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ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法

国内特許コード P150012227
整理番号 2013-031
掲載日 2015年9月1日
出願番号 特願2013-257402
公開番号 特開2015-115502
出願日 平成25年12月12日(2013.12.12)
公開日 平成27年6月22日(2015.6.22)
発明者
  • 松本 翼
  • 加藤 宙光
  • 牧野 俊晴
  • 竹内 大輔
  • 小倉 政彦
  • 山崎 聡
  • 徳田 規夫
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 ダイヤモンド半導体装置及びその製造方法
発明の概要 【課題】n型ダイヤモンド半導体層-金属電極間の接触抵抗が低抵抗化されたダイヤモンド半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のダイヤモンド半導体装置は、ホッピング伝導性を有するn型ダイヤモンド半導体層の表層を加熱し、前記表層中のダイヤモンド構造を構造相転移させて得られる、膜厚が一様なグラファイト層が形成された前記n型ダイヤモンド半導体層と前記グラファイト層との積層体と、前記グラファイト層上に配される金属電極と、を有することを特徴とする。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


ダイヤモンド半導体は、高い絶縁破壊電界や高い熱伝導率等の優れた物性を有することから、低損失かつ高耐圧のパワー半導体用材料として期待されている。また、水素終端ダイヤモンド半導体は、電子が真空中に飛び出しやすい負性親和力(NEA:Negative Electron Affinity)を示し、N-V(窒素と空孔の複合欠陥)中心は、室温で単一光子を放出し、室温で高密度の自由励起子を生じるなど、ユニークな性質も多く確認されている。



現在、これらの優れた物性、ユニークな性質を利用して、高耐圧のパワー半導体、電子放出源を用いた真空パワースイッチ、量子コンピュータ用のシングルフォトン源、深紫外線LEDなど、様々なバイポーラデバイスが開発されている。これらバイポーラデバイスのキーテクノロジーとなっているのは、ホッピング伝導と呼ばれる特性である。
前記ホッピング伝導では、ダイヤモンド膜に対して、不純物を高濃度に添加することにより得られ、正孔や電子の移動の仕方が、密な不純物準位を介した特有のものになる。



前記ダイヤモンド半導体としては、n型ダイヤモンド半導体と金属電極間の接触抵抗が高いことが課題とされる。Si、SiC、GaN等の従来の半導体材料であれば、1019cm-3を超える高濃度での不純物ドーピングを行えば、容易に低抵抗を示すオーミック特性が得られるが、前記n型ダイヤモンド半導体では、高濃度で不純物ドーピングを行った場合でも、大きなショットキー障壁が残っており、前記オーミック特性が得られていない。



前記n型ダイヤモンド半導体のオーミック特性に関する実験例としては、前記n型ダイヤモンド半導体の層に対して、Gaイオンを注入して電気的に活性な欠陥を形成しつつ、その表面をグラファイト化する例(非特許文献1参照)、前記金属電極の直下にリンを高濃度でドーピングする例(非特許文献2参照)が報告されている。
これらの実験例によれば、オーミック特性が得られるものの、前記接触抵抗が10Ω以上と非常に高く低抵抗を示すオーミック特性は、現段階で実現されていない。この要因として挙げられるのが、前記n型ダイヤモンド半導体と前記金属電極との界面における高いショットキー障壁の存在である。この高いショットキー障壁は、前記n型ダイヤモンド半導体と前記金属電極との界面に多く存在する界面準位により、フェルミ準位が伝導帯下端より4.3eV低い位置にピニングされることにより形成されると考えられる(非特許文献3参照)。
なお、ダイヤモンド半導体のオーミック特性に関する実験例としては、p型ダイヤモンド半導体層の表層をグラファイト化させたダイヤモンド-金属接合体の実験例が報告されている(特許文献1参照)が、その手法を高濃度に不純物がドープされたホッピング伝導性の前記n型ダイヤモンド半導体層に適用しても、前記接触抵抗を十分に低抵抗化させることができない問題がある。



ここで、前記接触抵抗としては、理論上、下記式(1)により表すことができる。
【数1】


ただし、前記式(1)中、ρは、接触抵抗を示し、φは、ショットキー障壁の高さを示し、Nは、ドナー濃度を示す。



前記接触抵抗を低くするためには、前記不純物ドーピングの高濃度化させて、ショットキー障壁の幅を狭くする(前記式(1)中のNを高くする)か、前記界面の特性に変更を与え、ショットキー障壁の高さを低くする(前記式(1)中のφを低くする)必要があるが、前記不純物ドーピングの高濃度化には、リン濃度が1020cm-3を超える領域から飽和傾向にある。リンの共有結合半径は1.1Åであるのに対して、ダイヤモンドの炭素のそれは0.77Åである。この大きさの違い、立体障壁からドーピングの飽和傾向が表れると考えられる。そのため、ショットキー障壁の高さを低くする新たな工夫が必要とされている状況である。
したがって、依然として前記n型ダイヤモンド半導体層-前記金属電極間の前記接触抵抗が低抵抗化されたダイヤモンド半導体装置及びその製造方法としては、満足できるものが存在していないというのが現状である。

産業上の利用分野


本発明は、金属電極-n型ダイヤモンド半導体層間の接触抵抗を低減させたダイヤモンド半導体装置及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ホッピング伝導性を有するn型ダイヤモンド半導体層の表層を加熱し、前記表層中のダイヤモンド構造を構造相転移させて得られる、膜厚が一様なグラファイト層が形成された前記n型ダイヤモンド半導体層と前記グラファイト層との積層体と、
前記グラファイト層上に配される金属電極と、を有することを特徴とするダイヤモンド半導体装置。

【請求項2】
グラファイト層が、n型ダイヤモンド半導体層の表層を低くとも1,200℃の加熱温度で加熱して形成される請求項1に記載のダイヤモンド半導体装置。

【請求項3】
グラファイト層の厚みが、厚くとも12nmである請求項1から2のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置。

【請求項4】
n型ダイヤモンド半導体層にドープされるn型不純物の不純物濃度が、1×1020cm-3~1×1021cm-3である請求項1から3のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置。

【請求項5】
ショットキー障壁の高さが、2.3eV以下である請求項1から4のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置。

【請求項6】
金属電極が、チタン、ニッケル、プラチナ、アルミニウム、金及びこれらの合金のいずれかで形成される層の単層体又は積層体である請求項1から5のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置。

【請求項7】
ホッピング伝導性を有するn型ダイヤモンド半導体層の表層を加熱し、前記表層中のダイヤモンド構造を構造相転移させて、膜厚が一様なグラファイト層が形成された前記n型ダイヤモンド半導体層と前記グラファイト層との積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体上に金属電極を形成する金属電極形成工程と、を含むことを特徴とするダイヤモンド半導体装置の製造方法。

【請求項8】
積層体形成工程が、n型ダイヤモンド半導体層の表層を低くとも1,200℃の加熱温度で加熱して、グラファイト層を形成する工程である請求項7に記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。

【請求項9】
積層体形成工程が、n型ダイヤモンド半導体層の表層を長くとも10分の加熱時間で加熱して、グラファイト層を形成する工程である請求項7から8のいずれかに記載のダイヤモンド半導体装置の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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