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網膜細胞への分化誘導方法

国内特許コード P150011950
掲載日 2015年4月28日
出願番号 特願2013-520588
出願日 平成24年6月14日(2012.6.14)
国際出願番号 JP2012065285
国際公開番号 WO2012173207
国際出願日 平成24年6月14日(2012.6.14)
国際公開日 平成24年12月20日(2012.12.20)
優先権データ
  • 特願2011-132712 (2011.6.14) JP
発明者
  • 高橋 政代
  • 岡本 理志
出願人
  • 国立研究開発法人理化学研究所
発明の名称 網膜細胞への分化誘導方法
発明の概要 本発明は、レチノイン酸受容体アンタゴニストを含む培地中で、多能性幹細胞を培養すること、及び培養物から網膜前駆細胞を得ることを含む、網膜前駆細胞の製造方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要



加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration)、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)のような網膜変性疾患による失明に苦しむ患者の数が益々増加している。これらの疾患では視細胞の障害が失明の直接的な原因であるので、視細胞(又は視細胞前駆体)のインビトロでの産生が、これらの疾患の研究及びこれらの疾患の治療法の開発に大きく貢献し得る。





本発明者らも含め、多くのグループが、虹彩組織(非特許文献1、2)、毛様体組織(非特許文献3)、又は胚性幹(ES)細胞(非特許文献4-6)から、視細胞を創生することを試みている。組織幹細胞と比較して、ES細胞は、無限に増殖する能力を有しており、研究及び治療のために十分な数の細胞を産生することが可能であるので、優れている。近年の研究により、網膜前駆細胞をES細胞からインビトロで効率的に産生できることが立証されている。





本発明者らは、Dkk1、LeftyA、血清及びアクチビン処理を組み合わせたエンブリオイドボディ様凝集体の無血清浮遊培養(SFEB)系(SFEB/DLFA)(非特許文献7)を用いた、マウスES細胞からの神経網膜前駆細胞の効率的な誘導を示した。





また、本発明者らは、多能性幹細胞をSFEB法で培養することにより多能性幹細胞を網膜前駆細胞へ分化させ、必要に応じて培養した細胞の中からRx(Rax)陽性等のマーカー発現に基づき網膜前駆細胞をソートし、単離された網膜前駆細胞をDAPT等を含む培地中で培養することにより網膜前駆細胞を視細胞へ分化させることを含む、視細胞の製造方法を開発している(特許文献1)。しかしながら、この方法では、網膜前駆細胞への分化効率が十分に満足できる程に高くはないので、分化した網膜前駆細胞のソーティングによる単離を要する場合がある。この場合、ソーティング操作の過程で細胞数が減少しやすいので、移植等の目的で大量の網膜前駆細胞や視細胞を調製することが困難である。





マウスES細胞をトリプシンで解離した後、再集合させてスフィア(細胞塊)を作らせると、個々の細胞は様々な種類の細胞に分化する胚様体になることが知られている。また、この培養中にレチノイン酸を添加すると、神経分化が促進されることが知られている(非特許文献8及び9)が、この培養中には大脳皮質や網膜組織の細胞はほとんど生成されない。このため笹井らは、ES細胞から大脳皮質や網膜組織の細胞を誘導するために、レチノイン酸に頼らない別の方法(Dkk1及びLefty-A添加によるWntシグナル及びNodalシグナルの阻害)を用いた(非特許文献10)。





一方、非特許文献11には、マウスES細胞を、接着状態で、RAR(レチノイン酸受容体)アンタゴニストであるAGN193109を含有する培地中で培養すると、神経分化が阻害され、中胚葉への分化が促進されることが開示されている。この報告によると、AGN193109の効果は、Dkk1及びSBの添加により弱められ、分化の方向をむしろ神経へと誘導する。更にサブnM濃度のレチノイン酸を添加すると、AGN193109により阻害されていた神経分化がレスキューされる。RARアンタゴニスト添加によって神経幹細胞マーカーSox1の発現が低下し、レチノイン酸を添加した場合では不添加の場合に比べてSox1発現のピークの時期が早くなる。





AGN193109は、RARα、RARβ及びRARγに結合する公知のRARアンタゴニストである(特許文献2、非特許文献12)。

産業上の利用分野



本発明は、網膜前駆細胞、桿体視細胞、網膜色素上皮細胞等の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
レチノイン酸受容体アンタゴニストを含む培地中で、多能性幹細胞を培養すること、及び培養物から網膜前駆細胞を得ることを含む、網膜前駆細胞の製造方法。

【請求項2】
レチノイン酸受容体アンタゴニストが、少なくともRARαアンタゴニスト活性を有する化合物である、請求項1記載の方法。

【請求項3】
多能性幹細胞を浮遊凝集体として培養する、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
培地が、レチノイン酸類を実質的に含まない、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
培地が、B27を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
培地が、更に細胞外マトリクスを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
培地が、更にアルブミン及び/又は脂質を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
培地が、更にNodalシグナル阻害剤及び/又はWntシグナル阻害剤を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
(a)請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により網膜前駆細胞を得ること、及び
(b)得られた網膜前駆細胞を含む培養物を、レチノイン酸受容体アンタゴニストを実質的に含まない培地中で培養して網膜前駆細胞に由来する細胞を得ること
を含む、網膜細胞の製造方法。

【請求項10】
(a)における培養に用いる培地が、細胞外マトリクスを含み、(b)の網膜前駆細胞に由来する細胞が、視細胞又は網膜色素上皮細胞である、請求項9項記載の方法。

【請求項11】
(b)における培養に用いる培地が、神経培養用血清代替物、ガンマセクレターゼ阻害剤、及びbFGFから選択されるいずれかの因子を含み、且つ、網膜前駆細胞に由来する細胞が、視細胞である、請求項9又は10記載の方法。

【請求項12】
視細胞が、桿体視細胞である、請求項10又は11記載の方法。

【請求項13】
(a)及び/又は(b)における培養に用いる培地が、Nodalシグナル阻害剤及び/又はWntシグナル阻害剤を含み、且つ網膜前駆細胞に由来する細胞が、視細胞又は網膜色素上皮細胞である、請求項9記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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