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シルク複合ナノファイバー及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P150011569
整理番号 N14009
掲載日 2015年3月24日
出願番号 特願2014-158498
公開番号 特開2016-035121
出願日 平成26年8月4日(2014.8.4)
公開日 平成28年3月17日(2016.3.17)
発明者
  • 塚田 益裕
  • 寺本 彰
  • 阿部 康次
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 シルク複合ナノファイバー及びその製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】ビーズ形態を含まず、細胞付着率と生分解性に優れた細胞足場材用のシルク複合ナノファイバー及びその製造法の提供。
【解決手段】シルク複合ナノファイバーは、高分子量のビニル化合物とシルクとからなり、このシルク複合ナノファイバーは、ビニル化合物を用いてグラフト加工した絹糸を溶解したシルク複合溶媒を、エレクトロスピニングして製造する方法、或いは、グラフト加工法により作製した高分子量のビニル化合物を溶解した溶媒と、シルクを溶解したシルク溶媒とを、任意の組成比で複合してなるシルク複合溶媒をエレクトロスピニングして製造する方法。前記ビニル化合物として、エトキシメチルアクリレート、メタクリル酸2-ハイドロキエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)、メタクリルアミド及びメタクリル酸メチルから選ばれる、少なくともいずれか一つを用いるシルク複合ナノファイバー。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


最近のバイオテクノロジーの進展に伴い、蚕のシルクが持つ多様な機能が見直されるようになり、医療分野あるいは各種産業分野で利活用できるシルク新素材の開発研究が進展している。
最近の研究により、シルク膜における酸素透過性が良いことが解明された。また、リン酸基をグラフト加工の手法で導入したシルクにはカルシウムを吸着する機能のあることが確かめられ、バイオ材料として医療分野で広範に利活用できるものと期待されている。
蚕を通して得られたシルクは、生体内に埋め込んでも抗原抗体の反応が軽微であり、生体親和性であるため、従来、外科分野では手術用縫合材として利用されてきた。シルク表面では生体細胞が良く付着し、増殖性が優れており、細胞足場材として応用できるとされ、再生医療分野における活用の展望が開けている。



絹糸は染色性、風合感が優れ感性に優れたた実用性能を有しているが、紫外線の照射を受けると着色し易いという実用上の欠点を補うため、あるいは染色性を増強させることを目的に、我が国独自で開発されたグラフト加工技術(加工法ともいう)が有効である。
グラフト加工法は、ビニル化合物、重合開始剤を含んだグラフト系に絹糸を浸漬し所定時間加熱することによりビニル化合物と重合開始剤が試料に浸透し、試料内に高分子量のビニル化合物が充填することにより実施できる。
ビニル化合物としては側鎖に多様な官能基を有するものがある。疎水性あるいは親水性を持つ化合物、あるいはリン酸基等の特殊な官能基を持つビニル化合物があり所望する用途に合ったビニル化合物を選択することができる。例えば、親水性基あるいは疎水基を持つビニル化合物で絹糸をグラフト加工すると、ビニル化合物が持つ特性に応じて、親水性あるいは疎水性の絹糸が製造できる。
グラフト加工法で製造できる絹糸は衣料分野のみでなく医療分野で応用するための技術開発を進めることが望まれている。



近年、エレクトロスピニング紡糸法(以下、エレクトロスピニングと略記することもある)でナノオーダーの極細ファイバーを製造し、バイオ材料として利用する技術に関心が寄せられている。シルクを溶解した溶媒をエレクトロスピニングして製造することができるシルクナノファイバーは、優れた生化学特性を有するため、再生医療工学、創傷材料、あるいはヘルスケアー分野、バイオテクノロジー分野、エネルギー分野で応用する研究が進むようになった。



シルクナノファイバーに関する従来公知の技術には次のようなものがある。
繭糸を精練してなる絹糸(絹フィブロイン繊維,フィブロイン、あるいは単にシルクという場合がある)をトリフルオロ酢酸に溶解してなる5-15wt%のシルク溶液を印加電圧25kV、紡糸距離15cmでエレクトロスピニングすることで微細なシルクナノファイバーの製造する技術が公開されている(特許文献1)。
絹糸を加熱した中性塩水溶液で溶解し、透析処理して得られる絹フィブロイン水溶液を例えば、ポリエチレン膜表面に拡げて乾燥固化することで製造できる再生絹フィブロイン膜(再生絹シルク膜ともいう)を室温のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解してなるシルクHFIP溶液をエレクトロスピニングすることでシルクナノファイバーを製造する方法が開示されている(特許文献2)。特許文献2では、絹シルク膜を溶解するための溶媒は、蒸気圧が高いためエレクトロスピニングでナノファイバーを製造する作業環境が劣悪となり、かつ使用する溶媒は人の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、溶媒が人の健康に害を及ぼすことなく、蒸気圧が低い溶媒を用いるシルクナノファイバーの新規製造技術の開発が望まれている。



