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成熟マスト細胞の製造方法 新技術説明会

国内特許コード P150012025
掲載日 2015年6月12日
出願番号 特願2013-536256
登録番号 特許第6011815号
出願日 平成24年9月24日(2012.9.24)
登録日 平成28年9月30日(2016.9.30)
国際出願番号 JP2012074378
国際公開番号 WO2013047428
国際出願日 平成24年9月24日(2012.9.24)
国際公開日 平成25年4月4日(2013.4.4)
優先権データ
  • 特願2011-209585 (2011.9.26) JP
発明者
  • 田中 智之
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 成熟マスト細胞の製造方法 新技術説明会
発明の概要 本発明は、共培養系におけるヒアルロン酸量が低下した条件下で、未成熟マスト細胞と線維芽細胞とを共培養する工程を含む、成熟マスト細胞の製造方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要



医薬品や機能食品成分、あるいは新素材分子の開発では、様々な未知化合物や新規化合物が精製および合成されており、これらの化合物の人体に対する安全性の検証は重要である。こうした背景のもと、化合物の利用者や、合成に携わる人たちの安全性を確保するために、新物質のアレルギー原性を確認する簡便な手法の開発が望まれている。





マスト細胞はアレルギー応答において主要な役割を果たす免疫細胞であり、その細胞質に顆粒を多数有し、刺激に応じて脱顆粒と呼ばれる反応により、ヒスタミンをはじめとする顆粒内の起炎物質を細胞外へと放出し、アレルギー症状を誘発する。こうしたマスト細胞応答を再現する評価系は、化合物によるアレルギー応答発症の可能性を検証するシステムとして利用できるが、生体内の応答を再現する細胞培養系はまだない。現時点では、各企業においては実際に動物実験を行うことによりアレルギー応答を検証するという方法を採用せざるを得ない状況であり、莫大な手間と費用が必要となっている。





マスト細胞は骨髄の造血幹細胞に由来し、前駆細胞として循環血中を移動し組織へ浸潤した後、最終的な分化を遂げると考えられている。生体内に存在する成熟マスト細胞は、最終的に分化を遂げる組織の影響を受けており、齧歯類では、皮膚や腹腔内に存在する組織結合型マスト細胞(CTMC, connective tissue type mast cell)と、寄生虫感染の際に消化管に誘導される粘膜型マスト細胞(MMC, mucosal mast cell)に分類され、これらは異なる性質を有する。例えば、CTMCは、カチオン性刺激に対する応答性(ポリカチオンであるcompound 48/80に対する脱顆粒応答)を示す点でMMCとは異なる。また、神経ペプチドであるサブスタンスPによる脱顆粒も、CTMCでのみ見られる応答である。ヒトと齧歯類には相違点もあるが、ヒト皮膚組織に分布するマスト細胞はCTMCに類似した性質を示すことが知られている。皮膚炎やじんま疹等、マスト細胞の関与する疾患を考慮すると、皮膚マスト細胞の培養モデルの重要性は高いが、現時点でモデルとして利用できる培養系はない。





マスト細胞および培養系については、以下に例示するように、多数の報告がある。

・マスト細胞株(マウスP-815、MC9、C57、ラットRBL-2H3、ヒトHMC-1、LAD2)

・IL-3依存性マウス骨髄由来培養マスト細胞 (BMMCs) (Razin E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78, 2559-2561, 1981)

・BMMCs-線維芽細胞共培養系 (Levi-Schaffer F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 6485-6488, 1986)

・マスト細胞再構成マウスモデル (Grimbaldeston MA. Am J Pathol. 167, 835-848, 2005)

・マウス胎児皮膚由来マスト細胞 (Matsue H. et al., J. Invest. Dermatol. 129, 1120-1125, 2009)

・マウス腹腔マスト細胞培養系 (Malbec, O. et al. J. Immunol. 178, 6465-6475, 2007)

・ヒト末梢血単核球由来培養マスト細胞 (Saito H. et al. Nat. Protoc. 1, 2178-2183, 2006)

・ヒト臍帯血由来培養マスト細胞 (Kempuraj D et al. Blood, 93, 3338-3346, 1999)

・成熟マスト細胞の生産方法(特開2003-299481号公報、特許第4271955号公報)

・不死化マスト細胞株(特開2005-168492号公報)





