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PPRモチーフを利用したRNA結合性蛋白質の設計方法及びその利用 新技術説明会

国内特許コード P150012036
掲載日 2015年6月15日
出願番号 特願2013-539727
出願日 平成24年10月22日(2012.10.22)
国際出願番号 JP2012077274
国際公開番号 WO2013058404
国際出願日 平成24年10月22日(2012.10.22)
国際公開日 平成25年4月25日(2013.4.25)
優先権データ
  • 特願2011-231346 (2011.10.21) JP
発明者
  • 中村 崇裕
  • 八木 祐介
  • 小林 啓子
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 PPRモチーフを利用したRNA結合性蛋白質の設計方法及びその利用 新技術説明会
発明の概要 RNA塩基選択的に、又はRNA塩基配列特異的に結合可能な蛋白質を設計する方法を提供する。本発明の蛋白質は、式1で表される30~38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを1個以上(好ましくは2~14個)含む、蛋白質であり(式中:Helix Aは、12アミノ酸長の、αヘリックス構造を形成可能な部分であって、式2で表され、式2中、A1~A12はそれぞれ独立にアミノ酸を表し; Xは、存在しないか又は1~9アミノ酸長からなる部分であり;Helix Bは、11~13アミノ酸長からなる、αヘリックス構造を形成可能な部分であり;Lは、2~7アミノ酸長の、式3で表される部分であり;式3中、各アミノ酸は、“i”(-1)、“ii”(-2)、とC末端側からナンバリングされ、ただし、Liii~Lviiは存在しない場合がある。)A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせ、又はA4、Liiの2つのアミノ酸の組み合わせを、対象RNA塩基又は塩基配列に応じたものとする。
従来技術、競合技術の概要



近年、様々な解析より明らかになった核酸結合性の蛋白質因子を用いて、意図する配列に結合する技術が確立、利用されている。この配列特異的な結合を利用することで、標的とする核酸(DNA又はRNA)の細胞内局在の解析、標的とするDNA配列の除去、又はその下流に存在する蛋白質コード遺伝子の発現の制御(活性化、又は不活化)が可能になりつつある。





DNAに作用する蛋白質性因子として、ジンクフィンガー蛋白質(非特許文献1)やTAL effector(非特許文献2、特許文献1)を蛋白質工学的材料とした研究及び開発が行われているが、RNAに特異的に作用する蛋白質性因子の開発はいまだ非常に限定されている。これは、一般的に蛋白質を構成するアミノ酸配列が有するRNAとの親和性及び結合RNA配列との法則性がほとんど明らかになっていない、もしくは法則性が見いだせないためである。例外的に、38アミノ酸から成るpufモチーフの複数個の繰り返しで構成されるpumilio蛋白質に関して、pufモチーフ1個がRNA 1塩基に結合することが示されており(非特許文献3)、pumilio蛋白質を用いた新規RNA結合特性をもつ蛋白質、及びRNA結合特性の改変技術が試みられている(非特許文献4)。しかし、pufモチーフは高度に保存されており、かつ存在数が少ない。そのため、限られたRNA配列に作用する蛋白質因子の創成にしか用いられていない。





他方、ゲノム配列情報から、植物のみで500個もの大きなファミリーを形成する蛋白質、PPR蛋白質(pentatricopeptide repeat (PPR)モチーフを有するタンパク質)が同定された(非特許文献5)。PPR蛋白質は核コードであるが、専らオルガネラ(葉緑体とミトコンドリア)のRNAレベルでの制御、切断、翻訳、スプライシング、RNA編集、RNA安定性に遺伝子特異的に作用する。PPR蛋白質は、典型的には、保存性の低い35アミノ酸のモチーフ、すなわちPPRモチーフが約10個連続した構造を有しており、PPRモチーフの組み合わせが、RNAとの配列選択的な結合を担っていると考えられている。ほとんどのPPR蛋白質はPPRモチーフ約10個の繰り返しのみで構成されており、多くの場合、触媒作用を発揮するために必要なドメインが見いだせない。そのため、このPPR蛋白質の実体はRNAアダプターだと考えられている(非特許文献6)。





