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レーザーコンプトン散乱装置 コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P150011528
整理番号 372
掲載日 2015年3月13日
出願番号 特願2012-021690
公開番号 特開2013-161609
登録番号 特許第5975461号
出願日 平成24年2月3日(2012.2.3)
公開日 平成25年8月19日(2013.8.19)
登録日 平成28年7月29日(2016.7.29)
発明者
  • 浦川 順治
  • 清水 洋孝
  • 本田 洋介
出願人
  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明の名称 レーザーコンプトン散乱装置 コモンズ 外国出願あり
発明の概要 【課題】バースト増幅によって大強度レーザーパルスの生成及び蓄積ができる簡易で小型のレーザーコンプトン散乱装置を提供する。
【解決手段】レーザーの自己発振増幅を行うため、少なくとも、励起レーザー光源と、RF強度変調器、ファイバ増幅器1、光共振器、調整ケーブル、及びファイバ増幅器2が順番に環状に連結して成る光周回路と、及び該光周回路の外に連結されて設けられたバースト増幅のためのレーザー耐久性の外部共振器からなり、外部共振器においてバースト増幅と蓄積を行い、該外部共振器の中でレーザーコンプトン散乱ができるレーザーコンプトン散乱装置の構成とした。
【選択図】図11
従来技術、競合技術の概要



近年、レーザーコンプトン散乱を利用した小型X線発生装置の開発が行われている。レーザーコンプトン散乱とは、パルスレーザーと電子ビームの電子との衝突によってX線が発生することである。そのため、レーザーコンプトン散乱を行うためには1パルス当たりの強度(パルス強度)が非常に高いレーザーの生成と蓄積が必要である。通常、レーザーコンプトン散乱によって10keV程度の準単色X線を発生させるのに必要なレーザーのパルス強度は100マイクロジュール程度あればよいが、産業利用性が高い50keV以上の高輝度準単色X線を発生させるのに必要なレーザーのパルス強度は、少なくとも1ミリジュール程度である。





従来、レーザーを生成する手段としてファイバ増幅器や光共振器が知られている。ファイバ増幅器を用いるレーザー生成は、誘導放射物質をドープさせた光ファイバに励起レーザーを入射することによって行われる。ファイバ増幅器を用いる方法は、原理的にはファイバを長くすることによって増幅率を大きくすることは可能ではあるが、共鳴状態がファイバの熱膨張や振動などによって簡単に失われるので、レーザー強度は、あまり高くできない。





ファイバ増幅器を用いる方法として、例えば、循環型の多段ファイバ増幅器が提案されている(特許文献1)。これは、同方向ポンピングされた段と逆方向ポンピングされた段との間に減衰器を置くことによって段間のポンピングエネルギーの伝送及び後の段から前の段への信号エネルギーの伝送を阻止する方法である。上記減衰器は、現在でいう光アイソレータに相当するものである。しかし、この方法では、ファイバの熱膨張や振動を抑制することに限界があるので、レーザー強度は、あまり高くできない。





ファイバ増幅器を用いる方法として、例えば、ファイバ増幅器と数十GHz帯で駆動するRF(高周波)強度変調器とファブリペロ型フィルタやバンドパスフィルタ等とから構成される高調波モード同期ファイバレーザーや再生モード同期ファイバレーザー等の色々なリングファイバレーザーが、光通信用パルスレーザー発振器の目的のために提案されている(特許文献2、非特許文献1~2)。リングファイバレーザーは、原理的にはファイバを長くするほど増幅倍率を大きくできるので、数十メートルのファイバを用いた10dB(10倍増幅)程度の小型ファイバ増幅器から数十キロメートルのファイバを用いた40dB(1万倍増幅)程度の大型のファイバ増幅器が製造されている。しかし、ファイバを長くするほど熱膨張の影響が大きくなるので、簡単に共鳴状態が失われるという問題がある。前記光通信用の高調波モード同期ファイバレーザーや再生モード同期ファイバレーザーは、熱膨張や振動による基本周波数と変調周波数のずれを抑制するために工夫されたものであるが、これによって生成されるレーザーのパルス強度は、ピコジュールレベルであることがわかる(非特許文献2)。光通信用パルスレーザー発振器は、情報信号伝送速度の高速化が目的(=発振パルス数を数十GHzにすることが目的)であり、パルス強度の高いレーザーを生成するためのものではないからである。





