TOP > 国内特許検索 > ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進剤

ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進剤 外国出願あり

国内特許コード P150011846
掲載日 2015年4月8日
出願番号 特願2014-097201
公開番号 特開2015-214498
出願日 平成26年5月8日(2014.5.8)
公開日 平成27年12月3日(2015.12.3)
発明者
  • 日臺 智明
  • 北野 尚孝
  • 真宮 淳
出願人
  • 学校法人日本大学
発明の名称 ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進剤 外国出願あり
発明の概要 【課題】細胞膜の内側の脂質膜に偏在するホスファチジルセリン(PS)を外側の脂質膜に表出(いわゆる外転)させることができる、PSの細胞表面への表出促進剤等を提供する。
【解決手段】本発明にかかるPSの細胞表面への表出促進剤は、血液凝固第9因子のEGF1ドメインを含むペプチド、又は内皮細胞遺伝子座-1タンパク質のEGF3ドメインを含むペプチド、その誘導体、あるいはこれらの塩を含むことを特徴とするものである。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


止血凝固に携わる凝固第9因子(F9)は古くから知られる必須の血液凝固因子であり、血友病の原因タンパク質として周知である。F9は、凝固反応の過程で凝固第11因子(F11)により2つの断片(重鎖、軽鎖)等に切断されることで活性化され、凝固反応を促進する(非特許文献1)。F9において、凝固因子としての機能を有する重要な部分はC末端側(重鎖)のトリプシンドメインであり、N末端側(軽鎖)の機能についてはよく知られていなかった。特に、当該軽鎖断片中の第一EGF(EGF1)ドメイン(F9-EGF1)の機能についてはあまり詳しく知られていなかった。



ところで、癌の治療に使用される放射線や薬剤(抗癌剤)の細胞毒性は非常に高いため、治療上の問題点は、いかにして治療効果を癌組織・癌細胞に集中させ、健常組織への副作用を減らすかにある。そのため、癌細胞に特徴的な性質や特異的なタンパク質が治療ターゲットとして試されてきた。癌組織の血管は健常組織の血管と性質が異なるために治療ターゲットとして選ばれ、抗Vascular Endothelial Growth factor(VEGF)抗体が製品化された。抗VEGF抗体以外にも血管を標的とする薬剤が血管を標的としており、その一つが抗ホスファチジルセリン(PS)抗体である。



細胞膜は二層の脂質膜からなるものであり、内側の脂質膜と外側の脂質膜とでは膜を構成する脂質成分が異なる。通常の細胞では、PSは内側の脂質膜に含まれる(偏在している;限局している)が、腫瘍血管の内皮細胞では外側の脂質膜(すなわち細胞膜の外側)に表出する。抗PS抗体は、その表出したPSに結合し、免疫反応を起こして腫瘍血管を攻撃及び破壊する。血流を絶たれた腫瘍細胞は死滅するか、増殖が停止する。実際に、抗PS抗体療法の治験第二相では、進行した肺非小細胞癌患者の生命予後が7ヶ月から11ヶ月に延長した。また、抗PS抗体の適用は治療だけではない。抗体に放射性同位元素を結合させて患者に投与すると、放射能が腫瘍に集積する。それを体外からカメラで撮影すれば、腫瘍の部位や広がりを評価できる。



抗PS抗体の他の適用としては、ウイルス感染症の治療がある。ウイルスに感染した細胞では、PSが外側に表出するので、腫瘍血管の内皮細胞と同様に抗PS抗体療法が適用される。ウイルスは細胞内で増殖するので、ウイルスが増殖する前に感染細胞を死滅させてしまえば、ウイルスの増殖が抑制される。現在使用されている抗ウイルス薬は、ウイルスの種類毎に開発されているものが多く、他種のウイルスには効果がない。他方、抗PS抗体によるウイルス治療は、動物実験によれば、エイズウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキウイルス、C型肝炎ウイルス、ラッサ熱ウイルスなど、広範囲なウイルスに対する感染症に有効であることが確認されている。



しかしながら、前述した腫瘍血管の内皮細胞のすべてが、細胞表面にPSを表出しているわけではない。PSを細胞表面に表出しているのは腫瘍血管内皮細胞の15~40%であると報告されている。そこで、PSの細胞表面への表出を促進させる作用がある放射線や抗癌剤が、現在でも癌治療に使用され、抗PS抗体との併用に一定の効果をもたらすが、周知のとおり、放射線や抗癌剤を用いた治療には強い副作用がある。そのため、そのような治療は、癌の治療においても制限があるし、ウイルス治療に用いることはできない。

産業上の利用分野


本発明は、細胞膜の内側に偏在しているホスファチジルセリン(PS)の細胞表面への表出促進剤等に関する。詳しくは、細胞膜の内側に偏在しているPSを細胞膜の外側(細胞表面)に表出させる促進活性を有するペプチドを含む、前記表出促進剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血液凝固第9因子のEGF1ドメインを含むペプチド、又は内皮細胞遺伝子座-1タンパク質のEGF3ドメインを含むペプチド、その誘導体、あるいはこれらの塩を含むことを特徴とする、ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進剤。

【請求項2】
以下の(a)、(b)又は(c)のペプチド、その誘導体あるいはこれらの塩を含むことを特徴とする、ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進剤。
(a) 配列番号8又は16に示されるアミノ酸配列を含むペプチド。
(b) 配列番号8又は16に示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進活性を有するペプチド。
(c) 配列番号8又は16に示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進活性を有するペプチド。

【請求項3】
ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進が、腫瘍血管の内皮細胞又はウイルス感染細胞におけるホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進である、請求項1又は2記載の表出促進剤。

【請求項4】
被験動物に請求項1~3のいずれか1項に記載の表出促進剤を投与することを特徴とする、ホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進方法。

【請求項5】
腫瘍血管の内皮細胞又はウイルス感染細胞におけるホスファチジルセリンの細胞表面への表出促進方法である、請求項4記載の方法。

【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の表出促進剤を含む、医薬組成物。

【請求項7】
さらに抗ホスファチジルセリン抗体を含む、請求項6記載の組成物。

【請求項8】
癌又はウイルス感染症の治療に用いるものである、請求項6又は7記載の組成物。

【請求項9】
癌又はウイルス感染症の診断に用いるものである、請求項6又は7記載の組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
日本大学産官学連携知財センター(通称NUBIC,ニュービック)は,技術移転機関と知的財産本部の機能を兼ね備えた日本大学の産学連携の窓口です。
NUBICは,日本大学全教職員や大学院生・学部学生の豊富なアイデアや研究成果を,知的財産として戦略的に創出・保護・管理し,産業界のニーズとのマッチングを図り,企業の研究開発,新製品開発,新規事業の立上げが円滑に行われるようサポートいたします。
お気軽にご相談ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close