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セルロースナノファイバーおよびその製造方法

国内特許コード P150011498
整理番号 S2013-1120-N0
掲載日 2015年3月5日
出願番号 特願2013-131448
公開番号 特開2015-004151
出願日 平成25年6月24日(2013.6.24)
公開日 平成27年1月8日(2015.1.8)
発明者
  • 小野 努
  • ムハマッド モニルッザマン
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 セルロースナノファイバーおよびその製造方法
発明の概要 【課題】生産性に優れ、所望の長さおよびナノサイズの幅を有する紡糸された繊維(不織布状でないもの)が得られる、セルロースナノファイバーの製造方法を提供する。
【解決手段】(1)紡糸工程:(1A)セルロースのイオン液体溶液を含有する内相を二重管型マイクロノズルの内管吐出口から押し出すとともに、水を含有する外相を二重管型マイクロノズルの外管吐出口から押し出す押出ステップ、および(1B)前記押出ステップ(1A)により押し出された前記内相中のイオン液体を、前記押出ステップ(1A)により押し出された前記外相中の水に移行させることにより、前記内相中のセルロースを析出させてセルロースナノファイバーを形成させるステップ、を含む工程;および(2)洗浄工程:前記紡糸工程(1)により形成されたセルロースナノファイバーを回収して洗浄し、それに付着しているイオン液体を除去する工程;を含むことを特徴とする、セルロースナノファイバーの製造方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



近年のナノテクノロジーの進展とともに、先端材料としてナノサイズのセルロースが注目されている。ナノサイズのセルロースは一般的に、アスペクト比やサイズによって、セルロースナノファイバー(CNF、幅4~100nm、長さ5μm以上)、セルロースナノウィスカー(CNW、幅10~50nm、長さ500nm程度)、セルロースナノクリスタル(CNC)などに分類される。





このうちCNFの製造方法としては、たとえば、TEMPO(2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化による方法が知られている(非特許文献1,2)。この方法では、セルロースミクロフィブリルの表面に露出している、セルロースを構成するグルコース単位のC6位の1級水酸基が全てカルボキシル基(ナトリウム塩)に変換され、水溶性のβ-(1→4)-ポリグルクロン酸へと変換される。その結果、セルロースミクロフィブリル間の無数の水素結合が切断され、幅3~4nmで長さが数μm以上のCNFを分離分散させることができる。他にも、硫酸処理、酵素加水分解、メカノケミカル処理などを用いて天然のセルロース繊維を分解することにより、CNFないしCNW、CNCを製造する方法が知られている。





しかしながら、これらの方法により得られるCNFはいずれも、繊維として用いることのできる十分な長さを有するものではなく、用途はコンポジット材料の補強材などに限定される。





一方で、イオン液体を用いることによりセルロースを溶解することができることも知られている。特許文献1には、セルロースを様々なイオン液体と混合して撹拌することによりセルロースのイオン液体溶液を調製できること、このような溶液をダイを通じてセルロースの非溶媒(水等)の中に押し出すことにより繊維等の様々な成形体を製造できること、たとえばセルロース溶液を注射器から水中へ押し出すことにより、繊維が融合した集塊状の生地が生成することなどが記載されている(特許請求の範囲、段落0015-0016、0022等)。





また、特許文献2には、特定のイオン液体(イミダゾリウム陽イオンを有するもの)と、特定の窒素系有機溶媒(N,N-ジメチルアセトアミド等)またはジメチルスルホキシドとの混合溶媒が、イオン液体の粘度が低下し、セルロースへの浸透性が促進されることによって、セルロースの溶解速度を向上させることができる優れた溶媒となることが記載されている(特許請求の範囲、段落0024-0026等)。そして、この混合溶媒を用いて調製されるセルロース溶液を、イオン液体等を溶出しうる溶媒(凝固剤)中を通過させることで繊維やフィルムに成形することができること、たとえば、セルロース溶液をシリンジに入れ、押出機能を持つ紡糸機に固定し、孔径0.30mmφを有するノズルから常温のメタノール中に吐出し、1.2倍に延伸するなどの工程を経て繊維が得られることも記載されている(段落0036、0051等参照)。





