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耐食性、靭性および高温機械的特性に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼およびその製造方法

国内特許コード P150011834
整理番号 13898
掲載日 2015年4月7日
出願番号 特願2013-124747
公開番号 特開2015-000992
出願日 平成25年6月13日(2013.6.13)
公開日 平成27年1月5日(2015.1.5)
発明者
  • 丹野 敬嗣
  • 大塚 智史
  • 矢野 康英
  • 皆藤 威二
  • 田中 健哉
  • 中井 辰良
  • 天野 裕介
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 耐食性、靭性および高温機械的特性に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼およびその製造方法
発明の概要 【課題】優れた耐食性、靭性および高温特性を有する酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼を提供する。
【解決手段】焼き戻しマルテンサイトと残留αフェライトの複相組織中の残留αフェライトの含有率が30体積%以下に規制されていることを特徴とする。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



優れた高温特性(高温強度および高温相安定性)に加えて、耐食性や靭性・延性が要求される部材として、例えば高速増殖炉の燃料被覆管などの炉心材料、ボイラ伝熱管やタービンブレードなどの火力発電用部材、核融合炉ブラケット部材などがあり、本発明はそれらへの適用が可能である。





焼き戻しマルテンサイト鋼はオーステナイト鋼に比べて、低熱膨張率、高熱伝導率および耐スエリング特性(中性子照射下での寸法安定性)などの優れた特性を有している。





特に酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼(以下、マルテンサイト系ODS鋼と略記する)は加工性が良く、炭窒化物による析出強化や固溶強化を主な強化機構とする従来の焼き戻しマルテンサイト鋼に比べて高温強度が格段に高いため、高温・中性子照射環境で使用される原子炉材料や核融合炉材料、高温環境で使用される火力発電用材料として研究・開発が進められてきた。





なお、マルテンサイト系ODS鋼と類似の材料として、高温に加熱してもフェライト(α)⇒オーステナイト(γ)相変態が生じないフェライト相を母相とする酸化物分散強化型フェライト鋼(以下、フェライト系ODS鋼と略記する)がある。





この材料もマルテンサイト系ODS鋼と同様に熱膨張率、熱伝導率および耐スエリング特性に優れているが、焼き戻しマルテンサイト系ODS鋼に比べると加工性と靭性が劣る。





高速増殖炉や核融合炉の経済性や安全性の向上のため、焼き戻しマルテンサイト母相特有の優れた諸特性(耐スエリング特性、加工性、低熱膨張率、高熱伝導率)に加えて、優れた高温特性(高温強度、高温相安定性(高い変態温度))、耐食性、さらには靭性・延性を有する材料の開発が望まれている。





また、火力発電プラントの高効率化の観点からも耐スエリング特性を除く前記諸特性全ての点で優れた材料の開発が望まれている。





これまでにもマルテンサイト系ODS鋼およびその製造方法に関する技術が提案されてきたが(下記、特許文献1~3参照)、いずれの技術も高温強度単独、もしくは高温強度に加えて靭性を改善するものであり、高温強度、高温相安定性、靭性、耐食性の全ての特性が優れたマルテンサイト系ODS鋼およびその製造方法はこれまで提案されていない。





なお、先行技術文献としては、例えば下記のような文献を挙げることができる。

産業上の利用分野



本発明は、耐食性、靭性および高温機械的特性に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼およびその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
焼き戻しマルテンサイトと残留αフェライトの複相組織を有し、その複相組織中の残留αフェライトの含有率が30体積%以下に規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項2】
請求項1に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
当該焼き戻しマルテンサイト鋼中のCr当量[Cr-eq]とNi量とが、 [Cr-eq]≦5[Ni]+11の関係にあることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。
ただし、前記Cr当量[Cr-eq]は下式(1)で算出され、
Cr当量[Cr-eq] =[Cr]+0.75[W] +1.5[Ti-eq]・・・(1)
その式(1)中の[Ti-eq]は下式(2)で算出される。
[Ti-eq] = [Ti]-[Ex.O]/A(O)/2×A(Ti)・・・(2)
これら式中、[Cr] :Cr濃度(重量%)、
[W] :W濃度(重量%)、
[Ti] :Ti濃度(重量%)、
[Ex.O] :過剰酸素濃度(重量%)、
A(O):Oの原子量 (=16)、
A(Ti):Tiの原子量 (=48)
である。

【請求項3】
請求項2に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
当該焼き戻しマルテンサイト鋼中のCr当量[Cr-eq]とNi量とが、5[Ni]+9.4≦[Cr-eq]≦5[Ni]+11の関係あることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
前記複相組織中の残留αフェライトの含有率が16体積%~30体積%の範囲に規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
前記複相組織中のCr濃度が8重量%~13重量%の範囲に規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
前記複相組織中にY粒子が分散されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼において、
前記複相組織中のCr含有率が8重量%~13重量%、C含有が0.05重量%~0.25重量%、W含有率が0.1重量%~3重量%、Ti含有率が0.1重量%~1重量%、Ni含有率が1重量%以下、Y含有率が0.1重量%~0.5重量%の範囲にそれぞれ規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼。

【請求項8】
合金粉末原料を所定の割合に配合して、真空溶解により合金粉末を生成する工程と、
その合金粉末に所定量のY粉末を配合して、高速攪拌により前記合金粉末とY粉末が合金化したメカニカルアロイング粉末を生成する工程と、
そのメカニカルアロイング粉末を固化する工程と、
その固化した材料に焼きならし・焼き戻し処理を施す工程を経ることにより、
焼き戻しマルテンサイトと残留αフェライトの複相組織を有し、その複相組織中の残留αフェライトの含有率を30体積%以下に規制した酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼を製造することを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。

【請求項9】
請求項8に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法において、
当該焼き戻しマルテンサイト鋼中のCr当量[Cr-eq]とNi量とが、 [Cr-eq]≦5[Ni]+11の関係あることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。
ただし、前記Cr当量[Cr-eq]は下式(1)で算出され、
Cr当量[Cr-eq] =[Cr]+0.75[W] +1.5[Ti-eq]・・・(1)
その式(1)中の[Ti-eq]は下式(2)で算出される。
[Ti-eq] = [Ti]-[Ex.O]/A(O)/2×A(Ti)・・・(2)
これら式中、[Cr] :Cr濃度(重量%)、
[W] :W濃度(重量%)、
[Ti] :Ti濃度(重量%)、
[Ex.O] :過剰酸素濃度(重量%)、
A(O):Oの原子量 (=16)、
A(Ti):Tiの原子量 (=48)
である。

【請求項10】
請求項8または9に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法において、
当該焼き戻しマルテンサイト鋼中のCr当量[Cr-eq]とNi量とが、5[Ni]+9.4≦[Cr-eq]≦5[Ni]+11の関係あることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。

【請求項11】
請求項8ないし10のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法において、
前記複相組織中の残留αフェライトの含有率が16体積%~30体積%の範囲に規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。

【請求項12】
請求項8ないし11のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法において、
前記複相組織中のCr濃度が8重量%~13重量%の範囲に規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。

【請求項13】
請求項8ないし11のいずれか1項に記載の耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法において、
前記複相組織中のCr含有率が8重量%~13重量%、C含有が0.05重量%~0.25重量%、W含有率が0.1重量%~3重量%、Ti含有率が0.1重量%~1重量%、Ni含有率が1重量%以下、Y含有率が0.1重量%~0.5重量%の範囲にそれぞれ規制されていることを特徴とする耐食性、靭性および高温機械的強度に優れた酸化物分散強化型焼き戻しマルテンサイト鋼の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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