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ヒト血液がん細胞のアポトーシスを誘導するヘプタマー型スモールガイド核酸

国内特許コード P150011963
掲載日 2015年5月7日
出願番号 特願2013-528082
登録番号 特許第5959522号
出願日 平成24年8月10日(2012.8.10)
登録日 平成28年7月1日(2016.7.1)
国際出願番号 JP2012070509
国際公開番号 WO2013022092
国際出願日 平成24年8月10日(2012.8.10)
国際公開日 平成25年2月14日(2013.2.14)
優先権データ
  • 特願2011-176322 (2011.8.11) JP
発明者
  • 梨本 正之
出願人
  • 学校法人 新潟科学技術学園 新潟薬科大学
発明の名称 ヒト血液がん細胞のアポトーシスを誘導するヘプタマー型スモールガイド核酸
発明の概要 2種以上のヒト血液がん細胞のアポトーシスを誘導する、配列番号1から12のいずれかの7塩基配列からなるヘプタマー型スモールガイド核酸と、このヘプタマー型スモールガイド核酸を有効成分として含有するがん治療薬で2腫以上の血液がん細胞のアポトーシスを誘導することができる新規なヘプタマー型sg核酸を提供する。
従来技術、競合技術の概要


本発明の発明者らは、TRUEジーンサイレンシング(tRNase ZL-utilizing efficaciousgene silencing)と名付けた新しい遺伝子発現抑制技術を開発している(特許文献1、非特許文献1-4)。tRNase ZLは、tRNAの3’末端部をプロセシングするエンドリボヌクレアーゼ(tRNase Zまたは3’tRNase)の分子量の大きい種類の酵素であり、前駆体tRNAの3’末端部を切除する(特許文献1、非特許文献5、6)。このTRUEジーンサイレンシングは、標的RNAと合成スモールガイド核酸とによって形成されるpre-tRNA様またはマイクロpre-tRNA様複合体を認識することによって、いかなるRNAの任意箇所をも切断することができるという哺乳動物tRNase ZLのユニークな酵素的特性に基づいている(非特許文献7-13)。スモールガイド核酸(特にスモールガイドRNA)は、5’-half tRNA(非特許文献8)、12~16-nt直鎖RNA(非特許文献13)、ヘプタマー型RNA(非特許文献9)およびフック型RNA(非特許文献12)の4種に分けられる。



発明者らは、様々なmRNAを標的とするスモールガイド核酸(以下、sg核酸と記載することがある)を、その発現プラスミドまたは2’-O-methyl RNAsを導入することによって、様々な哺乳動物細胞におけるTRUEジーンサイレンシングの有効性を実証している(非特許文献1-4)。例えば、Jurkat細胞におけるHIV-1発現は、5’-half tRNA型sgRNAによって18日間以上抑制され(非特許文献2)、マウス肝臓におけるルシフェラーゼ発現はヘプタマー型sg核酸によって抑制された(非特許文献3)。さらに、TRUEジーンサイレンシングの効果は、RNA干渉(RNA interference: RNAi)と同等であり(非特許文献3、14)、幾つかの場合ではRNAiの効果を凌ぐことも確認されている(非特許文献4)。



また最近、発明者らは、tRNase ZLが核内だけでなくサイトゾルにも存在すること、そしてsg核酸として使用していたのと同一の5’-half tRNAが細胞質に存在することを見出している(非特許文献15)。また、発明者らは、ヒトサイトゾルtRNase ZLが、5’-half tRNAの指揮のもとでmRNAを切断することによって遺伝子発現を調節すること、そしてPPM1F mRNAがtRNase ZLの真の標的の一つであることを見出している(非特許文献15)。さらにまた、発明者らは、miR-103を含むマイクロRNAの一部がフック型sg核酸として働き、サイトゾルtRNase ZLによるmRNA切断を介して遺伝子発現を下方調節しえることを証明している(非特許文献16)。以上のことから、TRUEジーンサイレンシングは、細胞内の小さな非コードRNAによって作動されるサイトゾルtRNase ZLの新たに解明された生理学的役割を基礎として機能していることは明らかである。



TRUEジーンサイレンシングの最終的な目的の一つは、特定遺伝子の発現を原因とする疾患治療剤または予防剤としてのsg核酸の使用である。例えば、発明者らは既に、がん治療の分子標的として有望視されているBcl-2およびVEGFをコードする細胞内mRNAレベルが、5’-half tRNA型sg核酸、14-nt直鎖型sg核酸またはヘプタマー型sg核酸によって発現抑制されることを見出している(非特許文献1、4、17)。



