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ジョーンズマトリックスOCTシステム及び該OCTで得られた計測データを画像処理するプログラム

国内特許コード P150011457
整理番号 S2013-1022-N0
掲載日 2015年2月27日
出願番号 特願2013-110009
公開番号 特開2014-228473
出願日 平成25年5月24日(2013.5.24)
公開日 平成26年12月8日(2014.12.8)
発明者
  • 安野 嘉晃
  • 朱 明珍
  • 伊藤 雅英
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 ジョーンズマトリックスOCTシステム及び該OCTで得られた計測データを画像処理するプログラム
発明の概要 【課題】画像の安定性、画像品質、画像の深さ領域において改善されたジョーンズマトリックスOCTを実現することを課題とする。
【解決手段】波長走査型光源6からの光を2つの光路へ分割し、一方の光路に参照アーム12を、他方の光路に光を計測対象物に照射し反射させて物体光を生成するプローブアーム13を設け、プローブアーム13には、直線偏光してからS波成分とP波成分に分割して、S波成分とP波成分を互いに光路長の異なる光路を通して重畳する偏光遅延ユニット21を設け、光検出器68、70によって、垂直偏光成分及び水平偏光成分に対応するスペクトル干渉光ついて、それぞれS波成分とP波成分にそれぞれ対応し、計測対象物の深さ方向に異なるスペクトル干渉光を検出し、4つのスペクトル干渉信号を得る。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



従来、医療分野等で用いられる非破壊断層計測技術の1つとして、時間的に低コヒーレンスな光をプローブ(探針)として用いる光断層画像化法「光コヒーレンストモグラフィー」(OCT)がある(特許文献1参照)。OCTは、光を計測プローブとして用いるため、被計測物体の屈折率分布、分光情報、偏光情報(複屈折率分布)等が計測できるという利点がある。





そして、OCTは、およそ2~15μmの分解能で生体の断面構造及び三次元構造を、非侵襲、高コントラストで画像を可視化できるので、眼科学、皮膚病学、歯科学、胃腸学及び心臓病学等の分野に広く利用されている。





基本的なOCT93は、マイケルソン干渉計を基本としており、その原理を図5で説明する。光源94から射出された光は、コリメートレンズ95で平行化された後に、ビームスプリッタ96により参照光と物体光に分割される。物体光は、物体アーム内の対物レンズ97によって被計測物体98に集光され、そこで散乱・反射された後に再び対物レンズ97、ビームスプリッタ96に戻る。





一方、参照光は参照アーム内の対物レンズ99を通過した後に参照鏡100によって反射され、再び対物レンズ99を通してビームスプリッタ96に戻る。このようにビームスプリッタ96に戻った物体光と参照光は、物体光とともに集光レンズ101に入射し光検出器102(フォトダイオード等)に集光される。





OCTの光源94は、時間的に低コヒーレンスな光(異なった時刻に光源から出た光同士は極めて干渉しにくい光)の光源を利用する。時間的低コヒーレンス光を光源としたマイケルソン型の干渉計では、参照アームと物体アームの距離がほぼ等しいときにのみ干渉信号が現れる。この結果、参照アームと物体アームの光路長差(τ)を変化させながら、光検出器102で干渉信号の強度を計測すると、光路長差に対する干渉信号(インターフェログラム)が得られる。





そのインターフェログラムの形状が、被計測物体98の奥行き方向の反射率分布を示しており、1次元の軸方向走査により被計測物体98の奥行き方向の構造を得ることができる。このように、OCT93では、光路長走査により、被計測物体98の奥行き方向の構造を計測できる。





このような軸方向の走査のほかに、横方向の機械的走査を加え、2次元の走査を行うことで被計測物体の2次元断層画像が得られる。この横方向の走査を行う走査装置としては、被計測物体を直接移動させる構成、物体は固定したままで対物レンズをシフトさせる構成、被計測物体も対物レンズも固定したままで、対物レンズの瞳面付近においたガルバノミラーの角度を回転させる構成等が用いられている。





以上の基本的なOCTが発展したものとして、分光器を用いてスペクトル信号を得るスペクトルドメインOCT(SD-OCT)と、光源の波長を走査してスペクトル干渉信号を得る波長走査型OCT(Swept Source OCT、略して「SS-OCT」という。)がある。SD-OCTには、フーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT、略して「FD-OCT」という。特許文献2参照)、及び偏光感受型OCT(Polarization-Sensitive OCT、略して「PS-OCT」という。特許文献3参照)がある。





FD-OCTは、被計測物体からの反射光の波長スペクトルを、スペクトロメーター(スペクトル分光器)で取得し、このスペクトル強度分布に対してフーリエ変換することで、実空間(OCT信号空間)上での信号を取り出すことを特徴とするものであり、このFD-OCTは、奥行き方向の走査を行う必要がなく、x軸方向の走査を行うことで被計測物体の断層構造を計測可能である。





