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機能性ハイドロゲル コモンズ

国内特許コード P150011962
掲載日 2015年5月7日
出願番号 特願2013-527960
登録番号 特許第5944902号
出願日 平成24年7月27日(2012.7.27)
登録日 平成28年6月3日(2016.6.3)
国際出願番号 JP2012069105
国際公開番号 WO2013021836
国際出願日 平成24年7月27日(2012.7.27)
国際公開日 平成25年2月14日(2013.2.14)
優先権データ
  • 特願2011-171678 (2011.8.5) JP
発明者
  • 田辺 利住
  • 立花 亮
出願人
  • 公立大学法人大阪市立大学
発明の名称 機能性ハイドロゲル コモンズ
発明の概要 本発明は、ケラチンを材料とする非流動性の機能性ハイドロゲルおよび当該機能性ハイドロゲルを製造する方法を提供することを課題とする。かかる課題は、以下の工程を含む、機能性ハイドロゲルの製造方法および当該製造方法により製造される機能性ハイドロゲルにより解決される:
1)ケラチン含有材料に、ジスルフィド結合をチオール基に変換するための還元剤を添加してケラチンを抽出する工程;
2)ケラチン含有材料に、チオール基がジスルフィド結合を再形成するのを防ぐためのタンパク質安定化剤を添加する工程;
3)タンパク質安定化剤を除去してケラチンを精製し、ケラチン溶液を得る工程:
4)ケラチン溶液を濃縮することにより機能性ハイドロゲルを作製する工程。
従来技術、競合技術の概要



タンパク質の一種であるケラチンは、羽毛や毛髪などの動物組織の非血管組織中に存在することが知られている。ケラチンは、毛髪用化粧料に配合されるなどして利用されているものの、産業界全体として見ると未利用のタンパク質と考えられる。ケラチンを産業用素材として活用することが期待され、研究開発が進められている。





ケラチンは、羽毛や毛髪から抽出することができる。ケラチンの抽出方法は従来より公知であり、酸化法、還元法、あるいはそれらを組み合わせた方法が用いられている。ケラチンは多数のシステイン残基を含み、分子間および分子内のジスルフィド結合(S-S結合)により多量体を形成している。水溶液としてケラチンを抽出するためには、S-S結合を開裂させる必要がある。酸化法では、過酢酸や過酸化水素による処理により、S-S結合の開裂後にスルホン酸が生じる。スルホン酸は、再度酸化させることによりS-S結合に戻ることがない。還元法では、チオグリコール酸、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどによりS-S結合の開裂後、チオール基(SH基)に変換させる。酸化法と還元法の組合わせでは、軽微な酸化により一部のS-S結合をスルホン酸にした後、還元が行われる。この場合抽出されたケラチンのシステイン残基は、スルホン酸を有するものとSH基のものが混在する。





抽出したケラチンの応用として、水溶性ペプチド、スポンジ、フィルムなどの形態が提案されている。また、ケラチンをゲル化することについても検討されており、架橋剤を用いてゲル化可能であることが知られている。架橋剤を用いてゲル化されたケラチンは、架橋剤が例えば生体に好ましくない毒性を有することや、水溶液への再溶解性を有さないといった点から、用途が限られてしまうという問題がある。そこで、架橋剤を使用せずにケラチンをゲル化する方法が望まれている。





架橋剤を用いずに、ケラチン含有組成物に粘度を持たせることが可能となったことが、特許文献1~11および非特許文献1において報告されている。特許文献1~3では、酸化剤を用いてケラチンのジスルフィド結合をスルホン酸に変換させる工程を経て、ゲル状のケラチン含有組成物を作製したことが開示されている。特許文献4~6では、酸化剤を用いて調製した粉末形態のケラチン材料に水溶性溶媒を加えることによってゲル状のケラチン含有組成物を形成すること、ゲル状のケラチン含有組成物内には水に結合し得るスルホン酸基が存在することが開示されている。特許文献7では、人毛にチオグリコール酸を添加して還元処理を行い、ケラチンを抽出した後、塩酸による沈殿、透析、ヨード酢酸による誘導体化を経た後、凍結乾燥することによりカルボキシメチルケラテインの粉末を得たことが開示されている。その後、得られた粉末を水溶液に溶解することにより、ゲル状のケラチン含有組成物を作製することが開示されている。非特許文献1では、人毛にチオグリコール酸を添加して還元処理を行い、ケラチンを抽出した後、pH調整のために水酸化ナトリウム溶液を添加しながら透析を行い、20重量%まで濃縮することによりゲル状のケラチン含有組成物を作製したことが開示されている。