本発明者らは、このPPRモチーフを利用した、RNA結合性蛋白質の改変方法について、提案してきた(特許文献2)。

産業上の利用分野



本発明は、意図したRNA塩基又はRNA配列に選択的又は特異的に結合可能な蛋白質に関する。本発明では、pentatricopeptide repeat (PPR)モチーフを利用する。本発明は、RNA結合性蛋白質の同定、設計、PPR蛋白質の標的RNAの同定、RNAの機能制御のために用いることができる。本発明は、医療分野、農学分野等で有用である。

特許請求の範囲 【請求項1】
RNA塩基選択的に、又はRNA塩基配列特異的に結合可能な蛋白質を設計する方法であって;
蛋白質が、式1で表される30~38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフを1個以上(好ましくは2~14個)含む、蛋白質であり
【化1】


(式中:
Helix Aは、12アミノ酸長の、αヘリックス構造を形成可能な部分であって、式2で表され、
【化2】


式2中、A1~A12はそれぞれ独立にアミノ酸を表し;
Xは、存在しないか又は1~9アミノ酸長からなる部分であり;
Helix Bは、11~13アミノ酸長からなる、αヘリックス構造を形成可能な部分であり;
Lは、2~7アミノ酸長の、式3で表される部分であり;
【化3】


式3中、各アミノ酸は、“i” (-1)、“ii”(-2)、とC末端側からナンバリングされ、
ただし、Liii~Lviiは存在しない場合がある。)
A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせ、又はA4、Liiの2つのアミノ酸の組み合わせを、対象RNA塩基又は塩基配列に応じたものとする、方法。

【請求項2】
A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせを、RNA塩基又は対象塩基配列に応じたものとする、請求項1に記載の方法であって、アミノ酸の組み合わせが、下記のいずれかに基づいて決定される、方法:
(3-1) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、バリン、アスパラギン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、U(ウラシル)に選択的に結合でき;
(3-2) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、バリン、トレオニン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、A(アデニン)に選択的に結合でき;
(3-3) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、バリン、アスパラギン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、C(シトシン)に選択的に結合でき;
(3-4) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、グルタミン酸、グリシン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、G(グアニン)に選択的に結合でき;
(3-5) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、イソロイシン、アスパラギン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、C又はUに選択的に結合でき;
(3-6) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、バリン、トレオニン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、Gに選択的に結合でき;
(3-7) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、リジン、トレオニン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、Gに選択的に結合でき;
(3-8) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、フェニルアラニン、セリン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(3-9) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、バリン、アスパラギン、セリン、の場合であるとき、そのPPRモチーフは、Cに選択的に結合でき;
(3-10) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、フェニルアラニン、トレオニン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(3-11) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、イソロイシン、アスパラギン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、UまたはAに選択的に結合でき;
(3-12) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、トレオニン、トレオニン、アスパラギンであるとき、そのPPRモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(3-13) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、UまたはCに選択的に結合でき;
(3-14) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、フェニルアラニン、プロリン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、Uに選択的に結合でき;
(3-15) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、チロシン、プロリン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、Uに選択的に結合でき;
(3-16) A1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸が、順に、ロイシン、トレオニン、アスパラギン酸であるとき、そのPPRモチーフは、Gに選択的に結合できる。

【請求項3】
A4、及びLiiの2つのアミノ酸の組み合わせを、RNA塩基又は対象塩基配列に応じたものとする、請求項1に記載の方法であって、アミノ酸の組み合わせが、下記のいずれかに基づいて決定される、方法:
(2-1) A4、Liiが、順に、アスパラギン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Uに選択的に結合でき;
(2-2) A4、Liiが、順に、アスパラギン、アスパラギンであるとき、そのモチーフは、Cに選択的に結合でき;
(2-3) A4、Liiが、順に、トレオニン、アスパラギンであるとき、そのモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(2-4) A4、Liiが、順に、トレオニン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Gに選択的に結合でき;
(2-5) A4、Liiが、順に、セリン、アスパラギンであるとき、そのモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(2-6) A4、Liiが、順に、グリシン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Gに選択的に結合でき;
(2-7) A4、Liiが、順に、アスパラギン、セリンであるとき、そのモチーフは、Cに選択的に結合でき;
(2-8) A4、Liiが、順に、プロリン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Uに選択的に結合でき;
(2-9) A4、Liiが、順に、グリシン、アスパラギンであるとき、そのモチーフは、Aに選択的に結合でき;
(2-10) A4、Liiが、順に、メチオニン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Uに選択的に結合でき;
(2-11) A4、Liiが、順に、ロイシン、アスパラギン酸であるとき、そのモチーフは、Cに選択的に結合でき;
(2-12) A4、Liiが、順に、バリン、トレオニンであるとき、そのモチーフは、Uに選択的に結合できる。