SS-OCTは、高速波長スキャニングレーザーにより光源の波長を変え、スペクトル信号と同期取得された光源走査信号を用いて干渉信号を最配列し、信号処理を加えることで3次元光断層画像を得るものである。なお、光源の波長を変える手段として、モノクロメーターを利用したものでも、SS-OCTとして利用可能である。





PS-OCTは、フーリエドメインOCTと同様に、被計測物体からの反射光の波長スペクトルをスペクトル分光器で取得するものであるが、試料(被検物体)のもつ偏光情報を捉え、試料のより微細な構造および屈折率の異方性を計測可能とする光コヒーレンストモグラフィー装置である(特許文献3参照)。





さらに詳しくは、PS-OCTは、たとえば、B-スキャンと同時に直線偏光したビームの偏光状態を連続変調するもので、入射光及び参照光をそれぞれ1/2波長板、1/4波長板等を通して水平直線偏光、垂直直線偏光、45°直線偏光、円偏光として、被計測物体からの反射光と参照光を重ねて1/2波長板、1/4波長板等を通して、たとえば水平偏光成分だけをスペクトル分光器に入射させて干渉させ、物体光の特定偏光状態をもつ成分だけを取り出してフーリエ変換するものである。このPS-OCTも、奥行き方向の走査を行う必要がない。





生体内、特に眼底の血流(網膜の血流)を非侵襲で計測し眼科診療に適しており、さらに癌や脳内の画像化の手段に適しているOCTとして、ドップラー光コヒーレンストモグラフィー(ドップラーOCT)が知られている(特許文献4参照)。





ドップラーOCTは、上記FD-OCT等を用いて、血流等の分布が計測を行うことのできる手段であり、同様に、スペクトルドメインOCTを使うことによって、横断面網膜血流画像形成が得られ、また次元の網膜の脈管構造も観察することができる。





また、OCTの一態様として、ジョーンズマトリックスを利用したOCT(ジョーンズマトリックスOCT)が知られている(特許文献5参照)。特に、ファイバーを使用し、ドップラー及び偏光画像を形成するOCTが知られている(非特許文献1)。

産業上の利用分野



本発明は、光干渉計測技術に分野であって、光コヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography、略して「OCT」という)画像に対する画像処理の技術に関し、特に、ジョーンズマトリックスを利用したジョーンズマトリックスOCTシステム、及び該OCTで得られた計測データを画像処理するプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
波長走査型光源と、波長走査型光源の光を2つの光路へ分割するカップラと、前記2つの光路の一方に設けられ、分割された一方の光を参照鏡で反射して参照光を生成する参照アームと、前記2つの光路の他方に設けられ、分割された他方の光を計測対象物に照射し反射させて物体光を生成するプローブアームと、参照光と物体光を重ねてスペクトル干渉光を生成し、該スペクトル干渉光を光検出器で検出する偏光分離検出ユニットと、偏光分離検出ユニットで検出されたスペクトル干渉光に基づき計測対象物の断層画像を生成するコンピュータと、を備えたジョーンズマトリックスOCTシステムであって、
プローブアームは、前記他方の光を直線偏光してからS波成分とP波成分に分割して、S波成分とP波成分を互いに光路長の異なる光路を通して重畳する偏光遅延ユニットを設けており、
偏光分離検出ユニットは、光検出器によって、前記スペクトル干渉光における、垂直偏光成分のS波成分とP波成分にそれぞれ対応し、計測対象物の深さ方向に異なるスペクトル干渉光を検出するとともに、水平偏光成分のS波成分とP波成分にそれぞれ対応し、計測対象物の深さ方向に異なるスペクトル干渉光検出して、4つのスペクトル干渉信号を得ることができ、
コンピュータは、4つのスペクトル干渉信号から、計測対象物の深さz方向に異なる断層画像を生成できるとともに、4つのスペクトル干渉信号のマトリクスから、コヒーレント結合Eout(z)を下記の式(数34)のとおり求め、式(数34)中のθ~θは式(数35)で表されるので、該θ~θを用いることで、式(数34)からさらに、4つのスペクトル干渉信号のランダムな位相をそろえて合成した下記の式(数36)に示すマトリクスのコヒーレントの要素を得ることで、より解像度の高い断層画像を生成する構成であることを特徴とするジョーンズマトリックスOCTシステム。
【数34】