マスト細胞は全身の様々な組織に分布しているが、特定の部位に集積するわけではないため、生体組織からマスト細胞を精製することは一般に困難である。最も容易な方法として、腹腔細胞を回収後、密度勾配遠心法によりマスト細胞を精製するものがある。しかしながら、この方法は、回収後精製まで時間がかかり、また密度勾配遠心の過程で細胞にダメージが加わるという欠点があり、さらに1匹あたりのマスト細胞回収量が極めて少なく、採取した細胞で実施可能な実験が限られてしまう。





細胞株やがん化細胞として樹立されたマスト細胞は数多く報告されているが、これらに共通した性質として、幹細胞因子(SCF: stem cell factor)の受容体であるc-kitに常時活性型の遺伝子変異があることがあげられる。c-kitはマスト細胞の分化、成熟、増殖を制御する重要な因子であるため、これらの細胞株やがん化細胞では増殖応答が優先されており、マスト細胞特異的な性質の解析が難しいことが多い。





有力なマスト細胞モデルとして、初代培養マスト細胞がある。これは、骨髄の造血幹細胞をもとに、添加するサイトカインの組合せを最適化することで、マスト細胞集団を選択的に増幅、純化するという方法である。マウスの場合はIL-3、ヒトの場合はSCFやIL-6を添加することにより、骨髄細胞や臍帯血、あるいは末梢血単核球を素材にしてマスト細胞集団を得ることができる。こうした培養モデルは汎用性が高いが、一方で生体内のマスト細胞の性質を一部しか反映しない(compound 48/80や神経ペプチド(サブスタンスP)による脱顆粒応答が検出されない、など)という欠点がある。また、ヒト由来初代培養細胞では、個体差に基づくロット間のばらつきが問題視されることがある。





近年、確立された手法として、c-kit遺伝子に変異を有し、マスト細胞を遺伝的に欠損するマウスに、局所的、あるいは全身レベルで骨髄由来培養マスト細胞を移植し、再構成するというアプローチがある。マスト細胞は移植された組織環境に応じて分化するため、マスト細胞が関与する反応をin vivoで検討できるというメリットがある。しかしながら、この方法ではマスト細胞がどのように刺激に応答し、どのメディエーターを産生しているかといった細胞レベルでの情報を得ることはできない。





未成熟な骨髄由来培養マスト細胞(Bone marrow-derived cultured mast cells;BMMCs)を線維芽細胞と共培養するモデルは、皮膚型のマスト細胞と類似した培養マスト細胞を得る方法として有望である。しかしながら、この方法においても調製可能なマスト細胞数に限界があること、および共培養の継代の際の操作の煩雑さが欠点としてあげられる。

産業上の利用分野



本発明は、成熟マスト細胞の製造方法および製造用キットに関する。また、本発明は、前記方法により製造された成熟マスト細胞を用いる、マスト細胞の応答を調節する物質の同定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
マスト細胞の応答を調節する物質を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)線維芽細胞のヒアルロン酸合成酵素-2が阻害された条件下、未成熟マスト細胞と線維芽細胞とを共培養することにより得られた、成熟マスト細胞を含むマスト細胞の集団と、前記物質の候補物質とを接触させる工程;および
(ii)マスト細胞の応答を測定する工程。

【請求項2】
ヒアルロン酸合成酵素-2が、ヒアルロン酸合成酵素-2のノックアウトまたはノックダウンにより阻害されている、請求項1記載の方法。

【請求項3】
ヒアルロン酸合成酵素-2が、培地へのヒアルロン酸合成酵素阻害剤の添加により阻害されている、請求項1記載の方法。

【請求項4】
マスト細胞の応答を調節する物質を同定する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)ヒアルロン酸分解酵素の存在下、未成熟マスト細胞と線維芽細胞とを共培養することにより得られた、成熟マスト細胞を含むマスト細胞の集団と、前記物質の候補物質とを接触させる工程;および
(ii)マスト細胞の応答を測定する工程。

【請求項5】
ヒアルロン酸分解酵素が0.005%~0.05%の終濃度で培地に添加されている、請求項4記載の方法。

【請求項6】
未成熟マスト細胞と線維芽細胞とを4~16日間共培養する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。

【請求項7】
工程(ii)が、脱顆粒応答の測定または細胞増殖の測定により行われる、請求項1~6のいずれかに記載の方法。

【請求項8】
マスト細胞を活性化する物質を同定する方法である、請求項1~のいずれかに記載の方法。

【請求項9】
マスト細胞の活性化を阻害する物質を同定する方法である、請求項1~のいずれかに記載の方法。

【請求項10】
ハイスループットスクリーニングに使用される、請求項1~のいずれかに記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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技術移転に関しては岡山TLOが窓口になります。


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