TOP > 国内特許検索 > 人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法

人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法

国内特許コード P150011931
掲載日 2015年4月24日
出願番号 特願2013-518012
登録番号 特許第5924741号
出願日 平成24年5月24日(2012.5.24)
登録日 平成28年4月28日(2016.4.28)
国際出願番号 JP2012063302
国際公開番号 WO2012165287
国際出願日 平成24年5月24日(2012.5.24)
国際公開日 平成24年12月6日(2012.12.6)
優先権データ
  • 特願2011-118557 (2011.5.27) JP
発明者
  • 梁 明秀
  • 西 真由子
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法
発明の概要 癌幹細胞及びその作製方法を提供する。
Oct3/4、Sox-2、Klf-4及びc-Myc遺伝子を不死化上皮細胞に導入することを含む、多能性癌幹細胞の作製方法。前記の方法により作製された多能性癌幹細胞。
従来技術、競合技術の概要



近年の幹細胞生物学研究の進歩により、固形癌や血液腫瘍において癌幹細胞の存在が強く示唆されている。固形癌では、癌幹細胞の小さなサブセット(side population: SPとも言う)が存在し、この集団は腫瘍塊を維持するために、もっぱら自己複製することによって未分化能を保持した癌幹細胞を維持しながら多数の癌細胞を生み出す。癌幹細胞特異的な制御因子を標的にすれば、効率的に腫瘍から癌幹細胞を枯渇させるかもしれない。そのような治療薬が開発できれば、癌を根治することができる。しかしながら、そのような決定的な制御因子を同定することは、癌患者の腫瘍由来の癌幹細胞を集めてきても、また、癌細胞株の一部を集めてきても、その分画は不均一であるため、癌幹細胞特異的な因子の同定や阻害剤の探索を行うことができない。そのため、100%純粋な癌幹細胞を作り出すことができれば、上記の研究が大いに促進すると考えられる。





癌幹細胞の定義は、(1)自己複製、(2)多分化能そして(3)免疫不全マウスに移植すると元の癌と同じ表現型の癌が形成されることである。「癌幹細胞」という言葉は、自己複製能(悪性腫瘍と表現型として多様な腫瘍細胞集団に分裂する)をもった癌細胞として便宜上定義される。多くの腫瘍は、体内で増殖し、腫瘍形成能をもつ癌幹細胞に形質転換した単細胞に由来する。しかし、癌幹細胞の起源については未だにわかっていない。





癌幹細胞は、各種の細胞表面マーカーの発現をもとに同定され、腫瘍塊や癌細胞株からセルソーターを用いて回収することができる。しかしこの方法で集められた癌幹細胞はヘテロの集団であり、純粋な癌幹細胞の特徴を備えた細胞はごく一部であり、厳密な意味において癌幹細胞とは言えない。





固形癌の中に特異的亜集団(SP)があり、癌幹細胞の機能的な性質を獲得している。それは自己複製や分化を起こすことによって腫瘍全体を形成する能力を有する。固形癌の細胞集団の中である特定の細胞表面マーカーを有する細胞が癌幹細胞の形質を有することが知られている。たとえば、脳腫瘍(グリオブラストーマ)、前立腺癌、大腸癌では、これらの癌より分離したCD133+ cellsおよびCD133- cellsの免疫不全マウスへの異種移植実験により、また、in vitroにおいて自己複製能、増殖・分化能を有することから、CD133+cellsはcancer stem cells であることが示された(非特許文献1~3)。

また、乳癌においてはCD44の発現が高く、CD24の発現が低い分画(CD44(+)CD24(-/low))が癌幹細胞の性質を有することが示された(非特許文献4)。





しかしながら、これらの細胞表面マーカーを頼った癌幹細胞の分離法は、100%癌幹細胞を分離しているとは言えず、また、分離した細胞の維持や増幅が極めて困難である。そのため、人工的に癌幹細胞を作り出すことが考えられた。





Miyoshiらは最近、種々の胃腸管系の癌細胞(癌細胞株)においてリプログラミング因子を発現させることによって癌幹細胞の誘導に成功したことを報告している(非特許文献5)。





しかし、これらの癌細胞はすでに形質転換(悪性化、癌化)しており多くの遺伝子変異や染色体異常を獲得している。そのため均一な細胞集団を構成しておらず、薬剤スクリーニングやバイオマーカー探索に適していないと考えられる。したがって、それらの細胞を純粋な癌幹細胞と定義するのは難しい。





一方、山中らはヒト線維芽細胞にSOX2, OCT4, Klf4, c-Mycの4つの遺伝子をレトロウイルスベクターを用いて導入することで、胚性幹細胞(Embryonic stem cells: ES細胞)に類似した人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell, iPS cell)を誘導できることを示した(非特許文献6)。





しかしながら、これらの4つの遺伝子をヒト不死化細胞に導入した例はなく、これらの4つの遺伝子の導入が、細胞の初期化のみならず、癌化も同時に引き起こすことで、ヒト癌幹細胞が形成されることを示した報告は無い。

産業上の利用分野



本発明は、人工癌幹細胞の作製方法及びその分化誘導方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Oct3/4、Sox-2、Klf-4及びc-Myc遺伝子を不死化上皮細胞に導入する工程、前記4遺伝子を導入した細胞が形成するコロニーの中からアルカリフォスファターゼ染色陽性の細胞を選択することにより、多能性癌幹細胞を得る工程、前記多能性癌幹細胞を浮遊系で培養して胚様体を形成する工程、さらに、前記胚様体を付着系で培養する工程を含む、癌幹細胞をin vitroで作製する方法。

【請求項2】
不死化上皮細胞に由来し、Oct3/4、Sox-2、Klf-4及びc-Myc遺伝子が導入され、癌幹細胞マーカー因子であるABCG2, CD44, CD133を発現する、癌幹細胞。

【請求項3】
請求項記載の癌幹細胞を分化させることを含む、癌細胞をin vitroで作製する方法。

【請求項4】
癌幹細胞を付着系で培養する工程を含む請求項記載の方法。

【請求項5】
請求項に記載の細胞又は請求項3若しくは4に記載の方法で作製した癌細胞を用いて、抗癌作用を有する物質をスクリーニングする方法。

【請求項6】
不死化上皮細胞が、ヒト乳腺上皮細胞MCF-10A、ヒト前立腺上皮細胞RWPE-1及びヒト皮膚ケラチノサイトHaCaTから成る群より選択される請求項記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013518012thum.jpg
出願権利状態 登録
※ ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close