低減させる方法が採られている。しかし、この方法では餌止めにより体重が減少し、商品価格が低下する問題がある。そこで、これらの魚類の脂質蓄積等に対する肉質の改善の方法が検討され、開示されている。例えば、特公昭61-22936号公報には、ゼオライトの一種であるモルデナイト及びクリノプチライトを養魚用飼料に添加して、該ゼオライトの吸着力を利用して消化器官内のアンモニアと脂肪を捕捉し、その過剰摂取を防止する方法が、特開平7-87901号公報には、ケイ酸の可溶化率が25%以上であり、かつ吸油量が150ml/100g以上の多孔質ケイ酸カルシウムを主成分とする魚介類の肉質改善剤を養殖魚介類用飼料に添加し、魚介類の成長を抑制せずに筋肉への体脂肪の蓄積を防止する方法が開示されている。





また、特開2001-69923号公報には、緑茶、緑茶抽出物、茶殻を養殖魚用飼料に添加して、養殖魚の脂質を改善して、養殖魚特有の脂ぽさを軽減し或いは除去する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、魚の脂肪含有率を低減させるものであるから、天然魚の「脂が乗った」状態とは相違するものであり、天然魚のような食味の養殖魚を提供するという観点からは、必ずしも満足のいくものとはなっていない。





以上のように、近年、魚類の養殖が盛んに行われる中で、養殖技術やそのための養殖魚用飼料の改良が種々なされているが、天然魚に匹敵する味覚の養殖魚を提供するという観点からは、その養殖技術及びそのための飼料の更なる改良が望まれるところである。

産業上の利用分野



本発明は、養殖魚又は漁獲した天然魚を出荷するに際して、飼育により、該魚類の筋肉内脂質含量を増加する方法及びそのための魚類飼育用飼料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
魚種によって生育に必要とされる必須アミノ酸の要求量を含有させた魚類飼育用飼料において、該必須アミノ酸のうち、リジンの飼料中の含有量を、生育に必要なアミノ酸の要求量以下に調整したことを特徴とする魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類飼育用飼料。

【請求項2】
リジンの飼料中の含有量が、該必須アミノ酸の生育に必要とされるアミノ酸の要求量の20~50%に低減されていることを特徴とする請求項1に記載の魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類飼育用飼料。

【請求項3】
魚類飼育用飼料中のリジンの含有量が、飼料当たり0.4~2.2重量%に調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類養殖用飼料。

【請求項4】
魚類飼育用飼料が、養殖魚又は漁獲した天然魚の魚類筋肉内脂質含量を増加するための飼育のための飼料であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類飼育用飼料。

【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の魚類筋肉内脂質含量を増加するための魚類飼育用飼料を用い、養殖魚又は漁獲した天然魚の出荷前の飼育期間において、出荷前の2~7日の期間を該魚類飼育用飼料を投与して飼育することにより、養殖魚又は漁獲した天然魚の筋肉内の脂質含量を増加することを特徴とする飼育魚類の筋肉内脂質含量を増加する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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