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不可視包囲体

国内特許コード P150012182
整理番号 H22-026
掲載日 2015年8月5日
出願番号 特願2012-507061
登録番号 特許第5717202号
出願日 平成23年3月24日(2011.3.24)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
国際出願番号 JP2011057188
国際公開番号 WO2011118710
国際出願日 平成23年3月24日(2011.3.24)
国際公開日 平成23年9月29日(2011.9.29)
優先権データ
  • 特願2010-073063 (2010.3.26) JP
発明者
  • 真田 篤志
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 不可視包囲体
発明の概要 通常媒質材料による簡単な構造体によって不可視包囲体を構成し、従来よりも大幅に広帯域および低損失の不可視包囲体を提供する。
内部に空洞部10を備えた円筒状の中央包囲体11と、均質材料からなる外郭体2とからなり、空洞部にある物体および中央包囲体自体をほぼ不可視とする不可視包囲体であって、中央包囲体は、誘電率の異なる複数種類の材料を半径方向に積層した円筒状の積層膜を多数積層したものである。中央包囲体は、中央包囲体の半径値に応じて積層膜の各層の誘電率と半径方向の厚さとを調整することにより、中央包囲体各部における誘電率の実効的な値を調整されたものである。誘電率テンソルの半径方向成分は、中央包囲体の最内周から最外周にわたり半径に応じて順次増加する値とされ、最外周では外郭体の誘電率よりも小さい所定値とされている。
従来技術、競合技術の概要


特殊な包囲体によって物体を包囲することにより、包囲体自体と包囲された物体がある範囲の電磁波に対してほぼ不可視となるような不可視包囲体は、クローク媒質などとも呼ばれ、その実現のための研究が進められている。従来から、研究や試作が行われてきた不可視包囲体は、共振現象を利用したメタマテリアル(metamaterials)を使ったものであった。ここで、このメタマテリアルについてまず説明する。



金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片(単位構造体)を、波長に対して十分短い間隔(波長の10分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を持った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質のカテゴリに比べてより大きいカテゴリに属する媒質と言う意味でメタマテリアルと呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位構造体の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化する。



このようなメタマテリアルによる人工磁性体として、下記の特許文献1に記載されたような技術が公知である。特許文献1には、従来技術としてスプリットリング共振器を用いた人工磁性体が記載されており、また、誘電体を挟んで対向する導体片対を配列して構成した人工磁性体が記載されている。



そして、このようなメタマテリアルを利用すると、任意の物体を包囲する包囲体によって包囲体およびその物体を不可視とすることが可能である。このような包囲体は、クローク媒質などとも呼ばれ、被せたものが見えなくなるという、いわゆる透明マントの機能を実現するものである。



なお、ここで言う不可視とは、包囲体および物体を通過後の電磁波の伝播状態が、包囲体および物体が存在していない場合と全く同一となることである。このような不可視の状態では、包囲体および物体を通過した電磁波が、それらが存在しない場合と全く同一の状態で伝搬するため、その電磁波によってそれらが存在するか否かを検出することはできない。すなわち、包囲体および物体は全く見えない。



この明細書では、このような不可視の状態あるいは不可視に近いほぼ不可視の状態を作り出すことのできる包囲体を不可視包囲体と呼ぶことにする。このような不可視包囲体をメタマテリアルからなる人工磁性体によって構成することは、下記の非特許文献1などに記載されているように公知である。非特許文献1には、非磁性金属のスプリットリング共振器を円筒状に多数配列した包囲体が、特定の周波数の電磁波に対してほぼ不可視の状態を作り出すことが示されている。

産業上の利用分野


本発明は電磁波(光を含む)に対して、物体を不可視あるいはほぼ不可視にするための包囲体に関する。詳しくは、物体を包囲可能な包囲体を構成し、その包囲体自体と包囲体によって包囲された物体がある範囲の電磁波に対してほぼ不可視となるような不可視包囲体に関する。なお、ここで言う不可視とは、包囲体および物体を通過後の電磁波の伝播状態が、物体が存在していない場合と全く同一となることである。

特許請求の範囲 【請求項1】
内部に空洞部(10)を備えた円筒状の中央包囲体(11)と、
前記中央包囲体(11)の外部を取り囲むように配置された外郭体(2)とからなり、
前記空洞部(10)に存在する物体および前記中央包囲体(11)自体を電磁波に対してほぼ不可視とする不可視包囲体であって、
前記中央包囲体(11)は、誘電率の異なる複数種類の材料を半径方向に積層した円筒状の積層膜を中心線が共通となるように多数積層したものであり、
さらに、前記中央包囲体(11)は、前記中央包囲体(11)の中心線からの距離すなわち半径に応じて前記積層膜の各層の誘電率と半径方向の厚さとを調整することにより、前記中央包囲体(11)各部における誘電率テンソルの各成分の実効的な値を調整されたものであり、
前記誘電率テンソルの半径方向成分は、前記中央包囲体(11)の最内周から最外周にわたり半径に応じて順次増加する値とされ、最外周では前記外郭体(2)の誘電率よりも小さい所定値となるようにされており、
前記誘電率テンソルの円周方向成分は、ほぼ一定の値となるようにされたものである不可視包囲体。