【数35】


【数36】



【請求項2】
コンピュータは、j番目のB-スキャンにおけるA-ラインと、j+1番目のB-スキャンにおけるA-ラインとの間のドップラーシフトΔφ(z,j)が、互いに共役なコヒーレント成分で下記の式(数37)であるという定義に基づき、ドップラー像を、ドップラー位相シフトの二乗強度を示す下記の式(数38)で算出して表示可能であり、
同一点を複数(m)回のB-スキャンで計測することにより、ドップラーシフトΔφ(z,j)は、下記の式(数39)に示すとおりとなり、ドップラー計測に適用することで、ドップラー計測の感度を向上させる構成であることを特徴とする請求項1記載のジョーンズマトリックスOCTシステム。
【数37】


【数38】


【数39】


【数40】



【請求項3】
コンピュータは、計測対象物からの散乱反射光によるOCT像を、コヒーレントなマトリックス成分を用いて、次の式(数41)として得ることができ、さらに複数回のB-スキャンデータを用い、それらのコヒーレントな平均をとることで、高品質な散乱OCT像を次の式(数42)として得ることができる構成であることを特徴とする請求項1記載のジョーンズマトリックスOCTシステム。
【数41】


【数42】



【請求項4】
カップラを介して計測対象物に対する光路と分岐した光路に、校正鏡を有する位相キャリブレーションユニットが設けられており、
校正鏡は、偏光遅延ユニットにおいてP波又はS波自体について互いに光路長差をもつことで干渉して生じた、キャリブレーションユニットに入射される干渉光を反射させて、前記カップラを介して偏光分離検出ユニットに送り参照光と重畳して校正信号として機能する干渉光とし、
水平バランス偏光検出器及び垂直バランス偏光検出器は、それぞれ校正信号として機能する干渉光を検出し、
コンピュータは、該校正信号を用いて、光源の波長走査とA-スキャン間の同期におけるジッターを補正することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のジョーンズマトリックスOCTシステム。

【請求項5】
波長走査型光源と、波長走査型光源から出射された光を2つの光路へ分割するカップラと、2つの分岐光路の一方に設けられ、分割された一方の光を参照鏡で反射して参照光を生成する参照アームと、2つの分岐光路の他方に設けられ、分割された他方の光を計測対象物に照射し反射させて物体光を生成するプローブアームと、参照光と物体光を重ねてスペクトル干渉光を生成し、該スペクトル干渉光を光検出器で検出する偏光分離検出ユニットと、コンピュータと、を備えたジョーンズマトリックスOCTシステムにおける前記コンピュータに搭載され、光検出器で検出したスペクトル干渉光に基づき計測対象物の断層画像を生成するプログラムであって、
プローブアームは、前記他方の光を直線偏光してからS波成分とP波成分に分割して、S波成分とP波成分を互いに光路長の異なる光路を通して重畳する偏光遅延ユニットを設けており、
偏光分離検出ユニットは、光検出器によって、前記スペクトル干渉光における、垂直偏光成分のS波成分とP波成分にそれぞれ対応し、計測対象物の深さ方向に異なるスペクトル干渉光を検出するとともに、水平偏光成分のS波成分とP波成分にそれぞれ対応し、計測対象物の深さ方向に異なるスペクトル干渉光検出して、4つのスペクトル干渉信号を得ることができ、
前記プログラムは、コンピュータを、4つのスペクトル干渉信号から、計測対象物の深さz方向に異なる断層画像を生成できるとともに、4つのスペクトル干渉信号のマトリクスから、コヒーレント結合Eout(z)を下記の式(数43)のとおり求め、式(数43)中のθ~θは式(数44)で表されるので、該θ~θを用いることで、式(数43)からさらに、4つのスペクトル干渉信号のランダムな位相をそろえて合成した下記の式(数45)に示すマトリクスのコヒーレントの要素を得ることで、より解像度の高い断層画像を生成する画像処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【数43】


【数44】


【数45】



【請求項6】
コンピュータを、j番目のB-スキャンにおけるA-ラインと、j+1番目のB-スキャンにおけるA-ラインとの間のドップラーシフトΔφ(z,j)は、互いに共役なコヒーレント成分で下記の式(数46)であるという定義に基づき、ドップラー像を、ドップラー位相シフトの二乗強度を示す下記の式(数47)で算出して表示可能であり、同一点を複数(m)回のB-スキャンで計測することにより、ドップラーシフトΔφ(z,j)は、下記の式(数48)に示すとおりとなり、ドップラー計測に適用することで、ドップラー計測の感度を向上させる画像処理手段として機能させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【数46】


【数47】


【数48】


【数49】



【請求項7】
コンピュータを、計測対象物からの散乱反射光によるOCT像を、コヒーレントなマトリックス成分を用いて、次の式(数50)として得ることができ、さらに複数回のB-スキャンデータを用い、それらのコヒーレントな平均をとることで、高品質な散乱OCT像を次の式(数51)得る画像処理手段として機能させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【数50】


【数51】


国際特許分類(IPC)
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