他方、光共振器は、誘導放射によって発生するレーザーを向かい合う共振鏡によって反射させながら共振鏡面上のレーザー干渉によって増幅するレーザー増幅手段であり、共振鏡の反射率に依存してレーザーの蓄積を調整できる。光共振器を用いる方法は、原理的にはコンパクトな光共振器によってレーザーの増幅と蓄積が可能である。光共振器には、リング形状のファブリペロ型共振器や反射鏡を持つマイケルソン干渉計型共振器やフォックス・スミス干渉計型共振器等が知られている。





光共振器を用いる方法として、例えば、ファブリペロ型共振器や反射鏡を持つフォックス・スミス干渉計型共振器等とGHz帯で駆動するRF強度変調器を用いた単純な構造の光伝送用レーザー発振器が提案されている(特許文献3)。この種のレーザー発振器は、熱変動による共振幅のずれ防止のため、発振出力を高くしてもパルス強度は、高々マイクロジュールレベルが限界であった。





光共振器を用いる方法として、例えば、共振鏡としての凹面鏡と共振鏡を機械的に制御するためのピエゾ調整器とを有するフォックス・スミス干渉計型の共振器を用いたSingle-Frequencyのレーザーパルスの生成が報告されている(非特許文献3)。この方法で生成されるレーザーの出力は、精々15mWであることが報告されている。





光共振器を用いる方法として、光共振器内に固体レーザー(誘導放出媒体)を設け、レーザーダイオードに電流注入を行うことにより発生させたポンピング光(励起レーザー)を前記固体レーザーに入射してレーザーを発生させることが提案されている(特許文献4)。この方法は、レーザーダイオードが安価で小型であるので、利用性の高いレーザー発生方法ではあるが、強いレーザーに対する劣化防止のための手段が講じられていないので、高強度のレーザー生成と蓄積が困難である。





光共振器を用いる方法として、ダイオードでポンピングされるレーザー増幅器が提案されている(特許文献5)。この増幅器は、レーザー活性固体媒体を内部に有する共振器内に強いサーマルレンズを設けることによって、レーザービームを該媒体に合焦させる装置である。しかし、この共振器は、強いレーザーに対する劣化防止のための手段が講じられていないので、高強度のレーザー生成と蓄積が困難である。





光共振器を用いる方法として、レーザーコンプトン散乱によるX線を発生させるために、大強度モードロック発振器と光共振器を用いてレーザーを生成する装置が提案されている(特許文献6)。しかし、大強度モードロック発振器は、非常に高価であり、発振器からのレーザーを光共振器に於いて安定に増幅するためには、非常に高度なフィードバック制御技術が必要であるために、精々1000倍程度の増幅が限界であることから、この方法で生成可能なレーザーのパルス強度は、精々100マイクロジュール程度であった。





光共振器を用いる方法として、複数の光共振器を直列に配置した多段増幅型レーザーシステムを半導体露光に用いることが提案されている(特許文献7)。この光共振器には、普通の反射鏡が使用されている。レーザーの増幅倍率は、反射鏡のレーザー耐久性と機械的な共鳴幅の制御精度によって制限されるので、この種の光共振器によるレーザー増幅倍率は、1000倍以下である。





光共振器によるレーザーの増幅は、共振器長がレーザーの半波長の整数倍に合致する条件が満足されることによって行われる。これを定在波が立つという。定在波の共鳴幅は共振鏡の反射率で決まるので、高増幅率を得ようとして高反射率の鏡を使用する程、狭くなっていく。例えば、増幅率1000倍の共振器では、共鳴幅は共振鏡の位置精度にしてサブナノメートル(10-10m)になり、振動等の環境の擾乱で簡単に共鳴状態が失われる。レーザー共鳴状態を維持させるためには、共振鏡をピエゾ駆動にし、高度なフィードバック制御を行うことが必要とされる。しかし、従来の光共振器は、機械的な制御の限界上、安定に共鳴を維持できる技術的限界は増幅率1000倍程度であった。





大強度のレーザーを生成させるには、大出力の励起レーザー光源と大型の光共振器と大出力の高周波発振器を組み合わせることによって可能ではあるが、装置全体が超大型になることから、産業利用には適さない。





