TOP > 国内特許検索 > ガリウム標識薬剤

ガリウム標識薬剤 新技術説明会

国内特許コード P150011961
掲載日 2015年5月7日
出願番号 特願2013-520596
登録番号 特許第5971867号
出願日 平成24年6月15日(2012.6.15)
登録日 平成28年7月22日(2016.7.22)
国際出願番号 JP2012065332
国際公開番号 WO2012173222
国際出願日 平成24年6月15日(2012.6.15)
国際公開日 平成24年12月20日(2012.12.20)
優先権データ
  • 特願2011-135535 (2011.6.17) JP
発明者
  • 荒野 泰
  • 上原 知也
出願人
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 ガリウム標識薬剤 新技術説明会
発明の概要 標的分子に結合する化合物と結合させたトリサリチルアルジミノメチル エタノール(tri-salicylaldiminomethyl-ethanol)と、ガリウム67またはガリウム68とから形成される錯体構造を有する錯体を含み、標的部位への集積性および安定性が増加した放射性ガリウム標識薬剤;診断用または治療用の前記放射性ガリウム標識薬剤;前記放射性ガリウム標識薬剤の調製用配位子;前記配位子を含む薬剤とガリウム67またはガリウム68を含む薬剤とを、別々の包装単位として含んでなるキット;および、放射性ガリウム標識薬剤の製造方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要



放射性標識薬剤は、放射性同位元素の核種により標識された化合物を含む薬剤であり、疾患の診断や治療、例えば腫瘍の診断や治療などに広く利用されている。放射性標識薬剤を特定の組織や細胞に集積させることにより、感度の高い診断や有効な治療を行うことができ、また、正常の組織や細胞への副作用を低減することができる。例えば、腫瘍細胞が臓器や組織に転移し、散在しているような場合でも、正常の組織や細胞に影響を与えることなく、有効な診断や治療が行える。放射性標識薬剤を用いた診断や治療においては、有用な核種の選択や、該薬剤を特定の組織や細胞に集積させるための薬剤設計が行われてきた。





ガリウム(Ga)は原子番号31の元素であり、インジウムと同じ第13族元素に属する。ガリウムの多種類の核種の中でGa-67(以下、67Gaと略称することがある)とGa-68(以下、68Gaと略称することがある)の二つの放射性核種が核医学診断に適した性質を有している。67Gaはサイクロトロンにより製造される半減期78時間のγ線放出核種であり、67Gaクエン酸塩(67Ga-citrate)が悪性腫瘍や炎症の診断を目的とした単一光子放射線コンピュータ断層撮影(single photon emission computed tomography、以下SPECTと略称する)用薬剤として臨床で使用されている。一方、68Gaは半減期68分の陽電子放出核種であり、ポジトロン断層撮影(positron emission tomography、以下、PETと略称する)診断に用いられる。また近年、半減期270日のゲルマニウム-68(68Ge)との過渡平衡を利用したジェネレータシステムの開発により、サイクロトロンを設置しなくても使えるPET核種として期待されている。





タンパク質やペプチドなどの生理活性分子は一般に、ガリウムに対する安定な結合部位を有していないことから、標的分子である生理活性分子をガリウムで標識するために、ガリウムへの配位部位と生理活性分子との結合部位とを分子内に併せ持つ二官能性キレート剤を用いた診断薬剤の開発が行われている。実際、内分泌腫瘍に発現するソマトスタチン受容体を標的としたDOTA-D-Phe1-Tyr3-オクトレオチド(DOTA-D-Phe1-Tyr3-octreotide、DOTA-TOC、非特許文献1および2)や乳がんのHer2受容体を標的としたDOTAアフィボディ(DOTA-affibody、非特許文献3)などが研究されている。





しかしながら、放射性標識薬剤の製造においては、放射性ガリウムなどの金属放射性核種の濃度が極めて低いため、目的とする放射性標識薬剤を高い放射化学的収率で短時間のうちに得るために、大過剰のキレート剤、具体的には0.01~1mM濃度のキレート剤を用いて標識が行われている。そのため、このような放射性標識薬剤をそのまま生体に投与すると、標識されていないキレート剤が標的部位に対して放射性標識薬剤と競合し、放射性標識薬剤の集積の低下を招き、その結果、標的分子の画像化が妨げられる。このような問題に対して、比放射能の向上を目指した検討が行われているが、配位子濃度が低い場合には標識率が低下することや、二官能性キレート剤を複数個導入して標識率を向上させた場合には標的分子との結合親和性が低下することが報告されている(非特許文献4)。





