TOP > 国内特許検索 > 不斉選択性の切り替えが可能なクロマトグラフィー用充填剤

不斉選択性の切り替えが可能なクロマトグラフィー用充填剤 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P150012240
整理番号 2011-078
掲載日 2015年9月1日
出願番号 特願2014-514681
登録番号 特許第5757602号
出願日 平成25年4月26日(2013.4.26)
登録日 平成27年6月12日(2015.6.12)
国際出願番号 JP2013062351
国際公開番号 WO2013168601
国際出願日 平成25年4月26日(2013.4.26)
国際公開日 平成25年11月14日(2013.11.14)
優先権データ
  • 特願2012-109971 (2012.5.11) JP
  • 特願2012-166570 (2012.7.27) JP
発明者
  • 前田 勝浩
  • 井改 知幸
  • 下村 昂平
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 不斉選択性の切り替えが可能なクロマトグラフィー用充填剤 新技術説明会 外国出願あり
従来技術、競合技術の概要


有機化合物には物理的、化学的性質、例えば沸点、融点、溶解度といった物性が全く同一であるが、生理活性に差がみられる光学異性体が多く存在する。医薬の技術分野では、生体内の特定の受容体との結合のし易さによる薬理活性の違いがよく研究されており、光学異性体の間で薬効、毒性の点で顕著な差が見られる場合が多いことが広く知られている。このため薬物としてラセミ体を使用する場合には、それぞれの異性体について、吸収、分布、代謝、排泄動態を検討しておくことが望ましい旨、厚生省の医薬品製造指針にも記載されている。



前述の通り、光学異性体の物理的、化学的性質は全く同一であるが故に、通常の分離手段では分析が行えないため、広範な種類の有機化合物の光学異性体を簡便、且つ精度良く分析する技術の研究が精力的に行われてきた。それらの中でも、特に高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと称することもある。)による光学分割法は、光学異性体分離機能を有する物質、すなわち、光学異性体分離剤そのもの、或いは光学異性体分離剤を適当な担体上に化学結合又はコーティングすることにより担持させたキラル固定相を使用して光学異性体を分離するものである。例えば、低分子化合物である光学活性なクラウンエーテル化合物を担体にコーティングした充填剤(特許文献1)、合成高分子である光学活性メタクリル酸トリフェニルメチルポリマーを担体にコーティングした充填剤(特許文献2)、多糖の誘導体である三酢酸セルロースを担体にコーティングした充填剤(特許文献3)、安息香酸セルロースを担体にコーティングした充填剤(特許文献4)、セルロースフェニルカルバメートを担体にコーティングした充填剤(特許文献5)、セルロースあるいはアミロース誘導体(非特許文献1)、タンパクであるオボムコイド(特許文献6)等が開発され、その高い光学分割能から商品化され、広く使用されている。



キラル固定相を用いるHPLC(以下、キラルHPLCと称する場合もある。)による光学異性体の分離、分析及び分取において、両異性体のピークが接近している場合、後から溶出する異性体に、先に溶出する異性体が混入しやすいので、後から溶出する異性体については光学純度の高いものを得るのが困難な場合が多い。そこで、各異性体の溶出順序を逆転できれば、微量の異性体を先に溶出させることにより、後に溶出する異性体の光学純度を高めることが可能である。従って、光学分割能を完全に保ちつつ、溶出順序のみを逆転することができる鏡像異性体の関係にあるキラル固定相が自在に利用できれば、極めて有用である。



しかし、光学異性体分離剤は、一般に非常に高価であると共に、使用する光学異性体分離剤の不斉炭素原子由来のキラリティー(低分子化合物の場合)又はコンホメーション由来のキラリティー(高分子化合物の場合)により不斉選択性が既に決められているため、不斉選択性を切り替えることは通常困難である。例えば、既にHPLC用キラル固定相として市販もされている高分子化合物(ポリメタクリル酸エステル誘導体)は、溶液中でもほどけることのない安定な一方向巻きのらせん構造を有するが、らせんの巻き方向は、光学活性な触媒や開始剤を用いることで重合反応の段階で決定づけられるので、不斉選択性の切り替えを行うことはできない(非特許文献2)。



一方、溶液中で右巻きと左巻きのらせん反転が素早く起こる動的らせん高分子と呼ばれる一群のポリアセチレン化合物が知られている。具体的には、光学活性アミン存在下で該ポリアセチレン化合物に所望の巻き方向のらせんを自在に誘起することが可能であることが見出されている(非特許文献3)。そして、前記らせん構造複合体から光学活性化合物を除去し、アキラルな化合物と置き換えても一方向巻きのらせん構造(らせんのキラリティー)が記憶されることも報告されている(非特許文献4)。しかし、溶液中とは異なり動的平衡が起こりにくい固体状態で効率よく右巻きと左巻きのらせん構造を反転させ、それをアキラルな化合物による置き換えをすることなく記憶させることができるポリアセチレン化合物は見出されていない。

産業上の利用分野


本発明は、クロマトグラフィー法、特に液体クロマトグラフィーによる光学異性体の分離に用いられる光学異性体分離剤及びそれを担持させてなる充填剤に関し、特に固体状態で不斉選択性を自在に切り替え可能ならせん状ポリアセチレン化合物を担体にコーティングしてなる充填剤、及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物の製造方法であって、式(I):
【化1】