特許文献1~11および非特許文献1は、Mark Van Dykeを代表とする同じ研究グループによるものである。特許文献4および特許文献5においては、ゲル状ケラチン含有組成物をシリコンなどで構成された外被に充填することにより、乳房インプラントなどに用いることが開示されている。また特許文献7~11においては、ゲル状ケラチン含有組成物の粘度(単位:ポアズ)が開示されている。粘度とは流体についての物理定数であり、特許文献1~11および非特許文献1に開示されているゲル状ケラチン含有組成物は、固体もしくは半固体ではなく、流動性を有する粘凋な流体であると考えられる。すなわち、ケラチンを材料とする非流動性のゲルは未だ報告されていない。

産業上の利用分野



本発明は、機能性ハイドロゲルの製造方法および当該製造方法から製造される新規な機能性ハイドロゲル、ならびに、機能性ハイドロゲルの応用に関する。





本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2011-171678号優先権を請求する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含む、機能性ハイドロゲルの製造方法:
1)ケラチン含有材料に、ジスルフィド結合をチオール基に変換するための還元剤を添加してケラチンを抽出する工程;
2)ケラチン含有材料に、チオール基がジスルフィド結合を再形成するのを防ぐための陰イオン性界面活性剤を添加する工程;
3)陰イオン性界面活性剤を除去してケラチンを精製し、ケラチン溶液を得る工程:
4)ケラチン溶液を、タンパク質濃度110~180 mg/mlまで濃縮し、その後冷却することにより、機能性ハイドロゲルを作製する工程。

【請求項2】
陰イオン性界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の機能性ハイドロゲルの製造方法。

【請求項3】
工程3)の陰イオン性界面活性剤の除去が、工程1)および2)により得られたケラチン抽出液150~250 mLに対して透析外液2~5 Lを使用した透析を、少なくとも5回行うことによる、請求項1または2に記載の機能性ハイドロゲルの製造方法。

【請求項4】
工程4)におけるケラチン溶液の濃縮が、40~65℃の温度条件下で、溶液のまま濃縮するものである、請求項1~3のいずれか1に記載の機能性ハイドロゲルの製造方法。

【請求項5】
ケラチン含有材料にタンパク質変性剤をさらに添加する、請求項1~4のいずれか1に記載の機能性ハイドロゲルの製造方法。

【請求項6】
タンパク質濃度110~180 mg/mlのケラチン及び水性媒体を含んでなる機能性ハイドロゲルであり、当該機能性ハイドロゲルが水性媒体への溶解性を有しており、ケラチンのチオール基が置換基、生理活性物質および/または生体適合性物質により修飾されている、機能性ハイドロゲル。

【請求項7】
請求項に記載の機能性ハイドロゲルと、生理活性物質および/または生体適合性物質を含有する、機能性ハイドロゲル組成物。

【請求項8】
請求項に記載の機能性ハイドロゲルを疑似体液に接触させることによる、ハイドロキシアパタイトを含有する機能性ハイドロゲル組成物の製造方法。

【請求項9】
請求項に記載の機能性ハイドロゲルまたは請求項に記載の機能性ハイドロゲル組成物を少なくとも含む、薬物送達用担体。

【請求項10】
薬物送達用担体が、薬物送達システムとして用いられる、請求項に記載の薬物送達用担体。

【請求項11】
薬物送達用担体が、薬物徐放用担体として用いられる、請求項10に記載の薬物送達用担体。

【請求項12】
請求項に記載の機能性ハイドロゲルまたは請求項に記載の機能性ハイドロゲル組成物を含む、再生医療材料。

【請求項13】
請求項1の工程4)が、濃縮前のケラチン溶液を、SH基化学修飾剤、生理活性物質、生体適合性物質のいずれかにより処理してケラチンのチオール基を修飾し、修飾処理されたケラチン溶液を濃縮することにより機能性ハイドロゲルを作製する工程である、請求項1~5のいずれか1に記載の機能性ハイドロゲルの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2013527960thum.jpg
出願権利状態 登録


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