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聴診心音信号の処理方法、聴診心音信号の処理装置及び聴診心音信号を処理するためのプログラム

国内特許コード P150012190
整理番号 H24-094
掲載日 2015年8月5日
出願番号 特願2013-119147
公開番号 特開2014-233598
出願日 平成25年6月5日(2013.6.5)
公開日 平成26年12月15日(2014.12.15)
発明者
  • 江 鐘偉
  • 孫 樹平
  • 王 海濱
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 聴診心音信号の処理方法、聴診心音信号の処理装置及び聴診心音信号を処理するためのプログラム
発明の概要 【課題】心疾患判別のための心音データの解析処理を簡易な構成として行い、心疾患の状況、心機能の評価を簡便に行うことができる装置を提供する。
【解決手段】心音データから設定されたモデルパラメータの下で時間域の特徴値波形と、周波数域の特徴値波形とを生成し、それらから心拍間隔(T11)、1音-2音の間隔(T12)、周波数域幅(F)、中心周波数(F)を心音特徴値パラメータとして算出し、心音特徴値パラメータの分布域を囲む境界線を求め、境界線を楕円近似し、楕円パラメータ(x,y,a,b,θ)を求める。多種の取得された心音データについて求めた楕円パラメータをデータベースとして蓄積し、心疾患を判別すべく取得した心音データの心音特徴パラメータをデータベースの楕円パラメータを用いて処理し、判断式を用いて心疾患の判別を行う。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


1,000人の新生児のうち8人といわれる先天性心疾患者の多くは、欠陥の種別や程度によって、成人していくにつれ自然に治る場合と、早期に検出することができれば高い確率で治癒できる場合がある。心室中隔欠損症(VSD)は最も一般的な先天性心疾患であり、中隔の欠損程度によっては早期に手術しなければならない場合もある。このような先天性心疾患の進行状況を比較的簡便な方法で計測し判別することができれば、子供の成長過程に応じて適切な時期に適切な処置を行うことができ、患者への負担を軽減できる。



心疾患の診察方法として、古くから聴診法があるが、心音から心疾患を判断することは、医師でも長年の経験を要する。このような経験を要する心音からの心疾患の判断とともに、近年ではコンピュータ技術の発展とその適用により、心音信号から心疾患や心機能に関連するパラメータを容易に抽出できるようになってきている。それに伴い、コンピュータを用いて心疾患の判別や心機能の評価を行うことが可能になっている。



聴診音による心疾患の解析に関して、次のような特許文献に開示されている。
特許文献1には、マイクにより取得した音を電気信号に変換し、この電気信号のうち心音に対応する周波数範囲の信号と呼吸音に対応する周波数範囲の信号とを選択的に増強し、他の周波数範囲の信号を選択的に減衰させるようにイコライザの周波数特性を設定した電子聴診器について記載されている。



この電子聴診器において、心音データの特性はある程度個人差があるため、場合によっては心音として増強されるべきものが減衰されることがあり、ノイズを効果的に減少させられるとは限らない事態も生じ得るものであった。



特許文献2には、プリエンファシス、聴力損失の補償等のためのデジタルフィルタを備え、観測される信号中の反復信号を抑制し雑音を除去するためのパターン認識手段を有する電子聴診器について記載されている。



しかしながら、これらの電子聴診器において、インパルス伝達関数を確率するフィルタ手段、プリエンファシスを行うためパターン認識手段等の要素を備えるために、装置が煩雑になり、心音の個人差によりフィルタ手段、パターン認識手段によって効果的にノイズが減少させられない場合も生じるものである。



特許文献3では、心音検出プローブにより検出された心音波形信号を信号変換装置においてゲイン調整し、AD変換して汎用パーソナルコンピュータの入力信号とし、汎用パーソナルコンピュータで目的に応じた演算処理を行う心音計について開示されている。特許文献3に示される心音計は、家庭用のような一般的ユーザ向けの心音計として、汎用パーソナルコンピュータを用いた簡易な構成により心音波形の信号を利用し得るようにしたものである。ところで、心音プローブにより検出される心音にはノイズが含まれており、心音変換装置においてどの程度にゲイン調整を行うかによって送出される心音を聴取する際、あるいは心音データを送信、受信して解析処理を行う上での信頼性に大きな影響が与えられるのであるが、特許文献3においては、心音解析を行う上で検出された心音波形信号をどのようにゲイン調整するのがよいかという点について考慮してはおらず、心音解析を的確に行う上では不十分なものであった。