sg核酸を薬剤成分とする場合、薬理学的な視点からは、ヘプタマー型sg核酸が最も好ましい。何故ならば、ヘプタマー(7塩基核酸)は長鎖のsg核酸よりも遙かに簡便かつ安価に合成することができる。また、ヘプタマー型sg核酸は、刺激剤(トランスフェクション試薬等)を用いることなく容易に細胞内に取込ませることができる(非特許文献18)。
【特許文献1】
特許第3660718号公報
【非特許文献1】
Tamura,M., Nashimoto,C., Miyake,N., Daikuhara,Y., Ochi,K. and Nashimoto,M.(2003) Intracellular mRNA cleavage by 3′ tRNase under the direction of 2′-O-methylRNA heptamers. Nucleic Acids Res., 31, 4354-4360.
【非特許文献2】
Habu,Y., Miyano-Kurosaki,N., Kitano,M., Endo,Y., Yukita,M., Ohira,S., Takaku,H., Nashimoto,M. and Takaku,H. (2005) Inhibition of HIV-1 gene expression by retroviral vector-mediated small-guide RNAs that direct specific RNA cleavage by tRNase ZL. Nucleic Acids Res., 33, 235-243.
【非特許文献3】
Nakashima,A., Takaku,H., Shibata,H.S., Negishi,Y., Takagi,M., Tamura,M. and Nashimoto,M. (2007) Gene-silencing by the tRNA maturase tRNase ZL under the direction of small guide RNA. Gene Therapy, 14, 78-85.
【非特許文献4】
Elbarbary,R.A., Takaku,H., Tamura,M. and Nashimoto,M. (2009) Inhibition of vascular endothelial growth factor expression by TRUE gene silencing. Biochem.and Biophys. Res. Commun., 379, 924-927.
【非特許文献5】
Nashimoto,M. (1997) Distribution of both lengths and 5′ terminal nucleotides of mammalian pre-tRNA 3′ trailers reflects properties of 3′processing endoribonuclease. Nucleic Acids Res., 25, 1148-1155.
【非特許文献6】
Takaku,H., Minagawa,A., Masamichi,T. and Nashimoto,M. (2003) A candidateprostate cancer susceptibility gene encodes tRNA 3′ processing endoriobonuclease. Nucleic Acids Res., 31, 2272-2278.
【非特許文献7】
Nashimoto,M. (1995) Conversion of mammalian tRNA 3′ processing endoribonuclease to four-base-recognizing RNA cutters. Nucleic Acids Res., 23, 3642-3647.
【非特許文献8】
Nashimoto,M. (1996) Specific cleavage of target RNAs from HIV-1 with 5′ half tRNA by mammalian tRNA 3′ processing endoribonuclease. RNA, 2, 2523-2524.
【非特許文献9】
Nashimoto,M., Geary,S., Tamura,M. and Kasper,R. (1998) RNA heptamers that directs RNA cleavage by mammalian tRNA 3′ processing endoribonuclease. Nucleic Acids Res., 26, 2565-2571.
【非特許文献10】
Nashimoto,M. (2000) Anomalous RNA substrates for mammalian tRNA 3′processing endoribonuclease. FEBS Letters, 472, 179-186.
【非特許文献11】
Takaku,H., Minagawa,A., Takagi,M. and Nashimoto,M. (2004) The N-terminal half-domain of the long form of tRNase Z is required for the RNase 65 activity. Nucleic Acids Res., 32, 4429-4438.
【非特許文献12】
Takaku,H., Minagawa,A., Takagi,M. and Nashimoto,M. (2004) A novel four-base-recognizing RNA cutter that can remove the single 3′ terminal nucleotides from RNA molecules. Nucleic Acids Res., 32, e91.
【非特許文献13】
Shibata,H.S., Takaku,H., Takagi,M. and Nashimoto,M. (2005) The T loop structure is dispensable for substrate recognition by tRNase ZL. J. Biol. Chem., 280, 22326-22334.
【非特許文献14】
Appasani,K. (2005) RNA interference technology: from basic science to drug development. Cambridge University Press, Cambridge.
【非特許文献15】
Elbarbary,R.A., Takaku,H., Uchiumi,N., Tamiya,H., Abe,M., Takahashi,M., Nishida,H. and Nashimoto,M. (2009) Modulation of gene expression by human cytosolic tRNase ZL through 5′-half-tRNA. PLoS ONE, 4, e5908.
【非特許文献16】
Elbarbary,R.A., Takaku,H., Uchiumi,N., Tamiya,H., Abe,M., Nishida,H. and Nashimoto,M. (2009) Human cytosolic tRNase ZL can downregulate gene expression through miRNA. FEBS Lett., 583, 3241-3246.
【非特許文献17】
Hu,W. and Kavanagh,J.J. (2003) Anticancer therapy targeting the apoptotic pathway. Lancet Oncol., 4, 721-729.
【非特許文献18】
Loke,S.L., Stein,C.A., Zhang X.H., Mori,K., Nakanishi,M., Subasinghe,C., Cohen,J.S. and Neckers,L.M. (1989) Characterization of oligonucleotide transport into living cells. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 3474-3478.

産業上の利用分野



本発明は、TRUEジーンサイレンシングによってヒトがん細胞のアポトーシスを効率よく誘導するヘプタマー型スモールガイド核酸に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
2種以上のヒト血液がん細胞のアポトーシスを誘導する、配列番号1から12のいずれかの7塩基配列からなるヘプタマー型スモールガイド核酸。

【請求項2】
ヒト血液がん細胞がヒト白血病細胞およびヒト骨髄腫細胞である請求項1のヘプタマー型スモールガイド核酸。

【請求項3】
ヒト血液がん細胞のアポトーシスが、3日間で80%以上の細胞死である請求項1のヘプタマー型スモールガイド核酸。

【請求項4】
請求項1に記載のヘプタマー型スモールガイド核酸の1種または2種以上を有効成分として含有するがん治療薬。

【請求項5】
ヒト白血病およびヒト多発性骨髄腫の治療薬である請求項4のがん治療薬。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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