TOP > 国内特許検索 > 電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器及びキット、該キットを含む電子親和力の低下処理装置、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線ホログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置

電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器及びキット、該キットを含む電子親和力の低下処理装置、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線ホログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置

国内特許コード P150011503
整理番号 S2013-1111-N0
掲載日 2015年3月6日
出願番号 特願2013-147682
公開番号 特開2015-022810
登録番号 特許第5808021号
出願日 平成25年7月16日(2013.7.16)
公開日 平成27年2月2日(2015.2.2)
登録日 平成27年9月18日(2015.9.18)
発明者
  • 西谷 智博
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器及びキット、該キットを含む電子親和力の低下処理装置、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線ホログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置
発明の概要 【課題】単一の真空チャンバー内において、表面処理材料を気化させてフォトカソード材料に蒸着することでEA表面処理ができること、更に、一定時間経過後にフォトカソードを再EA表面処理することができる電子親和力の低下処理装置、前記電子親和力の低下処理装置に用いることができる活性化容器及びキット、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線フォログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置を提供する。
【解決手段】電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器20が、電子が通過できる孔21を含むことを特徴とする。
【選択図】図8
従来技術、競合技術の概要



GaAs型半導体のフォトカソードを利用した電子ビーム源(GaAs型フォトカソード電子ビーム源)は、これまで、高い偏極度を持つスピン偏極電子ビーム源として素粒子・ハドロン物理実験(Weinberg角の精密測定)や高繰り返し短パルスで大電流可能な高輝度電子ビーム源として1kWの赤外自由電子レーザー発生など、加速器科学分野に貢献している。





さらに、GaAs型フォトカソード電子ビーム源は、次世代の放射光源用加速器に用いる低エミッタンス(位相空間中でビームの占める面積)で大電流可能な高輝度電子ビーム源の有力候補になっており、宇宙誕生の謎に迫る線形型の次世代加速器将来計画「国際リニアコライダー計画」では、唯一の実用的高性能スピン偏極電子ビーム源と考えられている。





一方、半導体デバイスの微細化や機能材料の高度化には、原子スケールでの詳細な構造解析や元素分析とともに、構造内の電気的、磁気的特性計測が不可欠と考えられている。この要求に対して既存の性能を超える次世代の観測、計測技術が求められており、それには、要素技術である電子ビーム源の高性能化が不可欠である。GaAs型フォトカソード電子ビーム源は、高繰り返し短パルス、高輝度と高スピン偏極の性能から、次世代の電子顕微鏡に用いる電子ビーム源として有力視されている。





ところで、GaAs型フォトカソード電子ビーム源は、負電子親和力(Negative Electron Affinity(以下、「負電子親和力」を「NEA」と記載することがある。)表面:伝導帯底よりも真空準位が低くなる状態)を利用している。NEA表面を利用することで、価電子帯から伝導帯底のポテンシャルレベルへ光励起した電子をそのまま真空中へ電子ビームとして取り出すことができる。図1は、GaAs型フォトカソード電子ビーム源からの電子ビーム生成の概念を示しており、次に説明する、(1)励起過程、(2)拡散過程、(3)脱出過程、の3ステップモデルの現象論で説明することができる(非特許文献1参照)。

(1)フォトカソードへ励起光を入射し、価電子帯電子を伝導帯へ励起する(励起過程)。

(2)伝導帯へ励起された電子は、表面へと拡散する(拡散過程)。

(3)表面まで到達した電子は、表面障壁をトンネルし、真空中へ脱出する(脱出過程)。





GaAs半導体では、約4eVの電子親和力(真空準位と伝導帯底のエネルギー差)があり、NEA表面状態を形成するためには、次のプロセスが必要である。

(1)初めにp型ドーピングのGaAs半導体を真空中で加熱し、酸化物や炭化物などの表面不純物を除去し清浄にする。これにより、表面領域にバンドベンディングを生じさせ、真空準位を半導体のバンドギャップの半分程度(φ)下げることができる。

