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iPS細胞由来血管前駆細胞シート及びその作製方法 UPDATE コモンズ

国内特許コード P150012042
掲載日 2015年6月17日
出願番号 特願2013-542997
登録番号 特許第6048839号
出願日 平成24年11月7日(2012.11.7)
登録日 平成28年12月2日(2016.12.2)
国際出願番号 JP2012078787
国際公開番号 WO2013069661
国際出願日 平成24年11月7日(2012.11.7)
国際公開日 平成25年5月16日(2013.5.16)
優先権データ
  • 特願2011-244046 (2011.11.8) JP
発明者
  • 室原 豊明
  • 本多 裕之
  • 柴田 玲
  • 石井 正和
  • 鬼頭 哲太郎
  • 鈴木 博彦
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 iPS細胞由来血管前駆細胞シート及びその作製方法 UPDATE コモンズ
発明の概要 実用に耐える強度を有し、且つ高い治療効果を発揮し得るiPS細胞由来血管前駆細胞シートを提供すること課題とする。(1)磁気ラベルしたiPS細胞由来Flk-1陽性細胞を用意するステップ;(2)I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分として含むゲル材料と前記Flk-1陽性細胞との混合物を調製した後、該混合物を培養容器に播種するステップ;(3)磁力を作用させることによって、前記混合物中の前記Flk-1陽性細胞を前記培養容器の培養面に引き寄せ、多層の細胞層を形成させるステップ;及び(4)前記ゲル材料をゲル化させるステップを行い、iPS細胞由来血管前駆細胞シートを作製する。
従来技術、競合技術の概要



高齢化社会の到来により、虚血性心疾患・閉塞性動脈硬化症などの患者数は顕著に増加している。通常はバイパス手術やカテーテルによる血管内治療を行うが、このような治療が不可能な重症例も増加している。このような症例に対して、虚血部周辺の組織から血管再生や側副血行路の発達を促し、虚血領域とその周辺組織の血流を改善し、組織障害や壊死を軽減させる新しい治療に「血管新生療法」がある。本発明者らの研究グループは、2000年より世界に先駆けて骨髄単核球細胞(骨髄幹細胞)移植による重症下肢虚血治療(Therapeutic Angiogenesis by Cell Transplantation; TACT)を開始し、その有効性に関して報告してきた(非特許文献1)。





骨髄幹細胞を用いた血管新生療法は、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症などの心血管病に対して有効性を示しているが、骨髄幹細胞の採取に全身麻酔を必要とするため、患者の負担が多いこと、再移植が困難である等、克服すべき課題も多い。また、血管再生が困難な症例や血管グラフトが閉塞する症例も多々見受けられる。そこで、骨髄幹細胞に代わる新たな細胞源を見出し、効率性の高い細胞移植術を確立することが求められている。





本発明者らの研究グループでは上記の要望に応えるべく、iPS細胞から誘導したFlk-1(Fetal liver kinase-1)陽性細胞に注目して研究を進めてきた。iPS細胞由来Flk-1陽性細胞は血管内皮細胞、血管平滑筋細胞及び心筋細胞に分化できるため(非特許文献2)、血管前駆細胞(Vascular progenitor cell: VPC)とも呼ばれている。これまでの研究成果として、iPS細胞から誘導したFlk-1(Fetal liver kinase-1)陽性細胞が血管新生を促すことを報告し、当該細胞の有用性を示した(非特許文献3)。一方、効率的且つ効果的な細胞移植を可能にするという観点から細胞シートに着目し、iPS細胞由来Flk-1陽性細胞のシートを構築することを試みた。具体的には、Flk-1陽性細胞に磁性粒子を取り込ませ、磁力を印加しつつ培養する方法や、MACS(磁気細胞分離)若しくはFCM(フローサイトメトリー)を利用してFlk-1陽性細胞を単離した後に培養する方法等を試したが、実用に耐える細胞シートは得られなかった。一方、細胞源として注目されている脂肪組織由来幹細胞(ADRC)を併用した結果、2層構造(ADRCのシート上にiPS細胞由来Flk-1陽性細胞のシートが重層している)のシートの構築には成功したものの、ADRCとiPS細胞由来Flk-1陽性細胞をモザイク状に混合した場合には非常に脆弱なシートしか得られなかった。