一方、分子内に標的分子との結合部位(標的分子認識素子と称することがある)を2分子有する化合物(二価の化合物と称する)は結合部位を1分子有する化合物(一価の化合物と称する)に比べ標的分子への高い結合力を有することが知られており、これは多価効果として医薬品の設計に広く利用されている(非特許文献5~7)。これらの知見から、標的分子認識素子を一つ有する一価配位子が金属原子と1:2あるいは1:3の錯体を作ることで、標的分子への標識体の集積が向上することが期待できる。





実際、本発明者らは、金属放射性核種としてテクネチウム-99m(以下、99mTcと略称することがある)を、そして標的分子認識素子を有する配位子としてArg-Gly-Asp結合ペニシラミン(以下、RGD結合ペニシラミンを称することがある)を用い、99mTcとRGD結合ペニシラミンとで形成された錯体が標的分子への高い集積性を有し、かつ生体内で安定であることを明らかにし、該錯体の放射性標識薬剤としての有用性を示している(特許文献1および2)。





これに対し、ガリウムと配位子とで形成される1:2あるいは1:3の錯体であって生体内や過剰の配位子を除去した状態で安定に存在するものは報告されていない。生体内では、ガリウム錯体と配位子とは異なる挙動を示すことから、過剰の配位子を除去した場合における安定性が重要となる。2座配位子であるデフェリプロンはガリウムと1:3の錯体を形成するが、形成した錯体溶液から過剰の配位子を除去すると錯体が崩壊することが報告されている(非特許文献8)。

産業上の利用分野



本発明は、標的分子に結合する化合物と結合させたトリサリチルアルジミノメチル エタノール[tri-salicylaldiminomethyl-ethanol、H(sal)TAMEol]と、ガリウム67(gallium-67、Ga-67)またはガリウム68(gallium-68、Ga-68)とから形成される錯体構造を有する錯体を含み、標的部位への集積性および安定性が増加した放射性ガリウム標識薬剤、その製造方法、および前記放射性ガリウム標識薬剤の調製用配位子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列表の配列番号1に示す環状ペンタペプチドc(RGDfK)をヘキサン酸を介して結合させたトリサリチルアルジミノメチル エタノール[tri-salicylaldiminomethyl-ethanol、H(sal)TAMEol]と、ガリウム67またはガリウム68とから形成される下式(I)の錯体構造を有する錯体を含み、標的部位への集積性および安定性が増加した放射性ガリウム標識薬剤。
【化1】



【請求項2】
6-アミノヘキサノアート c(RGDfK)結合サリチルアルデヒドと、2,2’,2’’-トリ(アミノメチル)エタノール[2,2’,2’’-tri-(aminomethyl)-ethanol、TAMEol]と、ガリウム67またはガリウム68とをクエン酸溶液中で反応させることを含む下式(I)の錯体構造を有する錯体の形成方法
【化2】



【請求項3】
診断用放射性標識薬剤である請求項1に記載の放射性ガリウム標識薬剤。

【請求項4】
6-アミノヘキサノアート c(RGDfK)結合サリチルアルデヒドと、2,2’,2’’-トリ(アミノメチル)エタノール[2,2’,2’’-tri-(aminomethyl)-ethanol、TAMEol]と、ガリウム67またはガリウム68とを、別々の包装単位として含んでなる、請求項1に記載の放射性ガリウム標識薬剤の調製用キット。

【請求項5】
6-アミノヘキサノアート-c(RGDfK)結合サリチルアルデヒドと、2,2’,2’’-トリ(アミノメチル)エタノール[2,2’,2’’-tri-(aminomethyl)-ethanol、TAMEol]と、ガリウム67またはガリウム68とをクエン酸溶液中で反応させて下式(I)の錯体構造を有する錯体を形成させることを含む、標的部位への集積性および安定性が増加した放射性ガリウム標識薬剤の製造方法。
【化3】


国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2013520596thum.jpg
出願権利状態 登録
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close