以上のような状況の中で、本発明者らは、光共振器による増幅が光周回路のフィードバック機能によって自己発振的に繰り返される自己発振増幅機構を発明し、これによって光共振器に3000倍程度の増幅強度を持つレーザーを蓄積することができる画期的なレーザー発生装置を提案した(特許文献8)。この装置によってパルス強度が100マイクロジュール以上のレーザーを生成することができる。しかし、パルス強度が1ミリジュール以上のレーザーを生成することは非常に困難であった。





1ミリジュール程度のパルス強度を有するレーザーを生成できるレーザー生成装置の開発には、レーザー耐久性の共振鏡の課題もある。従来、耐レーザー性の共振鏡の材料には、半導体露光装置用の耐レーザー性の高い光学用合成石英ガラス(特許文献9)、耐レーザー損傷特性を有する屈折率の低い高純度シリカガラス材料(特許文献10)、耐レーザー性の高い合成石英ガラス(特許文献11)、耐レーザーに優れたエキシマレーザー用光学石英ガラス(特許文献12)、耐レーザー性の良好なエキシマレーザー用積層金属膜(特許文献13)、高屈折率の酸化タンタル薄膜と低屈折率のシリカ薄膜から成る誘電体多層膜(特許文献14)、サファイア等のセラミック材料(特許文献15)、単結晶酸化チタン薄膜や単結晶酸化ケイ素薄膜等のセラミック薄膜、単結晶ゲルマニウム、銅等の金属材料、単結晶酸化ゲルマニウム薄膜、単結晶ガリウム砒素薄膜、単結晶ガリウムインジウム砒素薄膜等の半導体材料、等が知られている。また、面発光型半導体レーザーなどの光デバイス中に、熱伝導性の高いダイヤモンド層を含む多層膜構造を多層膜反射ミラーとして形成することが提案されている(特許文献16)。





しかし、本発明者らの実験によって、前記に挙げた材料から成る共振鏡や反射鏡の殆どが、300マイクロジュール程度のパルス強度を有するレーザーの繰り返し共振によって破壊されることがわかった。





以上の説明のように、従来、光共振器やファイバ増幅器を用いた種々のレーザー生成装置は、材料加工用のレーザー生成装置や光通信用のレーザー発振器として知られているが、レーザーコンプトン散乱X線の生成の目的に利用できる大強度レーザーを発生可能な簡易で小型のレーザー生成装置を搭載したレーザーコンプトン散乱装置は、殆ど知られていなかった。

産業上の利用分野



本発明は、バースト増幅によって大強度レーザーパルスを生成し蓄積できるようにした新規のレーザーコンプトン散乱装置に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
レーザーの自己発振増幅を行うため、少なくとも、励起レーザー光源と、RF強度変調器、ファイバ増幅器1、光共振器、調整ケーブル、及びファイバ増幅器2が順番に環状に連結して成る光周回路と、及び該光周回路の外に連結されて設けられたバースト増幅のためのレーザー耐久性のレーザーパルスの入射角が垂直でない4枚鏡の光共振器である外部共振器から成り
前記外部共振器のフィードバック信号を前記光周回路内の前記光共振器のフィードバック信号から生成させることにより前記外部共振器によるバースト増幅時に共鳴が自動的に維持することができ、且つ、前記外部共振器内のレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることのないように構築された装置であって、
前記光周回路においてレーザーの自己発振増幅が起動されることによって前記光共振器に増幅レーザーが蓄積され、
この蓄積レーザーの一部が前記レーザー耐久性の外部共振器に伝送され、
該外部共振器において自動光共振方式によるバースト増幅と蓄積が行われる一方、該外部共振器に蓄積されたレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることなく外部共振器に大強度のレーザー光が蓄積され
前記外部共振器の中でレーザーコンプトン散乱が行われることを特徴とする
レーザーコンプトン散乱装置。