(2)次に結晶表面に微小の光電流が得られるように、図2に示すように、まずセシウムを蒸着し、その後、光電流の飽和毎にセシウム蒸着と酸素付加を最大の光電流が得られるまで交互に繰り返す。この方法により、残りの真空準位(φ)を下げることで、NEA表面状態を形成することができる(非特許文献1参照)。





なお、NEA表面状態とは、上記プロセスにより、フォトカソードの真空準位のエネルギーレベルを伝導帯底のエネルギーレベルより低い状態にすることを意味する。しかしながら、フォトカソードの真空準位のエネルギーレベルが伝導帯底のエネルギーレベルより高くてもフォトカソードから真空中へ電子を放出することもできる。また、フォトカソードをNEA表面状態に処理した後であっても、電子の放出を続けるとフォトカソードの真空準位のエネルギーレベルが伝導帯底のエネルギーレベルより低いレベルから高いレベルに戻りながら、電子を放出する場合もある。したがって、フォトカソードを電子ビーム源として使用する場合は、フォトカソードの真空準位のエネルギーレベルを可能な限り低下させることが好ましいが、NEA表面状態にする又は維持することは必須ではない。したがって、本発明において「電子親和力の低下処理」とは、フォトカソードの真空準位のエネルギーレベルを、電子が放出できるレベルまで低下させるための処理を意味する。以下、「電子親和力の低下処理」のことを「EA表面処理」、「電子親和力の低下処理」によりフォトカソードの真空準位のエネルギーレベルが電子が放出できるレベルまで低下している状態を「EA表面」と記載することがある。





ところで、EA表面は、微量なH2O、CO、CO2等の残留ガスの吸着やイオン化した残留ガスのEA表面への逆流で劣化する。そのため、フォトカソードから長期間安定的に電子ビームを取り出すためには、処理と維持のために超高真空度が必要である。また、EA表面処理したフォトカソードから取り出せる電子の量は有限であり、一定量の電子ビームを放出した後は、フォトカソード表面を再度EA表面処理する必要がある。





図3は、従来のEA表面処理したフォトカソードを用いた電子銃10の全体写真であり、EA表面処理チャンバー11、電子銃チャンバー12、EA表面処理したフォトカソードの搬送手段13を少なくとも含んでいる。上記のとおり、EA表面処理したフォトカソードは、EA処理を超高真空中で行った後に超高真空状態を保ったまま外気に晒すことなく電子銃に装填する必要があり、また、一定時間経過したフォトカソードは再度EA表面処理する必要があるが、従来は、EA表面処理チャンバーと電子銃チャンバーは別々に設ける必要があった。その理由は、従来のEA表面処理はチャンバー内で直接フォトカソードに表面処理材料を蒸着する方法を採用しているが、EA表面処理を同一チャンバー内で行うと、EA表面処理材料が電子銃チャンバー及びチャンバー内の各種装置に付着してしまい、特に電極付近に付着したEA表面処理材料は電界放出暗電流の発生の原因となり、電子銃の機能が著しく低下するためである。





しかしながら、EA表面処理チャンバーと電子銃チャンバーを別々に設ける場合、先ず、超高真空状態にするチャンバーが2個必要であり、更に、超高真空状態を維持したままEA表面処理チャンバーで処理したフォトカソードを電子銃チャンバーに搬送するための搬送手段13が必要であることから、電子銃装置が非常に大型化するという問題がある。また、超高真空を維持した状態で、EA表面処理チャンバーから電子銃チャンバーにEA表面処理したフォトカソードを移動・装着し且つフォトカソードの再EA表面処理の際には電子銃チャンバーからEA表面処理チャンバーに移動・装着する必要があるため、装置を精密に設計し、且つフォトカソードを搬送中に脱落しないように適切な操作をする必要があり、装置管理が煩雑になるという問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器及びキット、該キットを含む電子親和力の低下処理装置、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線ログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置に関し、特に、従来のようにフォトカソード材料を電子親和力の低下処理及びフォトカソードを再電子親和力の低下処理するための真空チャンバーと、フォトカソードを配置し電子を放出する電子ビーム源チャンバーを別々に設けることなく、単一の真空チャンバー内でフォトカソード材料の電子親和力の低下処理及びフォトカソードの再電子親和力の低下処理を繰り返し行うことができ、且つ電子の放出を行うことができる、電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器及び該活性化容器を含むキット、該キットを含む電子親和力の低下処理装置、フォトカソード電子ビーム源、並びに、フォトカソード電子ビーム源を含む電子銃、自由電子レーザー加速器、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電子線ログラフィー顕微鏡、電子線描画装置、電子線回折装置及び電子線検査装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
表面処理材料を気化し、該気化した表面処理材料でフォトカソード材料を電子親和力の低下処理及び/又はフォトカソードを再電子親和力の低下処理するための電子親和力の低下処理装置に用いられる活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)であって、
前記活性化容器は電子親和力の低下処理装置の真空チャンバー内に配置して用いられ、
前記活性化容器が、電子が通過できる孔を含む、
ことを特徴とする活性化容器。