産業上の利用分野



本発明は細胞シートに関する。詳しくは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来血管前駆細胞シート及びその作製方法等に関する。本出願は、2011年11月8日に出願された日本国特許出願第2011-244046号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下のステップ(1)~(4)を含む、iPS細胞由来血管前駆細胞シートの作製方法:
(1)磁気ラベルしたiPS細胞由来Flk-1陽性細胞を用意するステップ;
(2)I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分として含むゲル材料と前記Flk-1陽性細胞との混合物を培養容器に播種するステップ;
(3)磁力を作用させることによって、前記混合物中の前記Flk-1陽性細胞を前記培養容器の培養面に引き寄せ、多層の細胞層を形成させるステップ;
(4)前記ゲル材料をゲル化させるステップ。

【請求項2】
ステップ(1)が以下のステップ(1-1)~(1-4)を含む、請求項1に記載の作製方法:
(1-1)iPS細胞を用意するステップ;
(1-2)前記iPS細胞をFlk-1陽性細胞へ分化誘導するステップ;
(1-3)Flk-1陽性細胞を分取するステップ;
(1-4)分取したFlk-1陽性細胞を磁気ラベルするステップ。

【請求項3】
ステップ(1-3)において、Nanog陽性細胞とNanog陰性細胞を選別し、Nanog陰性のFlk-1陽性細胞が分取される、請求項2に記載の作製方法。

【請求項4】
ステップ(2)における前記混合物が、I型コラーゲンを有効成分とした第1ゲル要素と、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを有効成分とした第2ゲル要素と、前記Flk-1陽性細胞とを混合することによって得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項5】
ステップ(2)における前記培養容器の培養面上には、着脱可能な仕切りによる、上方が開放された区画が形成されており、該区画内に前記混合物が播種される、請求項1~4のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項6】
前記培養面が低接着性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項7】
ステップ(3)と(4)の間に以下のステップ(3')を行う、請求項1~6のいずれか一項に記載の作製方法:
(3')前記細胞層の上方に存在する余分なゲル材料を除去するステップ。

【請求項8】
ステップ(4)の後に以下のステップ(5)を行う、請求項1~7のいずれか一項に記載の作製方法:
(5)前記培養容器に培地を添加し、ステップ(4)によって形成されたシート状構造物を培地中に維持するステップ。

【請求項9】
ステップ(5)の後に以下のステップ(6)を行う、請求項8に記載の作製方法:
(6)前記Flk-1陽性細胞が増殖可能な温度条件下で培養するステップ。

【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の作製方法によって得られた細胞シート。

【請求項11】
I型コラーゲン、ラミニン、IV型コラーゲン及びエンタクチンを含むゲルに包埋された状態でiPS細胞由来Flk-1陽性細胞が多層を形成する細胞シート。

【請求項12】
前記多層を形成する細胞間に前記ゲルが存在する、請求項11に記載の細胞シート。

【請求項13】
前記多層が少なくとも10層である、請求項11又は12に記載の細胞シート。

【請求項14】
前記多層が10~20層である、請求項11又は12に記載の細胞シート。

【請求項15】
前記多層が含む細胞成分がiPS細胞由来Flk-1陽性細胞のみからなる、請求項11~14のいずれか一項に記載の細胞シート。

【請求項16】
前記多層が含む細胞成分がiPS細胞由来Flk-1陽性細胞及び該細胞に由来する細胞のみからなる、請求項11~14のいずれか一項に記載の細胞シート。

【請求項17】
前記多層を形成するiPS細胞由来Flk-1陽性細胞が磁気ラベルされている、請求項11~16のいずれか一項に記載の細胞シート。

【請求項18】
前記iPS細胞由来Flk-1陽性細胞がNanog陰性の細胞である、請求項11~17のいずれか一項に記載の細胞シート。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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