【請求項4】
請求項1に定義されたPPRモチーフを、1個以上(好ましくは2~14個)含む、RNA結合性蛋白質の標的となる塩基、又は塩基配列を同定する方法であって:
同定が、請求項2に記載の(3-1)~(3-16)のいずれか、又は請求項3に記載の(2-1)~(2-12)のいずれかに基づいて、PPRモチーフのA1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせ、又はA4、Liiの2つのアミノ酸の組み合わせに応じた塩基の有無を認定することにより行われる、方法。

【請求項5】
標的RNA塩基、又は特定の塩基配列を有する標的RNAに結合可能な、請求項1に定義されたPPRモチーフを1個以上(好ましくは2~14個)含む、PPR蛋白質を同定する方法であって:
同定が、請求項2に記載の(3-1)~(3-16)のいずれか、又は請求項3に記載の(2-1)~(2-12)のいずれかに基づいて、標的RNA塩基、又は標的RNAを構成する特定の塩基に応じた、PPRモチーフのA1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせの有無を認定することにより行われる、方法。

【請求項6】
請求項1に記載された方法で設計された蛋白質を用いる、RNAの機能の制御方法。

【請求項7】
請求項1に記載された方法で設計された蛋白質からなる領域と機能性領域とが連結されてなる、複合体。

【請求項8】
以下の工程を含む、細胞の遺伝物質を改変する方法:
標的配列を有するRNAを含む細胞を準備し;そして
請求項7に記載された複合体を細胞に導入することにより、複合体の蛋白質領域が標的配列を有するRNAに結合し、そのため機能性領域が、標的配列を有するRNAを改変する、方法。

【請求項9】
細胞質雄性不稔性の稔性回復因子として働くPPR蛋白質遺伝子において、様々な品種間で見られる当該遺伝子のアミノ酸多型を検出する工程;
当該遺伝子における多型と稔性との関連を特定する工程;
被検サンプルから得られたPPR蛋白質遺伝子の塩基配列を特定し、被検サンプルの稔性を決定する工程;
を含む、PPR蛋白質遺伝子の稔性を判定する方法。

【請求項10】
PPR蛋白質が、式1で表される30~38アミノ酸長のポリペプチドからなるPPRモチーフ
【化4】


(式中:
Helix Aは、12アミノ酸長の、αヘリックス構造を形成可能な部分であって、式2で表され、
【化5】


式2中、A1~A12はそれぞれ独立にアミノ酸を表し;
Xは、存在しないか又は1~9アミノ酸長からなる部分であり;
Helix Bは、11~13アミノ酸長からなる、αヘリックス構造を形成可能な部分であり;
Lは、2~7アミノ酸長の、式3で表される部分であり;
【化6】


式3中、各アミノ酸は、“i” (-1)、“ii”(-2)、とC末端側からナンバリングされ、
ただし、Liii~Lviiは存在しない場合がある。)
を1個以上(好ましくは2~16個)含む、蛋白質である、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
アミノ多型をPPRモチーフごとの多型として特定することを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。

【請求項12】
PPRモチーフの多型が、式1のモチーフのA1、A4、及びLiiの3つのアミノ酸の組み合わせ、又はA4、Liiの2つのアミノ酸の組み合わせにより特定されるものである、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。

【請求項13】
PPRモチーフの多型が、式1のモチーフの4番アミノ酸(A4)の多型により特定される、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
PPR蛋白質遺伝子上のすべてのPPRモチーフの4番アミノ酸が、Enko Bの対応するすべてのPPRモチーフの4番アミノ酸と同一であること、またはEnko Bの対応するすべてのPPRモチーフの“ii”番アミノ酸と同一であること、が、稔性であることを示す、請求項13に記載の方法。

【請求項15】
PPR蛋白質遺伝子が、Enko Bをコードする「687遺伝子」と相同な遺伝子座に座乗するファミリー遺伝子、Enko Bと90%以上のアミノ酸配列同一性を有する遺伝子、Enko Bをコードする「687遺伝子」90%以上の塩基配列同一性を有する遺伝子である、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。

【請求項16】
様々な品種のorf687様遺伝子によりコードされる蛋白質が、配列番号:576~578、585~591のいずれかである、請求項9~15のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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