特許文献4において、判定基準を設けることなく正確に心音データを判定するために、心音の振幅を経過時間とともに記憶し、記憶された振幅のうち所定箇所の特徴を描出し、その結果に基づいてニューラルネットワークにより所定の認識を行い、認識の程度を出力し、心音の異常の程度を表示するようにした心音解析装置が開示されている。



この心音解析装置により、心臓検診の一次検診で求められる精密検診の必要性の判断におけるボーダーラインの設定がなされるものではあるが、ニューラルネットワークを用いているため、構成が簡易ではなく、一般ユーザには利用し易いものではなかった。



特許文献5は本発明者らによるものであり、鼓膜の振動モデルを用いて測定された心音データから振動応答の特徴値波形を求め、特徴値波形から僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、肺動脈弁のいずれかの閉鎖音の持続時間、閉鎖音間の時間、それらの組み合わせとなる評価指数を求め、検出した心音についての評価指数を評価指数の正常値範囲情報と比較して心音の正常・異常を判別するデジタル聴診解析システムを開示している。また、特許文献6も本発明者らよるものであり、鼓膜の振動モデルを用いて測定された心音データから振動応答の特徴値波形を求め、特徴値波形のピークの時間幅、時間間隔を示す評価指数を求め、評価指数からファジーメンバー関数により規定されるデータ集合の中心からの評価指数の分散状況を表す評価関数について、評価関数が最小となる閾値に対して求められた評価指数、データ集合の中心の分布状態を表示する聴診心音信号の処理方法、処理装置について開示している。



これらは振動モデルを用いて検出された心音についての特徴値波形、心音パラメータを求め解析するものであるが、特許文献5の場合に、心音異常の種類、特徴に応じて心音データ、振動応答の形が多様になることにより、多様な心音の特性に対して心音の異常を的確に把握し判断する上では難点があり、また、特許文献6の場合には、計算量が多くなり、解析処理のための装置としての規模も大きく、煩雑になるものであった。



非特許文献1には、心音データについて得られた特徴値波形から心音特徴値パラメータを求め、その分布範囲の境界線をサポートベクトルマシン方法(SVM)により求め、心疾患を判別することについて開示されている。しかしながら、SVMにより求めた境界線をもとに心疾患を判別することにおいては、計算量が多く、判別条件の設定が複雑になるため、容易に実施できないという難点があった。

産業上の利用分野


本発明は、聴診心音信号の処理方法、聴診心音信号の処理装置及び聴診心音信号を処理するためのプログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータを設定することと、
心音を検出しそれにより心音データを取得することと、
取得された心音データに対して設定されたモデルパラメータの下での時間域の特徴値波形とそれをフーリエ変換した周波数域の特徴値波形とを生成することと、
前記時間域の特徴値波形における前後の1音の間隔である心拍間隔(T11)及び1音-2音の間隔(T12)と、前記周波数域の特徴値波形におけるピークについて閾値(H)から定まる周波数域幅(F)及びピークの中心周波数(F)とを心音特徴値パラメータとして算出することと、
求められた時間域及び周波数域の心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)について分布域を囲む境界線を求めることと、
求められた時間域及び周波数域での境界線をそれぞれ最小二乗法により近似する楕円曲線を生成して楕円曲線を特徴づける楕円パラメータ(x,y,a,b,θ)を求めることと、
からなるステップにより多種の取得された心音データについて得られた楕円パラメータを蓄積したデータベースを形成し、心疾患の判別をすべき心音データについて心音データの取得、心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの設定、心音特徴値波形の生成、心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)の算出を行って、求められた心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)に対して前記求められた楕円パラメータ(x,y,θ)を用いて座標変換を行い、座標変換後の心音特徴値パラメータについて前記楕円パラメータ(a,b)及び心疾患の判断式を用いて心疾患の判別のための解析処理を行うことを特徴とする聴診心音信号の処理方法。

【請求項2】
心音を検出し心音データを取得する心音データ取得部と、
取得された心音データに対して、設定された心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの下で時間域の特徴値波形と、それをフーリエ変換した周波数域の特徴値波形とを生成する特徴値波形生成部と、
前記時間域の特徴値波形における時間域の心音特徴値パラメータ(T12,T11)と、周波数域の特徴値波形における周波数域の心音特徴値パラメータ(F,F)とを取得する心音特徴値パラメータ取得部と、
前記時間域の心音パラメータ及び周波数域の心音特徴値パラメータについてサポートベクターマシンを用いて心音特徴値パラメータの分布の境界線を生成する境界線生成部と、
生成された時間域及び周波数域における境界線を近似する楕円曲線を、最小二乗法を用いて生成し楕円曲線を特徴づける楕円パラメータ(x,y,a,b,θ)を求める楕円曲線近似部と、
多種の取得された心音データについて楕円近似により求められた楕円パラメータを蓄積したデータベース部と、
心疾患の判別をすべき心音データの心疾患判別に際して前記心音データ取得部で取得された心音データ取得部について前記心音特徴値パラメータ取得部で取得された心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)を前記データベース部に蓄積された楕円パラメータを用いて座標変換するパラメータの座標変換部と、
座標変換された心音特徴値パラメータについて前記データベース部に蓄積された楕円パラメータと対比し、判断式を用いて心疾患の判別のための解析を行う心疾患解析部と、
からなることを特徴とする聴診心音信号の処理装置。