しかしながら、特許文献1および2には、そこに開示されている方法によって繊維幅がナノメートルオーダーのセルロース繊維が得られることは、記載も示唆もされていない。

さらに、特許文献3には、セルロースの有機溶媒溶液(たとえばトリフロロ酢酸)を用いたエレクトロスピニング法(ES法、電解紡糸法)により、直径が40~100nmのCNFが得られることが記載されている。





しかしながら、特許文献3に記載された製造方法では、CNF繊維同士が絡まり合ってできた不織布シート状の成形体は得られるものの、紡糸された直線状のCNF繊維は得られないため、用途が限定されてしまう。





なお、出願人は、特許文献4において、脂肪族ポリエステル樹脂(例えばポリ乳酸)由来の疎水性のブロックと親水性高分子(例えばPEG)由来の親水性のブロックとを有する油溶性ジブロック共重合体が溶解した有機溶媒溶液(内相)を、界面活性剤が溶解した水溶液(外相)とともに線状に押し出し、内相中の有機溶媒を外相に拡散させることにより、前記油溶性ジブロック共重合体からなるナノファイバーを製造する方法を提案している。





しかしながら、特許文献4で開示されている発明は、上記の特殊な重合体を有機溶媒に溶解させて、そのナノファイバーを調製することにとどまる。そのような手法を他の種類のナノファイバーの製造に応用したとき、特に一般的な有機溶媒ではなくイオン液体に原料を溶解させた溶液を内相としたときに成功するかどうかについては何も示唆されておらず、当業者といえども特許文献4の記載に基づいて予測することはできない。

産業上の利用分野



本発明は、セルロースナノファイバーの製造方法、より詳しくはセルロースのイオン液体溶液を用いる湿式紡糸法を応用したセルロースナノファイバーの製造方法、およびそれにより得られるセルロースナノファイバーに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の紡糸工程(1)および洗浄工程(2)を含むことを特徴とする、セルロースナノファイバーの製造方法:
(1)紡糸工程:
(1A)セルロースのイオン液体溶液を含有する内相を二重管型マイクロノズルの内管吐出口から押し出すとともに、水を含有する外相を二重管型マイクロノズルの外管吐出口から押し出す押出ステップ、および
(1B)前記押出ステップ(1A)により押し出された前記内相中のイオン液体を、前記押出ステップ(1A)により押し出された前記外相中の水に移行させることにより、前記内相中のセルロースを析出させてセルロースナノファイバーを形成させるステップ、を含む工程;
(2)洗浄工程:前記紡糸工程(1)により形成されたセルロースナノファイバーを回収して洗浄し、それに付着しているイオン液体を除去する工程。

【請求項2】
前記イオン液体が式(I)で表されるものである、請求項1に記載の製造方法。
【化1】


式(I)中、R1およびR2は独立してC1~C6アルキル基またはアリル基を表し、Xは、ハロゲン、擬ハロゲンまたはC1~C6カルボキシレートを表す。

【請求項3】
前記内相がさらに、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、および1-メチル-2-ピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種の内相用第2溶媒を含有する、請求項1または2に記載の製造方法。

【請求項4】
前記内相がさらに界面活性剤を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項5】
前記界面活性剤がエステルエーテル型の非イオン性界面活性剤である、請求項4に記載の製造方法。

【請求項6】
前記外相がさらに、ケトン、アルコール、エーテル、エステル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミドおよびN,N-ジメチルホルムアミドからなる群より選択される少なくとも1種の外相用第2溶媒を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項7】
前記外相の流量(fo)が1000~50000μL/分であり、前記内相の流量(fi)が10~500μL/分であり、fiに対するfoの比率(Rf=fo/fi)が10~500である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項8】
前記内相の表面張力(懸滴法による測定値)が2~100mN/mである、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項9】
前記紡糸工程(1)がさらに、前記析出ステップ(1B)により形成されるセルロースナノファイバーを、非延伸下または延伸下に引き取る引取ステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項10】
平均断面径が5000nm以下、繊維長が1mm以上であり、未延伸であることを特徴とする、紡糸されたセルロースナノファイバー。

【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の製造方法により得られた、請求項10に記載のセルロースナノファイバー。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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