【請求項2】
請求項1に記載した不可視包囲体であって、
前記積層膜は、2層からなる2重膜であり、その2層のうちの1層の誘電率を一定値としたものである不可視包囲体。

【請求項3】
請求項1に記載した不可視包囲体であって、
前記積層膜は、3層からなる3重膜であり、3層の誘電率を一定値として、3層の厚さを調整するようにしたものである不可視包囲体。

【請求項4】
内部に空洞部(10)を備えた円筒状の中央包囲体(11)と、
前記中央包囲体(11)の外部を取り囲むように配置された外郭体(2)とからなり、
前記空洞部(10)に存在する物体および前記中央包囲体(11)自体を電磁波に対してほぼ不可視とする不可視包囲体であって、
前記中央包囲体(11)は、誘電率の異なる複数種類の材料を半径方向に積層した円筒状の積層膜を中心線が共通となるように多数積層したものであり、
さらに、前記中央包囲体(11)は、前記中央包囲体(11)の中心線からの距離すなわち半径に応じて前記積層膜の各層の誘電率と半径方向の厚さとを調整することにより、前記中央包囲体(11)各部における誘電率テンソルの各成分の実効的な値を調整されたものであり、
前記誘電率テンソルの半径方向成分は、前記中央包囲体(11)の最内周から最外周にわたり半径に応じて順次増加する値とされ、最外周では前記外郭体(2)の誘電率よりも小さい所定値となるようにされており、
前記誘電率テンソルの円周方向成分は、最内周から最外周にわたり半径に応じて順次減少する値とされたものである不可視包囲体。

【請求項5】
内部に空洞部(10)を備えた円筒状の中央包囲体(11)と、
前記中央包囲体(11)の外部を取り囲むように配置された外郭体(2)とからなり、
前記空洞部(10)に存在する物体および前記中央包囲体(11)自体を電磁波に対してほぼ不可視とする不可視包囲体であって、
前記中央包囲体(11)は、透磁率の異なる複数種類の材料を半径方向に積層した円筒状の積層膜を中心線が共通となるように多数積層したものであり、
さらに、前記中央包囲体(11)は、前記中央包囲体(11)の中心線からの距離すなわち半径に応じて前記積層膜の各層の透磁率と半径方向の厚さとを調整することにより、前記中央包囲体(11)各部における透磁率テンソルの各成分の実効的な値を調整されたものであり、
前記透磁率テンソルの半径方向成分は、前記中央包囲体(11)の最内周から最外周にわたり半径に応じて順次増加する値とされ、最外周では前記外郭体(2)の透磁率よりも小さい所定値となるようにされており、
前記透磁率テンソルの円周方向成分は、ほぼ一定の値となるようにされたものである不可視包囲体。

【請求項6】
請求項5に記載した不可視包囲体であって、
前記積層膜は、2層からなる2重膜であり、その2層のうちの1層の透磁率を一定値としたものである不可視包囲体。

【請求項7】
請求項5に記載した不可視包囲体であって、
前記積層膜は、3層からなる3重膜であり、3層の透磁率を一定値として、3層の厚さを調整するようにしたものである不可視包囲体。

【請求項8】
内部に空洞部(10)を備えた円筒状の中央包囲体(11)と、
前記中央包囲体(11)の外部を取り囲むように配置された外郭体(2)とからなり、
前記空洞部(10)に存在する物体および前記中央包囲体(11)自体を電磁波に対してほぼ不可視とする不可視包囲体であって、
前記中央包囲体(11)は、透磁率の異なる複数種類の材料を半径方向に積層した円筒状の積層膜を中心線が共通となるように多数積層したものであり、
さらに、前記中央包囲体(11)は、前記中央包囲体(11)の中心線からの距離すなわち半径に応じて前記積層膜の各層の透磁率と半径方向の厚さとを調整することにより、前記中央包囲体(11)各部における透磁率テンソルの各成分の実効的な値を調整されたものであり、
前記透磁率テンソルの半径方向成分は、前記中央包囲体(11)の最内周から最外周にわたり半径に応じて順次増加する値とされ、最外周では前記外郭体(2)の透磁率よりも小さい所定値となるようにされており、
前記透磁率テンソルの円周方向成分は、最内周から最外周にわたり半径に応じて順次減少する値となるようにされたものである不可視包囲体。

【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載した不可視包囲体であって、
前記外郭体(2)は均質材料からなるものである不可視包囲体。
産業区分
  • 伝送回路空中線
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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