【請求項2】
レーザーの自己発振増幅を行うため、少なくとも、励起レーザー光源と、RF強度変調器、ファイバ増幅器1、光共振器、調整ケーブル、及びファイバ増幅器2が順番に環状に連結して成る光周回路と、及び該光周回路の外に順番に連結されて設けられたレーザー増幅手段及びバースト増幅のためのレーザー耐久性のレーザーパルスの入射角が垂直でない4枚鏡の光共振器である外部共振器から成り
前記外部共振器のフィードバック信号を前記光周回路内の前記光共振器のフィードバック信号から生成させることにより前記外部共振器によるバースト増幅時に共鳴が自動的に維持することができ、且つ、前記外部共振器内のレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることのないように構築された装置であって、
前記光周回路においてレーザーの自己発振増幅が起動されることによって前記光共振器に増幅レーザーが蓄積され、
この蓄積レーザーの一部が前記レーザー増幅手段に伝送され、該レーザー増幅手段によって増幅され、
この増幅されたレーザーが前記レーザー耐久性の外部共振器に伝送され、
該外部共振器において自動光共振方式によるバースト増幅と蓄積が行われる一方、該外部共振器に蓄積されたレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることなく外部共振器に大強度のレーザー光が蓄積され
前記外部共振器の中でレーザーコンプトン散乱が行われることを特徴とする
レーザーコンプトン散乱装置。

【請求項3】
レーザーの自己発振増幅を行うため、少なくとも、励起レーザー光源と、RF強度変調器、ファイバ増幅器1、レーザー耐久性の光共振器、調整ケーブル、及びファイバ増幅器2が順番に環状に連結して成る光周回路と、及び該光周回路の外に順番に連結されて設けられたレーザー増幅手段及びバースト増幅のためのレーザー耐久性のレーザーパルスの入射角が垂直でない4枚鏡の光共振器である外部共振器から成り
前記外部共振器のフィードバック信号を前記光周回路内の前記レーザー耐久性の光共振器のフィードバック信号から生成させることにより前記外部共振器によるバースト増幅時に共鳴が自動的に維持することができ、且つ、前記外部共振器内の反射レーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることのないように構築された装置であって、
前記光周回路においてレーザーの自己発振増幅が起動されることによって前記レーザー耐久性の光共振器に増幅レーザーが蓄積され、
この蓄積レーザーの一部が前記レーザー増幅手段に伝送され、該レーザー増幅手段によって増幅され、
この増幅されたレーザーが前記レーザー耐久性の外部共振器に伝送され、
該外部共振器において自動光共振方式によるバースト増幅と蓄積が行われる一方、該外部共振器に蓄積されたレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることなく外部共振器に大強度のレーザー光が蓄積され
前記外部共振器の中でレーザーコンプトン散乱が行われることを特徴とする
レーザーコンプトン散乱装置。

【請求項4】
レーザーの自己発振増幅を行うため、少なくとも、励起レーザー光源と、RF強度変調器、ファイバ増幅器1、光共振器、調整ケーブル、及びファイバ増幅器2が順番に環状に連結して成る光周回路と、該光周回路の外に順番に連結されて設けられたレーザー増幅手段及びバースト増幅のためのレーザー耐久性のレーザーパルスの入射角が垂直でない4枚鏡の光共振器である外部共振器と、及び前記光共振器と前記レーザー耐久性の外部共振器との間に介挿された、光周回路にある光共振器からのパルス信号を検出し外部共振器にフィードバックするフィードバック検出系及び補正ボードFPGAから成り、
前記外部共振器のフィードバック信号を前記光周回路内の前記光共振器のフィードバック信号から生成させることにより前記外部共振器によるバースト増幅時に共鳴が自動的に維持することができ、且つ、前記外部共振器内のレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることのないように構築された装置であって、
前記光周回路においてレーザーの自己発振増幅が起動されることによって前記光共振器に増幅レーザーが蓄積され、
この蓄積レーザーの一部が前記レーザー増幅手段に伝送され、該レーザー増幅手段によって増幅され、
この増幅されたレーザーが前記レーザー耐久性の外部共振器に伝送され、
前記フィードバック検出系及び補正ボードにより、該外部共振器において自動光共振方式によるバースト増幅と蓄積が行われる一方、該外部共振器に蓄積されたレーザーパルスが前記光周回路のループに戻ることなく外部共振器に大強度のレーザー光が蓄積され、
前記外部共振器の中でレーザーコンプトン散乱が行われることを特徴とする
レーザーコンプトン散乱装置。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) 量子ビーム基盤技術開発プログラム
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