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TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法、診断薬及び治療薬

国内特許コード P150011827
掲載日 2015年4月6日
出願番号 特願2012-028737
公開番号 特開2013-162772
登録番号 特許第5971966号
出願日 平成24年2月13日(2012.2.13)
公開日 平成25年8月22日(2013.8.22)
登録日 平成28年7月22日(2016.7.22)
発明者
  • 漆谷 真
  • 藤原 範子
  • 伊東 秀文
出願人
  • 国立大学法人滋賀医科大学
  • 学校法人兵庫医科大学
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法、診断薬及び治療薬
発明の概要 【課題】TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法を提供する。
【解決手段】被験対象のTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法であって、該被験対象の生体試料において、TDP-43の部分アミノ酸配列であって、246位及び/又は247位に対応するアミノ酸残基を含む20残基以内のアミノ酸配列からなるペプチドを検出する工程を含む、方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



認知症において2番目の有病率を有する前頭側頭葉変性症(FTLD)と最難治性神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因タンパク質として核タンパク質であるTDP-43 (TAR DNA-binding protein of 43kDa)が同定されている。TDP-43はFTLDやALSにおいて核から脱出し、細胞質内で病的凝集体を形成するがその機序は不明である。





TDP-43は、FTLDとALSにおけるユビキチン化封入体において非常に高率に認められることが判明している。現在TDP-43の異常病理所見を呈する疾患は、TDP-43プロテイノパチーという疾患群と位置づけられ、各種の報告からTDP-43の機能異常がALS病態の本質である可能性が高まっている。





このようにTDP-43の生理的・病理的機能を解明することはALSの克服に繋がる可能性があり、世界中で精力的な研究が進められている。TDP-43プロテイノパチーの最も明確且つ重要な病理所見は、TDP-43の核染色性の低下と細胞質での封入体形成である。この異所性局在の機能解明はALSの病態理解に不可欠である。





TDP-43の分子構造は、図1に示されているように2ヶ所のRNA結合領域(RRM)とC末端のグリシンリッチ領域、核移行シグナル(NLS)、及び核外輸送シグナル(NES)を有する。





TDP-43は全ての体細胞に恒常的に発現しており、主に核に局在する。FTLD及びALSにおいても正常組織では例外なく核に局在することから、TDP-43の異所性局在が病態に及ぼす影響が注目されてきた。TDP-43陽性細胞封入体は高頻度に断片的且つリン酸化されたTDP-43を含んでいる。





TDP-43の封入体形成に関連すると想定される異所性局在後の分解経路は次の通りである。TDP-43は恒常的にポリユビキチン化され、プロテアソームとオートファゴソームによって分解されているが、ミスフォールドしたTDP-43の分解はプロテアソームが担当する。プロテアソーム機能低下状態は何らかの機序を介してTDP-43の核移行を阻害し、一部のミスフォールドした細胞質TDP-43から断片化が生じる。そして、プロテアソーム機能低下に加えてオートファジーの機能低下が加わると、凝集体形成を促進するというものである。





また、FTLD及びALS以外にもTDP-43の異所性局在を呈する疾患として、低悪性度グリオーマ、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、パーキンソン病、レビー小体病、大脳皮質基底核変性症、封入体筋炎、B細胞リンパ腫(M期)等が報告されている。





非特許文献1では、TDP-43のカスパーゼ認識部位を認識する抗体が、病的なTDP-43の凝集体を認識することが報告されているが、カスパーゼが作用するのは凝集が起こり始めてからであり、早期診断や治療への適用は困難である。





また、非特許文献2ではリン酸化TDP-43抗体が開発されたことが報告されており、リン酸化TDP-43は病的なTDP-43の封入体を認識する信頼性の高いマーカーとなっている。しかしながら、TDP-43のリン酸化はALSやFTLD発症において後期の現象であると考えられており、早期診断、治療法開発には適さないと理解されている。





非特許文献3には、SOD1 (Cu/Zn-superoxide dismutase)遺伝子変異を有するALS患者における運動ニューロン変性のメカニズムとして、SOD1のミスフォールディングが明らかになっており、SOD1の単量体ミスフォールド形態を特異的に認識する抗体が作製されたこと、当該抗体は二量体であるSOD1がアミノ酸変異によってミスフォールドし、疎水性の二量体の接合面が曝されているSOD1だけを認識することが記載されている。

産業上の利用分野



本発明は、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法に関する。また、本発明は、ミスフォールドしたTDP-43に対する抗体の産生を刺激又は増強するためのペプチド及びDNA、並びに該ペプチド又はDNAを含む医薬組成物に関する。更に、本発明は、ミスフォールドしたTDP-43に対する抗体又は抗体断片、該抗体又は抗体断片を含む診断薬、診断用キット及び医薬組成物、並びに該抗体又は抗体断片を利用した化合物のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被験対象のTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の発症リスクを予測する方法であって、
該被験対象の生体試料において、TDP-43の部分アミノ酸配列QSLCGEDLIIKGISVHISNAからなるペプチドに結合する抗体又は抗体断片を用いてミスフォールドしたTDP-43を検出する工程を含む、方法。

【請求項2】
前記抗体又は抗体断片が、TDP-43の野生型RRM2と結合するが、RRM2の247番目のアスパラギン酸をグリシンに変換させた変異体には結合しない、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
TDP-43の部分アミノ酸配列QSLCGEDLIIKGISVHISNAからなるペプチドに結合する抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断薬。

【請求項4】
TDP-43の部分アミノ酸配列QSLCGEDLIIKGISVHISNAからなるペプチドに結合する抗体又は抗体断片を含むTDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用キット。

【請求項5】
以下の工程を含む、TDP-43の凝集体が蓄積する疾患の診断用の化合物のスクリーニング方法:
(1)ミスフォールドしたTDP-43又はTDP-43のRRM2部分に、TDP-43の部分アミノ酸配列QSLCGEDLIIKGISVHISNAからなるペプチドに結合する抗体又は抗体断片と候補となる化合物を接触させる工程、
(2)該化合物の結合阻害活性を検出する工程、及び
(3)該抗体又は抗体断片の結合を阻害する化合物を選択する工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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