細胞足場材として好ましく利用できる材料としてシルクとポリオキシ酸とが複合したシルク複合素材がある。これは、シルクとポリオキシ酸とが任意の組成比で含まれるシルク複合物を溶解したトリフルオロ酢酸(TFA)あるいはヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)をエレクトロスピニングすることにより得られ、効果的な細胞足場材を製造する方法が開示されている(特許文献3)。
生体適合性に優れたシルクにポリオキシ酸以外の高分子量の化合物を複合させ、細胞付着率、生分解性に優れたシルク複合溶媒をエレクトロスピニングして製造できるシルク複合ナノファイバーを製造する技術が強く望まれている。こうして製造できる比表面積が広く、繊維径が微細なシルクナノファイバーは、医療分野を始め各種産業分野において、将来的に利用価値の高い素材であるとして関心が寄せられている。



シルクを溶解した溶媒をエレクトロスピニングすることで製造でき、細胞の付着率に優れ、微細径で繊維経のバラツキが少なくビーズ形態を含まず平滑表面で微細な繊維径のシルクナノファイバーはバイオ材料として効果的に利用可能である。
所望する微細径でビーズ形態が無いシルク複合ナノファイバーを製造するには、試料を溶解する条件、溶媒、溶解時間、試料濃度そしてエレクトロスピニング条件を最適にする必要がある。



生体細胞を付着増殖するために利用する細胞足場材として有望なシルクは、所望される生体適合性と生分解性を備え、良好な細胞付着率を持つため再生医療分野で応用することができる。
ただし、再生医療領域では、細胞の足場材が生体そのものとなるわけではなく、組織の再生に伴い最終的には生分解される必要がある。そのため、本来の組織に置き換わることができる生分解性と生化学特性を有するバイオ材料の出現が強く望まれてきた。
細胞足場材を生体の修復に応用するには、細胞足場材であるシルク表面に細胞を効率的に増殖させた後、例えば、皮膚組織として応用するには数日から10日程度、骨組織で2、3ヶ月,器官を再構築するには半年以上を必要とすることもある。
医療分野で利活用でき理想的なシルク複合ナノファイバーは、生体細胞の付着率が優れ、このような修復期間で分解速度を制御することが可能となる諸特性を持つ足場材である。

産業上の利用分野


本発明は、シルク複合ナノファイバー及びその製造方法に関し、細胞接着性にすぐれ、所要の生分解性を備えるシルク複合ナノファイバー及びその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
高分子量のビニル化合物とシルクとからなることを特徴とするシルク複合ナノファイバー。

【請求項2】
前記高分子量のビニル化合物は、グラフト加工法で製造されたものであることを特徴とする請求項1記載のシルク複合ナノファイバー。

【請求項3】
前記シルクは、家蚕絹糸または野蚕絹糸であることを特徴とする請求項1または2記載のシルク複合ナノファイバー。

【請求項4】
ビニル化合物を用いてグラフト加工した絹糸を溶解したシルク複合溶媒を、エレクトロスピニングして製造することを特徴とするシルク複合ナノファイバーの製造方法。

【請求項5】
グラフト加工法により作製した高分子量のビニル化合物を溶解した溶媒と、シルクを溶解したシルク溶媒とを、任意の組成比で複合してなるシルク複合溶媒をエレクトロスピニングして製造することを特徴とするシルク複合ナノファイバーの製造方法。

【請求項6】
前記ビニル加工物として、エトキシメチルアクリレート(ETMA)、メタクリル酸2-ハイドロキエチルメタクリレート(HEMA)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)、メタクリルアミド(MAA)及びメタクリル酸メチル(MMA)から選ばれる、少なくともいずれか一つを用いることを特徴とする請求項4または5記載のシルク複合ナノファイバーの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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