【請求項2】
前記活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)が、導電性材料又は絶縁性材料から選択される材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載の活性化容器。

【請求項3】
フォトカソードホルダーの位置を変えるための駆動手段が、前記活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の活性化容器。

【請求項4】
気化した表面処理材料の飛散方向を制御する方向制御手段を更に含むことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の活性化容器。

【請求項5】
表面処理材料を加熱するための加熱手段を更に含むことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の活性化容器。

【請求項6】
気化した表面処理材料が前記活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)外に漏洩することを防止するためのシールドを更に含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の活性化容器。

【請求項7】
前記孔が、前記フォトカソードホルダーを挿入できる大きさであることを特徴とする請求項に記載の活性化容器。

【請求項8】
光を通過するための孔を更に含むことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の活性化容器。

【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)、及び表面処理材料を含むことを特徴とする電子親和力の低下処理装置に用いられるキット。

【請求項10】
前記表面処理材料が、加熱手段を挿通したものであることを特徴とする請求項9に記載のキット。

【請求項11】
フォトカソード材料又はフォトカソードを貼り付けたフォトカソードホルダーを更に含むことを特徴とする請求項9又は10に記載のキット。

【請求項12】
気化した表面処理材料が前記活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)外に漏洩することを防止するためのシールドが形成されたフォトカソードロッドを更に含むことを特徴とする請求項11に記載のキット。

【請求項13】
前記活性化容器(但し、真空チャンバーを除く。)に対して摺動可能な蓋を更に含み、前記フォトカソード材料又はフォトカソードを貼り付けたフォトカソードホルダーが前記蓋に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のキット。

【請求項14】
前記フォトカソードホルダーが、光透過性材料で作製される又は光を透過する孔を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載のキット。

【請求項15】
前記蓋及び前記フォトカソードホルダーが、光透過性材料で作製される又は光を透過する孔を含むことを特徴とする請求項13に記載のキット。

【請求項16】
前記フォトカソード材料又はフォトカソードと、前記フォトカソードホルダーの間に基板を含み、該基板が光透過性材料で作製される又は光を透過する孔を含むことを特徴とする請求項11~15の何れか一項に記載のキット。

【請求項17】
請求項9~16の何れか一項に記載のキット、真空チャンバー及び真空ポンプを含むことを特徴とする電子親和力の低下処理装置。

【請求項18】
請求項17に記載の電子親和力の低下処理装置、アノード及び光源を含むことを特徴とするフォトカソード電子ビーム源。

【請求項19】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする電子銃。

【請求項20】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする自由電子レーザー加速器。

【請求項21】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする透過型電子顕微鏡。

【請求項22】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする走査型電子顕微鏡。

【請求項23】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする電子線ログラフィー顕微鏡。

【請求項24】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする電子線描画装置。

【請求項25】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする電子線回折装置。

【請求項26】
請求項18に記載のフォトカソード電子ビーム源を含むことを特徴とする電子線検査装置。
産業区分
  • 電子管
  • 電力応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013147682thum.jpg
出願権利状態 登録
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