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カルボン酸化合物の水素化によるアルコールの製造方法、及び該製造方法に用いるルテニウム錯体 UPDATE コモンズ

国内特許コード P150012165
掲載日 2015年7月31日
出願番号 特願2015-081711
公開番号 特開2016-199513
出願日 平成27年4月13日(2015.4.13)
公開日 平成28年12月1日(2016.12.1)
発明者
  • 斎藤 進
  • 野依 良治
  • 鳴戸 真之
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 カルボン酸化合物の水素化によるアルコールの製造方法、及び該製造方法に用いるルテニウム錯体 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】多様なカルボン酸化合物を、緩和な条件において、均一系触媒を用いて、効率的に水素化してアルコールを得る方法の提供。
【解決手段】RuXで示されるルテニウム錯体の存在下に、水素雰囲気下でカルボン酸化合物を水素化する方法。[Xは下記式で示される基;Yは、置換/未置換のアルキル基又は置換/未置換のアリール基を有するホスフィン配位子;ZはX及びY以外の配位子;nは1又は2;pは1~4の整数;qは0~2の整数。



{RはH、置換/未置換のアルキル基又は置換/未置換のアリール基;A及びAは各々独立に、O、NR(RはH、置換/未置換のアルキル基又は置換/未置換のアリール基)又はS;mは1以上の整数;実線と破線との両方は、単結合又は二重結合}]
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


水素化反応等の水素移動反応は、低分子及び高分子有機化合物の合成に広く利用されている。



例えば、非特許文献1では、特定のルテニウム錯体が、エステル又は二酸化炭素を水素化してアルコールを合成するのに有用であることが示されている。その他、アミドを水素化する例も知られている。



しかしながら、分子性の触媒を用いたカルボン酸化合物の水素化の例はほとんど存在しない。これは、カルボン酸化合物は、水素添加反応に対し安定なカルボキシル基を有するため、一般に水素添加反応は困難とされているためである。また、従来のカルボン酸化合物の水素化方法においては、均一系触媒を用いた場合、基質依存性が高いため、基質の種類に応じて触媒の中心金属や配位子、反応条件等をその都度大幅に変える必要があった。



このため、アミド及びエステルのみならず、カルボン酸化合物であっても、水素化反応によりアルコールを合成することができれば、低分子及び高分子有機化合物の合成に適用することができ、多様なアルコールを合成できるため、より有用である。



例えば、異種二核金属クラスター触媒又は不均一系触媒を用いた場合には、報告例が存在する(非特許文献2~3)。しかしながら、非特許文献2では、単一金属からなる均一系触媒を用いた場合には、カルボン酸化合物の水素化は困難であるうえに、高圧を必要としており、さらに、環還元が進行する。また、非特許文献3では、基質によっては脱炭酸を伴うため、基質一般性や選択性に乏しい。このため、非特許文献2~3に記載された方法は、緩和な条件で進行させることができる基質一般性に優れた方法とは言えない。



一方、非特許文献4では、特定の錯体、特定の配位子、特定の添加剤を組合せることで、特定のカルボン酸基質を用いた場合には、環状エステル、環状エーテル、アルコール等、所望の化合物を得ることができることが示されている。しかしながら、非特許文献4には、一般的なカルボン酸化合物を用いても、同様に反応が進行するかどうかは示されておらず、特殊なカルボン酸基質を用いた場合のみ述べられている。



このように、カルボン酸化合物を直接還元してアルコールを得ることは、基質によっては困難であることから、通常は、カルボン酸化合物を分子内エステル化した後に、還元反応を行っている。



一方、特許文献1では、プロピオン酸、酪酸等の水素化についても述べられており、基質一般性に優れるとされているが、高温(190℃以上)を必要としており、やはり緩和な条件で反応を進行させることはできない。なお、特許文献1では、ルテニウム錯体に使用される配位子として、Triphos(1,1,1-トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン)等の三座配位子が特に有用であるとされている。



このため、均一系触媒を用いて、多様なカルボン酸基質を、緩和な条件で水素化させてアルコールを得る方法はいまだ達成されておらず、このような方法が求められている。

産業上の利用分野


本発明は、カルボン酸化合物の水素化によるアルコールの製造方法、及び該製造方法に用いるルテニウム錯体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カルボン酸化合物を水素化してアルコールを製造する方法であって、
ルテニウム錯体の存在下に、水素雰囲気下でカルボン酸化合物を水素化する工程を備え、
前記ルテニウム錯体は、一般式(1):
RuX
[式中、Xは
【化1】


(式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、A及びAは同じか又は異なり、O、NR(ここで、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である)、又はSであり、mは1以上の整数である。実線と破線とで示される結合は、単結合又は二重結合である。)で示される基であり、Yは、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を有するホスフィン配位子であり、ZはX及びY以外の配位子であり、nは1又は2であり、pは1~4の整数であり、qは0~2の整数である。]
で示される化合物である、製造方法。

【請求項2】
前記一般式(1)において、Xは
【化2】


(Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基であり、実線と破線とで示される結合は、単結合又は二重結合である)
で示される基である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
前記一般式(1)において、Yは、単座又は二座配位子である、請求項1又は2に記載の製造方法。

【請求項4】
前記一般式(1)において、Zは、ヒドリド、酸素原子、水分子、一酸化炭素、一酸化窒素、シアン化物イオン、チオシアネート、アミン、芳香族炭化水素、不飽和炭化水素、ヘテロ環式化合物、カルボニル化合物、低級アルコキシ基、β-ジケトネート、ジメチルスルホキシド、ホスフィンオキシド、ニトリル、窒素分子、水素分子、酸素分子、二酸化炭素、N-ヘテロ環状カルベン、トリフラート、トシラート、又はトリフリルイミドである、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。

【請求項5】
前記ルテニウム錯体が、一般式(1A):
RuX
[式中、Xは
【化3】


(式中、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基であり、A及びAは同じか又は異なり、O、NR(ここで、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基である)、又はSであり、mは1以上の整数である。実線と破線とで示される結合は、単結合又は二重結合である。)で示される基であり、Yは、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基を有するホスフィン配位子であり、ZはX及びY以外の配位子であり、nは1又は2であり、pは1~4の整数であり、qは0~2の整数である。]
で示される化合物である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。

【請求項6】
前記ルテニウム錯体が、一般式(1A-1):
【化4】


[式中、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基であり、R及びRは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基であり、1個のRと1個のRとは互いに結合し、隣接する-P-Ru-P-とともに環を形成してもよい。実線と破線とで示される結合は、単結合又は二重結合である。]
で示される化合物である、請求項5に記載の製造方法。

【請求項7】
一般式(1A-1’):
【化5】


[式中、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基であり、R及びRは同じか又は異なり、それぞれ置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基である(ただし、R及びRが結合し、隣接する-P-Ru-P-とともに環を形成することはない)。実線と破線とで示される結合は、単結合又は二重結合である。]
で示されるルテニウム錯体。
国際特許分類(IPC)
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