[式中、
及びR’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1-6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、又は-R-O-R(ここで、は、酸素原子との結合位置を示し、Rは、C1-4アルキレン基又は-R-(O-Rn1-(ここで、Rは、C1-4アルキレン基を示し、Rは、C1-4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基を示す。)を示し;
は、OR、SR、NHCOR、CONHR、OCOR、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO(ここで、Rは、置換されていてもよいC8-30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1-30アルキル基を示す。)を示し;
、R’、R及びR’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、又は置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去する工程を含むことを特徴とする、製造方法。

【請求項2】
請求項1記載の製造方法により得られる一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物を、請求項1で使用する低分子化合物の鏡像異性体又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該鏡像異性体又は異なる種類の光学活性低分子化合物を除去することにより、らせんの巻き方向を反転させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
低分子化合物が、(R)-(-)-1-フェニルエチルアルコール又は(S)-(+)-1-フェニルエチルアルコールである、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。

【請求項5】
低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。

【請求項6】
及びR’が共に-R-O-R(ここで、は、酸素原子との結合位置を示し、Rは、C1-4アルキレン基を示し、Rは、C1-6アルキル基を示す。)であり、RがOR(ここで、Rは、C10-20アルキル基を示す。)であり、R、R’、R及びR’が共に水素原子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】
及びR’が共にメトキシメチル基であり、且つRがドデシルオキシ基である、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
及びR’が共に-R-O-R(ここで、は、酸素原子との結合位置を示し、Rは、C1-4アルキレン基を示し、Rは、C1-6アルキル基を示す。)であり、RがOCON(R9’)(R9’’)(ここで、R9’は、水素原子を示し、R9’’は、C1-6アルキル基を示す。)であり、R、R’、R及びR’が共に水素原子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項9】
及びR’が共にメトキシメチル基であり、且つRがブチルカルバモイルオキシ基である、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
低分子化合物又はその鏡像異性体の除去が、メタノール洗浄により行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。

【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法により製造されることを特徴とする、一方向巻きのらせん構造を有するポリアセチレン化合物。

【請求項12】
請求項11に記載のポリアセチレン化合物からなる光学異性体分離剤。

【請求項13】
請求項12に記載の光学異性体分離剤を担体に担持してなる充填剤。

【請求項14】
担体がシリカゲルである、請求項13に記載の充填剤。

【請求項15】
請求項13又は14に記載の充填剤を充填して調製されるキラルカラム。

【請求項16】
光学異性体の混合物の純度測定用又は分離用として使用する、請求項15に記載のキラルカラム。

【請求項17】
充填剤を光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、請求項13又は14に記載の充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。

【請求項18】
キラルカラムに光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液を満たし静置した後、該低分子化合物を除去することによる、請求項15又は16に記載のキラルカラムの充填剤中のポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。

【請求項19】
一方向巻きのらせん構造を有する式(I):
【化2】


[式中、
及びR’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1-6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、又は-R-O-R(ここで、は、酸素原子との結合位置を示し、Rは、C1-4アルキレン基又は-R-(O-Rn1-(ここで、Rは、C1-4アルキレン基を示し、Rは、C1-4アルキレン基を示し、n1は、1乃至3の整数を示す。)を示し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基を示す。)を示し;
は、OR、SR、NHCOR、CONHR、OCOR、OCON(R9’)(R9’’)、又はCO(ここで、Rは、置換されていてもよいC8-30アルキル基を示し、R9’は、水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、R9’’は、置換されていてもよいC1-30アルキル基を示す。)を示し;
、R’、R及びR’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、又は置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し;且つ
nは、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物を、光学活性な低分子化合物又はそれを含む溶液に固体状態で含浸させた後、該低分子化合物を除去することによる、該ポリアセチレン化合物のらせんの巻き方向を反転させる方法。

【請求項20】
低分子化合物の光学純度が、99%ee以上である、請求項19に記載の方法。

【請求項21】
低分子化合物の光学純度が、40%ee以上である、請求項19に記載の方法。

【請求項22】
式(Ia):
【化3】


[式中、
1a及びR1a’は、独立してそれぞれ、置換されていてもよいC1-6アルキル基、ホルミル基、置換されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルコキシ-カルボニル基、置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、又は-R5a-O-R6a(ここで、は、酸素原子との結合位置を示し、R5aは、C1-4アルキレン基又は-R7a-(O-R8an0-(ここで、R7aは、C1-4アルキレン基を示し、R8aは、C1-4アルキレン基を示し、n0は、1乃至3の整数を示す。)を示し、R6aは、置換されていてもよいC1-6アルキル基を示す。)を示し;
2aは、OCON(R9a’)(R9a’’)(ここで、R9a’は、水素原子又は置換されていてもよいC1-6アルキル基を示し、R9a’’は、置換されていてもよいC1-30アルキル基を示す。)を示し;
3a、R3a’、R4a及びR4a’は、独立してそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、又は置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し;且つ
n’は、10以上の整数を示す。]
で表されるポリアセチレン化合物。

【請求項23】
1a及びR1a’が共にメトキシメチル基であり、且つR2aがブチルカルバモイルオキシ基である、請求項22に記載の化合物。
産業区分
  • その他無機化学
  • 試験、検査
  • 処理操作
  • 混合分離
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close