【請求項3】
心音を検出し心音データを取得する心音データ取得部と、
取得された心音データに対して、設定された心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの下で時間域の特徴値波形と、それをフーリエ変換した周波数域の特徴値波形とを生成する特徴値波形生成部と、
前記時間域の特徴値波形における時間域の心音特徴値パラメータ(T12,T11)と、周波数域の特徴値波形における周波数域の心音特徴値パラメータ(F,F)とを取得する心音特徴値パラメータ取得部と、
前記時間域の心音特徴値パラメータ及び周波数域の心音パラメータについてサポートベクターマシンを用いて心音特徴値パラメータの分布の境界線を生成する境界線生成部と、
生成された時間域及び周波数域における境界線を近似する楕円曲線を、最小二乗法を用いて生成し楕円曲線を特徴づける楕円パラメータ(x,y,a,b,θ)を求める楕円曲線近似部と、
多種の取得された心音データについて楕円近似により求められた楕円パラメータを蓄積したデータベース部と、
を備える心疾患解析用パラメータデータ生成ユニットと、
心疾患の判別を求められる心音データを取得する心音データ取得部と、
設定された心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの下で時間域の特徴値波形と、それをフーリエ変換した周波数域の特徴値波形を生成する心音特徴値波形生成部と、
前記時間域の特徴値波形における時間域の心音特徴値パラメータ(T12,T11)と、周波数域の特徴値波形における周波数域の心音特徴値パラメータ(F,F)とを取得する心音特徴値パラメータ取得部と、
取得された心音特徴値パラメータに座標変換を行う座標変換部と、
座標変換された心音特徴値パラメータと前記心疾患解析用パラメータデータ生成ユニットにおけるデータベース部に蓄積された楕円パラメータと対比し、判断式を用いて心疾患の判別のための解析を行う心疾患解析部と、
心疾患解析の結果を表示する結果表示部と、
を備える心疾患解析・判断ユニットと、
からなることを特徴とする聴診心音信号の処理装置。

【請求項4】
前記心疾患解析・判断ユニットを、心音データ取得のための電子聴診部を付設した携帯用端末装置として構成し、前記心疾患解析用パラメータデータ生成ユニットからの交信によりデータベース部に蓄積された楕円パラメータを取得できるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の聴診心音信号の処理装置。

【請求項5】
検出された心音信号について心疾患を判別するための解析処理をコンピュータ上で実行する聴診心音信号を処理するためのプログラムであって、
取得された心音データに対して心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの下で時間域の特徴値波形とそれをフーリエ変換した周波数域の特徴値波形とを生成し、前記時間域の特徴値波形における前後の1音ピークの間隔である心拍間隔(T11)及び1音-2音のピーク間隔(T12)と、前記周波数域の特徴値波形におけるピークについて閾値(H)から定まる周波数域幅(F)及びピークの中心周波数(F)とを心音特徴値パラメータとして求め、求められた時間域及び周波数域の心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)について分布域を囲む境界線を求め、求められた時間域及び周波数域での境界線をそれぞれ最小二乗法により近似する楕円曲線を生成して楕円曲線を特徴づける楕円パラメータ(x,y,a,b,θ)を求め、多種の取得された心音データについて得られた楕円パラメータを蓄積したデータベースを形成し、また、取得された心疾患の判別をすべき心音データについて心音特徴値波形を求めるためのモデルパラメータの下で心音特徴値波形を生成し心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)の算出を求め、求められた心音特徴値パラメータ(T12,T11)及び(F,F)に対して前記求められた楕円パラメータ(x,y,θ)を用いて座標変換を行い、座標変換後の心音特徴値パラメータについて前記楕円パラメータ(a,b)及び心疾患の判断式を用いて心疾患の判別のための解析処理を行うことをコンピュータ上で実行することを特徴とする聴診心音信号を処理するためのプログラム。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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